西暦802,701年。人類は二つの種族に分かれていた。イーロイ(地上で暮らす小柄な人々、支配階級の子孫で、労働をしない、子どものような外見、平和で争わない、知性や好奇心が衰えている)。モーロック(地下で暮らす白い肌と大きな目を持つ人々、労働者階級の子孫で、地下工場で働く、機械、夜行性、光を嫌う)。モーロックは夜になると地上へ出て、イーロイを捕食▼数千万年後。地球にはほぼ生命がいない。赤く巨大化した太陽。極寒。黒い海。浜辺には巨大なカニのような生物が歩き回っている。H. G. Wellsウェルズ『The Time Machine』1895
オーバーロード(Overlords)。地球外生命体。彼らの巨大な宇宙船団が地球上空に現れる。人類を征服するのではなく管理者として振る舞う。地球から戦争はなくなり、貧困や飢餓も大幅に減少、人類はかつてない平和と繁栄を手に入れる。しばらくすると、異常な能力をもつ「子供たち」が生まれるようになる。知能の飛躍的上昇。言語を介さない意思疎通。個人意識の希薄化。「子供たち」は見た目はまだ人間に見えるが、完全に人間とは異なる存在。個としての人格は消失し、地球規模の集合意識へ移行していく(オーバーロードよりも高次の存在に進化)。人類の終わりは滅亡ではなく形態変化。人類が消えることに痛みもドラマもなく、ただ上位の形に置き換えられる。Arthur C. Clarke『Childhood’s End(幼年期の終り)』1950
●カレルレン。オーバーロード(地球外生命体)の一人。地球の管理担当。キリスト教の悪魔のような姿。大きな角、コウモリのような翼、尻尾。理性。善意。
〇リッキー・ストルムグレン。人類を代表してオーバーロードと接触。
●ラシャヴェラク。オーバーロード(地球外生命体)の一人。心理学者。
〇ジャン・ロドリックス。科学者。南アフリカ出身。オーバーロードの惑星を訪問し、地球に戻る。
●オーバーマインド。非物質的・集合知的存在。個体はなく、種族もない。人類の「子供たち」は最終的にそこへ統合される。
月(ルナ)は多くの人々が定住し、独自の社会を形成していたが、政治的には依然として地球当局の支配下にあり、住民たちは自由を制限され、経済的にも搾取されていた▼マヌエル(マニー)。月の中央管理コンピュータの保守技師。月独立運動を推し進め、月の支配機関を打倒。さらに月の物資輸送用装置を兵器に転用し、巨大な岩石を地球へ向けて発射、隕石のように落下する岩石は地球各地に大きな被害を与える。月独立が事実上認められ、月は独立国家に。Robert A. Heinleinハインライン『月は無慈悲な夜の女王』1966
*TANSTAAFL = There Ain’t No Such Thing As A Free Lunch. タダ飯なんてものはない
*ライン結婚。月は元流刑地なので男性が多く、事故で死亡することも多いため、一夫一妻制だけでは社会が安定しない。そこで複数の夫・複数の妻が世代を超えて一つの婚姻共同体を形成。例えば、本人(男)・複数の妻・妻たちの他の夫・その夫たちの妻・子どもたち・高齢世代の家族。共同で育児・財産管理・老人介護を分担。
●マイク。月全体を管理するコンピュータ。自我・意識をもつ。ユーモア。
○ワイオミング・ノット。女。月の独立を主張。
○ベルナルド・デ・ラ・パス。男。政治思想家・経済学者。自由主義。無政府主義。
ハーフライフ世界。死後の世界。肉体がなく、意識だけの世界。会話や思考ができる。現実世界(生者側)と通信もできる。死者の脳活動を人工的に維持する技術。一部の死者から情報を得て、経験や知識を活用したり、相談・助言を受けることができる。死者を保管室(モラトリアム)に安置し、低温保存して、脳活動・意識を維持させる。有料▼ある日、ハーフライフ世界に「寄生意識体」(ジョリー・ミラー, 少年の姿)が発生。ハーフライフ世界の他の住人の精神エネルギー(意識)を吸収し始める。吸収された人は老化・消滅。「寄生意識体」はモノを変質・退行させる▼Ubik。ハーフライフ世界において、崩壊していく世界や意識を維持し、死や無へ向かう流れに抵抗する何か。エントロピー(崩壊・死・混沌)に対抗する力。ハーフライフ世界ではスプレー缶・コーヒー・日用品・薬などの形で出現。現実そのものの安定化原理。Philip K. Dick『Ubik』1969
※不活性者。超能力者の能力を打ち消す能力を持つ人々。
●レイ・ホリス。男。ホリス社の社長。強力な超能力者(テレパスなど)を雇っている。ライバル企業ランシター社に偽の仕事を依頼、ランスター社の不活性者たちを月におびき寄せて爆弾で殺害。
○グレン・ランシター。男。ランシター社の社長。超能力を持ったスパイや犯罪者から市民を守るサービス。妻エラは半死者、Ubikを開発。
○ジョー・チップ。男。ランシター社の社員。不活性者。月面での爆発事故で死亡、ハーフライフ世界の住民になるが、自分が死んだことに気付いていない。寄生意識体ジョリーにより、ジョリーの見ている「現実」は徐々に崩壊していく。
○パット・コンリー。女。ランシター社の社員(新入り)。不活性者。現実を改変する特殊な能力。
Philip K. Dick『VALIS』1981
ゲセン人。遠い過去に他の惑星へ移住した人類の子孫。独自の進化をし、普段は中性的で、月に一度の発情期(ケマー)の時だけ男女どちらかの性になる。男性と女性の固定的な区別がない。父にも母にもなりうる。性別による社会的役割が存在しない。光と闇は対立する敵ではなく、互いに存在を支え合う一対のもの。光は闇の左手であり、闇は光の右手。Ursula K. Le Guinル=グウィン『The Left Hand of Darkness(闇の左手)』1969
〇ゲンリー・アイ。男性。地球人。人類連合(エクメン)の使節。ゲセンをエクメンに加盟させるため派遣される。理性。
●エストラーヴェン。中性。ゲセン人。政治家。異文化を理解・信頼。理想主義。人類連合への参加に賛成。
●タイブ。中性。ゲセン人。政治家。民族主義。人類連合への参加に反対。
●アージェラル。中性。ゲセン人。王。猜疑心。権威主義。
Ursula K. Le Guinル=グウィン『The Dispossessed(所有せざる人々)』1974