P+D BOOKS作品一覧

  • P+D BOOKS 公園には誰もいない・密室の惨劇
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    1巻660円 (税込)
    美人シャンソン歌手の失踪に挑む本格推理。 若き美人シャンソン歌手・伶子が忽然と姿を消した。その行方を追っていた私立探偵・真木が軽井沢の別荘で発見したのは、絞殺された彼女の死体だった。 事件の背後に潜む真相を解き明かしたい真木は執拗に追及を続ける。友人、家族、仕事仲間……、次第に浮かび上がる歪んだ人間関係。 隠蔽されていた人間の本質を緊迫感みなぎる筆致で描いた本格推理長編「公園には誰もいない」と、単行本未収録の小編「密室の惨劇」をカップリング。 日本ハードボイルド小説の旗手・結城昌治の豪華2編を収録!
  • P+D BOOKS われら戦友たち
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    1巻715円 (税込)
    名著「されどわれらが日々」に続く青春小説。 1964年の第51回芥川賞受賞作で、当時、一大センセーションを巻き起こした『されど われらが日々――』。 その続編ともいえる本作では、その時代の新左翼運動にかかわった血気盛んな青年男女の機微を、ダンスパーティーの現金紛失事件とからめてミステリー仕立てで描いている。 登場人物がそれぞれの視点で世界を見つめ、それが一つに収斂されることなく多様性に開かれたまま放置されている点は、『されど われらが日々――』とは対称的な位置づけにある作品といえる。
  • P+D BOOKS 夢の浮橋
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    若い男女とその両親たちの“夫婦交換遊戯”。 大学で知り合い愛し合うようになった一組の若い男女。だが、期せずして自分たちの両親が、夫婦交換遊戯を長年にわたって続けてきたことに気づいてしまう。 結婚を夢見る男女と、一方で両親たちが繰り広げる艶麗な恋愛譚を通じ、生涯“物語文学”を追求し続けた倉橋由美子が、古代神話、源氏物語等の系譜を織り込んだ意欲作。倉橋文学後期を代表する「桂子さんシリーズ」の第一弾である。解説は倉橋文学研究の第一人者である古屋美登里氏。
  • P+D BOOKS 眞晝の海への旅
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    1巻715円 (税込)
    帆船という“劇場”で巻き起こる人間ドラマ。 海を愛する若者が生の歓びを求め、ブリガンティン型帆船<大いなる(グローセル・)眞晝(ミッタ-タ)>号に乗り込んで船出をする。 「無一物主義」という哲学思想をもつベルナールを船長に、フランソワ、ターナー、ケイン、女性のファビアン、そして日本人の私など11人のクルーは、ヨーロッパから日本を経由して、一路、太平洋へと航海を続ける。 やがて、南太平洋に入ると、荒れ狂う颶風(ぐふう)圏に突入していく中、嵐のさなかに恐るべき事件が起きてしまう。帆船の船内は、さながら芝居の劇場のように複雑な人間関係が入り組んで、それは悲劇への序章にふさわしい舞台だった。 辻作品らしい“詩とロマンの薫り”に満ち溢れた長編小説。
  • P+D BOOKS 快楽 上・下巻 合本版
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    1巻1,430円 (税込)
    待望の上・下巻合本版!! 若き仏教僧の懊悩を描いた筆者の自伝的巨編。 恥ずかしがりのくせに強がりな十九歳の仏教僧・柳。 大東亜戦争へと向かう昭和10年頃の騒然とした時代を背景に、性と政治と宗教という相容れないテーマに心と身体を悩ます若き仏教僧の悲喜こもごもを描いた長編小説。 寺の子として生まれ育った武田泰淳の自伝的な大作であり、筆者の病気により未完にも拘わらず第5回日本文学大賞を受賞した“第一次戦後派作家の巨人”の代表作の一つでもある。
  • P+D BOOKS 決戦の時 上・下巻 合本版
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    待望の上・下巻合本版!! 知られざる織田信長「若き日の戦いと恋情」。 「神も仏も、己の他に何も信じぬ。余は魔王になる!」18歳の若き織田信長は、自らをうつけ者と断じ、棟梁と認めない叔父、そして弟を謀殺する。 その一方で、やがて尾張を巡る攻防でしのぎを削ることになるであろう今川、斎藤との勝算のない決戦に命を賭して挑む。 若き日の信長の知られざる苦境や孤独と、唯一無二、信長が心を許した年上の恋人・吉乃(きつの)との恋情、交情の日々を初めて詳細に描いた、筆者渾身の歴史長篇。 吉乃の実家・前野家の文書「武功夜話」をベースに、戦国時代のヒーロー織田信長の知られざる一面が描かれている。
