【感想・ネタバレ】ホロー荘の殺人のレビュー

あらすじ

アンカテル卿の午餐に招かれたポアロを待っていたのは、血を流している男と、その傍らでピストルを手にしたままうつろな表情をしている女だった。それは風変わりな歓迎の芝居でもゲームでもなく、本物の殺人事件だった! 恋愛心理の奥底に踏み込みながらポアロは創造的な犯人に挑む。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

こ、これはまたすごいものを読んでしまった……!クリスティーの引き出し、どこまであるんだ。。

ポワロシリーズも残り10冊ちょっととなり、何を読もうかと迷って手に取った本書。なんと解説があのはやみねかおる先生!すっかり懐かしくなって、「夢水清志郎シリーズ」ぽちってしまいました〜(⁠^⁠^⁠♪

さて。
いつもレビューを読んでくださる皆様はおわかりの通り、私は普段ミステリーしか読みません。ヒューマンストーリーや恋愛ものは、なんだか冷めてしまって飽きてしまうのです。
そんな私ですが、500ページ近くを費やして描かれる濃密な人間関係に、すっかり引き込まれてしまいました……!
被害者であるジョンはモラハラ野郎なので1ミリも同情しなかったのですが、登場する女性陣のクセの強さ、人間性、自活することと忘れられない過去への葛藤……それらが生き生きと描かれ、退屈するヒマなんて全くありませんでした。
クリスティー以外のミステリーを読むと、そのステレオタイプな女性像にうんざりすることが多いのですが、時代を経てなお、はっきりと息遣いの感じる女性を描くこと、それにクリスティーは本当に長けていたなと感じます。

だめんず製造機なヘンリエッタの行く末にはハラハラし通しでしたが、ラストの姿にも感動。芸術家としてしか生きられない孤高さには胸を打たれました。でもジョンに魅力を感じるのはどうかとおもう!

だんだん「ホロー荘」がつかめない幻影のように思えてくる過程もぞっとしましたし、なにより唯一応援したくなったミッジが幸せになれそうでよかった。

逆にミステリー好きでなく、人間ドラマ好きな方々にもオススメしたい一冊ですね。
これは、ポワロシリーズの中でも忘れられない作品だ。。

【印象深いセリフ】
p200
「…でも、わたし、相手がだれであろうと、世の中にその人しかいたいみたいに考えるのは、よくないと思っていますのよ」

p470
「…あなたにとっては、人の心が傷つけられるのは耐えがたいことです。しかし、ある人々にとっては、それ以上に耐えがたいことがあります。――わからない、ということです。…科学的な精神の持主にとっては、真実が第一なのです。どんなに辛かろうと、真実は受けいれることができ、人生の模様に織りこんでいくことができるものなのです」

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2025年03月16日

Posted by ブクログ

【ポアロ】
好きなクリスティー作品No.1が『ホロー荘の殺人』に入れ替わった。
やっぱりクリスティーの描く人間ドラマが面白くて好きだ〜。

ポアロが入る隙がないほど、登場人物だけで十分まわせちゃうくらいキャラが濃い人達。

脇役でも他の作品に出たら主役になれるんじゃない?と思うくらい、主役級のぶっ飛んだ人達が勢揃いしている。

あのポアロでさえ、この作品では霞んでしまうほどで出番も少ない。
攻略本によると、クリスティーは「この作品にポアロを登場させたのは失敗だった」と述べていたと書いてあった。
確かにこれはポアロシリーズじゃなくて、ノンシリーズ作品の方が合う。

『ナイル』『杉の柩』よりもっと複雑な愛のかたちが出てくる。
登場人物のそれぞれの心理描写が何とも切なくて、今まで読んできたどの登場人物よりも心に残る人達だった。

犯人が誰なのか全くわからなくて早く知りたいのに、犯人がわかったらこの好きな世界観が終わってしまう。最後の方は読みたいのに読みたくない…。クリスティーでこんなに読むのがもったいなく思ったのは初めて。

