瀬戸内寂聴のレビュー一覧
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・蛍‥源氏は実父のフリして玉鬘(たまかずら)の姫君(夕顔の娘)を自分のそばに置き、人にやるのは惜しくて添い寝してみたりする。そのくせ、兵部卿の宮からの恋文に返事を返せなどと焚き付け、楽しんでいる。玉鬘の姫君は源氏のことが気持ち悪くて仕方がない。わかる〜!ほんと気分悪いよね。
五月の節句に行われる左近衛府の競射の試合の様子や、長い梅雨で時間を持て余す女君たちが絵物語を読んだり写したり夢中になる様を描いている。
・常夏‥源氏が自分の娘を探し出し連れ帰って育てていると聞き、息子の一人、柏木の中将が探し出してきた娘らしき人(近江の姫君)を育てることにした。ところがこの姫君、早口でガサツ、品もなく学もない。女房たちや兄弟からも馬鹿にされている。仕方なく弘徽殿(こきでん)の女御の側に付けることにした。
源氏が玉鬘の姫君に寄せる思いは相変わらず。いっそ誰かと結婚させて男女の情を学んでもらえば、こちらも痛々しがらずに思う存分忍び逢うことができるだろう、などと思いつくのも本当に怪しからぬお心です。と読み人も語っている。
ひとつ疑問。夕霧の中将のところに遊びに来た内大臣の子息達に氷入りの水をふるまう場面がある。冷凍庫のない平安時代の真夏に氷はどのように作ったのでしょう?
・篝火‥秋、玉鬘の姫君の部屋で過ごすひととき。夕霧の中将が住む東の対から笛と箏の音色が聞こえてきた。そこで源氏は和琴を取り出し弾き始める。秋の夜長に美しい音色が響き渡る。
・野分‥秋の突風。美しい六条の院の庭も大荒れに荒れる。源氏は例によってこまめに各部屋へ安否確認の声をかけて回る。あまりに風が強いので、普段は隠れている女君の部屋も今は屏風が畳まれ丸見えになっている。夕霧の中将はこっそり紫の上の姿を盗み見て、その美しさに圧倒される。また、玉鬘の姫君と源氏の不自然なたたずまいも見てしまい、親子なのにといぶかしく思う。たまたま見かけた明石の姫君も愛らしく、夕霧はこの三人の姫君を「紫の上を桜、玉鬘の姫君を山吹とすれば、明石の姫君は藤の花とでも言おうか」と表現する。
・行幸‥十二月、大原野(神社)へ行幸の儀。その席で玉鬘は帝の姿を見る。その神々しさに感動し、源氏から勧められても気乗りのしなかった宮仕えを前向きに考えるようになった。姫君もそろそろ裳着の儀式の年齢。源氏は内大臣(頭の中将)に真実(実は玉鬘は内大臣の娘である)を伝える良い機会かと、腰紐を結ぶ役目をお願いする。一度は大宮(内大臣の母、源氏の義母、夕霧の祖母)の病気を理由に断られたが、源氏は今しかないと考え、大宮を訪ねて真実を打ち明け、内大臣を呼び出してもらい話をする。内大臣は驚きながらも、夕霧と娘(雲居の雁の姫君)の結婚話ではなかったのかと少々当てが外れた。
さて裳着式当日、実父と娘のご対面‥だけど、この感動的な場面はあまり詳しく書かれていない。どころか父親は娘の顔をはっきり見せてもらえなかったようだ。‥まったく、宮中というところはまどろっこしい。親兄妹でもまともに顔を見て話もしないんだわ。ただ、姫君に思いを寄せていた長男の柏木の中将、次男の弁の君は、相手が実の姉だと知りがっかりする。
・藤袴‥あの大宮(紫の上や内大臣の母、夕霧、雲居の雁の姫君、玉鬘の姫君の祖母)が逝去した。玉鬘は尚侍として宮仕えすることも気が進まず、かと言ってこのまま六条の院にいても、源氏は内大臣が実父と認めた途端、大胆になってますます言い寄ってくるし、息子の夕霧までもが口説きにくる。面倒なことばかりでどうしたらいいかわからない。
