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  • ソラリス
    4.1
    惑星ソラリス――この静謐なる星は意思を持った海に表面を覆われていた。惑星の謎の解明のため、ステーションに派遣された心理学者ケルヴィンは変わり果てた研究員たちを目にする。彼らにいったい何が? ケルヴィンもまたソラリスの海がもたらす現象に囚われていく……。人間以外の理性との接触は可能か?――知の巨人が世界に問いかけたSF史上に残る名作。レム研究の第一人者によるポーランド語原典からの完全翻訳版
  • 新訳 チェーホフ短篇集
    4.4
    “人間を描く天才”チェーホフの短篇13をロシア文学研究者であり名エッセイストの沼野充義氏が豊かな言葉を駆使して新しく訳した珠玉の作品集。個性豊かな登場人物が濃密なドラマを繰り広げる。今だからこそ読みたいロシア文豪の名作短篇。[目次]●女たち(かわいい/ジーノチカ/いたずら/中二階のある家 ある画家の話)●子供たち(おおきなかぶ/ワーニカ/牡蠣/おでこの白い子犬)●死について(役人の死/せつない/ねむい/ロスチャイルドのバイオリン)●愛について(奥さんは子犬を連れて)
  • ことばの危機 大学入試改革・教育政策を問う
    3.8
    一連の「国語」改革は何が問題なのか? 東大文学部の有名教授陣による、緊急講演録! 大学入試改革や新学習指導要領の公示により、「国語」をめぐる様々な変更点が注目を集めている。「論理国語」「文学国語」といった区分が新たに誕生し、新・大学入試共通テストでは実用的な文章の読解が増加する見込みである。また、それに連動する形で、高等学校の「国語」からは文学の比重が減ることが予想されている。このように「実用性」を強調し、「文学」を特殊な領域に囲い込もうとする大学入試改革・教育政策はいかなる点で問題なのか。その変化の背景にある、日本社会全体に蔓延した「ことば」に対する偏った見方とは何か。そして、なぜ今の時代にこそ文学的知性と想像力が重要なのか。東京大学文学部の5名の有名教授陣が、各専門の立場から問題意識を熱く語った、必読の講演録!
  • あやめ 鰈 ひかがみ
    3.9
    幽明の境を彷徨う魂。交響し合う3つの物語――冥界への入り口に咲くというあやめの名を持つスナックで、同級生との再会を待ち望む男。酒宴のために仕入れた鰈を詰めたアイスボックスを抱えたまま、地下鉄から降りることのできない男。横たわる妹のひかがみに触れた手が、噛み千切られる妄念に陶然となる男。妖しく絡み合う3つの物語。木山捷平文学賞受賞作。
  • インヴィンシブル
    4.4
    《レギスⅢへの着陸完了。サブ=デルタ92型砂漠惑星。われわれは第二手順に則ってエヴァナ大陸の赤道地帯へ上陸する》この通信から40時間後、まったく意味をなさない奇妙な音声を伝えてきたのを最後に消息を絶ったコンドル号を捜索するため、二等巡洋艦インヴィンシブル号は琴座の惑星レギスⅢに降り立った。そこは見わたす限りの広大な大地に生命の気配のない、赤茶けた灰色の空間であった。やがて、偵察のために投入された撮影衛星が人工的な構造物をとらえ、探索隊が写真が示す地点へと向かう。たどり着いたのは、奇怪な形状を有し廃墟と化した《都市》であった。《都市》の内部へと足を踏み入れ、調査を進める探索隊であったが、そこにコンドル号発見の知らせがもたらされる。急ぎ現地に向かった一行が目にしたのは、あたり一面に物と人骨が散乱し、砂漠にめり込んでそそり立つ、変わりはてたコンドル号の姿であった。謎に満ちたこの惑星でいったい何が起こったのか!?――『エデン』『ソラリス』からつらなるファースト・コンタクト三部作の傑作のポーランド語原典からの新訳。

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  • 幽 花腐し
    5.0
    中華街のバーで、二十年以上前に遇った女の幻影に翻弄される男の一夜を描く、事実上の初小説「シャンチーの宵」、芥川賞候補作「幽」、同受賞作「花腐し」ほか全6篇。知的かつ幻想的で、悲哀と官能を湛えた初期秀作群。社会から外れた男が生きる過去と現在を、類稀な魅力を放つ文体で生々しく再現し、小説の醍醐味が横溢する作品集。
  • 火星からの来訪者
    3.8
    第二次世界大戦でドイツが降伏した頃、アメリカのノースダコタ州とサウスダコタ州の境に隕石らしきものが落下する。しかしそれはただの隕石ではなく、火星から飛来したロケットであった。その中に乗り込んでいた奇妙な「火星からの人」がニューヨーク郊外の研究所に運び込まれ、科学者や技師などからなるチームが極秘のうちに、この火星人とのコミュニケーションを試みるが……『金星応答なし』に5年ほど先立つ、レムの本当のデビュー作とも言うべき本格的SF中篇『火星からの来訪者』、若き医師ステファン・チシニェツキは、町を歩いているときにユダヤ人と取り違えられて捕まり、他の無数のユダヤ人とともに貨車に押し込められ収容所に送られてしまう。ユダヤ人移送の決定的瞬間を描いた「ラインハルト作戦」、広島への原爆投下を主題にした、世界でもっとも早い文学作品の一つであり、SF的想像力を駆使して爆発の光景が創り出された「ヒロシマの男」など、レムがまだ20歳代だった1940年代から1950年にかけて書かれた、いずれも本邦初訳となる初期作品を収録。《星をちりばめた闇に茫然と言葉を失う者は/とても孤独で詩人に近い。》

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  • かもめ
    3.9
