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白痴
霧ふかいある冬の朝、ペテルブルグの終着駅へと、列車が疲れきったかっこうで物語を運んでくる。三等車の座席に三人の男がいる。色あせた包み一つをかかえてスイスから帰国途中のムィシキン公爵と、熱病やみの男で、着のみ着のままでプスコフからわが家へ帰るラゴージン、そして、赤鼻、吹き出物だらけで、何のために列車に乗っているのか見当もつかぬ、抜け目のないレーベジェフだ。列車の到着後、その日のうちに主人公はほとんどすべての登場人物と会う。…純真な子供のような眼をもつムィシキンを、ひとは「白痴」よばわりする。だが公爵は常にその曇りのない大きな空色の眼に微笑をたたえているのである。……「しんじつ美しい人物を描こうとした人は常に失敗しています。なぜなら、それは量り知れぬほど大きな仕事だからです」ドストエフスキーのこの決意が結実した傑作。 -
白蝶の悪戯
どんな願いでも叶えてくれる悪魔がいる──という都市伝説を知っているだろうか? それは噂ではなく、事実だ。 高級品を買うことでしか幸せを感じられないOL、無愛想な妻や娘に嫌気が差して若い女性との逢瀬にのめりこむ老教師、整形によって若さと美しさを維持しつづけようとする喫茶店店主──。 際限のない物欲や色欲に溺れた彼らは、悪魔と出会うことを望み、自らの欲を満たすかわりに、やがて地獄へと堕ちていく。 人間の欲望は、どこまで深いのだろう……。 -
白墨人形
スティーヴン・キング強力推薦! 少年時代の美しい思い出と、そこに隠された忌まわしい秘密。 最終ページに待ち受けるおそるべき真相。 世界36か国で刊行決定、叙情とたくらみに満ちた新鋭の傑作サスペンス。 あの日、僕たちが見つけた死体。はじまりは何だったのか。僕たちにもわからない。みんなで遊園地に出かけ、 悲惨な事故を目撃したときか。白墨のように真っ白なハローラン先生が町にやってきたときか。 それとも僕たちがチョークで描いた人形の絵で秘密のやりとりをはじめたときか――。 あの夏。僕には四人の友達がいた。太り気味のギャヴ、不良を兄に持つミッキー、シングルマザーの息子ホッポ、そして牧師の娘ニッキー。 不良たちに襲撃されることも、僕がニッキーへの恋に胸を焦がすこともあったが、この日々が終わるなんて考えもしなかった。 でも町では不和が広がりはじめていたのだ。僕の母の診療所への反対運動をニッキーの父が煽り、 ミッキーの兄に悲劇が降りかかり、少女の妊娠騒ぎが起こる。大人たちにも、僕たちのあいだにもヒビが入りはじめた。 そして、あの子が殺された。森で。バラバラになって。見つけたのは僕たちだった。でも、頭部は見つからないままだ。 30年が経った現在。白墨人形の絵とともに、あの事件が甦る。あの人が死んだことで、事件は解決したはずなのに。 20年ぶりに帰郷したミッキーは言った。「おれは真犯人を知ってる」。僕は友人たちとともに、あの夏の秘密を探りはじめる……。 第2作『アニーはどこにいった』も絶賛発売中! ※この電子書籍は2018年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
はぐれ雲山頭火(小学館文庫)
【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 「行乞行脚」といえば諦念と覚悟を定めた揺るぎないイメージがある。しかし山頭火の行乞はものの見事にそれを逆転する。泥酔と悔恨、従容と無頼、高揚と悲嘆、それらの狭間を縦横に揺れ動く。人間の強さと弱さ、それを謳って憚らない「人間標本」、それが山頭火だ。山頭火の代表句500余句と行乞記をもとに、旅の達人真島満秀の旅情溢れる「日本の原風景」150景でつづる魅力の写真句行。いつもと反対方向行きの電車に乗ってみよう。忘れたものが見えてくる。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。 -