最後に犯人が言った言葉が切なすぎる…。

聞いたこともない作品だし、攻略本で4.5の作品でもこんなに心が揺さぶられる作品がまだあるなんて、まだまだ自分の好きな作品は隠れていそう。

ポアロ好きな人や推理ものが好きな人には、この作品はハマらないかも。
『ナイルに死す』のような人間ドラマが好きな人は好きだと思う。

●ぶっ飛んだキャラの登場人物たち
※ネタバレしないように書いたつもりですが、あまり知りたくない方はご注意ください。




◆ジョン
ガーダの夫で医者。モラハラ夫のような振る舞い。

◆ガーダ
ジョンの妻。頭の回転が悪く不器用。夕食の肉を温め直すかどうかで悩んで泣いてしまう。

◆ヘンリエッタ
ガーダとは対象的で頭が良くて何でもできて、気が利く女性。芸術家。ジョンと不倫中。

◆ヴェロニカ
エゴイストで全て自分の思い通りにしないと気がすまない女優。ジョンと昔付き合っていた。

◆ルーシー
アンテカル卿の妻。ホロー荘の主。たまに頭がおかしい発言をする不思議ちゃん。

◆ミッジ
上流階級の母親を持つが、父親が貧乏だったため生きるために必死に働く女性。

◆エドワード
上流階級なので何でミッジが必死に働くのか理解できないおぼっちゃまくん。ルーシーのいとこ。

◆デイヴィッド
アンテカル家の人間関係が不愉快で話しかけられるのも苦手。ルーシーの親戚。
★10

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2024年07月14日

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「ヘンリエッタ」死の間際のこの一言が、どんな意味をもつのか。
ヘンリエッタ、ルーシー、ガータ、ジョン、、とキャラクターが鮮烈。

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2024年04月02日

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ホロー荘の殺人
 この作品のトリックは中々に特殊で。冷静に考えれば余り見た事がない。犯人が同様のパターンは知っているが、犯人を設けた上で進行していくポアロ達の一連のやり取りは、無駄を一切省いた整理された推理小説であり、様々な意見はあるがとても真っ直ぐなサスペンスミステリーだ。
 クリスティ作品の中でも屈指の「悲劇」であり、ヘンリエッタを中心として物語がどんどん進化していく。クリスティ得意の恋愛がふんだんに盛り込まれ、ミステリー、サスペンス、ロマンスのバランスもよく、更には読み進める障壁がない為スラスラとページを捲る事ができる。一つのドラマとして完成度が高く印象的な作品の為、一度読めば犯人や結末を忘れない強烈な小説だ。
(僕は今作は再読になるが、十数年前に読んだ記憶が残っており、物語の概要、犯人は頭の片隅にありながらそれでも読みたい、読もうと思った作品だ)
 印象深い要因の一つ目として登場人物の描写が作品の中でも際立っており、先に述べたヘンリエッタを始め、アンカテル一族それぞれの個性や執事を含めた一族に従事する人達。クリストウ一家の存在感(子供達の印象も強い)アンカテル家の人々と交友のあるミッジ。近隣の別荘に暮らす女優のヴェロニカ。全員が間違いなく作中の役割を受け持ち効果的に生きており、悲劇的な作用を形成する。
 印象深い要因の二つ目としてはポアロの役割であり、かれの立ち回りや真相にたどり着いた後の対応が、僕がこの作品を「悲劇」と位置付ける理由の一つで、想像にはなるが、数年後のストーリーを思い浮かべる事もできるし、「とある人物」がどの様な想いでこの真相を受け入れるのかを考えるとやるせない気持ちになる。クリスティは比較的事件解決後は登場人物達を前向きに描く事が多いが、今回はかなり厳しい結末を用意している。
 ヘンリエッタについてもポアロが感嘆するほどのの人物であり、最後の彼女の行動は正しくイメージのままだ。現代作品で同じテーマの作品があれば、彼女の様な役割をもつ人物は設定しない(こういう感覚にならない)だろうと思う。人間の愛情や信頼は難しいが、作中ではとある人物への慈愛に満ちて生き生きしており、ミステリーとしての王道的なものよりも人間模様に特化したミステリーとした方が面白く読めるだろう。
 今作も僕のおすすめだ。少し違ったクリスティの作風を感じる事ができるはずだ。

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2023年11月06日

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一刻も早く先を読み進めたい、と思わせられた。
ルーシーの言ってることって意味あるの?ないの?とか、ガーダの無実、早く証明されて!とか、やきもきしっぱなしだった。
ヘンリエッタ、恩田陸の小説に出てきそうな、あまりクリスティー的でない(と勝手に思ってる)女性で新鮮で面白かった。
ポアロシリーズとなってはいるけど、ポアロ、おまけみたいなもんだったなあ。