    19世紀末ロシアを舞台に描かれる作家志望の男と女優を夢見る女の恋。35歳のチェーホフが“恋だらけの物語”として構想した戯曲は、様々な演出家や時代によって形を変え、100年以上の時を経てなお、世界各地で愛され続けている。「人生の本質を見る真の繊細なまなざしを獲得した」と評された演劇史上不朽の名作が今、現代を生きる人々のための瑞々しい名訳となって甦る。
  • 完全な真空
    4.3
    「新しい宇宙創造説」「ロビンソン物語」「誤謬としての文化」など、名作『ソラリス』の巨人が文学、SF、文化論、宇宙論を換骨奪胎。パロディやパスティーシュも満載の、知的刺激に満ちた<書評集>。
  • 黄昏客思
    5.0
    1巻1,527円 (税込)
    己を人生の客となし、背後に時間はたゆたう。 怜悧な思索と生の官能とが反響しあう二十篇の随想。 人生の黄昏、わたしはこれから何をするのか、と自問する瞬間が訪れる。答えのない問いを「正しく問う」道標を探す香気高い随想集。
  • 作家と楽しむ古典 松尾芭蕉/おくのほそ道 与謝蕪村 小林一茶 近現代俳句 近現代詩
    -
    芭蕉・蕪村・一茶、そして近現代詩・俳句へ――。数々の名句・名詩の魅力や読み解き方、歴史を、第一線の作家と俳人がやさしく深く講義する最良の詩歌入門。人気シリーズ第5弾。
  • 小学館世界J文学館 真紅の帆
    -
    ※本作品は『小学館世界J文学館』(紙版)に収録されている同タイトルの作品と同じ内容です。 奇跡は自分で起こす! 究極のロマンチック小説。 カペルナ村に住むアッソーリは、妻を亡くした男が一人で育て上げた夢見がちな少女。ある日、旅する老人から「いつか真紅の帆の船に乗った王子が、おまえを迎えにくるだろう」と告げられる。村人からばかにされても、アッソーリはこのことばを信じ続ける。 グレイは資産家の息子だが、船長にあこがれて15歳で家を飛び出す。厳しい船乗り生活に耐えて20歳で自分の船「シークレット号」の船長となる。 航海の途中で、カペルナ村に立ち寄ったグレイは、海岸の中で眠っている不思議な少女、アッソーリを見つける。アッソーリに魅せられたグレイは、少女が信じている「奇跡」を、自分の手で起こそうと動き出す……。 夢をかなえようとする強い意志は、最後には現実を変えて勝利する! ロシアの作家、アレクサンドル・グリーンの圧倒的なロマンティズムに満ちあふれた傑作! なお本書には、1967年刊の邦訳版(「深紅の帆」原卓也訳、河出書房刊)に人気画家、金子國義が描いた挿絵を全点復刻掲載した。 (新訳) ※この作品は一部カラーが含まれます。
  • 小学館世界J文学館 チェーホフ作品集
    -
    ※本作品は『小学館世界J文学館』(紙版)に収録されている同タイトルの作品と同じ内容です。 子どもたちと動物たちの、悲しく、かわいく、少しほろ苦い物語。 ロシアの小説家・劇作家、チェーホフの6作品を収録。 「カシタンカ」…雑種犬カシタンカは、街で主人とはぐれてしまう。親切な男が助けてくれるが、男は動物芸人で、カシタンカも芸を仕込まれることに。ガチョウとネコとブタといっしょに芸を学びはじめる。 「男の子たち」…ボロージャぼっちゃんが家に帰ってきた。いっしょに来た同級生は考えぶかそうな無口な子で、時々奇妙なことばを口にする。「わしの名はモンテホモ。人呼んで<鷹の爪>」二人は何か秘密の計画を立てているようだが…? 「ワーニカ」…9歳のワーニカは靴職人の見習い奉公中。ある晩故郷のじいちゃんに宛てて手紙を書く。「じいちゃん、お願いだから、おれをここからつれてって」……ワーニカの必死の手紙はじいちゃんに届くだろうか。 「牡蠣」…仕事がなく、ついに物乞いするまでに落ちぶれた父親と少年。少年は居酒屋の看板に「牡蠣」という未知の単語を見つける。どんな食べものだろう。なんだかキモそう。でも食べてみたい。「カキをください!」叫び声をあげる少年に、通りすがりの紳士は……。 他に「おでこの白い子犬」「ねむい」を収録。 ※この作品は一部カラーが含まれます。
  • 掌篇歳時記 秋冬
    3.6
    綿柎開(わたのはなしべひらく)、水始涸(みずはじめてかるる)、朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)――。季節を表す言葉を鍵に、物語は膨らんでゆく。十二人の作家の想像力で、旧暦「二十四節気七十二候」が現代の物語に生まれ変わった。六世紀ごろに大陸から伝わり、改暦を重ねながら明治の初めまで用いられてきた旧暦。そこには春夏秋冬の四季に留まらない、さらにこまやかな季節が織り込まれている。大暑や立秋、大寒といった季節の節目を表す二十四節気と、「地始凍」「熊蟄穴」など、動植物や空模様がそのまま季節の呼び名に採り入れられている七十二候。古来伝わる“季節の名前”が現代の作家たちを刺激し、味わい豊かな掌篇に結晶した。<旧暦の魅力を知る解説つき>」*電子版には筒井康隆「蒙霧升降」は収録されていません。西村賢太「乃東枯」重松清「鷹乃学習」町田康「大雨時行」長野まゆみ「綿柎開」柴崎友香「玄鳥去」山下澄人「水始涸」川上弘美「蟋蟀在戸」藤野千夜「霎時施」松浦寿輝「地始凍」柳 美里「朔風払葉」堀江敏幸「熊蟄穴」白井明大「輪のようにめぐる季節のさなかで 二十四節気七十二候について」
  • 磯崎新論
    5.0
