【感想・ネタバレ】捜査・浴槽で発見された手記のレビュー

あらすじ

イギリス各地の墓地にある死体安置所で奇妙な事件が起こる。初めのうちは死体が姿勢を変えたというちょっとした出来事だったのだが、やがて事件は死体が忽然と消えうせるという思わぬ事態へと展開する。いずれの場合も、死体消失が起こるのは霧深い深夜から早朝にかけてのことで、犯人も動機もまったく分からない。捜査の任を負ったスコットランド・ヤードのグレゴリー警部補が真相の解明に乗り出すが、真犯人につながる手がかりは見つからないまま捜査は難航を極める……冬のイギリスを舞台に展開するメタ推理小説ともいうべき『捜査』、3000年前、初期軌道探査遠征隊が持ち帰ったハルツィウス因子が、地球全体でパピル分解疫を引き起こした。これによりすべての紙は分解され、地球文明は記録も知識も失って崩壊した。未来の考古学者は長年の調査の末、ロッキー山脈の地層の下の巨大地下建造物〈第三ペンタゴン〉の遺跡から、奇跡的に保存されていた1篇の手記を発見する。『新第三紀人の記録』と題されたこの手記には、多層の迷宮のような建造物の中をさまよい歩く書き手の驚くべき経験が記されていた――疑似SF的不条理小説ともいうべき『浴槽で発見された手記』、レムの多面性を示す2篇を収録。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

レム・コレクション第2期も順調に出版されて喜ばしい限りです。
今回はレムの作品の中でも最も謎めいたものが2篇。レムの作品は危険だ。捜査はタイトル通りミステリーを感じさせるし実際ロンドン警察庁の刑事が主人公で動く死体という不可解な謎に挑むというものです。しかしなんのヒントも得られないうえに解決不可能性がほのめかされるしSF的な方向に向かうかと思えば不気味な描写もあってホラーの雰囲気。読者が思い込んでしまうカテゴリーをことごとく外していってあれ?あれ?あれ?これはどういうこと?と頭がぐるぐると回っていきます。浴槽で発見された手記にしても同様に前書きと称する部分だけガチガチのSFで架空の手記自体は全く違う。ホロコーストありソ連時代の共産主義体制批判ありで、これは完全に検閲逃れのためにSFに包んだものだろう。翻訳の巧みさにより文章自体は頭にスイスイ入ってくるのですが、理解使用とすると途端に頭がぐるぐるする。まるでウィルスを送り込まれたコンピューターのようにロジックはアクセスしてはいけない記憶域にアドレスされたり、思考がループして暴走してしまう感じか。カテゴリーも破壊し自分の思い込みや思考パターンも破壊される刺激はエンタメ作品とは別物。危険だ。レムは危険だ。すげー。

1
2024年06月17日

Posted by ブクログ

アンチミステリのカップリング。警察ものとスパイものの枠組みだけど、どちらも結論がない。こういうの好き。

1
2024年05月24日

Posted by ブクログ

SFは読まない(あと歴史物と推理小説と恋愛物も読まない)とふだん公言してるんだけどブラッドベリとか筒井康隆とか読むしむしろ好きだしレムもそう。SFへ分類するほうをやめたらいいんじゃないかな

0
2025年05月01日

「SF・ファンタジー」ランキング