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第72回野間文芸賞受賞作。神か、けだものか。アラカシの枝の股から滲みだし、四足獣のかたちをとった「それ」は、予知と記憶のあいだで引き裂かれながら、荒廃した世界の風景を横切ってゆく。死体を満載した列車、空虚な哄笑があふれるカジノ、書き割りのような街、ひとけのない病院、廃墟化した遊園地。ゆくてに待ち受けるのは、いったい何か?世界のへりをめぐるよるべない魂の旅を描く傑作小説。
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Posted by ブクログ
「人外(にんがい)」(松浦寿輝)を読んだ。 面白い! アラカシの枝の股から滲みだした(神ともけだものともつかない)「それ」が、(何故か過去の記憶に囚われ)探し求める「かれ」とはたして出会えるのかどうか。 そして「世界」は滅びようとしている。 少し難解なところもあるけれどしだいに物語に惹きつけ...続きを読むられていく。 印象深い文章をひとつだけ抜きだす。 『世界と世界ならざるものとの境界に身を置きその両方に魅了され引っ張られ、しかしどちら側にも身を落ち着けられずにいるものだけが知るせつなさでありやるせなさであるようにおもわれた。』(本文より) 〈あゝ、われわれの世界も滅びようとしているのかもしれないな〉と、思う。
読んでいて、小説ではない一つの世界を紐解いている感覚。 極端に句点の少ない長文がだんだんと心地良く、ずっと読んでいたいけれども、世界はうつろい、物語も終焉を迎える。 らせんと円、私・わたしたちと彼、存在と不在、意識と世界。 これから何度も読み続けたい。
カワウソのような人外が、人間以上に意識を持って終末の世界を横断して行く。 何とも不思議で美しくて難しい本。 小説というより、詩を読んでる感じだった。
おもしろっ。 カワウソみたいな猫みたいな人外が ディストピア的な世界を歩くキャッチーさと 人外の意識「わたしたち」と過去と未来と偶然と必然をらせんに例えるよくわかんなさが程よいバランス。 表紙もすてき。
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