・真木柱‥いつのまに‥髭黒の大将は無理矢理玉鬘の姫君を自分のものにし、結婚することになってしまった。玉鬘姫は嫌で嫌で仕方がない。源氏をはじめ、思いを寄せていた男宮たちはがっかり。そもそも髭黒大将は既婚者なのだ。正妻北の方は元々大人しい性格だが、嫉妬に狂い暴れ出す。気の毒に思った北の方の父(式部卿の宮、葵の上の父でもある)は里に連れ帰ってしまった。源氏は玉鬘姫を手放したくなくて、宮仕えを勧め、「男踏歌おとことうか」のお手伝いにかこつけて宮中におくりこむ。案の定、帝は玉鬘姫に一目惚れ。口説きにかかるが、身持ちの固い姫は躊躇する。気が気でない髭黒は催事の途中で姫を家に連れ帰ってしまう。そうこうするうちに姫君妊娠、男児を出産する。実父内大臣は「帝の子ならどんなに良かったか」と残念がる。
・梅枝‥明石の姫君の裳着の儀(成人式)を行うことになった。その後は入内(宮中入り)することも決まり、腰結いの役目は秋好む中宮にお願いしている。六条の院では薫物(たきもの、香の調合)を始めた。いつのまにやら源氏と紫の上の薫物競争。そこに明石の宮も加わって、何やら楽しそう。柏木の中将や弁の少将が、ご記帳だけで退出しようとするのを引き止めて、今度は琵琶、箏、和琴、横笛それに謡も入り大合奏。お酒も飲んで明け方まで賑やかに過ごした。
東宮も元服の時が来て、身分の高い宮様たちは、自分の姫君を入内させようとざわつき始めた。その中でも明石の姫君のご入内がメインイベント。支度の調度品を調べている間に草紙の書にはまり、思いはあれこれ兵部卿の宮も巻き込みひとくさりあり。
一方、内大臣は娘、雲居の雁の姫君と夕霧の仲を割いてしまったことを今頃になって後悔し始める。
・藤裏葉‥若い二人を認める機会を作ろうと内大臣は夕霧を邸に呼んでもてなす。すっかりご馳走になり酔っ払った夕霧は邸で一泊することになった。そこで案内されたのが雲居の雁姫の寝室‥平安時代の高貴な方々の恋愛事情ってどうなってるんですかね。ずっと想い続けた愛しい人にやっと会えた‥しかしそれは、いきなり暗い床(とこ)の中って。恥ずかしすぎるじゃないのっ。‥何はともあれ二人は結婚。
明石の姫君も入内の日が4月に決まり、付き添い役には源氏の計らいで生母明石の君が選ばれた。幼い頃に紫の上に引き取られて十年近く、会うこともかなわなかった親子がご対面。感動のシーンだが、物語はさらりと進む。
その秋、源氏は準太上大臣天皇に任命され、内大臣は太政大臣に、夕霧は中納言に昇格した。しかし源氏は、明石姫を入内させ、夕霧も結婚したことだし、自分はそろそろ出家してもいいかと考え始める。源氏39歳、紫の上31歳、明石の君30歳、夕霧18歳、雲居雁20歳、明石の姫君11歳。 -
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・薄雲‥明石の君の姫君は可愛くすくすくと育つが、日陰の身ではやはり可哀想。ということで、二条院で引き取ることにした。大堰の寂しい地で明石の君は娘との仲を引き裂かれ、ますます寂しい思いをする。
その頃、太政大臣(旧左大臣)が亡くなり、立て続けに藤壺の尼宮も亡くなる。帝がたいそう心細い思いをしているところに、宮家お抱えの僧都(そうず)が帝の出生の秘密を明かしてしまう。
前斎宮の女御(六条御息所の娘)は入内した後、帝の良いお守り役になっているが、光源氏は恋心を隠せない。御息所との約束も忘れて口説きにかかる。が、斎宮にしてみれば気持ち悪くて仕方がない。わかる〜。
・朝顔‥光源氏から熱心に求愛されながらも、一度もなびかず肉体関係も持たなかった姫君。源氏のいとこにあたり、父は桃園式部卿宮。父が亡くなってからは斎宮の任務を解かれ、叔母女五の宮(桐壺帝の妹)の家に住む。
・乙女‥葵の上の息子、夕霧の若君の元服が三条で行われた。源氏は息子に対して厳しく、いきなり高い位につけるのは良くないと六位に付け、大学院の寮に入れて学問させた。
さて、宮中ではそろそろ冷泉帝のお后を決める時期。弘徽殿(こきでん)の女御(頭の中将、((今は右大将から内大臣に昇格))の娘)や、兵部卿の宮(紫の上の父、今は式部卿の宮)の娘など候補はいたが、結局源氏(今は太政大臣)の推薦で前斎宮の女御(梅壺の中宮、六条御息所の娘)が后になった。
