あらすじ
岩手県・天台寺の名誉住職である瀬戸内寂聴と、宮城県出身で日本を代表する哲学者・梅原猛が緊急対談! 東日本大震災後、日本人がこの難局を乗り越え、希望を見いだすために語り合う。
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Posted by ブクログ
お二人の対談が多岐に渡るものであり、非常に興味深く読むことができました。片方では飾らない、ざっくばらんな生きかたであり、もう片方は、信念を貫く生きかたをされているお二人のお話しに惹きこまれます。お二人のこれまでの生きかた、東日本大震災を経験した後の生きかた、考えさせられます。
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東日本大震災後に行われた瀬戸内寂聴さんと梅原猛さんの対談を1冊の本にしたもの。
ともにアラナインティーでそれなりの地位を確立された方々なので、まさに歯に衣をきせぬ対談でした。
でも、ちょっと梅原さんは思想が凝り固まってるかな…。
柔軟性で言えば女性で僧侶でもある瀬戸内さんのほうが、どんな意見もいったんは受け入れるって姿勢を感じました。
戦争を知っている世代として、原爆投下がなければ本土決戦でもっと多くの日本人が死んでいたから、被爆された方々のその犠牲を心から感謝したうえで今をしっかり誰かのために生きていきたいって瀬戸内さんが言っていたのが印象的でした。
梅原さんもさすがにいろいろと研究をされている方なので、己の私的な弁解のために本来の趣旨とは異なった「悪人正機説」を前面に打ち出した近代浄土真宗は間違っているだとか、今の政治家は己の利益ばかりを追求して天皇陛下を都合よく利用している悪人ばっかり
だとか(この対談時は民主党政権。某国の要人とムリヤリ陛下を会わせたことを言っているとみた。)なかなか言いづらいことをズバリと言っていました。
まぁ、長く生きられてきた酸いも甘いもかみ分けたお二人が、いろんな対談をして、その本の収益金を東北への義捐金にあてようとして出版された本です。
能とか源氏物語とかいろんな話が出てくるので、このお二人を知っていて、ちょっとその思想が気になる人には楽しめる1冊かもしれません。
Posted by ブクログ
東日本大震災後におこなわれた対談です。このとき、寂聴が89歳、梅原が86歳だそうです。寂聴は、壮絶な恋愛の末に出家するという経歴をもつ作家であり、他方梅原は、日本古代史の分野で大胆な仮説を次々と提示し、さらにはスーパーカブキの原作をも手がけるという異端の思想家です。
人生の酸いも甘いも噛み分けた二人の対談なので、東日本大震災後の日本人へのメッセージといっても、日本の文化全般にまで話は進んでいきます。仏教の自利利他の考えかたや、『源氏物語』から、日本人の精神について説き起こすといった内容になっています。もっともそのぶん、震災から話が離れてしまっているのではないかという疑問も生じますが。