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惑星ソラリス――この静謐なる星は意思を持った海に表面を覆われていた。惑星の謎の解明のため、ステーションに派遣された心理学者ケルヴィンは変わり果てた研究員たちを目にする。彼らにいったい何が? ケルヴィンもまたソラリスの海がもたらす現象に囚われていく……。人間以外の理性との接触は可能か?――知の巨人が世界に問いかけたSF史上に残る名作。レム研究の第一人者によるポーランド語原典からの完全翻訳版
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Posted by ブクログ
SF小説傑作、やっと読む機会ができました。本書は海の惑星ソラリスを研究するために宇宙ステーションに派遣された心理学者を主人公として描かれた作品です。ネタバレになりますのでストーリー関連についてはコメントしませんが、これこそ「未知との遭遇」を描いた作品という印象を持ちました。人間がどうやっても理解でき...続きを読むない知性が存在しているのではないか、そしてそれは知性が高い、低いというスケールの問題ではありません。人間とは「違う」知性の存在です。これは現在大きなテーマである人工知能を考える際の視点にもなるでしょう。ソラリスという未知の存在、そしておそらく永久に?不可知の存在ではないか、というものに対峙した時に、人間はどうなってしまうのかを考えさせられました。個人的に思ったのは、人類は歴史上、未知、あるいは不可知のものに出くわした際に(つまり当時の科学水準や論理ではどうしても説明できないものに出会ったときに)、それをハンドリングするために、神あるいは宗教というものを生み出したのではないかということです。不安を崇敬に転換する処理とも言えるでしょう。
始まりさえも覚えていないこの存在が経てきた、様々な経験や感情の一覧表だろうか?束の間の生を享けて解放された山々の願望と情熱、希望と苦悩の記述だろうか。数学が存在に、孤独と断念が豊穣に変容することだろうか。しかし、このすべては伝達不可能な知識なのだ。もしもそれを地球のいずれかの言語に翻訳しようとしても...続きを読む、価値と意味のあらゆる探索は無残な失敗に終わり、向こう側に残ったままだろう。しかし、結局のところ、『信者』たちが期待しているのは、そういった科学より詩学の名に相応しい新発見の数々ではないのだ。なぜならば、彼らは自分でもそれとは知らずに、〈啓示〉を待ち望んでいるのだから。それは人間自身の意味を説明してくれるような啓示なのだ!
惑星ソラリスの海へ 探索 実験と称してX線を照射してから 客人として登場するようになった 得体の知れないもの その現象は 人間の潜在意識の中に深く沈む何者かを具現化 実体化したもので 知性を持つソラリスの海から 未知なる人間へ向けての コンタクトのようでした その具現化したものに 恐怖 混乱 懐か...続きを読むしさ 愛情を感じてしまう人間の弱さが浮き彫りになっていました ソラリスの海の精緻でダイナミックな情景描写には ただただ圧倒され続けた 人間の叡智が全く及ばない未知なる存在の ソラリスの海 それに対峙した時の 人間の奢り 愚かさ 生物としての限界を はっきりと見せつけられた気がしました それでも 最後は太刀打ちできない存在に対して なおも立ち向かっていこうとする人間の 矜持を感じとることができました
20代の頃にタルコフスキーの「惑星ソラリス」を観て、ソダーバーグの「ソラリス」を観ました。 そして最近コミック化されたと知り、原作の本書とコミックを同時に読みました。 うっすらとそうじゃないかなぁとは思っていましたが、タルコフスキーもソダーバーグも原作とはかけ離れていて、自分としては原作が1番面白...続きを読むく、知性が高く感じました。 原作は未知とのコンタクトを本質的な主題にしていて、1番リアリティを感じました。 途中のソラリス研究の史実を語るところは冗長になりましたが、意図している所だなと理解できたので、全体としては読みやすく、とても深みのある内容でした。 アクション要素や派手な展開は皆無で、静かな思考の禅問答のような物語。 ラストが凄くいい。