内大臣(頭の中将)にはもう一人娘(雲居の雁の姫君)がいる。それを引き取り祖母の大宮に預けていた。大宮のところには夕霧の若君が住んでおり、二人は幼い頃から仲良く遊んでいた。が、いつの間にか二人の間に恋心が芽生え、それを知った内大臣は弘徽殿の女御と共に娘を里へ連れ帰ってしまう。夕霧は寂しさから新嘗祭で身染めた五節の舞姫(惟光の娘)に気持ちを寄せる。
源氏の新しい計画として、六条京極の土地に新邸を造り、四町に分けて、西南は梅壺の中宮、東南は源氏と紫の上、東北は花散里と夕霧、西北は明石の君を住まわせることにした。
・玉鬘‥さて今回はあの夕顔の娘の登場です。夕顔のおさらい→頭の中将の愛人であった夕顔は源氏に無理矢理連れ出され、一夜を共にしたその夜突然亡くなってしまう。
娘とお付きの女房たちは夕顔が亡くなったことも知らず、行方不明のまま年月が過ぎ、乳母の夫が太宰(筑紫)赴任になったことので、身寄りのない姫君を連れて行くことにした。筑紫の地で適齢期を迎え、地元の有力武士から嫁にと申し出があったりしたが、乳母の夫も亡くなり心細さから京都に戻る決心をする。その道中偶然にも昔夕顔に仕えていた右近と出会い、源氏に引き合わせることとなった。長年気に掛かっていた夕顔の姫君となれば引き取らないわけにはいかない。六条京極に呼び寄せ、花散里にお世話係をお願いした。
・初音‥とあるお正月の行事と様子を描いた帖。源氏はまず六条の邸に住む女たちを一人一人訪ねて丁寧に挨拶をする。それぞれの部屋では女達が着飾り、趣向を凝らした部屋作りをしている。数日後には二条の末摘花と空蝉の部屋。お正月半ばには男踏歌の儀式も始まり、優雅に、豪華に、ゆったりと新しい年が始まる。
⭐︎六条に住む女君→紫の上(正妻)、明石の君、花散里、玉鬘(たまかずら)の姫君、明石の君の姫君、梅壺の中宮(弘徽殿の女御)
⭐︎二条に住む女君→末摘花、空蝉(出家中)
⭐︎ちなみに今まで関わった女君→藤壺(出家→死亡), 葵の上(元正妻、死亡), 六条御息所(出家→死亡), 朝顔(失恋), 夕顔(不慮の死亡), 朧月夜(朱雀帝の妻の一人、不貞が見つかり須磨に流されるきっかけになる),
⭐︎ちなみにまだ若い夕霧が恋した女君→ 雲居の雁の姫君(頭の中将の娘), 五節の舞姫(惟光の娘)
・胡蝶‥玉鬘の姫君が六条の邸に引き取られてから、大層な美人がいると評判を呼び、兵部卿の宮、髭黒の右大将、そして実の兄妹と知らずに思いを寄せる柏木の中将など言いよる男が引きも切らない。最初はニタニタ喜んでいた養父役の源氏は可愛さが恋心に変わり、ついに告白してしまう。やれやれ、もういいおっさんなのに。光源氏36歳。 -
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・須磨‥ 弘徽殿(こきでん)の 朧月夜、尚侍(ないしのかみ、朱雀帝の妻のひとり)との関係がバレてしまい、自ら責任をとって単身須磨へおちる。出発までに関係のあった女にはこまめに挨拶。紫の上、藤壺の中宮、問題の朧月夜、亡き葵の上の邸で若宮と義父に会い、花散里にまで‥よくよくマメな男だ。
わずかなお供とともに須磨での侘しい生活が始まる。三位の中将(元 頭の中将)が遊びに来たりして、寂しさが一層増す。そんな中、明石に住む入道が自分の娘を光源氏の妻の一人にと画策し始める。
・明石‥須磨に雷を伴う台風がやってきた。母屋は潰れてしまい心細い。そんなところへ明石の入道(播磨守、明石で出家)登場。天からのお告げがあってやって来たとのたまう。明石の邸に源氏を招いて、挙句の果てには自分の娘を勧める。自分は流刑の身だからと初めは躊躇するもそこは光源氏、実は興味深々。きちんと口説いて自分のものにする。さすが!
