あらすじ
世界最古の大恋愛小説のストーリーを追いながら、個性あふれる王朝の女性たちのキャラクターを分析した、源氏物語の入門書。
1997年4月から6月の3カ月間、NHK教育テレビ「人間大学」で「源氏物語の女性たち」という番組を書籍化した作品です。この番組は寂聴さんが毎回、源氏物語ゆかりの地に出かけていき、語るという内容。作者の紫式部をはじめ、光源氏が最も愛した紫の上、男を虜にした魔性の女・夕顔、誇り高くインテリ女性・六条御息所、情熱的で官能的な朧月夜など、光源氏を取り巻く女たちをわかりやすく解説しています。
「紫式部は仏教に帰依してもなお物語を書きつづけたことで、救われていたのではないでしょうか。『源氏物語』の底には、女人成仏の悲願がかく流れているように私には思われてなりません」
といった具合に、寂聴さん独自の見解が満載です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
男が好きなのは夕顔、苦手なのは六条御息所に深く納得。
とても面白かった。一通りは知ってるつもりなんですけど、夕顔の娼婦性とか全然考えたこともなかったです。
寂聴先生ならではの仏教観や作家から見た時紫式部もとても興味深い。
「女が恋物語を好きなのは、成就した恋のハッピーエンドに拍手するのではなく、恋に心が傷つき血を流す哀しさと美しさに感動するからです」
ここに深く感動しました。
光源氏はいわゆる狂言回しで本当に書きたかったのは女たちというのは、本当にそうだと思います。
久しぶりにざっくり読み返す時の手引きとかにおすすめです。
Posted by ブクログ
寂聴さんが、光源氏の相手となる女性に焦点を当てて、やさしく解説してくれる。今から約千年前の平安時代に、良く練られた長編小説が著されていたことは世界に誇れるだろう。当時の貴人の性生活を描く大人の小説のため、現代の小説や映画にリメイクされると、源氏のプレイボーイ振りが強調される。しかし、実在した女君たちでさえ「○○のむすめ」のように名前が残り伝えられない時代の女性たちが、源氏を相手にした時の強さ、潔さを本書で知ることができた。古文は苦手なので、現代語訳で読みたい。
Posted by ブクログ
源氏物語、ちゃんと読もうか読むまいか
いつも迷いつつ、読まずにここまで来ました。
この本を読んで、少し興味が湧いて来ました。
源氏=平安期の超プレイボーイで、その恋愛模様が
描かれているだけといった認識でしたが、そうでは
ないんですね。源氏その人にも浮き沈みがあったり、
関わる女性陣の個性的なこと。。なんだか読まなかった日々が勿体無かったかもと思われてしきました。
入門書として、良い作品と思いました。