    2022年12月28日に91歳で亡くなった世界的建築家・磯崎新。 「デミウルゴスの化身」たらんとした「アーティスト/アーキテクト/アーバンデザイナー」が求めた〈見えない建築〉とは何か? 群像連載の前人未到/正面突破の決定版「磯崎新論(シン・イソザキろん)」がついに単行本化! 「それゆえわたしはここで、たとえ無謀ではあっても、アーティスト/アーキテクト/アーバンデザイナーの全領域の総体をテクストとしてまるごと扱い、自分なりの磯崎新(ルビ:デミウルゴス)像をくっきりとした輪郭で描くことを選ぶ。「シン・イソザキ論」という、庵野秀明の『シン・ゴジラ』や『シン・エヴァンゲリオン』をもじったような別名の併記は、磯崎最初期のSF的マニフェスト「都市破壊業KK」における「SIN/ARATA」という二体の分身への自己分裂に対応している。それをルビで表わすこともまた、この種の分裂状態を象徴する磯崎特有の書体の擬態(ルビ:もどき)である。「シン」は間違っても「真」ではなく、「磯崎新論(ルビ:シン・イソザキろん)」という表記はむしろ、みずから「新(ルビ:SIN)」なるもの─他者─であろうとする自覚の表現なのだ。」(本文より) ※電子書籍版では一部図版の掲載を割愛しております。
  • 政治の美学 増補新装版 権力と表象
    -
    ナチズムの映像表象、権力の身体性、男性結社のエロス、建築と政体の関係を鋭く分析し、政治的暴力が美化され、エロティックなものにさえなる情動の論理を探究する表象文化論の極北を、その後の著者の研究を概観し、展望する論考を増補し、装いも新たに復刊する。 《書物復権2025》 【主要目次】 序 I 一九七〇年代のナチ・テロル・ロック――時代論 序 「ファシズムの美学」再考――スーザン・ソンタグ「魅惑するファシズム」 第1章 キッチュな黙示録――ハンス・ユルゲン・ジーバーベルク『ヒトラー、ドイツからの映画』 第2章 白い恐怖、赤い亡霊――クラウス・テーヴェライト『男たちの妄想』と一九七〇年代ドイツ 第3章 自殺するロックンロール――デヴィッド・ボウイにおけるロック・イデオロギー II 権力の身体――政体論 序 権力の三つの身体――聖体から革命の身体へ 第1章 ギリシア幻想の身体――ヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマンと古代の模倣 第2章 レヴィヤタン解剖――イメージ・表象・身体 第3章 子午線のデザイン――カール・シュミット『大地のノモス』 第4章 「英霊」の政治神学――橋川文三と「半存在」の原理 III 男たちの秘密――結社論 序 男性結社のエロス――三島由紀夫と結社論の諸問題 第1章 主権の秘密――オットー・ヘフラー『ゲルマン人の祭祀秘密結社』とその周辺 第2章 戦士の到来――社会学研究会とジョルジュ・デュメジル 第3章 亡命者たちの山――日本における男性結社論の系譜 IV 建築と政体――表象論 序 建築空間の政治学――ミース、アールト、ル・コルビュジエ 第1章 近代というナルシス――ル・コルビュジエの遡行的問い 第2章 小国民の建築――アルヴァ・アールトの「小さな人間」 第3章 ファシズムの表象――ジュゼッペ・テラーニの倒錯的合理主義 第4章 「どうしようもないもの」との葛藤――堀口捨己における日本・近代・建築 エピローグ 註 跋 補 章 「政治的感性術」の分裂生成に向けて 増補新装版 跋 附録/年表/書誌・フィルモグラフィ・ディスコグラフィ/図版一覧/人名索引/事項索引
  • 青天有月 エセー
    -
    黄昏と暁闇、反射と点滅など、光を主題としたエセー。「文学」とは光であることを、稀代の表現者が知性と感性を尽くして綴る、珠玉編――黄昏と暁闇、反射と点滅、傷と紐、月と放心、死……モンテーニュ『エセー』にいざなわれ、心をよぎる思いを、筆に随うままに綴った、<光>をめぐる15の変奏。ゴダール、スタンダール、ボードレール、シェイクスピア、吉田健一、西脇順三郎、李白、バルト、アンデルセン……。先人たちのイメージと自らの知性と悟性と感性で、光=言葉が生まれる一瞬を描写した、思索と詩魂の結晶。
  • 世界の名作を読む 海外文学講義
    -
    時を超え、世界中で読み継がれる文学の古典は、21世紀を生きる私たちにとってなお身近な感覚や切実な問いを突きつけている。 『ドン・キホーテ』『罪と罰』『ボヴァリー夫人』『失われた時を求めて』などの大作から、チェーホフやカフカ、メルヴィルの短篇まで、フィクションを読む技法と愉しみを知りつくした4人が徹底解説。 放送大学でロングラン9年の大人気講義に原典の名訳・新訳を交えて再構成した、海外文学案内の決定版。 ※本書には、紙版の第16章に収録されている下記3作品の抜粋は、版権上の理由により収録されておりません。   イタロ・カルヴィーノ『魔法の庭』 (和田忠彦訳)   イタロ・カルヴィーノ『楽しみはつづかない』 (和田忠彦訳)   イタロ・カルヴィーノ『ある夫婦の冒険』 (和田忠彦訳)
  • 世界は文学でできている~対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義~
    4.1
    1巻1,100円 (税込)
    東京大学の沼野充義(ロシア文学)教授と最前線で活躍する作家・学者たちが「新しい世界文学」について熱く語り合う! 世界文学とは、もはや読むべき価値のある古典作品のリストではなく、言語の別を超えたまったく新しい文学のありようなのだ。世界文学を通じてわれわれはどう生きるべきか、現在到達しうる最深の知見がちりばめられた対談集。ゲスト:リービ英雄、平野啓一郎、ロバートキャンベル、飯野友幸、亀山郁夫。
  • 世界文学大図鑑
    5.0
    文学を愛するすべての人に、次の一冊をさがしているあなたに贈る。 古今東西の「世界文学」の主な潮流を、オールカラーの図版満載でわかりやすく解説。 本編で扱う100編あまりに加え、「もっと知りたい読者のために」でさらに200編を超える作品を紹介。
  • 捜査・浴槽で発見された手記
    5.0