しかも子供まで作っちゃった。
その頃京の都でも台風に見舞われ、何か不吉なことが起こる気配がする。そんな時帝の夢枕に先帝が現れ、源氏を都に戻せと告げた。太政大臣が亡くなったり、弘徽殿の女御が病に臥せったり、帝も目を患ったりしてろくなことがないので、これは無実のあの方が都を追われてるからだと解釈し、呼び戻すことにした。(無実ではないはず。自分の女を寝取られたではないか。しかも源氏自身も自分は無実だと思ってるところがおかしい)
呼び戻された光源氏の身分は定員外の権大納言。明石にいた時は紫の上を不憫に思い、今日は帰れば明石の君が忘れられない。ほんに気持ちの休まることがない。
・澪標‥この帖は何かと慌ただしい。東宮(亡き桐壺院と藤壺の息子、実は源氏の子)が元服。朱雀帝が譲位を決め、東宮が帝になり、新東宮には承香殿の女御の皇子がたつ。光源氏は内大臣に。摂政の役は舅の左大臣に譲る。左大臣は摂政&太政大臣になる。そして元の頭の中将は権中納言に。二条院に活気が戻る。源氏は二条院の東隣にある御殿を改築し、花散里や明石の君を呼び寄せることを真剣に考える。ついに明石の君は女の子を出産。田舎での出産を不憫に思った源氏は乳母と数名の女房を明石に送る。兵部卿の宮(紫の上の父、藤壺の尼宮の兄)とは折り合いが悪く、天下は太政大臣(元左大臣)と源氏のものになる。
さて、伊勢に行っていた六条院親子、斎宮は御代替わりで任務を終え親子共々京都へ戻って来た。しかし御息所(母)は重い病気にかかり、出家してしまう。死の間際、源氏に斎宮の面倒を見てくれと源氏に頼む。もちろんきっちりと「手は出すなよ」と念押しして。御息所の死後、遺言を守るべく、源氏は二条院へ斎宮をお迎えする。
この帖で突如源氏の心に登場する五節の女君って誰?
「ああ、どの人もそれぞれに捨てがたい好さを持っていることよ。これだから、かえってわたしも苦労するのさ」‥ですって。
・蓬生‥今回登場するのはあの末摘花、赤鼻の姫君です。
光源氏が須磨へ行ってしまい、すっかり忘れられた存在。家は荒れ果て、蓬の木が家を覆うほど鬱蒼と生い茂り、生活もつましく、父の常陸宮の遺品などを売って生計を立てている。そんな彼女を小馬鹿にしている叔母(宮様から今は受領の妻に落ちぶれているが、夫が太宰府の大弐になる)が、九州に移動するにあたり、末摘花の君をはじめ、みめよい女房を連れて行こうと算段する。が、末摘花姫は承知しない。仕方がないので、姫の侍従たちを連れて行ってしまった。ますます寂しい蓬の邸。そこへ待ちに待った光源氏参上。「今までほっといてごめんね。忘れてたわけではないんだよ」とばかりに世話をやきはじめる。ついには二条院の東御殿に迎え入れる。まさか源氏が戻ってくるとは思わなかった叔母と侍従は悔しがったことでしょう。
・関屋‥夫に付いて常陸国に下っていた空蝉。任務を終えて京都へ戻って来たが、まもなく夫は死亡。母の面倒を見るようにと息子たちに言い置いて亡くなったが、なんせ後妻の継母。息子たちはつれない。そんな中、河内の守は好色な野心から継母に優しくする。本心を知った空蝉は出家してしまう。
・絵合‥冷泉帝(亡き桐壺院の第十皇子、実は源氏と藤壺との不義の子)の妻候補として斎宮(六条御息所の娘)と弘徽殿(こきでん)の女御(権中納言つまり頭の中将の娘)が入内した。当人よりも親たちは帝に気に入ってもらおうと必死。帝は絵がお好きと聞いて、光源氏と権中納言は各方面から絵を集め、絵画合戦が始まった。ついには左チーム(源氏)と右チームに分かれて対抗戦を行い、最終的には源氏が描いた明石の風景画が皆の涙を誘い、勝利した。そんなことやっても結局帝は弘徽殿の女御の方がお気に入りなんですよね。ちなみに冷泉帝13歳。斎宮の女御は22歳。弘徽殿の女御は12歳で入内している。
・松風‥光源氏は二条院の東に御殿を造り花散里を住まわせる。さて明石の君もとなったのだが、宮様方の中に田舎者が入っても苦労するだろうと心配した父親が、嵯峨の大堰川に新しく家を建てて明石の君と妻を住まわせることにした。源氏は時々大堰に通うことになった。 -
