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同時に、しかも別々に誘拐された妻と娘の悲鳴がはるかに聞こえる。 自らが小説の登場人物であることを意識しつつ、主人公は必死に捜索するが……。 あらゆる表現上の実験が繰り広げられる前人未踏の長篇に、「「虚人たち」について」他エッセイ2篇と新規解説を収録。 著者が追究する超虚構文学の幕開けとなった記念碑的作品。 泉鏡花文学賞受賞。 〈解説 佐々木 敦〉 【目 次】 虚人たち エッセイ 「虚人たち」について 知の産業 ある編集者 解説 佐々木 敦
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Posted by ブクログ
すごい本を読んだ。 描写について。主人公の思考で本ができているが、私より遥かに目的論的な世界観で生きており、私とは異なる感性を持った思考体であることを意識させられる。自分がそう思っただけなのに、〇〇であることを伝えるために〇〇はある。みたいなことすぐ言う。面白い。もちろん実験的な構成とか描写が私を...続きを読む感動させた理由だけれど、それを私が書くほどには掴めきれておらずなんと書いたらいいのかわからないからとりあえず描写について気づいたことを書いた。 ストーリーとは関係のない描写ばかりだなとは思っていたが、文章の量と小説内の時間を比例させようとしていたのには気づかなかった。悔しい。妙に印象的な立小便の件とかなんら事件に関係無いし。 最後の解説では、小説内では描写されたことが現実となるのだから描写が書き換えられると現実も簡単に書き換えられる、と書いてあったが実感した。解説の文章によってそれに気づかされたことは嬉しくないけれど。確かに、外は雨である。と書かれていたら私は雨の世界を想像で作るし、その直後に、雨は降っていない。と書かれたら慌てて消す。この本では実験的にそれをずっとさせられた。 私に100年本ほ書かせても書けないと思う。 場面転換が多いので映画にしても面白そうだと思うが文章の面白さが失われるので観たらがっかりするだろうと思う。パプリカを読んだことはないが多分映画より良いんだろうなと思う。 普通に教養が無さすぎてわからない単語がたくさんある。私の世界に必要そうな単語ばかりなので分かるようになりたいと思う。 中高で読んでいたらかぶれて痛い奴になっていたと思うのである程度分別がついてから読むべき。 読点は本当に無いけるど、本来人間の思考に息継ぎは必要無いので自然に読める。
文章が一切書かれていないページ、現実か虚構なのかわからない曖昧な世界観、本作の主人公が小説の主人公を意識しているというメタ的な表現など、小説の形式を破った独特の作品である。
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