P+D BOOKS 裏ヴァージョン

松浦理英子

現実世界と小説世界が交錯する斬新な異色作。

家賃代わりに差し出される短篇小説と、それに対して辛辣コメントを浴びせ続ける家主。やがてコメントは作家の精神を抉るような質問状となり、青春をともに過ごした２人の中年女性の愛憎が垣間見えてくる。

小説を書くのは鳴かず飛ばずの作家・昌子で、その読み手は昌子が居候する家主で２０年来の友人・鈴子。小説を介して、お互いの感情をぶつけ合う２人の切なさとおかしさを、現実世界と小説世界が入り交じる奇抜な手法で描いた著者の異色作。

※この作品は底本に忠実にゴシック体の部分につきまして画像にしております。

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内小説
• 出版社: 小学館
• 掲載誌・レーベル: P+D BOOKS
• ページ数: 240ページ
• 電子版発売日: 2017年09月08日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 11MB

[ブクログ · ★★★☆☆]

Twitterのフォロワーさんのお勧めで手に取りました。
高校時代から友人である昌子と磯子。磯子の家に居候する昌子は家賃の代わりに小説を書き、その作品に対して辛辣なコメントを書く磯子。風変わりな手法で書かれた異色作。

小説を介して互いの感情をぶつけ合う彼女達の愛憎劇は「女友達」の複雑な一面を鮮やかに描き出している。本作を読んで「友達」というのは何だか不思議な関係だなと感じました。
「友達」を幾ら好きでもそこには性的なものは何もない。「友達」という関係は性愛関係と比べて、その基準が結構曖昧で、規定し難い。
本作を読んでいると、友人関係とは何かを考えさせられます。