流恋情話-昭和淫侠伝-
逃亡、潜伏、脱出のはざまで、淫情と侠気にむせぶ、男女の業を描き出す恋獄の「昭和」原風景!! 昭和36年4月の夜、淫具屋の長岡修造は拳銃を乱射しながら津艶流女三味線師・中川奈緒子の手を取って、宵宮の神社舞台から忽然と消える。 そして、警察とヤクザ者から追われる情慾の10年が始まったー -
はぐれんぼう
空っぽのわたしの体に、はぐれんぼちゃんたちが乗り込んでくれた 置き去りにされた衣服たちの場所を探す奇妙な旅がはじまる 芥川賞作家がおくる癒しと救済の物語 あさりクリーニング店で働く優子はある日、持ち主が引き取りに来ない衣服「はぐれんぼちゃん」を持ち帰らされる。 翌朝目覚めると、その衣服たちが彼女の体を覆っていた。 優子はちぐはぐな姿のまま、服の持ち主を訪ね、彼らの帰るべき場所を求めて歩きはじめる。 芥川賞作家がおくる、癒しと救済の物語。 人はどうしてたくさんの服を所有したがるのか。必要以上の服を供給したがるのか。(略)この物語の本当の主役は、そんな過剰消費された衣服の一部である。クリーニング店に預けられたまま引き取られることなく置き去りにされた「はぐれんぼちゃん」とよばれる衣服たちだ。(略)「はぐれんぼちゃん」に、いつ誰がなるとも限らない。問題のある場所から逃れるだけでは根本的な解決にはならない。物語の終わりが、新しいはじまりになる。えもいわれぬ余韻が残った。 ――東 直子(歌人・小説家)「解説」より -
はけんねこ
「ねこを好きなの、バレてるぜ」 NNN(ねこねこネットワーク)がこの猫、あなたに託します。 笑いも涙もまたたびとともに呑み込んで――猫生は案外ハードボイルド! CIGAR BAR「またたび」に集まる、ワケありの野良猫たち。話題は「どこの家の人間が猫好きか」。そう、ここはNNN――ねこねこネットワークの情報交換の場だ。野良猫の幸せを目的に、人間に猫を斡旋する、猫による猫のための組織。中心メンバーのちぎれ耳と片目は、困っている猫をなんとかして救ってやりたいが!? 涙がとまらない、せつなくも優しい猫の世界。NNNが今宵も肉球を派遣します! KORIRI・装画 -
箱入り息子の恋
走り、傷つき、絶叫し、胸かきむしる。 恋するだけで、人生はこんなにもスペクタクルだ。 天雫健太郎は、自宅と職場である市役所をただ行き来する生活を送っている35歳。 今まで一度も女性と付き合ったことがなく、趣味はゲームとカエルの世話。 息子の将来を案じた両親は、代理見合いに参加し、今井家の一人娘・奈穂子とお見合いするチャンスを掴む。 奈穂子にひと目ぼれした健太郎だが、行く手には思わぬ障害が待ち構えていた――。 星野源が初主演した同名映画の小説版! -
函館殺人事件
元風俗嬢という異色の経歴をもつ四宮沙奈江が、公家の家に生まれた優男・警視庁捜査一課の桜小路資朝(さくらこうじすけとも)刑事を相棒にて、難事件に挑む! 浅草の旅館で若い女性が焼死するという「能登三十六歌仙殺人事件」では、沙奈江は現場から消えた中年男性のこと以上に、被害者の女が燃えさかる炎から守り通した貝殻と西行の歌に着目し、担当刑事となった桜小路の尻をひっぱたくようにして、手掛かりを追って能登に飛んだ。おっとりてしている恋人の刑事を尻目に、沙奈江は鋭い推理によって犯人に迫る! 男を手玉にとる術を知る手練れの女でありながらも、恋人にはウブな少女になってしまう美女だった! -
函館・立待岬の女
