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筒井さんは予定通り?
「家族百景」から始まった「テレパス 七瀬シリーズ」の3作目で(恐らく)最終章。1章の時に筒井さんはこの結末をすでに組み立てていたのかが気になります。だとしたら、やっぱり恐るべし筒井康隆。単なる超能力ものではない、「精神小説」とも呼ぶべき新分野だと思いました。
ただ、近年の筒井さんは精神分析の記述とストーリーテラーとしての巧みさのバランスがやや崩れて、難解な記述が多く、正直ついていけない作品もチラホラ。本作品はギリOKと言う感じです。
しかしシリーズ全体として見ると、少女に近かった七瀬が「大人の女」になり、同時にそのテレパスとしての精神世界も成長して行く過程での「気付き」を描いた本作