  • P+D BOOKS 江戸散歩 上・下巻 合本版
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    待望の上・下巻合本版!! 落語家の“心のふるさと”江戸を圓生が語る。 持ち噺の多彩さで史上最高といわれた六代目・三遊亭圓生にとって、江戸は“心のふるさと”である。 お洒落で、美味好きで、好色で、意気と芸を何より重んじた町・江戸。落語の世界と圓生自身の思い出に残る“江戸”を訪ねて、そこに残る「路地の暮らし」を縦横無尽に語るエッセイ。 上巻では、日本橋、神田、浅草等を散歩する。
  • P+D BOOKS 親鸞 全7巻 合本版
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    待望の全7巻合本版!! 浄土真宗の創始者・親鸞。苦難の生涯を描く。  弾圧、非難と闘いながら、浄土真宗を創始し、あくまでも人間として生き抜いた親鸞の苦難の生涯を描く大作。  人心は乱れ、荒廃しきった平安末期、時の権力と結託した宗教界の腐敗、形式化は止まることを知らなかった……。  皇太后宮大進・日野有範の長男として京都日野に生まれた松若麿(親鸞)は、やがて比叡山に上り、出家して範宴(はんねん)と名乗る。  やがて民衆を救う真の仏の道は南都北嶺の諸大寺にはなく、俗聖の中にこそあると考えるようになった範宴は、苦悩の末、山を下りる決意を固める。  親鸞の苦難な生涯を壮大なスケールで描く4部作。
  • P+D BOOKS 大洪水 上・下巻 合本版
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    1巻1,265円 (税込)
    待望の上・下巻合本版!! 中上健次、もう一つの遺作も初の電子化! 「路地」の解体時期に父親(浜村瀧造の朋輩・ヨシ兄)殺しに手を染め、「路地」から逃れた鉄男は、やはり夫・セキグチジュンを殺した女・セキグチマリと出会う。女は鉄男にそれまでと異なった衣装を着せ、ジュンと名付け、ジュンという<物語>を背負わせる。 マリが精神病院の患者同士として知り合った友人で、富豪の“太った女”水島エリは、鉄男を教祖とあがめる新興宗教に加わろうとし、道すがら出会った暴走族の首領の若者も、これまた鉄男の教祖としての雰囲気に惹かれていく。 そして、鉄男、マリ、エリ、暴走族の若者とその妹は、南の地・シンガポールへと向かうのだった……。 中上作品の中でも最もエンターテイメント色の濃い作品で、雑誌「SPA!」に連載中に未完のまま絶筆した。
  • P+D BOOKS 悲しみの港 上・下巻 合本版
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    1巻1,265円 (税込)
    待望の上・下巻合本版!! 現実と幻想の間を彷徨する若き小説家の懊悩。 「僕が故郷に漠然と期待したのは避難港だった。ところが、それどころではなかった」――。 東京から郷里の静岡県藤枝市に居を移した三十手前の小説家・及川晃一の日常的思索を描いた著者の自伝的小説の前編。 1994年、発刊時の単行本の帯には[自分はすでに難破船か、骸骨か。それでもなお試練の故郷で文学者が探し求める自我の新しい船出。現実と想像のあわいに明晰な幻視者・小川国夫が眼をそそぐ]とある。 日本人とは、市民とは、そして小説家とは何かを考え続けた、「内向の世代」の作家・小川国夫の深い懊悩が滲む秀作。朝日新聞に連載され、第5回伊藤整文学賞を受賞。
  • P+D BOOKS 志ん生一代 上・下巻 合本版
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    1巻1,320円 (税込)
    待望の上・下巻合本版!! 名人・古今亭志ん生の若き日の彷徨を描く。 15歳で家出し、20歳で三遊亭小円朝に弟子入りし、朝太の名をもらう。 「一人前の噺家になるまでは家にはかえらねぇ……」。  落語への情熱は本物だったが、10代から覚えた「飲む、打つ、買う」の3道楽は止められない。師匠を怒らせ、仕事をしくじり、借金を重ねていく……。後の名人・古今亭志ん生の若き日の彷徨だった。  上巻では不世出の天才落語家・志ん生の若き日が、生き生きと描かれる。 「ハードボイルド小説の先駆者」といわれた結城昌治の、また別の顔が垣間見られる力作長編。
  • P+D BOOKS やややのはなし