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2021年11月28日

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ホロー荘の殺人 アガサクリスティー ハヤカワ文庫

たまたまDVDを見て
探偵小説に人知れず織り込んだ
人の情と愛の奥深さに魅せられ
アガサクリスティー本人に惹かれ
小説自体を読んでみたくなった

DVDとは筋も違い
その奥深さも更に広い
原文で読みたいくらいだけれど
どうやら只の推理モノでないので
この心理描写を英語で汲み取れるとは思えない


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2021年06月06日

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今回の作品はポアロが脇役的で、事件よりも心理面に重点を置いたものだった。
その分登場人物は個性的で、特にルーシーの性格は浮世離れした不思議系でイラッとした…
ミッジは最も現実的(現代的?)だったし、苦労してきた分幸せになってくれて嬉しかった。
違った個性の女性たちの心理描写を巧みに書き上げているのはさすがアガサ・クリスティ!
推理小説よりも女性たちの心理描写に傾いているから純粋にポアロの推理を期待してたら肩透かしかもしれないけど、すごく面白く読めた。

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2020年11月15日

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被害者の目線で、被害者が死ぬまでのことが書いてあるのがなんとも切なかった。被害者目線でかかれていたせいか、そこまでひどい人には思えなかった。
しかし、なぜみんながみんな真犯人をかばったのだろう? 面白半分というのが理由なのかな?いまいち腑に落ちなかった。しかし、ルーシーの会話など、モデルはいたのかしら。架空の存在であんな頭のぶっとんだ人を書いたのだとしたら、すごすぎる。
エドワードとミッジが結ばれたのは、ほっこりしたー。

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2018年06月06日

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クセの強い女性たちが各々に荒ぶっていておもしろかった。男性たちの影が薄すぎ。笑
さすがのポアロもそんな女性たちに飲み込まれそうに見えたけど、そこはさすがの名探偵。
グレンジ警部なんて途中から消えてしまった。笑

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2025年11月16日

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ネタバレ

序盤からドロドロしてたけど、「ヘンリエッタ」と言った言葉の意味を知った時、感動した。
エドワードとミッジには幸せになってほしい……

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2025年10月16日

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終戦の翌年に発表された作品である為か、戦争を経て激変せざるを得ない人間社会とそれによって歪さを醸す人間模様が描かれていたような印象を受ける
それでいて、本作の主題は愛と殺人なのだろうね


筋書きとしては不倫を疑われた男性がホロー荘に滞在しているらしき人間によって射殺されるというものだけど、その射殺されるまでのシーンがしっかりとページ数を掛けて描かれているが為にむしろ殺人はおまけで人間模様こそ本筋だと認識させるような作りとなっているね
そもそも舞台となったホロー荘に関係者が集まるまでの前段で家主の夫人・ルーシーが当初から危惧するように何かが起こりそうな者達が集まっていたと言えるのだから、序盤から殺人に繋がる素養が有った舞台と言える。それでもあの殺人事件が衝撃的なものとして扱われるのは、殺されたジョン・クリストウがあの家において家族のような存在であり、同時に殺人犯と目されたガーダ・クリストウがその妻であったからかもしれない

一方で夫を妻が殺した、なんて光景は世俗的な大衆紙で扱われるような詰まらない題材でも有って
それ故にポアロが現場に遭遇した際の「きわめてわざとらしい殺人場面」が事件の印象を複雑で正体不明なものとしていくね
当初、事件は滑稽な程に単純で作り物めいたものに思えた。だというのに探れば探る程に真相を求める者を惑わす作りとなっている

そのような印象を抱けるのもホロー荘に集う人間達がどこか世俗的でないと思えるからかもしれない
ミッジを別として、ホロー荘に滞在する者達はどこか前時代的。未だに貴族の時代が続いているのではないかと思えてしまう
けれど、ミッジという存在が示すように、そして作品が発表された時代背景が示すように、もはやホロー荘の在り方は世に反したもの。だからか、そこに集う者達の人間性はホロー荘で暮らさぬ者には異質なものと思えてしまい、その異質さが殺人事件の真相理解を邪魔してくる

特にルーシーの態度に代表されるように、ホロー荘の住人は敷地内で殺人が起きたというのに、それを現実のものとは考えないような態度ばかり。むしろ自分達に現実を突きつけようとする警察を邪険にする態度はもはや世俗に背を向けているかのよう

他方で彼らが何を大事にしていたかといえば、一族の繋がりであり互いを愛する心だったのかも知れない
ジョンはそもそも不倫の疑いを契機に殺されたわけだけど、そこには数多の愛情が絡まっている
ヘンリエッタ、エドワード、ミッジ、ヴェロニカ…。誰も彼も殺人を他所に思うが儘にならない感情に翻弄されていた
それはまるで世界を揺るがすような戦争が起きても人の生活は続くし、そこで人は愛を育んでいくと言わんばかりのものだったのかもしれない

