瀬戸内寂聴のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
寂聴が晴美だったって事くらい知っていた。なんとも情熱的な血のにおいのする小説を書いていることも当然知っていた。あの笑顔と心温まる説法の裏に、髪を剃らなければならないほどの何かがあったのであろうことも知っていた。乳飲み子を置いて年下の恋人の元に走る、それは世間では許されないこと。新聞や週刊誌そしてテレビのワイドショーの格好のエサなる恋愛沙汰。簡単に言えば 「不倫」。けれど何が彼女をその「場所」へと導いたのか。電車の中で出会った幼児に自分の子供を重ね一旦は戻った彼女を何がそこへと連れ出したのか。オンナとして妻として母として 私と彼女の違いはいったい何だったのか。笑顔の奥に隠した痛みを垣間見た気がし