    イギリス各地の墓地にある死体安置所で奇妙な事件が起こる。初めのうちは死体が姿勢を変えたというちょっとした出来事だったのだが、やがて事件は死体が忽然と消えうせるという思わぬ事態へと展開する。いずれの場合も、死体消失が起こるのは霧深い深夜から早朝にかけてのことで、犯人も動機もまったく分からない。捜査の任を負ったスコットランド・ヤードのグレゴリー警部補が真相の解明に乗り出すが、真犯人につながる手がかりは見つからないまま捜査は難航を極める……冬のイギリスを舞台に展開するメタ推理小説ともいうべき『捜査』、3000年前、初期軌道探査遠征隊が持ち帰ったハルツィウス因子が、地球全体でパピル分解疫を引き起こした。これによりすべての紙は分解され、地球文明は記録も知識も失って崩壊した。未来の考古学者は長年の調査の末、ロッキー山脈の地層の下の巨大地下建造物〈第三ペンタゴン〉の遺跡から、奇跡的に保存されていた1篇の手記を発見する。『新第三紀人の記録』と題されたこの手記には、多層の迷宮のような建造物の中をさまよい歩く書き手の驚くべき経験が記されていた――疑似SF的不条理小説ともいうべき『浴槽で発見された手記』、レムの多面性を示す2篇を収録。

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  • それでも世界は文学でできている~対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義3~
    4.5
    1巻1,100円 (税込)
    東京大学の沼野教授(ロシア文学)が、文学界の第一線で活躍する作家、詩人、エッセイスト、翻訳家たちと熱く語り合う人気対談集、第3弾。言葉やジャンルの圧倒的な多様性を前に、われわれはそこからどのような普遍性を見出すのか。文学は人間にとってお金よりも権力よりも大事なものである、と納得できる究極の読書ガイド。ゲスト:加賀乙彦、谷川俊太郎、田原、辻原登、ロジャー・パルバース、アーサー・ビナード。
  • 男性作家が選ぶ太宰治
    4.0
    「この作品が自分は一番嫌いだ」(奥泉光選「道化の華」)、「不思議な明るさに包まれた怯えの百面相」(堀江敏幸選「富嶽百景」)、「『男性というものの秘密』を知っている作家」(松浦寿輝選「彼は昔の彼ならず」)――七人の男性作家がそれぞれの視点で選ぶ、他に類を見ない太宰短篇選集。
  • チェーホフ 七分の絶望と三分の希望
    -
    1巻2,607円 (税込)
    チェーホフとは何者だったのか? 不幸な子供時代、チェーホフをめぐる女たち、ユダヤ人問題、狂気と牢獄、世紀末ロシアのオカルト信仰、革命、喜劇問題、サハリン、病――ロシア・ポーランド文学の第一人者が、世界的短篇作家チェーホフの文学とその知られざる素顔を、新資料を駆使して描く新しいチェーホフ論。
  • 地球の平和
    3.0
    自動機械の自立性向上に特化された近未来の軍事的進歩は、効果的かつ高価になり、その状況を解決する方法として人類は軍備をそっくり月へ移すことを考案、地球非軍事化と月軍事化の計画が承認される。こうして軍拡競争をAI任せにした人類であったが、立入禁止ゾーンとなった月面で兵器の進化がその後どうなっているのか皆目わからない。月の無人軍が地球を攻撃するのでは? 恐怖と混乱に駆られパニックに陥った人類の声を受けて月に送られた偵察機は、月面に潜ってしまったかのように、一台も帰還することがなかったばかりか、何の連絡も映像も送ってこなかった。かくて泰平ヨンに白羽の矢が立ち、月に向けて極秘の偵察に赴くが、例によってとんでもないトラブルに巻き込まれる羽目に……《事の発端から話した方がいいだろう。その発端がどうだったか私は知らない、というのは別の話。なぜなら私は主に右大脳半球で記憶しなくてはならなかったのに、右半球への通路が遮断されていて、考えることができないからだ》レムの最後から二番目の小説にして、〈泰平ヨン〉シリーズ最終話の待望の邦訳。

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  • 月岡草飛の謎
    5.0
    1巻2,000円 (税込)
    老俳人・月岡草飛が行くところに怪異あり? それは実際に起こった――そういうことだ。 俳人・月岡草飛は妻を亡くして気まま放題。月岡のもとには、謎めいた依頼の数々が持ち込まれる。 生きる欲望に貪欲に突き進むうち、いつしか異界に迷いこむ。 名手が贈る、ブラック&ナンセンスな奇譚集。 それはごく小さな空間で、真っ白な蓬髪を肩まで伸ばした老人が椅子に座り、背を丸め、眉根にしわを寄せて、 自分の前の台のうえに置いた大きなフラスコの中をじっと見つめていた。 月岡が思わず怯んだのは、その凝視のまなこに狂気の光としか呼びようのないものが炯々と輝いていたからだ。――本文より
  • つまり、読書は冒険だ。~対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義5~
    5.0
    1巻1,100円 (税込)
    文芸評論家としても知られる東大・沼野教授が、最前線で活躍する作家、翻訳家、研究者たちと、これからの〈世界文学〉について熱く語り合う。いま世界の文学では何が起こっているのか? いま文学に何ができるのか? 文学者たちのリアルな声、思考、情熱が伝わってくる人気対談集第5弾。〈ゲスト〉川上弘美、小野正嗣、張競、ツベタナ・クリステワ、東京大学現代文芸論研究室
  • 徹底討議 二〇世紀の思想・文学・芸術
    -