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・末摘花‥常陸の宮の姫君。宮様が亡くなってからは琴を友にしてひっそりと暮らしていたところ、その話を聞いた光源氏は興味を持ち始める、何度も歌を送りアプローチをするが手応えがなく、強引に会って顔を見たところ末摘花(紅花)のように鼻の先が赤く下に垂れ下がっている。不器量なだけでなく、詠む歌も無粋でやることも不躾。がっかりするが、そこは光源氏。可哀想でほっとけないと思うのである。
・紅葉賀‥源の典侍(ないしのすけ)、年配(50代半ば)の色好みの高級女官。光源氏も時々ちょっかいをかける。典侍と交渉に至ったある夜、いたずら心を起こした悪友の頭の中将が二人の寝屋に忍び込む。慌てた源氏は裸同然で飛び出す。典侍も「あなた、あなた」と大慌て。若い二人、それも飛び切りいい男No.1のNo.2に挟まれて、おばちゃんさぞやいい気分だったでしょう。
この章で、源氏は頭の中将と共に紅葉の下で見事な青海波の舞を踊る。源氏は正三位、頭の中将は正四位下に昇格する。次の年7月に藤壺の宮は中宮(皇后)に、源氏は宰相になる。藤壺が産んだ若宮は東宮になる約束をもらえたわけだが、あまりにもお顔が源氏に似ていて二人とも複雑な気持ち。(帝は自分の子だと信じている)
・花宴‥愛しい藤壺の宮に会えないかとウロウロ探しているうちに、敵対する弘徽殿(こきでん)に入り込み、そこで朧月夜の女に出会い一夜を共にする。右大臣の何番目の娘かもわからない。わからないながらも会いたさが募る。(朧月夜は右大臣の六女)
・葵‥ 桐壺帝が譲位をし、弘徽殿の女御(こきでんのにょご)が産んだ皇子が帝(朱雀帝)となると、右大臣家が権勢を強めた。肩身が狭くなった葵の上は出産間近にして亡くなってしまう。亡くなる直前、葵の上に「六条御息所(みやすどころ)(光源氏の兄嫁)」が生き霊として取り憑いていた。葵の上は亡くなったが源氏そっくりの若宮は生き残った。
一方、二条に連れ帰り娘のように大切に育ててきた紫の上とついに体の関係を結ぶ。紫の上は裏切られた気分で源氏を避けるようになる。
・賢木‥娘が斎宮(天皇の代わりに伊勢神宮に仕える。未婚の皇女が選ばれる)に選ばれ、六条の御息所は娘に付いて伊勢に下る決意をする。いなくなるとなれば源氏の心は乱れる。
その頃桐壺院が病死。弘徽殿の太后(現帝の母)が勢力を持ち始め、頭の中将や源氏は行動を慎むようになる。藤壺の中宮は、次期帝になる若宮のことは気になるが、言い寄ってくる源氏への複雑な思いから出家することにした。
朧月夜は尚侍(ないしのかみ)に。尚侍(かん)の君となり、お里がちの弘徽殿の大后の部屋に住むようになる。
葵の上が亡くなり、六条の御息所は伊勢へ。藤壺の中宮は出家、朝顔も賀茂の斎院となり神に仕える身に。‥となると源氏のお相手は紫の上と朧月夜。帝の寵愛を受け、敵対する右大臣の六女、愛を育むには障害が多すぎる。しかしそこは光源氏。困難な恋路ほど燃え上がるのだ。万難排して会いに行き逢瀬を重ねるが、ある日とうとう右大臣に見つかってしまう。右大臣はそれを大后に告げ口‥さてどうなることか。
・花散里‥ 弘徽殿(こきでん)の女御(桐壺帝の女御の一人)の妹の三の君。昔関係を持ったことがある。一度関係を持った女は礼儀としてずっと気にかけるのが光源氏。三の君のところに出かける途中、見覚えのある邸が‥。そこも昔通った女の家だったのだ。その女に会ってから三の君に会いに行く。光源氏25歳。 -
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・桐壺‥光源氏の父、桐壺帝は源氏の母、桐壺の更衣を寵愛していたが死去。後に迎えたのが藤壺。光源氏は藤壺に恋をする。
