アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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かの有名な『オリエント急行の殺人』の翌年に出版された作品。
前半はポアロが殆ど出てこず、素人の推理が迷走する様を目で追うのが少々苦痛に感じてしまった。
しかしその覚束なさにもやはり伏線が張り巡らされており、後半の答え合わせパートでしっかり回収され読後感スッキリ。これぞクリスティ。
登場人物たちの心理描写も面白いがヒロインと同年代の自分としては、さすがに犯人キモいな…と思ってしまった。あの時代はそういうものなのかな?恋は人を狂わす?悲しいことにわたしにはわからない世界だ。
本編ラスト2ページのやり取りは、これだからポアロ氏が好きだ!と心の中でスタオベ。こんな大物になりたいものだ。
初老の -
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スマグラーズ島の浜辺で、周囲の異性に魅力を振り撒きながら避暑地を満喫していた元女優アリーナ・マーシャルが殺害される。「白昼にも悪魔はいる」というエルキュール・ポアロの言葉どおり、不穏な空気が流れる中、ホテルの客の1人と不倫していた彼女に殺害の動機を持つ容疑者が浮かび上がるが、完璧なアリバイに捜査は難航する。
話は面白いのだが、訳が古すぎる。今時絶対に使わないであろう言い回しや謎のカタカタ多用が気になって仕方がない。ポアロのイメージも何だかいつもと違う感じで別の作品を読んでいるようだった。早川書房さん、さすがにそろそろ新訳出してくれてもいいのでは?
鉄壁のアリバイからは2人以上が協力しているん -
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【ポアロ】
1952年クリスティー62歳。
掃除婦が殺された。スペンス警視はどうしてもあの男が殺人犯だとは思えず、ポアロに事件の再調査を依頼する…
攻略本で高評価だけど、ずっと読めずにいたのは「ハードボイルド」と書いてあったから。
いつものような屋敷の閉じられた空間ではなく、ポアロがあちこちに動き回る。
あ〜やっぱり自分の苦手なやつだ。。。
ポアロが1人ずつ聞き込みに行くので、屋敷と違って関係者同士の繋がりも薄く、心理的な部分がなかなか見えない。
しかも登場人物が横に広がって多いので関係性が把握しづらい。
そして今までのような資産家の一族ではなく、この作品は珍しく普通の人達の話。
そこ -
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本書には、『ブラック・コーヒー』と『評決』、2編の戯曲が収録されている。
クリスティーが初めて書いた戯曲が本書の表題作『ブラック・コーヒー』だそうだ(1930年作)。高名な科学者クロード・エイモリ―卿の書斎の金庫から、10万人単位の殺人力があるという原子爆発の方程式が書かれた書類が盗まれた。卿はポアロを呼び寄せることとしたが、邸内にいる家族や客人たちに「書類を戻せば穏便に済ませる」といって、部屋の電灯を消し暫しの時間の猶予を与える。だが、卿の飲んだコーヒーには毒が入っていた。一体誰が方程式を盗み、そして毒で卿を殺害したのか、というお話。登場人物たちは皆何か隠し事を持っており、怪しそうで、誰 -
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味わい深い
違いの分かる男(もちろん女も)向きの一冊
トミー&タペンスの冒険譚もいよいよ最後、二人の年齢は共に75歳、初登場時は20代前半(22歳?)だったので、50年の時が流れてるわけです
もうすでに味わい深い
そして2人のなんと若々しいことよ
気持ちはね
そうなのよ!冒険小説なのにとんでもないスローペースで物語が進むのよ!