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    軽妙洒脱に綴った、晩年の短文随筆集。 安岡章太郎、結城昌治、立原正秋、村松友視、森茉莉、澁澤龍彦、色川武大、柴田錬三郎ら作家や知人との交流、子供の頃の邂逅、愛用の粋な小道具、酒や甘味、美人論、身体の不調など還暦前後の身辺を腹蔵なく語っている。 《いささか変った書名をつけてみたが、同じ題名の随筆が、この本の中にある。「ややや」と驚く短い話ばかりを集めてみたものだが、いま読み返してみると、そういう要素を含んだ話がこの本の大部分といえそうだ。》あとがきより。 昭和57年から平成3年までの短文随筆を所収。
  • P+D BOOKS 大世紀末サーカス
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    幕末に米欧を巡業した曲芸一座の痛快行状記。 幕末維新の動乱の世、慶応2年10月から明治2年2月まで、高野広八以下18人の曲芸師たちは米欧各地を巡業した。 アメリカ大統領の謁見を受け、パリでは万国博の最中に公演し大入り満員。ロンドンでは女王までもが見物に来るし、スペインでは、革命にも遭遇する。 芸人らしく行く先々で女郎買いにも走り、風俗も洒脱に記録されている。広八が残した日記をもとに、旅芸人のしたたかさ、動乱期の世相が鮮やかに描かれた、曲芸師一座の痛快行状記である。
  • P+D BOOKS 夢見る少年の昼と夜
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    1巻990円 (税込)
    珠玉の“ロマネスクな短編”14作を収録! 帰りの遅い父を待ちながら優しく甘い夢を紡ぐ孤独な少年の内面を、ロマネスクな文体で描いた表題作「夢見る少年の昼と夜」。 不可思議な死を遂げた兄の秘密が自分の運命にも繋がっている事実を知った女性の生を見つめる「秋の嘆き」ほか、「死神の叡者」、「鏡の中の少女」、「夜の寂しい顔」「未来都市」、「鬼」など、意識の深い底に横たわる揺らぎを凝視した福永ワールドの短編14作。 初版単行本『心の中を流れる河』、『世界の終り』より編纂した一冊。
  • P+D BOOKS 記憶の断片
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    作家生活の機微や日常を綴った珠玉の随筆集。 太宰治賞、直木賞受賞について、執筆秘話、ギリシアやヨーロッパの旅、土佐回顧、好物料理、折々の暮らしの雑感など、簡明直截に綴られた随筆集。 ≪『鬼龍院――』の映画で、夏目雅子扮するところの「なめたらイカンゼヨ」は流行語になってしまったが、これなど私は最初試写を見たときびっくり仰天、若い娘が「なめたらイカン」とまではいっても、「ゼヨ」というのはぜったい口にするべき言葉ではなく≫「京ことば」より。 昭和48年から平成8年にかけて、著者47歳から70歳までの100編を収録。
  • P+D BOOKS 春喪祭
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    1巻825円 (税込)
    奈良・長谷寺を舞台にした“妖かしの世界”。 愛する野田涼太郎と初めて結ばれたにも拘わらず、翌日、なぜか吉村深美は姿を消してしまう。 一年後、牡丹で知られる奈良・長谷寺の門前町、初瀬で深美は死体となって発見された。琵琶の撥で手首を切り、琵琶の裏甲には万葉集の恋歌三首が遺されていた。深美の死因を探求すべく初瀬へ向かった涼太郎が見たものは……、いとも妖しげな無明世界だった。 耽美的な幻想文学の秀作「春喪祭」を含む、著者渾身の短篇6作を収録。
  • P+D BOOKS 魔界水滸伝 1
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    地球を侵略せんとする邪神クトゥルーと、それを迎え撃つ地球本来の神々。人類も巻き込んで今、壮絶な戦いがはじまる! 〈溶ける……溶けてしまう〉――ごく平凡な大学生・伊吹涼は連夜にわたって、からだがどろどろと溶けてゆこうとする悪夢にさいなまれていた。同じ夢にうなされる複数の人々、そしてその夢を操るあやしい女。「目覚めよ、古の者の裔よ」と囁く声と、謎の画家・葛城繁が残した奇怪な絵に導かれて彼らが集った時、古き者、クトゥルーの神々との、凄絶な戦いの火蓋が切って落とされた。左翼あがりのルポライター・安西雄介とその弟・竜二の助力を得て、不本意ながらも涼はその戦いに巻き込まれていくのだった。 栗本薫が圧倒的な筆力で現代日本にクトゥルー神話を甦らせた、超伝奇シリーズ第一弾!
