楽しみにしているレム・コレクション。第二期は順調に出版されていて誠に喜ばしいです。
実質のデビュー作である表題作含め非SF短編も含む初期作品集。書かれたタイミングは戦時中でありしかも場所は現在も禍中にあるリヴィウ。ドイツに占領されていたりポーランド領だったりソ連だったりと過酷な経緯を辿る街で、また今
...続きを読むも翻弄されています。ホロ・コーストのストレートな場面を描かれた短編も含まれており、ユダヤ人でもあったレムはこんな環境のなかでも作品を書き続けていたのがよくわかります。「ヒロシマの男」も印象的です。発表されたのは原爆投下後の二年後と早く、いかにレムも衝撃を受けていたことがわかります。感情的なじとじとした表現ではないだけに一層印象に残ります。
どれもいわく付きの作品ばかりですが、作品の観点と密度はすごい。以降の作品群にもつながる芽が含まれていて、レムは最初からレムだったことにもうなづけます。レムの作品を読むと激しく頭がかき乱され、考えることを要求されることが刺激的で大好きです。短編でも変わらないので、立て続けに読むことは難しいですが・・・次巻が楽しみ。