次から次へと苦難が襲いかかってグイグイ読ませるって感じじゃないのよ
でもそれってたぶんわざとな気がするんよな
物語全体で素敵に歳を重ねた二人を表現してるみたいな感じなんよ
だって若い時の二人の物語はグイグイだったもの
そこに目がいったときに、う〜んさすがわい、分 -
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【ポアロ】
1928年クリスティー38歳。
クリスティー失踪後の精神的に不安定な時期。
私が唯一最後まで読めなかった『ビッグ4』の次に書かれた作品なので不安があった。
やっぱり冒頭から国際謀略の要素が出てきた。
私はどうしてもスパイとかこの手のものが苦手なんだけど、『ビッグ4』よりもミステリーが強くて安心した。
クリスティーの描く女性は毎回魅力的な人が多いけど、この作品の女性はイマイチ魅力が伝わってこなかった。ラブロマンスもなぜ?とあまり共感できず。
ポアロのことを知らないという使用人に対して、「悪いけど、きみの教養の程度が知れるね。世界の偉人に数えられる人間の名前だよ」と、自分で言っちゃ -
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ネタバレ遠出の機会があったので、せっかくなら電車(列車)の話を、とチョイス。南仏が主な舞台ということで、いつものイギリス作品とは違った雰囲気が味わえました。
ところで、この作品は短編の「プリマス行き急行列車」を発展させたものだそうで、そちらをドラマで見ていたので謎解きに関しては納得。
それより印象深かったのがキャサリン・グレー。
会う人すべてに”印象的な目”と評される聡明な女性で、先日読んだ『杉の柩』のエリノアを彷彿とさせました。
……だからこそ、デリクを選んだのにはそっち?!と驚き。
私もまんまとナイトンの魅力に騙されていたのだなぁ。
これはまだドラマを観ていないので、南仏の景色と豪華な”ブルー -
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【ポアロ】
1966年クリスティー76歳。
「自分が殺人を犯したような気がする」と、若い娘がポアロのもとに訪ねてきた。
その後オリヴァ夫人と共に調査を始める。
またもや女性推理作家のオリヴァ夫人登場。
今回はまるでタペンスのような暴走をしてしまう。
ビートルズが出てくるので、古典作品のイメージから急に現代的に感じる。
不可解な娘の言葉だけで、本当に何かが起きているのかわからないままの途中が長い。
そしてまたあの作品と同じようなツッコミを入れたくなった(^o^;
クリスティー作品は攻略本を見て面白そうな順に読んでいる。
60冊を超えたので自分のあまり好きではないタイプだったり、攻略本でも評 -
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【ノンシリーズ】
1939年クリスティー49歳。
元警官のルークは、列車内で同席した老婦人から「自分の村で起こっている連続殺人事件の犯人を知っている」と聞かされる。
その直後にその老女が死亡したことを知る…。
「殺人はとても容易なんですよ」と話す老女のセリフが印象的。やっぱりクリスティーは引き込むセリフが上手い。
元警官のルークが素人探偵役。
読んでる時にド素人の私でさえ気が付くぐらい色々とわかりやすかった。
もしポアロやマープルがいたら秒で解決しそうな気がする。
素人探偵ものを読んでると、やっぱりポアロとマープルの観察力と洞察力はすごいよなと改めて感じる。
面白かったけど、他の作品と比 -
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ミスマープル初登場作品。
意外にもマープルの登場時間はとても短く、基本的には司教さんが主人公で話が進んでいくのが斬新。
アガサクリスティの作品らしく、最後の最後まで犯人は分からず、最後に一気に謎解きが展開される。
ポアロと違ってマープルは、もっと素朴で当時のイギリスの日常が垣間見えるのが面白いところです。
また、マープルシリーズでは毎回お約束の最後にちょっと良いことがあるのも、すでにシリーズのお決まりパターンの萌芽がみられて興味深いです。
アマプラでミスマープルのドラマを見ているので、合わせて読むとおもしろさが倍増でした。
他の作品に比べると、飯テロ表現が少なめなのは残念!マープル作品では -
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【ポアロ】
1972年クリスティー82歳。
クリスティーが書いた最後のポアロ。
十数年前の両親の心中事件は、父が母を先に撃ったのか?あるいはその逆なのか…。
『五匹の子豚』(1942年)のような過去の殺人の真相を解明する形式。
ベタなわかりやすい伏線で、テンポもゆっくりで意外性もない。
でもこの作品は「犯人は誰か?」が重要ではなく、もっと深い「あるテーマ」があるのでそこを楽しむものだと感じた。
ずっと読んできたファンとしては、味わい深い80代のクリスティーが読めて幸せ。
ポアロの愛を感じることができて大満足だった。
クリスティーの分身のような女性推理作家のオリヴァ夫人とポアロの最後の