アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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アガサ、ポアロ、4作目。中村妙子訳
何が嬉しいって、ポアロのモナミ、ヘイスティングズ、が帰ってきた事!何と言ってもやっぱりこのコンビがベストですね!
で、何だか本作はスケールが急に大きくなっていた?ポアロの名声上昇は私も嬉しいが、今までは近所の名探偵、の様に身近に感じられるポアロだったが、いつの間にか国際色豊かになっていて、なんと秘密の悪の組織と戦う事になっていたのには驚き!最後に現れた双子の兄アシール・ポアロの存在も私には謎だった。謎。
あとがきに寄ると本作品は短編をつぎ合わせたものらしい。どうりで焦点がボヤッとする感じと思った。でも名コンビが復活して嬉しい作品でした。ポアロ&ヘイスティングズ、最高! -
Posted by ブクログ
【ノンシリーズ短編】
クリスティの短編はどうも苦手で、これまでほとんど読んでこなかった。
『厭な物語』に収録されていた『崖っぷち』が面白かったので、この短編集なら楽しめるかもと思ったけど、やっぱり短編のクリスティは物足りない。
短編ならハイスミスのほうが断然好み。
『愛犬の死』
「ああ、あたし、あんたがかわいくてたまらない!」
自分も犬が大好きなので、クリスティの愛犬へのあふれる愛情に共感しまくりだった。
犬のテリーもご主人が大好きなあまりに……という切なさも残る。
この作品でクリスティ70冊目。
好きな作品から読んでいったせいで、ここから先はどうやら超・苦手ゾーンに突入しそうな予感。
好き嫌いの激しい私には、残りの30冊は修行のような読書になりそうで、今から震えている。 -
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ネタバレ気をつけなさい、そこに悪魔がいる。
ポアロが滞在するホテルには様々な人が集まっている。平穏な休暇はある女性の死によって終わりを告げた。女性に敵が多かった、男を引きつける元女優の死。首を絞められるという死因から、犯人は女ではなく男と思われたが、夫にはアリバイがある。ポアロが見つけた悪魔とは——。
怪しい男にはアリバイがあり、女たちでは絞殺できない。洞窟から麻薬が出てきたり、呪いを実行する娘がいたり、偶然再会する幼馴染がいたり、込み入った犯人当てではあったが、最初のシーンのポアロのセリフが犯人を示していたとは。なるほどとしか言えない。 -
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ネタバレキュートでスリリングな劇をどうぞ。
劇が3作品収められている。どれも小品ではあるが最後まで一気に読ませる。
「海浜の午後」海辺に集まった人々の中に強盗がいる? あっと驚く正体が判明するのが2段階になっているのがひねりどころ。息子を縛り付ける母などクリスティーあるあるキャラクターも見もの。
「患者」植物状態と思いきや、患者は意思を示せる。実験の結果、口封じに現れた犯人は。イニシャルなんかわからないので推理不可能かと思いきや、ちゃんと劇中に名前が出てました。
「ねずみたち」復讐の狂気。はたして警察は2人の弁解をどのように聞いただろう。 -
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若い未亡人と再婚した大富豪のゴードン・クロード。彼は一族の生活を支えており、一族全員が彼の庇護のもとにあった。だが、彼は空襲で死亡し、財産は全て若い未亡人のロザリーンが継ぐことになった。それ以来、一族の生活費の支出は、実質的にロザリーンの兄のデイヴィッドの許可が必要になった。「彼女さえいなければ」戦争が人の心を闇にしていく。ポアロは空襲から避難した場所で居合わせたポーター少佐から、アフリカにいる彼の友人ロバート・アンダーヘイと彼の不幸な結婚についてや、その妻はその後ゴードン・クロードの妻となったが、アンダーヘイがまだ死んでいないかもしれないことを聞く。
