筒井康隆のレビュー一覧

  • 短篇小説講義  増補版

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    かなり前に書かれた筒井さんのこの小説執筆論が、令和の時代に小説家になろうとする人間に、とても参考になる。

    昨今、小説投稿サイトの増加などに伴い、小説を書く人は激増している。新人向けの小説コンテストも多く、規模の大小を問わなければ、投稿できるコンテストは毎月十件くらいあるのではないか、と思う。

    そのような環境の中で、短編小説のあり方はまさに多様化していて、筒井さんが言う「小説は自由だ」との主張は説得力を増している。

    この本で紹介されている事例は海外作家のものが多いがゆえに、短編小説における様々な試行錯誤の事例が、テーマ選定、文章の構造の斬新さ、という視点に偏っていることは否めない。

    令和

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    2023年12月28日
  • 文学部唯野教授

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    筒井康隆のブラックユーモア小説。架空の大学「早治大学」文学部英米文学科の唯野教授を中心とする露悪的な大学組織のドタバタ劇と、唯野教授による文学理論の講義が交互に進んでいく。

    文学理論目当てで手に取ったが、筒井康隆のナンセンスで下品なユーモアが面白くかなり自分好みの内容だった。

    文学理論の方は、印象批評、新批評、ロシア・フォルマリズムまでは簡単だし、いかにも文学理論らしくて面白いのだが、第4講からはまるきり現代思想の話に。門外漢ゆえ分からないが文学理論ってこんなに思想にベッタリなんだろうか。ちなみに現代思想の解説としては、他の新書や一般書と比べてもかなり分かりやすいと思う。

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    2023年12月20日
  • 富豪刑事

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    タイトルと”筒井康隆の推理小説”に興味を惹かれて読んでみた。富豪刑事と聞いてなんでも金で解決する成金の卑しい刑事を想像してたけれど、自分の予想を遥かに超えた大大大金持ちで拍子抜けするような展開ばかりでおもしろかった。推理小説にしては怪しい犯人は常に1人しかいないんだけど、そのトリックを解く過程が好きな人は楽しめるかもしれない。筒井康隆の文中に挟む言い訳のような吐露も個人的に新鮮で、こういう作者の正直な胸中があからさまに書かれたおかげでちょっとクスッと笑える、おおらかな推理小説に感じた。

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    2023年12月04日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

    A

    購入済み

    面白かった

    面白かった。
    前作では、人間の心理を描写するための表現上のツールとして
    テレパスが使われている印象だったが
    今作では、打って変わって、
    能力者バトルのような活劇
    超能力者の葛藤、超能力者同士の協力と対立などがあり
    とても面白かったです。

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    2023年11月30日
  • 聖痕

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    ネタバレ

    素晴らしい読書体験だった。

    幼少期に生殖機能を暴漢に奪われ、煩悩を知らずに育つ貴夫と周囲を描いた、一族の栄枯盛衰ストーリー。

    古風な語彙が非常に多く、最初は戸惑うが、段々とその文章に引き込まれてこうあるべきだと錯覚させられる。日本語の奥ゆかしさと、貴夫の聖人伝が融合して、難解だが居心地の良さを与えてくれる。

    終盤の仇敵を赦す場面などは、キリストそのものではないか。神々しい貴夫の姿が私に想起させられた。貴夫が作中で教祖と揶揄される、そして現実となるのは無理のないこと。

    貴夫一族がどのような未来を辿るのか、私の妄想は膨らむばかりである。

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    2023年11月26日
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿

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    ネタバレ

    モナドの領域同様、こっちも御書印巡りのときに買ったやつだったはず。モナドよりだいぶ昔のはずだが。
    こっちはSF短編集だった。小説の背景設定を見ると、だいぶ昔に書かれたものっぽくはあった。1964年から78年の作品。

    ・いじめないで
    出力が穴開きテープというだいぶ古いタイプの人工知能と、世界崩壊後に唯一生き残った男性がやり広げるドタバタ喜劇というか。酒をかけられたり、部品を破壊されそうになり怯える機械と、どんどん酔っ払っていく男性。そして最後には全部埋もれて終わり。登場人物が二人というミニマルな話。