それだけに終盤で波乱万丈の果てに一つのカップルが誕生した事はクリスティ作品らしいなと思いつつ、人間社会の確かさを感じさせる話だとも思えたよ

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2025年05月01日

Posted by ブクログ

これってミステリーなの…?ポアロが目立たないほどアクが強すぎるキャラと心理描写。 被害者はクズい、ルーシーは怖すぎ、ヘンリー卿影薄すぎ、共感できるのはミッジとヘンリエッタ。 殺人なくてもよさそう…。 ミステリー要素が多い「5匹の子豚」の方が好きかも。 ミステリー要素なしの「春にして君を離れ」と同じカテゴリーの本。

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2025年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ポアロシリーズ㉒

週末、アンカテル卿の屋敷「ホロー荘」にヘンリー・アンカテル卿の妻ルーシーの招待により親戚や客が集まる。
ホロー荘の近くの別荘に住むポアロは、ルーシーに日曜日の昼食に招待される。
ホロー荘に訪れたポアロは、プールサイドで銃で撃たれ倒れている男とその側に銃を持って立ち尽くす女を目撃する。
それは、どこか演出されたような場面だった。

灰色の脳細胞を駆使して謎にせまるというよりも、一人ひとりのキャラクターが際立っていて話にのめり込んでしまう感じでした。
事件に関わる女性達が、とても個性的で、考え方や悩みが生々しく、それぞれの行動に納得してしまいました。「きっと、貴方ならそうするだろう」と。それがまた、面白くもあり、悲しくもあり。
男性陣が、それぞれ魅力があるんだろうけど、「人としてどうなのよ!」と、ちょっとツッコミたくなる感じでした。

多くの感想にもありましたが人間関係が秀逸でした。

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2025年01月29日

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1946年の作品。
エルキュール・ポワロシリーズでは22作目となる。

イギリスの田舎の屋敷、ホロー荘で起きた殺人事件。たまたま屋敷の近くに別荘を持っていたポワロがホロー荘に招かれていて、殺人事件の目撃者となる。殺されたのは、皆から慕われていた医者のジョンクリストゥ。ジョンを殺した現場にいたのは拳銃を持った彼の妻、ガーダ。ホロー荘には他にも多くの客がいた。屋敷の主人のヘンリーアンカテル卿とその妻ルーシー。ルーシーの従姉妹でジョンの愛人の陶芸家、ヘンリエッタ。彼女の幼なじみでヘンリエッタに心を寄せるエドワード。エドワードに心を寄せる同じく幼なじみのミッジ。ジョンの元恋人で女優のベロニカ。ジャンを殺したのは一体誰なのかーー


さすが…最後まで誰が犯人か全然わからなかった。
今回は殺されたジョンをめぐるドロドロの恋愛関係が核になっています。個人的にはヘイスティングス君のような語り手がいる方が好きなんですが、この作品には語り手はいません。
四角関係ともいえる、男女の愛憎劇…誰もが怪しいと思える…。ジョンを含め、登場人物みんな裏表があるようでどうにも好きになれないのですが、ミッジという心が真っ直ぐで、強くたくましく生きる女性だけは応援したくなります。
この作品ではポワロが結構おとなしく、脇役に徹しています。ポワロに振り回される人たちはいません。ポワロファンには物足りないかな?

ジョンは、美しく我儘なベロニカと別れ、ただ献身的に自分を崇拝し、尽くしてくれる凡庸なガーダと結婚する。しかし、やはりそのガーダとの結婚生活に物足りなさを感じ、美しく才能のあるヘンリエッタと愛人関係になるのである。
「人生の真の悲劇は、求めるものを手に入れるときである」

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2025年01月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ヘンリエッタのことを読み進めるうちにどんどん好きになっちゃうので、犯人だったらどうしようとヒヤヒヤしていた。犯人でも探偵でもないのに主人公すぎる。ジョンは人好きのする性格ではないのにモテてるのが不思議だが、クラブトリーばあさんの態度を見るに、ヘンリエッタと同じくらい義理堅かったんだろうな。

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2024年02月04日

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真相解明にいくまではなんかよくわからなかったけどラストスパートで一気にホロー荘に対する印象が変わった。こんなに誰も救われないことがある??誤解だったこととか、生きてたとしてもずっとすれ違ってたんだろうなって思ったらめちゃくちゃ切ない。子供たちどんな気持ちなんだろう…

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2022年09月04日

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ポアロもの。
トリック自体は、オリエント急行に似た、ちょっとズルな印象も受ける。しかし、本作は、ポアロの活躍楽しむ作品ではなく、周辺の人間関係を楽しむ作品なのであろう。そう考えて読むと、よく出来た作品だと思う。