・箒木‥元服と同時に左大臣の娘と結婚する。が、それは形ばかりの結婚、左大臣の屋敷に行くと見せかけ他の女の元に通う。それが中流家庭の受領、紀伊の守(おっさん)の妻だ。一度は体を重ねるがその後は拒否され、彼女の弟を手なづけて口説く。
・空蝉‥紀伊の守の妻に会いたくて、彼女の弟(小君)の誘導で会いに行くが、闇夜のことでなんと間違えて他の女の寝屋に潜り込んでしまう。それでもそこは光源氏、その女のことも口説き始める。
・夕顔‥六条に住む恋人のところに通ううち、ちらりと見かけた五条の女のことが気になり始め口説きにかかる。どこの誰ともわからぬまま家から連れ出したところ、連れ出した先で女は死んでしまう。(この時代の人たちはちょっとしたことですぐ死んでしまう)
・若紫‥マラリアを患った光源氏は北山のお寺に住む祈祷師を訪ねていく。そのお寺には10歳ぐらいの可愛い女の子がいる。母親を亡くし、父親は離れて暮らしているので尼君が育てている。聞けば父親は兵部卿の宮、そして母親はあの愛しい藤壺の姉妹だという。これはもう源氏の食指が動かないわけがない。なんとかして手に入れたいと思っているうちに尼君が亡くなる。それで父親が娘を引き取りに来る前にと強引に二条の自分の屋敷に連れ去ってしまうのだ。将来的には源氏の良き伴侶となるこの若紫。当時はまだ子供で、いきなり知らないおっさんが添い寝してこられても気持ち悪いだけでしょう。当時光源氏17歳。この章で、藤壺ともすでに交渉があって子供も儲けていたと判明する。なんという好きもの!身分の高さと生まれ持った顔の良さに乗じてやりたい放題。ほんとやだ、こんな男。 -
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寂聴源氏2巻です。「末摘花」から「花散里」まで、6帖を収録。
寂聴さんの訳文は丁寧で上品で、この『源氏物語』の世界観にぴったりなのですが、角田源氏を読んでしまった私は、この文章ですらもたつきを感じるようになってしまいました。
巻一と同様、巻末に「源氏のしおり(訳者解説)」と、「系図」、「語句解釈」があります。「源氏のしおり」では今回も寂聴さん自身の言葉で歯切れ良く解説がなされていて、これがやっぱりおもしろい。本文のやわらかな文体からは、解説にあるような緊張感や迫力や激しさは味わいきれてなかったなぁ。
あとちょっと気になったのが、「〜につけても」。大塚源氏の訳文にこの表現が多すぎると感想に書きましたが、この寂聴訳でもけっこう使われていました。1巻ではたまに出てくるくらいでしたが、2巻ではちょくちょく登場。1ページに2回使われていることも。自分ではほとんど使わないせいか、どうも気になってしまいます。
内容については角田源氏の感想に書いていきたいので、ここでは、寂聴訳、大塚訳、角田訳のそれぞれの特徴がよく出ているなと思った箇所を書いておきます。「末摘花」の冒頭です。
[原文]
思へどもなほ飽かざりし夕顔の露に後れし心地を、年月経れど、思し忘れず、ここもかしこも、うちとけぬ限りの、気色ばみ心深きかたの御いどましさに、け近くうちとけたりしあはれに、似るものなう恋しく思ほえたまふ。
[寂聴訳]
愛しても愛しても、なお愛したりない思いのしたあの夕顔の君に、花に置く露よりもはかなく先立たれてしまった時の悲しさを、源氏の君はあれから歳月の過ぎた今もなお、お忘れになれないのでした。
あちらの方もこちらの方も、女君たちは心を鎧い、気取った様子で、お互い思慮の深さでも競いあっていられるのを御覧になりますと、なおさら親しみやすくすべてを任せきっていたあの人のたぐいないなつかしさと愛らしさを、源氏の君は恋しくお思い出しになられるのでした。
[大塚訳]
いくら思ってもなお尽きなかった〝夕顔の露〟に死なれた悲しみを、年月が経っても忘れずに、どこもかしこも気づまりな人たちばかりで、気取ったり、思慮深さを張り合ったりしているので、親しみやすく打ち解けていたあの人がしみじみ愛しくて、