    ・しゃっくり
    タイトルを見ただけでは内容が思い出せなかったが、交差点にいた主人公だけじゃなく

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    2023年11月26日
  • モナドの領域(新潮文庫)

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    それらしい事を言ってネタバレするのはイヤなので詳しくは書かない。
    とにかく面白かった。やはり筒井先生は最高だって事かな(笑)

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    2023年11月24日
  • モナドの領域(新潮文庫)

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    ネタバレ

    いつどこで買ったか全く記憶にないけど、たぶん御書印もらうときにテキトーに買った本のひとつだろうな。

    筒井康隆作品を読むのはめちゃめちゃ久しぶりなので感覚を忘れていて、最初にバラバラ死体が出てきて、パン屋で発見された部位と同じ形のバゲットが流行るという謎めいた展開になり、さあ誰が犯人なんだろう…とドキドキしながらページをめくっていたところ、パン屋の常連だった教授が突然全知全能の神に憑依されるという展開で、あっ、そういえば筒井康隆作品だったわ、と気づいたと言うか思い出したというか。

    その後はもうずっと筒井康隆感。人々がとにかくGODに翻弄され、そして全てはGODの予定、いわゆる「モナド」の通り

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    2023年11月23日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

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    20年以上ぶりで再読。『家族八景』とはまた違ったアクティブな作品。『家族八景』でも思ったけれど、文学的エロ表現が筒井康隆ならではという感じ。ラストは七瀬も思えば遠くまで来ちゃったなあと思ったかもしれない。このあとどう続ける?

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    2023年11月12日
  • 虚航船団(新潮文庫)

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    ネタバレ

    摩訶不思議。滅茶苦茶やん。
    そう思って、はじめの方は読み進めた。
    さすが奇書と言われるだけある。
    小説界のラーメン二郎と誰かが書いていたが、言い得て妙。それくらい濃厚。

    心して読んで欲しい。
    単なる読書ではなく、筒井康隆への挑戦となる。

    執筆に6年をかけたらしく、終盤では他の創作の依頼は断ったらしい。筒井康隆の集大成的作品とも言われている。

    ーーーあらすじと感想ーーー

    第一章 文房具

    宇宙船団の中のひとつに、山ほど文房具が乗っている文房具船があり、文房具たちは全員どこか狂っている。そしてP20までに大学ノートは死に、ダブルクリップが自殺する。

    は?

    自分は大事だと思うところや物語

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    2023年11月08日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    筒井康隆のショートショート、大好きだ!

    ところどころで滑ってるものもあるけれど、そんなんはどんな芸人でも一緒だでね。
    なんていうかもう、「会いたい」では、胃の奥がぐるぐるするほど泣いた。すてきなことに定評のある筒井康隆の短編の中でも、ド級にすてき。この一編のためだけにもう一冊この文庫を買おうか迷ってしまうよ。
    しかし!人におすすめしても100%大絶賛が返ってくるとは限らないのが筒井康隆あるある……。なので、このたまらなくすてきなショートショートが心にびんびんくる人に、もっともっとこれからも届いていくといいな。いいな!

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    2023年08月28日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    筒井康隆の書くお話が好き!
    初めて彼の書く本を読んで、今ではすっかりコレクター。
    エロ、グロ、ホラー、とんちになんでもござれな一冊。

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    2023年06月28日
  • モナドの領域(新潮文庫)

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    哲学を学んでいないので、理解できない部分も多かったけど、それでも、こんな感じなのかな?と想像して読み進めるのが楽しかった。
    最初に登場する「女性の腕」について、「川端康成は好きじゃなさそうな腕、谷崎潤一郎が好きそうな腕」というくだりが妙に腑に落ちて、読む間ずっと私の頭の中に腕のイメージが存在していたけど、最後にサラッと回収されていってまたまた納得。

