瀬戸内寂聴のレビュー一覧
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尼さん作家の瀬戸内寂聴氏と、元京セラ社長の稲盛氏の対談集。二人とも出家しており、仏教の考え方に基づき、どう世の中をよくして自分も幸せになるか、などを話している。
対談集というフォーマットは個人的にあまり好きではない。内容的に説教臭くなってしまいがちなので、二人の会話形式にして柔らかくしようという意図かと思う。
震災のとき二人は何をしたか、無念の死はどう受け止めるべきか、戦前と比べて暮らしや価値観はどうなったか、などを話題にしている。二人とも、「昔は貧しかったけれど幸せだった」と嘆いているが、戦前を知らない世代としては、あまり興味がない。
稲盛氏が京セラを引退してから、倒産したJALの会長になり、傾いた経営にテコ入れし黒字化に導いたという部分は多少興味を持って読んだ。日本経済の緩やかな回復が背景にはあると思うが、マインドが大事という話だった。 -
Posted by ブクログ
東日本大震災後に行われた瀬戸内寂聴さんと梅原猛さんの対談を1冊の本にしたもの。
ともにアラナインティーでそれなりの地位を確立された方々なので、まさに歯に衣をきせぬ対談でした。
でも、ちょっと梅原さんは思想が凝り固まってるかな…。
柔軟性で言えば女性で僧侶でもある瀬戸内さんのほうが、どんな意見もいったんは受け入れるって姿勢を感じました。
戦争を知っている世代として、原爆投下がなければ本土決戦でもっと多くの日本人が死んでいたから、被爆された方々のその犠牲を心から感謝したうえで今をしっかり誰かのために生きていきたいって瀬戸内さんが言っていたのが印象的でした。
梅原さんもさすがにいろいろと研究をされている方なので、己の私的な弁解のために本来の趣旨とは異なった「悪人正機説」を前面に打ち出した近代浄土真宗は間違っているだとか、今の政治家は己の利益ばかりを追求して天皇陛下を都合よく利用している悪人ばっかり
だとか(この対談時は民主党政権。某国の要人とムリヤリ陛下を会わせたことを言っているとみた。)なかなか言いづらいことをズバリと言っていました。
まぁ、長く生きられてきた酸いも甘いもかみ分けたお二人が、いろんな対談をして、その本の収益金を東北への義捐金にあてようとして出版された本です。
能とか源氏物語とかいろんな話が出てくるので、このお二人を知っていて、ちょっとその思想が気になる人には楽しめる1冊かもしれません。 -
Posted by ブクログ
瀬戸内寂聴さん、もちろん名前も顔も知っているけど、読むのは初めて。
1968年に書かれた作品ということで、言葉の描写で古い部分はありますが、ストーリーそのものは全く古さを感じませんでした。
「あなたにだけ」というタイトルとは相反して、登場人物は道徳観が崩れている人が多く、いかにこの台詞が当てにならないかというのを表しているかのようでした。
お若い頃は、男性作家から「子宮作家」などと揶揄されていたようですが、この本に関しては男女の性愛は描いているけど、描写自体は大人しいものなので、生まれた時代が早すぎたということなのかなと、感じました。
登場人物のうち誰ひとりとして魅力を感じなかったのが、ちょっと残念。 -
Posted by ブクログ
「あふれるもの」「夏の終わり」「みれん」「花冷え」
主人公は官僚かなにかの妻だったのだけど
終戦後の混乱のさなか、男をつくって家を飛び出してしまう
それはもしかすると
戦争に負けてなお国家によりかかる生き方しかできない
そんな亭主への失望があって
そういうことになったのかもしれないし
またそうではないかもしれない
どっちにしても、その年下の男とは長続きせず
次には売れない小説家の愛人となって、8年間をやり過ごすのだが
そこに再び、かの年下の男があらわれるのだった
…どうも主人公には
オイディプスやエレクトラに自らを擬そうとする願望があって
そのためのお膳立てを無意識におこなっているようにも思えるんだが
そんなことで周囲の人間が、望みどおりの役を演じてくれるわけはない
結果的にこれらの短編群は
再現不可能性を通じた物語批判となっており
そういう意味で
戦後自然主義のありようを非常にわかりやすく…はないものの
あらわしていると言えるだろう
「雉子」
雑誌の取材で、堕胎手術に立ち会う主人公だったが
そこにおいて彼女が発見したのは
自分こそ、娘に殺されるべき存在であるという事実ではなかったか