筒井康隆のレビュー一覧
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ネタバレ素晴らしい読書体験だった。
幼少期に生殖機能を暴漢に奪われ、煩悩を知らずに育つ貴夫と周囲を描いた、一族の栄枯盛衰ストーリー。
古風な語彙が非常に多く、最初は戸惑うが、段々とその文章に引き込まれてこうあるべきだと錯覚させられる。日本語の奥ゆかしさと、貴夫の聖人伝が融合して、難解だが居心地の良さを与えてくれる。
終盤の仇敵を赦す場面などは、キリストそのものではないか。神々しい貴夫の姿が私に想起させられた。貴夫が作中で教祖と揶揄される、そして現実となるのは無理のないこと。
貴夫一族がどのような未来を辿るのか、私の妄想は膨らむばかりである。 -
Posted by ブクログ
ネタバレモナドの領域同様、こっちも御書印巡りのときに買ったやつだったはず。モナドよりだいぶ昔のはずだが。
こっちはSF短編集だった。小説の背景設定を見ると、だいぶ昔に書かれたものっぽくはあった。1964年から78年の作品。
・いじめないで
出力が穴開きテープというだいぶ古いタイプの人工知能と、世界崩壊後に唯一生き残った男性がやり広げるドタバタ喜劇というか。酒をかけられたり、部品を破壊されそうになり怯える機械と、どんどん酔っ払っていく男性。そして最後には全部埋もれて終わり。登場人物が二人というミニマルな話。
・しゃっくり
タイトルを見ただけでは内容が思い出せなかったが、交差点にいた主人公だけじゃなく -
Posted by ブクログ
ネタバレいつどこで買ったか全く記憶にないけど、たぶん御書印もらうときにテキトーに買った本のひとつだろうな。
筒井康隆作品を読むのはめちゃめちゃ久しぶりなので感覚を忘れていて、最初にバラバラ死体が出てきて、パン屋で発見された部位と同じ形のバゲットが流行るという謎めいた展開になり、さあ誰が犯人なんだろう…とドキドキしながらページをめくっていたところ、パン屋の常連だった教授が突然全知全能の神に憑依されるという展開で、あっ、そういえば筒井康隆作品だったわ、と気づいたと言うか思い出したというか。
その後はもうずっと筒井康隆感。人々がとにかくGODに翻弄され、そして全てはGODの予定、いわゆる「モナド」の通り -
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ネタバレ摩訶不思議。滅茶苦茶やん。
そう思って、はじめの方は読み進めた。
さすが奇書と言われるだけある。
小説界のラーメン二郎と誰かが書いていたが、言い得て妙。それくらい濃厚。
心して読んで欲しい。
単なる読書ではなく、筒井康隆への挑戦となる。
執筆に6年をかけたらしく、終盤では他の創作の依頼は断ったらしい。筒井康隆の集大成的作品とも言われている。
ーーーあらすじと感想ーーー
第一章 文房具
宇宙船団の中のひとつに、山ほど文房具が乗っている文房具船があり、文房具たちは全員どこか狂っている。そしてP20までに大学ノートは死に、ダブルクリップが自殺する。
は?
自分は大事だと思うところや物語 -
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おびのりさんにお薦めをお願いしてもらった筒井康隆作品です。ありがとうございます!
紹介していただいたのはずいぶん前で、ずいぶん前に購入していたので、積読本に埋もれて探せなくて読むのが遅くなりました。最近、積読本をちょっとだけ片づけたのです。
キャデラックを乗り廻し、最高のハバナの葉巻をくゆらせた”富豪刑事”こと神戸大助が迷宮入り寸前の五億円強奪事件を、密室殺人事件を、誘拐事件を…次々と解決してゆく。金を湯水のように使って。靴底をすり減らして聞き込みに歩く”刑事もの”の常識を逆転し、この世で万能の金の魔力を巧みに使ったさまざまなトリックを構成。SFの鬼才がまったく新しいミステリーに挑戦した傑 -
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高校生の時に読んで以来の再読。当時は筒井康隆についてあまり知らない状態で読んだから、単なる哲学的なSFとして読んでしまっていたけれど、彼の他の作品をいくつか読んでから改めて触れると、壮大な実験小説なのだということがわかった。解説で池澤夏樹が書いているが、物語で神様を出すというのは、展開がなんでもありになってしまうから御法度なのだが、筒井康隆はこれをうまい具合に処理していて、破綻もなく(展開の後半でわかることだが、むしろ破綻を前提にして)小説を書いているようだった。同じく池澤は、このGOD以上の存在として、作者である筒井康隆を挙げていたが、結局GODはこの話が小説だということも知っていたわけで、
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購入済み
お達者で何よりです
45年程前からの愛読者としては「昔の先生ならもっと短くまとめてた、もっと多次元の世界をSF的に描いてた」のではないかと想像してしまいますが、今回は先生の今が感じられて
、これも善きかなと思いました。「時をかける少女」は永遠に不滅です。 -
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テレパス七瀬シリーズ第二弾。
超能力者は七瀬だけではなかった。短編を追うごとに次々と増えていく、超能力者たち。彼らは敵?それとも味方なのか?
家政婦として働き、孤独な超能力者として描かれた七瀬だったが、今作ではすでに別の仕事を転々としながら、身をやつしながら生活する。相変わらず、人の心が読めてしまうがために、のらりくらりと危機をかわしながら過ごす。
しかし残念なことに、世の中には、超能力をよく思っていない人達もいて、中盤から、能力者と、非能力者の戦いが始まる。
前作の日常風景から少し離れて、物語の規模が大きくなった気がします。パプリカとはまた違うテイストの世界観に、筒井康隆さんの才能、特 -
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ネタバレ聞き慣れない難読な単語が多く、注釈でそれぞれの意味が記されているがそれでは足りない程難しく書かれている。一つ一つ意味を確かめながら読む時もあれば、なんだかスルスルとその漢字が持つ空気感だけで意味を感じ取り読み進める時もあった。ラストに印象的に示されたスケープゴートがこの作品の主題であって、それを表す事に、ここまで詳細に1人の人生、貴夫の人生を書き連ねて行く事を果たして筒井さんの他誰ができるのでしょうか。性の根源を切り取られた男性、貴夫がどのような生涯を送るのか、読者として簡単に想像を細かに組み立てられる人は殆ど居ないと思います。ああ、そりゃこうなるよね、当たり前だよね、と読み進められるはずはな