  • P+D BOOKS 象の白い脚
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    インドシナ麻薬取引の“黒い霧”に迫る力作。 時は1969年、ラオスの首都・ビエンチャン。そこでは米国CIAと現地の特権階級とが結託してアンタッチャブルな麻薬取引が行われている、と噂されていた。そのビエンチャンへ単身乗り込んだ主人公・谷口の目を通し、筆者は、その闇に大胆なペンの戦いを挑む。 「日本の黒い霧」ならぬ「インドシナの黒い霧」の実相を、小説の形式で解明、暴露してみせた松本清張“会心の一作”。
  • P+D BOOKS 快楽 (上)
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    1~2巻715円 (税込)
    若き仏教僧の懊悩を描いた筆者の自伝的巨編。 恥ずかしがりのくせに強がりな十九歳の仏教僧・柳。 大東亜戦争へと向かう昭和10年頃の騒然とした時代を背景に、性と政治と宗教という相容れないテーマに心と身体を悩ます若き仏教僧の悲喜こもごもを描いた長編小説の上巻。 寺の子として生まれ育った武田泰淳の自伝的な大作であり、筆者の病気により未完にも拘わらず第5回日本文学大賞を受賞した“第一次戦後派作家の巨人”の代表作の一つでもある。
  • P+D BOOKS 上海の螢・審判
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    1巻770円 (税込)
    戦中戦後の上海を描いた傑作二編が甦る! 『上海の螢』は、著者が32歳で中日文化協会の文官として滞在した約2年間に及ぶ、敗戦前後の上海での体験を克明に記録した貴重な史料でもあり、一編を遺して未完のままとなった遺作。 1947年発表の『審判』は、『上海の螢』より古く、一兵卒として中国参戦した自身の戦場での体験告白でもあり、誰にも裁かれない自分の犯した戦争犯罪を自身の手で裁くために描かれた問題作。 第一次戦後派作家の“巨人”武田泰淳と上海という場所の因縁深い2作を同時収録。
  • P+D BOOKS 死者におくる花束はない
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    1巻660円 (税込)
    ハードボイルド小説界の先駆者の初期作品! 時計商・志賀の素行調査を依頼された私立探偵・佐久は、直ちに志賀の尾行調査を開始した。だが、その直後、志賀の妻の絞殺死体が発見される。次いで調査依頼者から契約の打ち切り通告が来る。謎にいどむ探偵・佐久は、ついに事件の核心に辿り着くのだが……。 私立探偵・佐久と久里十八のコンビを主人公とした作品は、本作のほか『死の報酬』等。 日本ハードボイルド界の先駆者である結城昌治が、当時としては珍しいコメディ仕立てで構成した野心作である。
  • P+D BOOKS 風土
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    1巻990円 (税込)
    芸術家の苦悩を描いた著者の処女長編小説。 関東大震災と第二次世界大戦という二つの歴史的大事件に挟まれた16年間――画家・桂が片時も忘れえなかった昔の恋人・三枝夫人との再会と、すれ違った愛の行方を追い求め描いた作品。 世界が激しく揺れ動いた時代、日本という風土に生まれ育った芸術家の思索、苦悩、そして愛の悲劇を通して人生の深淵に迫った力作である。完成までに十年の歳月を費やした福永武彦の文学的出発点ともいえる。 解説は芥川賞作家であり、福永武彦の長男でもある池澤夏樹氏。
  • P+D BOOKS 江戸散歩(上)
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    落語家の“心のふるさと”江戸を圓生が語る。 持ち噺の多彩さで史上最高といわれた六代目・三遊亭圓生にとって、江戸は“心のふるさと”である。 お洒落で、美味好きで、好色で、意気と芸を何より重んじた町・江戸。落語の世界と圓生自身の思い出に残る“江戸”を訪ねて、そこに残る「路地の暮らし」を縦横無尽に語るエッセイ。 上巻では、日本橋、神田、浅草等を散歩する。
  • P+D BOOKS 家族 ファミリー
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    1巻660円 (税込)
    父の実像を追求する『血族』の続編的長編。 「私は競馬に熱中する。父の血が競馬にかりたてるように思うのだ……」私は府中の競馬場のパドックで、川崎の幸町小学校での同級生・石渡広志に、偶然会った。 このことがきっかけとなり、私の川崎での幼時体験の記憶が動きだす……。記憶の彼方にいるおぼろげな父の像。こわい夢がオーバーラップする……。前作『血族』に続き、私小説的な手法を用い、熱き愛で静かに父の実像を凝視した長篇。
