瀬戸内寂聴のレビュー一覧
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瀬戸内寂聴の小説を読むのは初めて。というか、坊さんとしてメディアに登場する彼女の姿しか知らない私にとって、彼女の小説って所から新鮮だった。たまたま私が場所研究者であり、場所をテーマにしている大学の講義のレポート課題図書を探している中で、タイトルずばりの本書に出会ったわけである。といいつつも、映画好きの私は今年、小説家としての寂聴さんに出会っている。それは『夏の終り』という作品が満島ひかり主演で映画化されたからだ。しかも、この映画の原作もあの寂聴さんの実体験をもとにしているというのは私にとってちょっとした衝撃だった。
そんな縁もあり、本書を課題図書に決め、早速読み始めた。本書には下記14の章があ -
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姫君たちが抱いていたプライドをテーマに源氏物語を解釈した一冊。NHKの番組がきっかけで源氏物語に興味を持ち取り寄せたが、思った以上に面白かった。何度か展開される紫式部不美人論は説得力がある。
・一方不美人の事を書きますと、なぜか事細かく書く(笑)。(中略)そこにリアリティーがあるのです。私は、それは自分の要望に対するコンプレックスの裏返しではないかと思います。41
・愚かな恋を繰り返し、過ちを繰り返し、しかし、そのたびに悲しみと同時に愛する喜びも味わうことのできた人生の方が、より豊かな人生といえるのではないかと私は考えます。71
・この時代は、前にも話しましたように、貴族たちは、男を産む -
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出家前の晴美と、得度後の寂聴の往復書簡という珍しい形をとった、性を切り口に自身の半生を振り返り綴られたエッセイ。女性として、また作家として、そして尼僧として、僕とは全く異なる性体験をして来られた女史の性愛に対する考えが強く出た文章は非常に興味深く読めた。
『花芯』で「子宮作家」というレッテルを貼ってきた批評家をインポ呼ばわりして5年間文壇を干された過去があるというのは知らなかった。
・子どもはどんな乱読をさせても、その為、品性を害されたり、性格が歪んだりすることは決してありません。漫画追放などといって、眉を逆立てるPTAのオバタリアンなどは、このことわりを知らないのだと思います。48
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今まで私が読んできた瀬戸内さんの文章は、寂聴になってからの随筆がほとんどで、ずっと彼女の小説(特に晴美時代の)を読みたいと思っていました。
発表当時センセーションを巻き起こしたという「花芯」は気になっていたのだけれど、こうして読んでみると、本当にこれがン十年も前の作品なのかとビックリします。
当時の批評では「子宮」という言葉が多用されていると書かれたそうですが、読んでいるとそんなに気にならない。というか、それがキーワードになって作品の形をなしているように思います。
ただ、私が主人公の気持ちに共感できるか?というと、うーん、まだしっくりしませんね。 -
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ネタバレ波乱の帖。
源氏の兄の朱雀院の娘である女三宮が、源氏の元に嫁いできた(こんなプレイボーイの弟に愛娘を託すなんて…)。晩年になって夫が新しい妻を迎えたことに紫の上は動転し(そりゃそうよね)、どんどん身体を壊していく。源氏は幼妻である女三宮に満足できずにいる(周囲の人はだいたいそうなると思ってたと思うよ)。
一方、かねてから女三宮に好意を寄せていた柏木は、仕方なく彼女の姉の女二宮と結婚している(かわいそうな姉…)。でも、ついに恋心を抑えきれなくなってストーカー行為の末、女三宮に子どもを宿してしまう(犯罪者!!!)。
もちろん子どもは源氏との子、ということになっているのだが、源氏も薄々事実に気