    二つの世界大戦から、革命と共産主義、無意識とセクシュアリティ、言語論的転回、アメリカの亡命者たち、映画と精神分析とファシズム、ホロコーストの記憶、構造主義、「歴史の終わり」、情報テクノロジーの進展、世界文学、そして「廃墟としての未来」まで……時代の転回期に「二〇世紀の夢」を振り返る徹底討議。 ■目次 第一回 世紀の開幕 第二回 世界内戦1.0 第三回 革命と共産主義 第四回 無意識とセクシュアリティ 第五回 言語論的転回とその〈谺〉 第六回 亡命者たちのアメリカ 第七回 「映像」の運命 第八回 世界内戦2.0 第九回 批評の革新 第十回 エイティーズ  『空白』の時代 第十一回 インターネットの出現 第十二回 〈世界文学〉のために 後記
  • 電脳の歌
    3.5
    《宇宙がまだ今日ほど乱れていなかった頃、すべての星はきちんと並んでいたので、左から右に、または、上から下に容易に数えられたし、大きめで青い星々は別個にひとかたまりになり、小さめで黄ばんだ星々は二級天体として隅っこに追いやられ、宇宙空間にはいかなる埃も塵も星雲ごみも見当たらなかった、そんな古き良き時代、〈永久全能免許状〉を持つ建造師たちが時折旅に出ては、遠く離れた人々に親切な忠告や助けをもたらすのが通例であった》 かくて全能のロボット建造師トルルルとクラパウツィウスのふたり組は、中世の騎士のごとく広大無辺の宇宙を隅から隅まで旅し、行く先々で権力に貪欲な惑星の王たちや、暗黒に住まう未知の怪物からつきつけられるとんでもない難題の数々にぶち当たる羽目に。──そんなふたりの奇想天外、奇妙奇天烈、抱腹絶倒の冒険を、諧謔と風刺、機智とユーモア、パロディに言語遊戯、文体実験や文明論的批評などを交えて寓話風に描いた愉快な連作短篇集。 邦訳版『宇宙創世記ロボットの旅』には未収録だった作品を精選増補し、新訳および本邦初訳でお届けする決定版。

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  • 都市の詩学 増補新装版 場所の記憶と徴候
    -
    詩や小説、絵画、写真、映画など多彩なテクストやイメージを対象に都市こそが可能にしてきた想像力の経験の根拠であり、関係性の論理たる「詩学」を明らかにする表象文化論の極北を、その後の著者の研究を俯瞰し、軌跡を辿る論考を増補し、装いも新たに復刊する。 《書物復権2025》 【主要目次】 序 都市の詩学 第1章 都市の伝記――類型・類推・幼年時代 第2章 「メタ世界」としての都市――アルド・ロッシの言葉なき建築 補論1 忘却の詩学、類推の書法――アルド・ロッシの言葉なき建築(続) 第3章 靑天白日覓亡市――小村雪岱『日本橋檜物町』 光・闇・黄昏 第4章 自然の無関心――畠山直哉「都市とその起源」 第5章 チマタのエロティシズム――映画による夕占(ゆうけ) 神話と科学 第6章 生者と死者のトポロジー――心の考古学(一) 第7章 アハスウェルスの顔――心の考古学(二) 補論2 「時のかたち」の形態学 第8章 装飾という群衆――神経系都市論の系譜 補論3 神経系イメージ学へ 第9章 都市のアニミズム――カミの原風景 遊戯の規則 第10章 犬の街――境界の叙事詩、森山大道『新宿』 第11章 狩人たちの物語――連歌としての路上観察 第12章 都市という驚異の部屋――博物誌の知再考 景観の論理 第13章 無縁の根源――河原という魂の市庭(いちば) 第14章 方法の生態学――ダーウィン、ベンヤミン、宮本常一 結び――郷愁と予感 第15章 都市の詩学――萩原朔太郎のステレオ写真 註 跋――波打ち際の知 補 章 「かげ」の都市論のために 増補新装版 跋 年表/書誌/図版一覧/索引
  • 人外
    4.5
    1巻2,398円 (税込)
    第72回野間文芸賞受賞作。神か、けだものか。アラカシの枝の股から滲みだし、四足獣のかたちをとった「それ」は、予知と記憶のあいだで引き裂かれながら、荒廃した世界の風景を横切ってゆく。死体を満載した列車、空虚な哄笑があふれるカジノ、書き割りのような街、ひとけのない病院、廃墟化した遊園地。ゆくてに待ち受けるのは、いったい何か?世界のへりをめぐるよるべない魂の旅を描く傑作小説。
  • 8歳から80歳までの世界文学入門~対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義4~
    3.0
    1巻1,100円 (税込)
    本を読むのに早すぎるも遅すぎるもない! 創作の最前線で活躍し、またプロの本読みでもある作家・翻訳家たちが、みずからの読書遍歴や、自著にまつわるエピソード、世界文学への思いを熱く語る! 世界と日本の文学を知り尽くす東大・沼野教授の好評対談集第4弾。ゲスト:池澤夏樹、小川洋子、青山南、岸本佐知子、マイケル・エメリック。
  • 半島
    5.0
    勤めていた大学に辞表を出し、寂れた島に仮初の棲み処を求めた迫村。月を愛でながら己の影と対話し、南方から流れついた女と愛し合い、地下へ降りて思いがけぬ光景を目にし、現実とも虚構ともつかぬ時間が過ぎていく。この自由も、再生も、幻なのか? 耽美と迷宮的悦楽に満ちた傑作長篇。読売文学賞受賞作。
  • ハーバード大学ダムロッシュ教授の世界文学講義 日本文学を世界に開く
    5.0
    世界文学とはなにか。国際的に活躍する文学研究の第一人者が古今東西縦横に、世界のあらゆる文学作品との比較の中で、日本文学の魅力を語る。今まで比較されることのなかった作家をあえて関連づけることによって文学の新たな可能性を見出し、刺激的な読書の世界へ誘う。 【主要目次】 はじめに 第一章 近世の世界文学 第二章 文学と近代化 第三章 文学とグローバリゼーション 対 談 ダムロッシュ×沼野充義
  • バウハウスってなあに?