  • P+D BOOKS 悲しみの港(上)
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    1~2巻605~660円 (税込)
    現実と幻想の間を彷徨する若き小説家の懊悩。 「僕が故郷に漠然と期待したのは避難港だった。ところが、それどころではなかった」――。 東京から郷里の静岡県藤枝市に居を移した三十手前の小説家・及川晃一の日常的思索を描いた著者の自伝的小説の前編。 1994年、発刊時の単行本の帯には[自分はすでに難破船か、骸骨か。それでもなお試練の故郷で文学者が探し求める自我の新しい船出。現実と想像のあわいに明晰な幻視者・小川国夫が眼をそそぐ]とある。 日本人とは、市民とは、そして小説家とは何かを考え続けた、「内向の世代」の作家・小川国夫の深い懊悩が滲む秀作。朝日新聞に連載され、第5回伊藤整文学賞を受賞。
  • P+D BOOKS 小児病棟・医療少年院物語
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    1巻935円 (税込)
    モモ子と凜子、真摯な看護師を描いた2作品。 『小児病棟』は、第1回読売「女性ヒューマン・ドキュメンタリー」大賞優秀賞を受賞し、テレビドラマ化された作品。 主役の看護婦(当時の名称)・モモ子役を桃井かおりが演じ、大きな話題となった。病気や障がいをもった乳幼児の看護に奮闘しながら、次第に子どもたちと心を通わせていくモモ子。ある日、手足を欠損して生まれ、両眼も失ったタロウの担当となる。個人的な感傷は、医療現場では封印すべきなのか――。 『医療少年院物語』は、著者が15年の歳月をかけて取材執筆した渾身の作。現場を訪れては「これは、とても書けない」と何度も挫折しそうになったという。不良仲間との万引きにはじまり、窃盗で捕まりノイローゼとなっていった少年や、テレクラで売春を重ね妊娠した少女など、看護婦と職員が苦悶しながら彼らとの交流をはかっていく。それは、何故彼らが非行に走ったのかという、問題の根源を知ることに繋がっていく。
  • P+D BOOKS ヘチマくん
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    1巻715円 (税込)
    太閤秀吉の末裔が巻き込まれた事件とは? ヘチマくんとは、太閤の末孫、豊臣鮒吉のアダ名である。容貌風采ヘチマの如くモッサリとして世知に疎く、底抜けに善良で人を疑ぐることを知らない。 その彼がまきこまれた事件とは、海千山千のバー・マダム菊池銀子と、学友・熊坂とが争う鹿児島・桜島の土地買収競争だった。 遠藤周作が、得意の明朗軽快なタッチで、現代における人間回復を訴えた、「おバカさん」に次ぐユーモア長編作。
  • P+D BOOKS 大洪水(上)
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    1~2巻550~715円 (税込)
    中上健次、もう一つの遺作も初の電子化! 「路地」の解体時期に父親(浜村瀧造の朋輩・ヨシ兄)殺しに手を染め、「路地」から逃れた鉄男は、やはり夫・セキグチジュンを殺した女・セキグチマリと出会う。女は鉄男にそれまでと異なった衣装を着せ、ジュンと名付け、ジュンという<物語>を背負わせる。 マリが精神病院の患者同士として知り合った友人で、富豪の“太った女”水島エリは、鉄男を教祖とあがめる新興宗教に加わろうとし、道すがら出会った暴走族の首領の若者も、これまた鉄男の教祖としての雰囲気に惹かれていく。 そして、鉄男、マリ、エリ、暴走族の若者とその妹は、南の地・シンガポールへと向かうのだった……。 中上作品の中でも最もエンターテイメント色の濃い作品で、雑誌「SPA!」に連載中に未完のまま絶筆した。
  • P+D BOOKS 北京のこども
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    著者の北京での子ども時代を描いたエッセイ。 絵本「100万回生きたねこ」が大ベストセラーになった著者が子ども時代に過ごした北京での暮らしを描いた珠玉のエッセイ。早くして亡くなった大好きなお兄さんとの二人きりの日常生活、お父さんのこと、お母さんのこと、やがて表に出て戦前の北京の町に触れ、お友達ができていく、そして北京を去る日がやってくる。それぞれがさりげなく描かれている日常の鮮やかさ、儚さが印象的。子ども目線での瑞々しい感性が読む者の心に染みてくる。 絵本作家である著者が描く子どもの世界が、大人の心をとらえて離さない。
  • P+D BOOKS 玩物草紙