狭い村での人間関係の絡まり、戦争という大きな変化により今までの生活が失われたことに対する人々がまだ受け止めきれないところが緻密に書かれていてリアルだなと思う。いつも緊張状態に置かれていたリンが、帰ってきて平和を喜ぶと同時に物足りない気持ちになって結婚を迷う気持ちになる部分はとても共感できた。でも一方で、最後に自分を傷つけようとしたローリーと結婚を決意するというのは腑に落ちなかったなあ。私だったらデイヴィットもローリーも嫌(笑)偽者だったというオチは面白いけど、純粋なトリックを楽しみたい読者としてはちょっと物足りない結末だった。 -
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ポアロシリーズ17作め。1938年の作品。
クリスティー文庫のポアロシリーズは34作あるので、やっと半分です。
『ポアロのクリスマス』は2003年の村上啓夫訳を2年前に読んでますが、順番にしたがって新訳版も読んでみました。
細かいところまでは覚えてませんが、全体的にセリフがやわらかく読みやすくなっている印象です。
(村上訳)
「あなたは、大人の節度ある眼でそれを回想するかわりに、子供の判断でそれを見ようとなさるからですわ」
(川副訳)
「過去に起きたことを当時の少年の気持ちで判断してはだめ。もっと穏やかに、おとなの目で振り返らなくては」
さすがに犯人もトリックも覚えているので、伏線回収しながら読みましたが、いや、これ、犯人わからないでしょ。
森昌麿の解説に前作『死との約束』から「家庭内の不協和音」、「殺されねばならない存在」という要素が引き継がれつつ、中近東ではなく、英国のお屋敷に原点回帰している、とありましたが、これはなるほど。
「殺されねばならない存在」が殺されることによって「家庭内の不協和音」が解消され、ハッピーエンドになってるんですよね。
ミドルシャー州の警察本部長ジョンスン大佐は『三幕の殺人』からの再登場。思いっきり『三幕の殺人』の犯人がネタばらしされています。『もの言えぬ証人』など、ほかの作品でもありましたが、当時はアガサ・クリスティー作品を順番に読んでいて当然だったんでしょうか。
(134ページ)
「クリスマスには、善意の精神なるものがあります。それは、おっしゃるように、〝するべきこと〟なのでしょう。昔の仲たがいが修復され、かつて意見の合わなかった者同士が、一時的にせよ和解するべきなのでしょう」
「で、家族が、一年じゅう離ればなれでいた家族たちが、また一堂に会するわけです。そうした状況のもとでは、友よ、非常に強い緊張が生まれるということを認めなければなりません。もともと互いをよく思っていない者同士が、打ち解けているように見せなければならないというプレッシャーを自分にかけるわけですから! クリスマスにはとてつもなく大きな偽善が生まれます。」
(378ページ)
「このクリスマスは笑って過ごすつもりだったの! イギリスのクリスマスはとっても愉しいって、本で読んだから。焼きレーズンを食べたり、炎につつまれたプラム・プティングが出てきたり、薪に似せたユール・ログっていうケーキもあったりするのよね」
以下、引用。
20
「だれだってかならず死ぬわ! そうでしょ? それに、あんなふうにいきなり空から爆弾が落ちてきたら──ズドーン!って──どうしようもないじゃない。いま生きてた人が、つぎの瞬間には死んでるのよ。それがこの世界で起きていること」
79
「昔より気品が増したよ! そういえば、アルフレッドのやつが結婚したのは、征服王ウィリアム一世とともにイングランドへ渡ってきた人々を祖先にもつ娘だと聞いたっけ」
リディアは微笑んだ。
「先祖をたどればそうなんでしょうけど、一族の繁栄はむしろあの時代に終わっていますわ」
83
「人間はみんなよこしまです。尼僧さまがそうおっしゃってるもの。だから人はよこしまな人間のために祈らなければならないんだって」
84
「いいえ、どうしてショックを受けなくちゃいけないの? 男はいつだって女を求めるものよ。わたしの父もそう。妻が何度も悲しい思いをするのはそのためだし、教会にかよってお祈りするのもそのためでしょ」
95
「もう何年も弾いていないからな。母がよくこれを弾いていた。メンデルスゾーンの『無言歌集』のなかの一曲だ」
106
「知ったことか。どこかのモデルの行列ででも拾ってきたんだろうよ。」
122
近ごろの従僕ときたら、どうしてこう役立たずなんだ! あのような身ごなしでは馬丁とからん!