惑星ソラリス。星全体が海に覆われている。ソラリスの海は高度な知性をもった未知の存在。科学者たちは長年その海を研究しているが、意思疎通・分析・理解ができない。ある日、惑星の宇宙ステーションで異変が起きたと報告があり、心理学者クリス・ケルヴィンが調査にやってくる。宇宙ステーションの研究員たちは精神異常・...続きを読む混乱をきたしており、意味不明な言動をしている。また「来訪者(visitor)」と呼ばれる存在が徘徊している。人間の姿をして物理的実体はあるが、人間ではない。ケルヴィン自身にも、死んだ妻ハリー(の複製)が現れる。ソラリスの海は人間の記憶(トラウマ・罪悪感・愛情・抑圧された過去)を読み取り、その記憶を実体化する(複製を作り出す)。ソラリスの海は敵なのか、善意なのか、会話したいのか。未知の知性と接触しても、人間はそれを自分の枠組みでしか解釈できない。人間は完全な他者を理解できない。ソラリスの海は人類側の無意識を逆照射してくる。人間は他者を理解しているのではなく、他者の中に”自分自身”を見ている。Stanisław Lem(スタニスワフ・レム)『Solaris(ソラリス)』1961 ※ポーランド *cf. メルヴィル白鯨、カフカ城、ル=グウィン闇の左手 *cf. レヴィナス絶対的他者 〇クリス・ケルヴィン。男。心理学者。理性・科学・冷静。昔、妻を自殺に追い込んでしまい、罪悪感を抱えている。 ●ハリー。女。ケルヴィンの妻。自分に注射を打って自殺。ケルヴィンは突然現れたハリーの複製に強い恐怖と混乱を覚え、ハリーの複製をロケット(脱出カプセル)に乗せて宇宙空間へ射出する。しかしハリーの複製は何事もなかったかのように再び目の前に現れる。身体が傷ついてもすぐに再生。 〇スナウト。男。研究員。皮肉屋。肘掛け椅子。未知を前にした諦念。 〇サルトリウス。男。科学者。閉鎖的。理知的。異常現象は排除・制御・解析すべき対象。 〇ギバリャン。男。科学者。自殺。ソラリスの恐ろしさを最初に体験。 ****** 人間は共感能力を持つが、アンドロイドは持たない。しかしアンドロイドも恐怖や愛着らしきものを示す。もしアンドロイドが苦しみ、恐れ、願いを持つなら、私たちはそれを無視してよいのか。人間とアンドロイドの境界が揺らぐ。Philip K. Dick『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』1968 〇リック・デッカード。男。賞金稼ぎ。アンドロイドを殺害=廃棄処理して金を稼いでいる。判断する理性。人間中心主義。電気羊(人工動物)を飼っている。人工=偽物だと分かっていても愛着は生まれる。その感情は偽物なのか。逃亡アンドロイドを殺害: ポロコフ(WPOの刑事を装う)、プリス・ストラットン(若い女)、アームガード(ロイ・ベイティーの妻)。 〇フィル・レッシュ。男。賞金稼ぎ。有能。冷酷。アンドロイド殺害にためらいがない。マックス・ガーランド(ネクサス6型,警視を装う)、ルーバ・ラフト(オペラ歌手, ムンク思春期)を殺害。 〇イーラン・デッカード。女。リックの妻。自分の気分をダイヤルで設定できる機械(ムード・オルガン)を使用。自然な感情と人工的な感情に違いはあるのか。 〇レイチェル・ローゼン。女。18歳。黒髪。アンドロイド(ローゼン社製ネクサス6型)。自分を人間だと思い込んでいる。人間の記憶を移植されている。記憶があれば人間なのか? 自分を人間だと思っていれば人間なのか? リックは人間とアンドロイドを見分けるためのテスト(フォークト=カンプフ検査)により、レイチェルがアンドロイドであると見抜く。 〇ジョン・イジドア。男。放射能汚染の影響で遺伝子が劣化。知的能力が低い。社会的弱者。孤独。静かな空きアパートで一人暮らし。脱走アンドロイド(プリス・ストラットン)にも親切。傷ついた生き物を気遣う。マーサー教の信者。マーサー教は他者の苦痛を共有することを重視。苦しみは避けられないが、苦しみを分かち合うことで孤独を超えられる。他者の苦痛や感情を疑似的に共有する機械(共感ボックス)。 〇ロイ・ベイティー。アンドロイド。外見も知能もほぼ人間と同じ(ローゼン社製ネクサス6型)。逃亡アンドロイド集団のリーダー格。知的な目。巨体。自分たちを冷酷に狩ろうとする人間たちから生き延びようとする。 *retrofuturism。過去の人々が想像した未来を美学として楽しむこと。e.g., 近未来なのに電話ボックスがある、しかもコイン式。 *ジョン・ダン「人間は孤立した島ではない」