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    物と観念が交錯する「アラベスクの世界」。 蟻地獄の観察日記をつけ、好きな花といえばタンポポ。そして76年に一度飛来するハレー彗星を待ちわびる。裸体・虫・ポルノ・飛行船・地球儀……。古今東西の書籍を渉猟し孤高の境地を拓いた文学者が、初めて「私自身」=ミクロコスモス=を語りつつ綴った、物と観念が交錯するアラベスクの世界。 1978年30回にわたって「朝日ジャーナル」に連載された澁澤龍彦後期のエッセイ集。
  • P+D BOOKS 幻妖桐の葉おとし
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    風太郎ワールドを満喫できる時代短編小説集。 「桐華散ラントシテ桐葉コレヲ護ル……」謎の言葉とともに大阪城絵図を北の政所から託された秀吉の遺臣7人は、そこに込めた秀吉の豊臣家生き残りの秘策を探る。そこに降りかかる思わぬ悲劇と、この謎の真意とは……。表題作「幻妖桐の葉おとし」のほか、うだつのあがらぬ旗本たちの生き様を描く「数珠かけ伝法」、忠臣蔵をテーマにした連作「行燈浮世之介」、「変化城」、桜田門外の変でたおれた井伊直弼の首に纏わる奇談「首」など、全6編の時代小説集。 江戸時代初期から幕末までの時代に生きた様々な身分の人間の情念、人間味を独特の視点から描いている。その時代の世相をときにユーモラスにときに皮肉たっぷりに描く山田風太郎ワールドが満喫できる。
  • P+D BOOKS 親友
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    1巻770円 (税込)
    川端康成「幻の少女小説」60年ぶりに復刊。 新制中学1年生のクラスメートであるめぐみとかすみは、同い年で同じ誕生日。赤の他人なのに従姉妹と見間違えられるほど似ていた二人は、自然と「親友」になっていく。 “鵠沼のおじさまの家”での夏休み、先輩女生徒・容子へのほのかな憧れ、バザーで起きた小さな事件……些細なことでの行き違いで、その都度こわれそうになる少女同士の友情。そして、やがて二人に別れの日が訪れる。 ノーベル文学賞受賞作家・川端康成が昭和29年「女学生の友」に連載した幻の最後の少女小説が今、鮮やかに蘇る。 また、戦前に川端が「セウガク一年生」に寄稿した貴重な作品「樅の木の話」も収録。 巻末には川端の娘婿・川端香男里(ロシア文学者)氏の解説文も併せて収録した貴重な一冊である。
  • P+D BOOKS 銃と十字架
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    1巻770円 (税込)
    初めて司祭となった日本人の生涯を描く。 「何のために苦しい旅を続けるのか。いつかは捕まり、殺されることも確実なのだ。しかし、いかなる苦渋にみちても肩から人生の十字架を棄ててはならぬ」……。 船を乗り継ぎ、砂漠をよぎって、日本人として初めてエルサレムを訪れ、後にローマに学び司祭となった実在の人物・ペドロ岐部。 この破天荒な訪欧大旅行は、イエズス会亜等の組織の保護なしに、個人の自力で成し遂げた、日本人としても最初の快挙だった。やがて彼はキリシタン弾圧の荒れ狂う日本に立ち戻り、使命に生きたのだが……。 17世紀前半の日本におけるキリスト教弾圧の貴重な通史であり、「沈黙」とともに、作者のキリスト教観の理論的な最高峰に位置する一冊である。一日本人ペトロ岐部の劇的生涯を描く。
  • P+D BOOKS 熱風
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    1巻715円 (税込)
    中上健次、未完の遺作が初単行本化&電子化! 1個3億円のエメラルド3個を携え、ブラジルから来日したオリエントの康の遺児タケオは、新宿で「中本」の一統である“毒味男”や、オリュウノオバの甥っ子である“九階の怪人”と出会う。 “毒味男”の一味は、最初に地上げ屋の斎藤順一郎を焼き殺したが、彼らの周囲をGメンが嗅ぎ回り始めので、一味は共に紀州・新宮へ舞い戻る。そして、次の標的に土地の実力者・佐倉(この時、130歳近い年齢だが)を選ぶのだが……。 新たな抗争の予感を湛える長編。「千年の愉楽」の続編ともいえる未完作。「週刊ポスト」にて連載中に絶筆した。
  • P+D BOOKS 虫喰仙次
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    1巻715円 (税込)
    戦後最後の「無頼派」色川武大の傑作短篇集。 元海軍司令官の父の末弟で、受験に何度も失敗し自らの人生を決めあぐねた若き叔父・御年。悲しい結末を迎えた彼の書き残した父宛の手紙で構成した「遠景」をはじめ、夢の手法をまじえて綴った「復活」ほか、生家をめぐる人々をモチーフとした作品を中心に、ギャンブル仲間であった一人の男の意外な出世と悲惨な転落を追った「虫喰仙次」など、短編7篇を収録。戦後最後の無頼派作家の描く、はぐれ者たちの生と死。
  • P+D BOOKS 詩城の旅びと