130
「遠慮なくやってくれ」と彼は言い足し、招き入れた客のかたわらに置かれた酒瓶台(タンタラス)とコーヒーサイフォンに注意をうながした。
131
ミドルシャー州の警察本部長、ジョンスン大佐
「あのカートライト事件には度肝を抜かれたものだ」この家の主人は過去の事件を振り返った。「あの男には度肝を抜かれた! 品のいい物腰で魅力たっぷりの男だった。あの男がきみとここへ来たときには、きみもわたしもすっかり騙されてしまった」
134
「で、家族が、一年じゅう離ればなれでいた家族たちが、また一堂に会するわけです。そうした状況のもとでは、友よ、非常に強い緊張が生まれるということを認めなければなりません。もともと互いをよく思っていない者同士が、打ち解けているように見せなければならないというプレッシャーを自分にかけるわけですから! クリスマスにはとてつもなく大きな偽善が生まれます。なるほどそれは尊敬に値する偽善、しかるべき理由のもとで(プル・ル・ボン・モティーフ)おこなわれる偽善でしょう。そこまではわかります(セ・アンタンデュ)。でも、偽善は偽善です!」
139
「むろん、お噂はかねがねうかがっていますよ、ポアロさん。わたしの記憶が正しければ、何年かまえにもこちらへおいでになりましたよね。サー・バーソロミュー・ストレンジが亡くなったときに。毒殺事件でしたね、ニコチンによる。」
152
「以下は使用人です。執事のエドワード・トレッサリアン、従僕のウォルター・チャンピオン。料理人のエミリー・リーヴズ。キッチンメイドのクィーニー・ジョーンズ、ハウスメイド頭のグラディス・スペント、第二ハウスメイドのグレイス・ベスト、第三ハウスメイドのビアトリス・モスコーム、仲働きメイドのジョーン・ケンチ、そして従者のシドニー・ホーベリー」
246
「はい──ロイヤルウースターの古いカップを。わたくしは十一年間、洗ってきて、ただのひとつも割ったことがございませんのに」
285
「つぎはジョージ夫人です! クリームが好きな猫に負けないぐらい金が大好きです。」
330
「そのような型にはまった返事をしなければならないのでしょうか?」
リディアは言った。
「わたしは型にはまった女ですから」
373
「い、いや、ちがう。きみはわかっていない。親父が死んだからじゃないんだ。親父に対する子どもじみた、ぼくの憎しみが死んだからだ……」
377
「世間は女にはひどく残酷なものよ。女は自分でできることをやらなくてはならないの──それも若いうちに。年老いて醜くなってしまったら、だれも助けてくれないんだから」
378
「このクリスマスは笑って過ごすつもりだったの! イギリスのクリスマスはとっても愉しいって、本で読んだから。焼きレーズンを食べたり、炎につつまれたプラム・プティングが出てきたり、薪に似せたユール・ログっていうケーキもあったりするのよね」
382
「たくさんの窓がありますね。家には目があるのですよ、マドモアゼル──耳もあります。これほどまでにイギリス人が開いた窓を好むのは、じつに残念です」 -
Posted by ブクログ
出来れば月に一冊くらいクリスティを読みたいと思っているのだが、なかなか果たせない。
ここの所、あまり評判の良くないクリスティの国際謀略物を読んでいたが、それに比べると出来はいいように思う。なかなか犯人がわからず、フーダニットとしては見事にクリスティの策略にはまったが、ポアロの捜査の過程ではフェアな記述がされているので、ミステリ好きで丁寧に本を読む人ならなんとなく犯人は推理出来るかもしれない。
但し、犯行時のトリックは分からない人が多いのでは。
例によってラヴロマンス、それも上流階級のロマンスが描かれており、好きな人はそちらのストーリーも楽しめるでしょう。
終わり方は中々粋だと思う。