瀬戸内寂聴のレビュー一覧
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男と女はフィフティ・フィフティ
矛盾するかもしれないが、自分よりもっとステキな人間はいくらでもいる、私を選んでなんかくれるのだろうかと自分を相手より下に考えている部分と、私みたいな人間を好きになってくれるような人間は彼くらいしかいないとどこか彼を下に見ている部分と、そんな風に上とか下とかで比較する、優劣をつける、そこから間違っていたと思う
◆16章
・真砂ほどもある無数の男の中から、ただひとりを一度で選ぶなんて全知全能の人間でもないかぎり、宝くじを引き当てるより可能性の少ないことである。
・女は自分の選んだときに子供を作ればいいので、母親になる前に最もはげしく、或いは最も強く消費しつくす -
Posted by ブクログ
祇園女御と呼ばれたたまきは、貴族の血を引きながら赤ん坊のうちに捨てられ、くぐつの中で育てられながらも、最後は
白河法皇の寵を受ける。そして、自らの子には恵まれないながら、後の平清盛を引き受け育てることになる。
タイトルは"祇園女御"ながら、上巻の始めから描かれているのは、白河院がまだ東宮だった頃から関わりを持ってきた数々の女性たちの生涯。
たまきの数奇な運命には驚かされるが、そのたまきでさえ、本当に愛した人とは添い遂げられず、別の男性への想いを抱いたまま、白河院の側にいる。いわんや、形だけの后、道子の淋しさ、虚しさを思うと、当時の女性の幸せってなんだろうと考えるとともに、 -
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平安末期、後白河上皇がまだ東宮だった頃に入内した藤原道子を中心に描いた物語。
当時の貴族たちの自由すぎる(?)男女関係に驚くとともに、女房たちの運命は、お仕えする主の状況に左右され、簡単に庶民以下に落ちぶれることもあれば、その人の美しさや計算高さなどがあれば思わぬ出世もあり得たんだということがよくわかる。
そして、貴族の世界の華やかな面のみならず、"くぐつ"と呼ばれる人たちの生活なども描かれていて面白かった。
どの程度実話に基づく話なのか、完全に創作なのかよくわからないが、聡明な女性ほど行きにくかったであろうことは想像に難くなく、道子に共感を覚えずにはいられない。 -
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購入済み
読み応えあり!
源氏物語が大好きで、色々な著者の作品を読みましたが、女性の本心であろう様々な心のうちを描いているのはこちらの作品だけです。源氏物語に登場する女人たちが抱く心の葛藤がとても胸にきます。
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大阪の花柳界に売られ、今なら小学生の頃から男性客にヒドいめにあわされてきた女性が京都嵯峨の祇王寺の庵主さんになるまでのお話。
実在の女性をモデルにしていて、かなりリアルに彼女の半生を描いていました。
ドタバタな人生模様で、ぐいぐい読ませていく感じ。
中学生くらいの年に小指を切って男性に届けたり、けっこう激しいキャラの彼女は美しいだけで芸もイマイチだし、不憫な身の上だけど性格に問題があって共感できる部分は少ない。
寂聴さんの文才で読ませていくけれど、もう1人の主人公っぽい現代の着物デザイナーの女性については描き切れていない感じがあり、読後の感想としては、お金持ちが少なくなると京都の高級料亭 -
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