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    南仏を舞台に愛と復讐の交錯を描く。 「ゴッホゆかりのプロヴァンス地方で国際駅伝を」一女性の投書に惹かれた和栄新聞社企画部長・木村は、実現に向けて南フランスへ飛んだ。荒れた古城や教会を訪れ、謎めいた伯爵夫妻の館に滞在。仕事に賭ける男の情熱と投書者のひそかな企みがついに交錯した……。 南フランスの太陽・青い空・あふれるラベンダーの紫、風光明媚な情景の中で織り成される奇妙な人間模様。目眩めく憎悪と妖しい愛、そして「執念」と「殺意」。暗鬱な風景と明るい光景とが渾然となって、黒い詩情が交錯する…。知られざるフランス中世都市レ・ボー、ゴッホのゆかりの地アルル、セザンヌの生地エクス・アン・プロヴァンス、そして九州豊後竹田で繰り広げられるサスペンス・ロマンス。 NHK同名ドラマの原作にもなった作品。炎の画家が愛した美しい風光のなかに巨匠・松本清張が愛と復讐の構図を描く。
  • P+D BOOKS 志ん生一代 (上)
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    1~2巻660円 (税込)
    名人・古今亭志ん生の若き日の彷徨を描く。 15歳で家出し、20歳で三遊亭小円朝に弟子入りし、朝太の名をもらう。 「一人前の噺家になるまでは家にはかえらねぇ……」。  落語への情熱は本物だったが、10代から覚えた「飲む、打つ、買う」の3道楽は止められない。師匠を怒らせ、仕事をしくじり、借金を重ねていく……。後の名人・古今亭志ん生の若き日の彷徨だった。  上巻では不世出の天才落語家・志ん生の若き日が、生き生きと描かれる。 「ハードボイルド小説の先駆者」といわれた結城昌治の、また別の顔が垣間見られる力作長編。
  • P+D BOOKS 親鸞 1 叡山の巻
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    浄土真宗の創始者・親鸞。苦難の生涯を描く。  弾圧、非難と闘いながら、浄土真宗を創始し、あくまでも人間として生き抜いた親鸞の苦難の生涯を描く大作。  人心は乱れ、荒廃しきった平安末期、時の権力と結託した宗教界の腐敗、形式化は止まることを知らなかった……。  皇太后宮大進・日野有範の長男として京都日野に生まれた松若麿(親鸞)は、やがて比叡山に上り、出家して範宴(はんねん)と名乗る。  やがて民衆を救う真の仏の道は南都北嶺の諸大寺にはなく、俗聖の中にこそあると考えるようになった範宴は、苦悩の末、山を下りる決意を固める。  親鸞の苦難な生涯を壮大なスケールで描く4部作の第1巻。
  • P+D BOOKS 今も時だ・ブリキの北回帰線
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    1巻550円 (税込)
    全共闘運動の記念碑作品。  肺病病みのピアノ弾きが、献身的な恋人や死んだ両親を思い起こしつつ、騒動に巻き込まれていく。地下室での演奏。電気は消え、反対セクトとの乱闘の中、楽器同士が火花を散らし競演し、脳中にイメージが錯綜していく……。仲間たちと脱出したピアノ弾きは、最後は穏やかな気持ちで自分の吐いた血を見つめる……。  「JAZZによる問いかけ、自己を武器化せよ! 自己の感性の無限の解放! 」。バリケードの中の投石と怒号渦巻くジャズ・コンサートを描き、全共闘運動の記念碑的作品となった「今も時だ」は、テレビ・ディレクターだった田原総一朗が、1969年に企画した山下洋輔がバリケードの中でピアノを演奏したイベントを題材に小説化。新潮新人賞候補となり、商業誌デビューした作者の記念すべき作品。 ほか、自身の3ヶ月に及ぶインド旅行経験を元に、立松文学の原点を示す「ブリキの北回帰線」と、「部屋の中の部屋」を収録。いずれの作品も若い日の立松の青春の彷徨が描かれている。
  • P+D BOOKS 白と黒の革命
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    1巻990円 (税込)
    ホメイニ革命直後 緊迫のテヘランを描く。  アメリカ在住のイラン人商人がふと洩らした言葉をヒントに、イラン革命の真相を追って、テヘランに乗り込んだ男の身に危機が迫った……。  パーレビ王朝の近代化路線・白い革命と、イスラム最高指導者ホメイニの黒い革命。そして背後で暗躍するCIAの影。  激動するイランで彼が見たものは何だったのか?  筆者自らの革命勃発期のイラン滞在経験が動機となって描かれた作品で、豊富な取材力に基づいた、予言性に満ちた迫真のドキュメント・ノベル。
  • P+D BOOKS 秋夜
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    1巻770円 (税込)