ソラリス は単なる未知との遭遇を描いたSFではなく、人間の自己中心性や科学万能主義の限界を浮き彫りにする作品だった。 人類は宇宙進出の過程で未知の知性と出会うことを確信していた。しかしその知性は、「人間に似た存在」であり、意思疎通可能であるという前提がどこかにあった。 その考えを根底から覆すのが...続きを読むソラリスの海である。海は何を考え、何を目的に活動しているのか全く分からない。人類は詳細な研究の末に「ソラリス学」という学問まで築き上げるが、そこで提示される理論はどれも決定打にならず、調べれば調べるほど理解から遠ざかっていくような皮肉がある。 さらに印象的だったのは、海が研究員たちの抑圧された無意識を“来訪者”として実体化させる設定だ。ここにはフロイト的心理学を感じた。 主人公に現れたのは、自分が原因で自殺した元妻だった。主人公は彼女を「本物の人間ではない」と理解しながらも、後悔や罪悪感から、彼女を本物であってほしいと願い続ける。その姿からは、人間が未知を理解する際にも、結局は自分の感情や願望を投影してしまうというテーマを感じた。 なお、ソラリスの海の形態的特徴に関する表現は私にとっては難解で分かりにくかったため、星4/5とした。
惑星ソラリスに辿り着いた主人公。 そこからずっとソラリスが舞台、いわばワンシチュエーション。 不気味な終始気配が漂っていて、海の存在がより不気味さを増している。 海は味方なのか敵なのか、はたまた、こちらの存在にすら気づいていないのか。 思ったよりも叙情的で、ラストも読み手に委ねるような、多角的な...続きを読む作品だった。
私たちが無意識のうちに刷り込まれているファーストコンタクトへのステレオタイプに一喝を入れてくれるような作品。本の中でも言及されているが、私たちはしばしば人間中心主義的、人間形態主義的にものを考えてしまう。だが実際にはそういった形での相互理解はそもそも不可能なのかもしれない。そのことに気付かせてくれる...続きを読む。
意思を持った地球外生命体を「海」にしてしまうという大胆な設定が目を引くが、物語の中で繰り広げられるのは古典的なラブストーリーであり、ある種の幽霊譚であり、作中作『ソラリス研究の十年』における細かすぎるSF設定であったりと、読みどころは多い。 しかしオールタイム・ベストにも挙げられる本作に対して物申す...続きを読むのは気が引けるのだが、展開される様々なテーマ一つ一つが重厚すぎて、恐らく本書の最重要テーマであろう「理解を超えた知性とのコンタクト」の部分が霞んでしまった印象を受けた。かつて映画化された際は、ロマンスの部分をピックアップした作品になったようだけど、そりゃ原作者にしてみたら本意じゃないよなあと思う。 SF専門家やインテリ読者が本書を絶賛するのはよく分かるし、読みどころは多いと書いた一方で、市井の読者がSF部分の難解さを解読しながら読み進めるのは相当大変なんじゃないかなあ。余計なお世話かもしれないけど。
ファーストコンタクトものの名作と言われているので興味を持っていた。 序盤はSFというよりもホラー小説かと思うような描写があり、結構怖かった。 他にもラブロマンスだったり詳細なソラリス学に関する歴史も書かれていて、不思議な小説だった。 ただ全体としてはやっぱり面白かった。 異星人とのコンタクトとい...続きを読むう問題に対して、相手が人間のように考えたり人間のようにコミュニケーションを取れるとは限らないというのは考えてみれば当たり前だった。 そうした主題ゆえに結末も読んでいる人間含めてスッキリする感じではないのですが、それも含めて名作だった。
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