    4.0
    「バウハウス」を知っていますか? 2019年はバウハウス創立100周年。バウハウスなくして、アート・建築・デザインは語れません。本書はバウハウス・デッサウ財団による、初の入門絵本です。 ドイツ郊外に住むロッテとマックスのきょうだいが、建築家の父と一緒にデッサウを訪れ、バウハウス校舎を見学しながら様々な質問をし、父が一つ一つ丁寧に答えていきます。 バウハウス工房って何だったの?/どうしてバウハウスには曲線の飾りがないの?/どうして白いの?/どうしてデッサウに建っているの? といった造形的なことや歴史的背景に関するものから、バウハウスってIKEAにもあるの?/どうして今でもこんなにたくさんの人がここにやって来るの? といった現在に至ることまで、質問は50個。バウハウスの理念や当時の様子、バウハウス製品の特長も楽しく学ぶことができます。カラフルでおしゃれなイラストにも、バウハウスの秘密がたくさん隠れています。 ユネスコ世界文化遺産にも指定されているバウハウスのことが、この1冊でよくわかる! 巻末に人名解説と用語解説、バウハウス年譜付き。磯崎新氏、深澤直人氏推薦!
  • BB/PP
    4.0
    1巻1,771円 (税込)
    沙汰のかぎりを尽くし、生身の女の血肉にはもう飽いた、という現代の青ひげ公BBが余生の伴侶として購入した最高級の人工知能を持つ美しい女PP。夫への愛と尊敬のみをインプットされ、世界のことも異性のことも何も知らない真っ白なカンバス地のようなこの女なら愛せるようになるかもしれない、切り刻みたくなったりはしないかもしれない、と密かに思うBBだったが……。衝撃の表題作ほか全9編を収める芥川賞作家の傑作小説集
  • 文庫で読む100年の文学
    4.0
    二一世紀に読み継いでいきたい文学とは。第一次世界大戦直前から現代まで一〇〇年の海外文学六〇冊、日本文学四〇冊を、文庫本限定でセレクト。現代文学の最前線に立つ作家、翻訳家、文学者ら五三名が愛の記憶、歴史と社会、生命のきらめき、想像力の冒険のジャンルごとに解説する。“ポケットに入れられる世界文学全集”の提案。
  • 香港陥落
    3.8
    1巻1,881円 (税込)
    1941年12月8日未明、日本軍はハワイオアフ島の真珠湾軍港を奇襲攻撃、太平洋戦争が始まった。さらに同日未明、当時イギリスの植民地だった香港攻略作戦を開始した日本軍は18日に香港島へ上陸、25日、イギリスは全面降伏。以降、香港は3年8ヵ月にわたって日本の統治下に置かれた―― 元ロンドン駐在の外交官・谷尾悠介、イギリスから香港へ流れ着いて通信社で働くリーランド、香港の貿易商・黄。日本軍が占領する直前のイギリス領香港で出会った国籍の異なる三人。酒と広東料理とシェイクスピアを愛する男達が、それぞれが秘密を抱えながらも奇妙な絆で結ばれていく。過酷な時代の狂風が吹き荒れる中、国家と個人はどう向き合えばいいのか。谷崎潤一郎賞・ドゥマゴ文学賞のダブル受賞作『名誉と恍惚』を凌ぐ、傑作長篇。
  • マゼラン雲
    4.5
    《私は、二百二十七名の一員として、太陽系の外を目指し、地球を発った。計画した目的を果たし、旅が始まって十年目の今、我々はこれから帰還の途に就く》32世紀。高度な科学技術的発展を成し遂げ、内太陽系をも生活圏とした人類は、その能力と野心を一層満たすために、ついに史上初の太陽系外有人探査計画に着手、地球に最も近い恒星であるケンタウルス座α星へ向かう決定を下した。そんな時代に、グリーンランドの小都市で医師の家庭に生まれた少年は、成長期の体験から宇宙航海士になることを決意、この有人探査計画を聞きつけると、遠征隊の審査試験に合格するために研鑽を重ね、晴れて巨大探査船ゲア号に搭乗する選りすぐりの遠征隊員の一員となる。そして迎えた出発の日、宇宙空間をゆっくりと動き出したゲア号は、次第に速度を増し、遥かなる未知の空間へと踏み出していった。暗黒の真空を突き進む旅路の果てにはいったい何が待ち受けているのであろうか?――レムが晩年まで、ポーランド国内での再版と外国語への新たな翻訳を拒み続けた幻の長篇がついに邦訳なる。映画『イカリエ-XB1』原作。