    闇に押し込めた過去が露わに、凛烈な私小説。  或る日、生き別れた長男から、彼が経営するホールの祝賀会の案内状が届く。会場は世田谷区松原という。この地には、地縁という不分明な力で、度々磁石のように吸い寄せられてきた。  20代の初めに同棲した女性、消息不明となった長男、3歳の長女を残して消えた妻など、過去の闇に押し込めたはずの暦が同一の空間に甦る。  それは、風が肌を刺すような寒い秋の夜、様々な因縁から逃れられないことを知るのだった……。  自伝的表題作『秋夜』ほか、『むげんの鳥』、『お鳥』、『椿寺』、『むささびの話』、『馬の話』『狐の話』、『桐下駄の話』、『海の洞、『くがみの埋み火』の全10篇を収録。
  • P+D BOOKS 焔の中
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    青春=戦時下だった吉行の半自伝的小説。  昭和19年8月――、僕に召集令状が届いた。その後の入営は意外な顛末を迎えるが、戦時下という抑圧された時代、生と死が表裏一体となった不安を内包し、鬱屈した日々を重ねていく。まさしく「焔の中」の青春であった。  狂おしいほどの閉塞感の中にあっても、10代から20代の青年らしい友人との、他愛のない会話、性への欲望、反面、母への慕情など巧緻な筆致で描かれる。また、戦争とは一線を引いたかのような、主人公の透徹した眼差しと、確固たる自尊心は一貫しており、吉行自身のメンタリティが垣間見える、意欲作である。
  • P+D BOOKS どくとるマンボウ追想記
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    「どくとるマンボウ」が語る昭和初期の東京。  父・斉藤茂吉の話も随所に登場し、幼少期の体験を飾り気のない文体で綴った自伝。幼少期の記憶がモチーフとなった、多くの北杜夫作品を読み解く鍵になる重要作品。  昭和2年5月1日、「ゲーテほどではないが、予想したより何倍もいい」星の下に出生してから、東京大空襲ですべてを焼き尽くされ、高校入学のため信州・松本へ向かうまでを描く。  大正、昭和初期と激しく揺れ続けた「楡家の人々」の真実を描き、「どくとるマンボウ青春記」に至る「少年期」を定着させた、貴重な東京っ子の昭和初期史を、上品なユーモアを交えながらノスタルジックな語りで鮮やかに描く。
  • P+D BOOKS 浮世に言い忘れたこと
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    昭和の名人が語る、落語版「花伝書」。  古今亭志ん生、桂文楽と並ぶ“昭和の三名人”の一人として、後世まで語り継がれる噺家、6代目三遊亭圓生。その名人・圓生が、芸や寄席、食べものなどについて、軽妙かつ真摯な語り口で、すべてを語っています。  全体は、「人情浮世床」、「寄席こしかた」、「風狂の芸人たち」、「本物の味」の4部構成。特に、「人情浮世床」は昭和の落語を伝える花伝書として貴重である。落語ファンだけでなく、昭和の大衆文化に浸れる一冊です
  • P+D BOOKS 天を突く石像
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    汚職と政治が巡る渾身の社会派ミステリー。  建設会社の技師・青山は精神異常を装い、妻帯者でありながら、親友・大場と義妹・冬子に、資源開拓公団総裁の娘・理恵子を婚約者だと紹介する。 そして、その夜、青山は総裁の豪邸で総裁秘書・市橋若葉を絞殺し自殺してしまう。青山の発狂と自殺に疑問を抱いた大場は、独自の調査を開始するのが……。  東京、伊豆、秩父と僅かな証拠を頼りに調査を進めていく中、調査に協力する冬子との間には、いつしか愛の炎が燃えていく。そして、大場は、ついにこの事件に隠された驚愕の事実を掴む。  ダム建設に絡む汚職と政治が巡る、笹沢左保、渾身の社会派ミステリー。
  • P+D BOOKS サド復活
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    澁澤龍彦 渾身の処女エッセイ集。  マルキ・ド・サドの思想を縦横に紹介しつつ、フーリエ、マルクス、トロツキー、ブルトン、バタイユなどの精読を通して、テロル、暴力、自由、美、ユートピアなどについて独自の考察を開示し、自らの文学的位相を確然と宣言した記念碑的なエッセイ8篇。  「ソドムの120日」を始めとするサド文学論や、サドの生涯を簡潔かつドラマチックに密度濃くまとめた小論等、筆者の冴え渡る筆遣いで、20世紀のサドが生き生きと甦る。  サド的明晰性につらぬかれた筆者の過激な想念が、いま再び思想の〈現在性〉を問う、澁澤龍彦31歳時の“渾身”の処女エッセイ集である。

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