柴木俊子はすでに26歳。売れない女優だったが、幸運はある日突然やってきた。テレビドラマでの演技が、映画界の巨匠・神保監督の目に止まったのである。だが、出演のため京都・太秦に赴いた俊子を待っていたのは、凄惨な放火殺人であった。元大女優の付き人であり、今は歯科医の妻である道代が殺されたのを契機に、俊子は、14年前に起こったあるスキャンダルに巻き込まれていった……。数奇な運命を辿る大女優と新進女優の葛藤を描く長篇ミステリ。 ●斎藤澪(さいとう・みお) 1944年、東京生まれ。国学院大学文学部国文科卒業。雑誌編集部、広告代理店勤務を経て作家活動に入る。1981年『この子の七つのお祝いに』で第1回横溝正史賞を受賞して小説家デビュー。『赤いランドセル』『冬かもめ心中』『花のもとにて』など著書多数。 -
ハコニワ
瓜二つの顔を持つ双子の紺と藍。幼い頃に両親が離婚した際、「藍のおまけ」として母に引き取られたと信じる紺は心を閉ざしてしまう。その時自分の手を握ってくれた藍だけを信じて生きてきた紺だが、中学生になったある日母親の妊娠が発覚し……。 家族ってなんだろう? 大人になる直前、身体や心の変化に戸惑う紺の感受性は、きっと誰もが味わったことがあるはず。大人の身勝手に反発する紺は、きっといつかの自分の姿。ラストで明かされる意外な真相。わたしの家族って絶対、変! NovelJam 2018秋 出場作品 -
箱庭クロニクル
『嘘つき姫』で鮮烈デビュー、2作目『海岸通り』で芥川賞候補。 ファンタジックな世界観と異国情緒ただよう文体で読者を魅了する、2024年最大の新人が、文芸界に風穴を開ける。 次世代の「本物」を探すみなさま、この「才能」を、見つけてください。 ~~~~~~ 手のひらのミクロコスモス。地獄の口に何度でも出くわす人生、でも私だけの天国に続く糸も確かに光り、ここにある。この物語の中に。 ーー 一穂ミチ とびきり美しい物語群の中に暗さや裏切りがあって、人間の光と影を同時に見せてくる…才能って“これ”のことね!? ーー佐伯ポインティ 孤立と連帯のあわいを揺れる不器用な人間の心。その迷宮の出口は、意外なところに開いている。 ーー千街晶之 注目作家の変幻自在っぷりが炸裂。一編一編異なる魂を持つ、驚異的な短編集。 ーー瀧井朝世 坂崎さんの紡ぐ、宝石箱がきらめくような言葉づかいに、もう、夢中です!!! ーー三宅香帆 ~~~~~~ ★収録作品★ 「ベルを鳴らして」(日本推理作家協会賞短編部門受賞作) そこにひとつの戯画がある。家一軒ほどの大きさのタイプライターだ。 「イン・ザ・ヘブン」 地獄はどこにでもある。内とか外とか関係ない。 「名前をつけてやる」 これは「バッグ・クロージャ―」これは「ランチャーム」これは「ポイ」 「あしながおばさん」 拝啓 盛夏の候、時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 「あたたかくもやわらかくもないそれ」 ゾンビは治る。マツモトキヨシに薬が売ってる。 「渦とコリオリ」 水流は左に渦を巻いている。 邦文タイピストの少女がついた歴史を変える嘘や、禁書運動家の母親を持つ少女の始祖サンドで繋がれた絆、流行り病「ゾンビ」で親友を亡くした女性の不思議な一晩etc. 人生ベストの一編が、ここに。 -
箱庭旅団
短篇の名手、朱川湊人の新境地アンソロジー! 雨が降ると訪ねてくるあの子の足音、夕凪の浜辺で聞こえるあの人の声……。思わず涙がこぼれる、出会いと別れの物語。現在、過去、未来、そして虚構の世界――それぞれを「箱庭」に見立てて紡がれた、涙あり、笑いあり、恐怖ありの珠玉の物語が一冊に。“出る”と噂の部屋に住んだホラー小説家、夜中に母を待つ男の子のもとを訪ねてきたカラスのような男、一冊しか本のない図書館に導かれた姉と弟、雨が降ると現れる亡くなった孫を待つ祖母など、16の物語世界を、少年は白馬とともに旅をする。切なくもどこか懐かしい連作短編集。
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