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  • 松尾芭蕉/おくのほそ道
    -
    東北・北陸の各地を旅し、数々の名句や研ぎ澄まされた散文による夢幻的紀行「おくのほそ道」の新訳に加え、芭蕉の生み出した句の中から傑作を精選、各句を深く鑑賞し、解釈する。
  • 松尾芭蕉 おくのほそ道/与謝蕪村/小林一茶/とくとく歌仙
    4.0
    東北・北陸の各地を旅し、数々の名句や研ぎ澄まされた散文による夢幻的紀行「おくのほそ道」(新訳・松浦寿輝)をはじめ、「閑(しづか)さや岩にしみ入(いる)蝉(せみ)の声」(芭蕉)、「夏河を越すうれしさよ手に草履(ざうり)」(蕪村)、「白魚(しらうを)のどつと生(うま)るゝおぼろ哉(かな)」(一茶)といった名句の数々と、連句「鳶(とび)の羽のの巻」、長詩「春風馬堤曲(しゅんぷうばていきょく)」など、江戸期俳諧三人の巨星の名句・連句を精選し、新たに評釈を付す。俳諧の文学的・詩的魅力を味わい尽くす最良の入門書。他に、鼎談形式で歌仙を愉しむ『とくとく歌仙』より「加賀暖簾の巻」なども収録。 解説=池澤夏樹 月報=:藤野可織・堀本裕樹
  • 無月の譜【毎日文庫】
    -
    1巻1,320円 (税込)
    将棋の格言、「一歩千金」を彷彿させます。 長い旅路の末についに辿り着く再生の物語です。 ――羽生善治(棋士) その駒には魂が宿っている――。棋士をめざしながら挫折した小磯竜介は、偶然から戦死した大叔父が駒師であったことを知る。大叔父は自ら考案した書体「無月」の駒を完成させた後、戦地へ発ったという。「天性の駒師」の生涯に強く惹かれた竜介は、この駒の行方を追い始める。東京からシンガポール、マレーシア、アメリカへ――そして旅の終わり、彼が目にした驚きの光景とは? 第34回将棋ペンクラブ大賞を受賞した傑作長編。
  • 明治の表象空間
    5.0
    1巻5,500円 (税込)
    行政制度・法体系・言語システム・博物誌・イデオロギー、そして文学。太政官布告から刑法典まで、教育勅語から国語辞書まで、社会進化論から新聞記事まで、歴史記述から抒情詩まで、諭吉・兆民から樋口一葉まで。明治の言説アーカイヴの総体を、徹底したテクスト読解を通じて横断的に俯瞰し、現在に直結する「表象空間」のダイナミズムを浮かび上がらせる知の決定的大著。
  • 名誉と恍惚
    4.4
    1巻4,400円 (税込)
    日中戦争のさなか、上海の工部局に勤める日本人警官・芹沢は、陸軍参謀本部の嘉山と青幇(チンパン)の頭目・蕭炎彬(ショー・イーピン)との面会を仲介したことから、警察を追われることとなり、苦難に満ちた潜伏生活を余儀なくされる……。祖国に捨てられ、自らの名前を捨てた男に生き延びる術は残されているのか。千三百枚にも及ぶ著者渾身の傑作長編。
  • やっぱり世界は文学でできている~対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義2~
    4.3
    1巻1,100円 (税込)
    文芸評論家としても活躍する東大・沼野教授による人気対談集、シリーズ第2弾。日本で海外作品の紹介や翻訳に携わる研究者・翻訳者、実際に文学を作り出している作家たちと、映画や音楽の話への脱線も楽しく、縦横無尽に語り合うことで「いま文学にできることはなにか」を探求していきます。ゲスト:亀山郁夫、野崎歓、都甲幸治、綿矢りさ、楊逸、多和田葉子。文学は実際に役にも立つ!
  • ロシア革命100年の謎
    4.0
    100年前に起きた歴史上比類のない革命――文学・芸術が先導した「理想の社会」は、なぜ矛盾に引き裂かれ、悲劇を生んだのか?知の巨人二人が革命の謎に迫る、白熱の徹底対論!