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    2023年03月29日
  • 富豪刑事

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    おびのりさんにお薦めをお願いしてもらった筒井康隆作品です。ありがとうございます!
    紹介していただいたのはずいぶん前で、ずいぶん前に購入していたので、積読本に埋もれて探せなくて読むのが遅くなりました。最近、積読本をちょっとだけ片づけたのです。


    キャデラックを乗り廻し、最高のハバナの葉巻をくゆらせた”富豪刑事”こと神戸大助が迷宮入り寸前の五億円強奪事件を、密室殺人事件を、誘拐事件を…次々と解決してゆく。金を湯水のように使って。靴底をすり減らして聞き込みに歩く”刑事もの”の常識を逆転し、この世で万能の金の魔力を巧みに使ったさまざまなトリックを構成。SFの鬼才がまったく新しいミステリーに挑戦した傑

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    2023年02月27日
  • 脱走と追跡のサンバ

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    実験的な小説であるものの、最後まで読み通せるほどのおかしさや面白さに満ち溢れていて、今でも新鮮な、読み応えのある作品だった。
    「虚人たち」は小説という形式のなかでもがく話だが、今作は世界そのものから脱出しようとするわけで、筒井康隆ならではの世界把握があまりにも独特で、かつ的確。現代社会と適応しすぎたあまりに通時代性を失う作品はあまたあるが、この小説は現代のそれを正確に理解しているのにもかかわらず、そうなってはいない。筒井康隆の力量が十二分に発揮された作品だった。

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    2023年01月29日
  • モナドの領域(新潮文庫)

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    高校生の時に読んで以来の再読。当時は筒井康隆についてあまり知らない状態で読んだから、単なる哲学的なSFとして読んでしまっていたけれど、彼の他の作品をいくつか読んでから改めて触れると、壮大な実験小説なのだということがわかった。解説で池澤夏樹が書いているが、物語で神様を出すというのは、展開がなんでもありになってしまうから御法度なのだが、筒井康隆はこれをうまい具合に処理していて、破綻もなく(展開の後半でわかることだが、むしろ破綻を前提にして)小説を書いているようだった。同じく池澤は、このGOD以上の存在として、作者である筒井康隆を挙げていたが、結局GODはこの話が小説だということも知っていたわけで、

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    2023年01月17日
  • モナドの領域(新潮文庫)

    購入済み

    お達者で何よりです

    45年程前からの愛読者としては「昔の先生ならもっと短くまとめてた、もっと多次元の世界をSF的に描いてた」のではないかと想像してしまいますが、今回は先生の今が感じられて
    、これも善きかなと思いました。「時をかける少女」は永遠に不滅です。

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    2023年01月08日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    人間観察が上手い作家さんなんだろうなぁと思った。
    風刺アニメやブラックジョークが好きな人に勧めたい。

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    2022年12月31日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

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    無意識のエディプス的傾向を母親=「彼女」側からのアプローチで智広に対して実現させてるのか、結局のところその無意識は智広側から膨れ上がってきていてその結果が「彼女」をこういうかたちの存在にさせているのか、、、とかを考えたりした。
    包み込むっていう意味での母性をSFっぽく体現している感じがしておもしろかったし、終盤に七瀬がどんどん現実の構造に際限の無い疑いを持つ不安定さを見せたことでおもしろに拍車がかかった気がする。

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    2022年12月21日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

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    テレパス七瀬シリーズ第二弾。
    超能力者は七瀬だけではなかった。短編を追うごとに次々と増えていく、超能力者たち。彼らは敵?それとも味方なのか?

    家政婦として働き、孤独な超能力者として描かれた七瀬だったが、今作ではすでに別の仕事を転々としながら、身をやつしながら生活する。相変わらず、人の心が読めてしまうがために、のらりくらりと危機をかわしながら過ごす。

    しかし残念なことに、世の中には、超能力をよく思っていない人達もいて、中盤から、能力者と、非能力者の戦いが始まる。

    前作の日常風景から少し離れて、物語の規模が大きくなった気がします。パプリカとはまた違うテイストの世界観に、筒井康隆さんの才能、特

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    2022年12月10日