「似ている人もいないものだ」と恋しく思われます。
[角田訳]
いくら思いを寄せても、なお飽きることのなかったあの人が、夕顔の露のようにはかなく消えてしまった悲しみを、月日がたっても光君は忘れることができないでいた。あの女もこの女も、心を開いてくれない人たちばかりで、気取り澄まして、たしなみの深さを競っているような有様だ。彼女たちとはちがい、心を開いて自分を信じ切ってくれたあの人の愛らしさを、光君は恋しく思うのである。
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京都駅祇園のお茶屋竹之家を中心に、東京に住む京都に魅せられた女性たちや芸妓舞妓さんの恋や生き方を京都の四季と共に描いた作品。
昭和の祇園の内情があれこれわかって、とても興味深かったです。
男性も女性も登場人物が多く、突然過去の回想が始まったりもするので、「この人は誰だったっけ?」とわからなくなったり、独特の言葉の意味がわからなかったりしました。
京都の四季折々の風習や景色、昭和の人々の感覚や感情、現実離れしたかんじの祇園という世界。
晴れている日の場面でも、終始薄曇りで湿り気を感じさせる作品でした。
なんとなく昔谷崎潤一郎の「細雪」を読んでいた時の感覚と似てるなぁと思いました。 -
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美輪明宏さんと瀬戸内寂聴さんの対談。
内容は、寂聴さんが天台寺のご住職になる際に美輪さんが霊視された、天台寺と寂聴さんの御縁の話から始まり、スピリチュアル論、教育論、宗教論、そしてメインに三島由紀夫や文豪たちとの交流の思い出、現代日本を憂える言葉、など。
まず、美輪さんの言葉が美しい。
「◯◯なさいまし」「◯◯あそばせ」なんて、私、使ったことないです。普通の話し言葉も整っていてそれでいて堅苦しくはない。普段から本当にこういう話し方が身についていらっしゃるんだなと感心しながら読みました。
寂聴さんのはもう少し砕けた話し言葉だけど、ただおしゃべりしてる訳じゃなく、ちゃんと語っていらっしゃる。寂聴さんの法話は面白楽しいことで有名でしたが、さもありなん。
最後の方にお二人が、今の日本を憂えて「私たちは大変だけど良い時代を生きた」と言い合う場面がありましたが、私が普段から感じていることでもあり、かと言って自分から何か行動をしているわけでもなく、心苦しさでぎゅうっとなりました。
そりゃ昔の人だって全員が美輪さんみたいに美しく生きちゃいなかったろうけど、品とか芯とか粋とか意地とか、ほんとどこに置いてきちゃったんでしょうね。
…ニュースやネット、有名無名のSNS見てると、そういうのは日本だけじゃなくて世界全体そうなっちゃってるなって思いますけど。
読み終えて、なんかこう、心を改めて背中に一本、芯を通して生きていかなきゃならんなぁ、と思いました。
それにしても、三島由紀夫や川端康成、大江健三郎と同じ時代を生きた人たちなんですね…人は歴史の中で生きてるんだな、としみじみ実感。 -
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表紙がとても綺麗で手に取りました。
二十四節気は知っていても、それをさらに三等分した七十二候は知らない人が多いのでは?
わたしも今回初めて知りました。
雉始雊(きじはじめてなく)というように、動詞で示されているのが、分かりやすい。
どれも現代人にも理解できるもので、時代が変わっても季節の移ろいは変わらないものだなと思います。
この本では、二十四節気の春夏部分を抜き出し、また、各節気の真ん中の七十二候をタイトルに各自が短編をお書きになっています。
思えば、短い作品は触れてこなかったので、どれも不思議な余韻を残す終わり方で、こちらの想像力や読解力を掻き立てるなぁと短編の面白みを初めて知りました。