  • ロシアの鎖を断ち切るために――皇帝とボリシェヴィキを相手に闘ったボリス・サヴィンコフ
    -
    ★作品社公式noteで沼野充義氏による「解説」公開中→「ロシアの鎖を断ち切るために 試し読み」で検索! サヴィンコフ、没後100年。 その数奇な生涯を克明に描いた記念碑的大作! なぜロシアで、自由で民主的な共和体制が実現しなかったのか?  ボリス・サヴィンコフ(筆名ロープシン)の代表作『蒼ざめた馬』は、自らの経験に基づきテロリストたちの懊悩、葛藤を掘り下げた傑作で、世界中に一大センセーションを引き起こした。日本でも愛読者は多く、五木寛之がロープシンのこの作品に想を得て『蒼ざめた馬を見よ』を書いたのはよく知られている。本書は、ドストエフスキーの思想を継承し、カミュにも影響を与えたというサヴィンコフの思想の足取りを、綿密な調査と貴重な史料を駆使して、詳細に辿っていく。  サヴィンコフはエスエル(社会革命党)の武闘団のテロリストとして、帝政ロシアの打倒を目指し、二月革命後には政治的な要職につき一時期は表舞台で活躍する。しかし、十月革命後はボリシェヴィキ政権に反対する立場に回り、レーニン暗殺を企てたりもするが失敗に終わる。その後、西側に逃れチャーチルやムッソリーニなどと親交を結ぶが、ソ連領に潜入したところを逮捕され、獄中で亡くなる。サヴィンコフが夢見た、自由で民主的な共和政体はなぜ、ロシアで実現しなかったのか、という著者の問いかけは、こんにちのロシアを考えるうえでもきわめて重要な問いといえよう。 〈不屈の主人公の闘いは完全に過去のものとなったわけではない。だってそうではないか。自由を求める闘いはロシアでいまだに続いている。いやアメリカでも。世界中で。〉――本書「解説」より 沼野充義(ロシア/ポーランド文学者 東京大学名誉教授) 〈サヴィンコフの人生は小説のように読めるかもしれない。しかしその結果は現実であり、そこにはいくつか教訓もある。サヴィンコフが実行したテロは過去のものであり、歴史的記録の一部として封印しておかねばならない。現代では、大義がどれほど崇高であろうとも、こういった暴力はいっさい容認できない。しかし、彼を衝き動かした理想、そして自由なロシアを実現するための闘いが、一〇〇年前と同じくこんにちもきわめて重要であることに変わりはない。自由と権威主義の闘いはいまも続いているのだから。〉――本書「日本語版序文」より 【目次】 日本語版序文 ウラジーミル・アレクサンドロフ 著者からひと言 第1章 ロシアでは個人的なことはつねに政治的なこと 第2章 大臣 第3章 大公 第4章 破局 第5章 岐路 第6章 前線の背後で 第7章 革命を守る 第8章 ボリシェヴィキとの闘い――内戦編 第9章 ボリシェヴィキとの闘い――国外編 第10章 終局 第11章 賭博者の最後の一手 エピローグ 謝辞 蘇るサヴィンコフ――自由を求める闘いはいまも続く 沼野充義 関連地図/登場人物/書誌/原注/人名索引 【著者・訳者プロフィール】 ウラジーミル・アレクサンドロフ(Vladimir Alexandrov)(著) ニューヨークのロシア移民の家庭で育つ。プリンストン大学で比較文学の博士号を取得。ハーヴァード大学のスラヴ学部で教えた後、1986年にイェール大学のスラヴ学部に移り、2018年に退職するまで、ロシアの文学と文化について学部と大学院で教鞭を執る。イェール大学名誉教授。著書に『かくしてモスクワの夜はつくられ、ジャズはトルコにもたらされた』(竹田円訳、白水社、2019)、『アンドレイ・ベールイ─主要な象徴主義小説』(ハーヴァード大学出版局、1985)、『ナボコフの異世界』(プリンストン大学出版局、1991)、『解釈の限界─「アンナ・カレーニナ」の意味』(ウィスコンシン大学出版局、2004)(いずれも英語、未邦訳)など。 竹田 円(たけだ・まどか) (訳) 翻訳家。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了。スラヴ文学専攻。訳書に、ジョシュア・グリーン『モラル・トライブズ──共存の道徳哲学へ』(岩波書店)、マリア・レッサ『偽情報と独裁者──SNS時代の危機に立ち向かう』(河出書房新社)、イアン・ジョンソン『中国の反体制活動家たち──閃光の抵抗運動史』(河出書房新社)ほか。
  • ロシアの暮らしと文化を知るための60章
    4.5
    ロシアの多面性をこの一冊で実感。都市生活、自然、文化、芸術、食生活など、現代ロシアのさまざまな側面を、執筆者の専門知識と経験をもとに解説。広大な国土に息づく豊かな生活と多様な文化を鮮やかに描き出し、ロシア理解の新たな視点を提供するガイドブック。
  • ロシア文学を学びにアメリカへ? 増補版 屋根の上のバイリンガル
    3.3
    ロシア人亡命作家を追いかけ クロアチア移民とおしゃべりし イディッシュ語教室で人気者に―― 一九八〇年代、ロシア文学専攻でありながら米国に学んだ著者。 東欧系移民や亡命作家たちとの交流から得た豊かな体験談を起点に、 亡命者・移民・多言語話者の文学や言葉を縦横に考察。 ロシア・東欧文学から世界文学まで広く論じてきた著者の原点たるエッセイ。 「ハーバード生活から、三つのエピソード」他を新収録。 解説 「いつも身軽に「大事そうなもの」を集めること」奈倉有里 ニューヨークのこんな片隅のしがない食料品店の中でしぶとく生き続ける生粋のスラヴ語が聞けたという事実に嬉しくなったぼくは、つい好奇心にかられて、「いったい何語をしゃべっているんだい、スラヴ語みたいに聞こえるけど」と男の子のほうに脇から話しかけてしまった。 (「ブライトン・ビーチのロシア語街」より抜粋)
  • わたしが行ったさびしい町
    4.0
    泡粒のように浮かんできては消えてゆく旅先の記憶。ペスカーラ、名瀬、シャトー=シノン、台南、トラステヴェレ、コネマラ、タクナ、長春、中軽井沢……。日常を離れた旅の途上で、人は凝り固まってしまっていた観念や思い込みを脱ぎ捨て、心も躯も身軽になる。こんな時代だからこそ読みたい、活字で旅する極上の20篇。

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