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2022年09月02日

Posted by ブクログ

週末にホロー荘に集まる親族たち。それぞれが胸に秘めた(秘めてない人も多い)想いが交錯する中、殺人が起こる。その場に居合わせたポアロは、その現場がなぜか作り物のように感じたが……。
メロドラマ風なんだけど、それで終わらせない→

きちんとミステリーしてるんだよな。これだからクリスティはやめられない(笑)モヤモヤした関係がスルスル解けていく瞬間がたまらない。
ヘンリエッタ好き。あとルーシーと彼女を見守るヘンリーも。クリスティが描く頭のいい女性、好きだなー。


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2022年08月22日

Posted by ブクログ

ポアロ
面白かった。人間関係のドラマを楽しむタイプの作品。「アガサクリスティー完全攻略」p98によれば『後年クリスティーは、「ポアロを出したのは失敗」と述懐していた』そうだが、たしかにポアロがいなくてよいように感じた。事件の真相は心が苦しくなるようなものであったが、幸せになって欲しいなあと思う登場人物が幸せになれそうなところが救い。

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2021年07月06日

Posted by ブクログ

アガクリのポアロシリーズ
犯人が気になって気になって、予測しながら読むのが楽しい
恋沙汰も含まれた内容だった
犯人は意外といえば意外、当然といえば当然だった

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2020年09月01日

Posted by ブクログ

映画化と聞いて、では観に行く前に読んでみましょう、久し振りのクリスティ作品だなあと、しみじみしながら手に取ったところ…

何で今まで読まずに放っておいたの私、と後悔することしきり、です。

久し振りのポワロさん、ちょっと出番が少ないのが残念なのですが、相変わらず、というよりお変わりなくて嬉しいです。

映画はちょっと好みじゃなかったですが、この作品をきっかけに暫くクリスティ漬けの日々を送りそうな予感…♪

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2010年12月10日

Posted by ブクログ

アンカテル卿の午餐に招かれたポアロを待っていたのは、血を流している男と、その傍らでピストルを手にしたままうつろな表情をしている女だった。それは風変わりな歓迎の芝居でもゲームでもなく、本物の殺人事件だった!恋愛心理の奥底に踏み込みながらポアロは創造的な犯人に挑む。

登場人物みんなが少しずつ歪んでいて怖かった。まともかな、と思った人ですら恋心こじらせすぎだし。一見相手を崇拝して何でも言うことを聞くような人ほど、その敬愛が崩れたときの反動がすごいんだよな。人が予想もつかないパワーを出すというか。普段怒らない人を怒らせたらいかん。個人的にはアンカテル夫人が一番怖かった。あまりに怪しすぎて絶対犯人だと思ってました(笑)でも結局この人は単にそういう性格だったということ?しかしこの結末はジョンとガーダの子供たちが可哀そうだな・・・。

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2025年05月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今までの作品に比べてキャラの立った登場人物が出てくるなと思った

推理というよりかはドラマに重きを置いた感じで、結末も悲しめなものだったので、どことなく静かな印象だった

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2024年10月09日

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今回はミステリーじゃない、ラブサスペンスだ。
もう男性達があまりにも情けなくて珍しく女性陣に同情してしまった。
殺人事件は発生しているものの、ポアロの存在感はかなり薄い。
事件の真相よりも登場人物の心情描写に重きを置いた作品と言えそう。
それでも意外性はバッチリだったけども。

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2023年11月04日

Posted by ブクログ

最初からジョンがクソすぎて、いやな気分になった。
女性たちはみんな、なんか個性的?というか変わり者。
ルーシーは今でいうところの空気読めない人のパワーアップバージョンって感じで、好きになれず。
ミッジが唯一まともな感じがしたが、エドワードとくっついたりで、なんだかな~って感じ。
最後、ジョンの医者としての素晴らしさみたいな描写があって、ジョンのクソ加減が薄らいだ。多分、途中の登場人物たちのやり取りやら性格の強烈さで、ちょっとよくわからなくなってたのかも。
なんだか読んでいてとても疲れた。

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2023年08月24日

Posted by ブクログ

最初読み始めた時はこの会話とか描写いるかな?長いなと読むスピードが遅くなった。でもそれは必要なものだったことが読み終わった後、わかった。クリスティの名作は沢山ある。そして誰もいなくなったやオリエント急行殺人事件のように有名で面白いものがある。本書ホロー荘の殺人はポアロの灰色の脳細胞はそこまで出番はないが、登場人物の描写が凝っていて隠れた名作だと感じた。

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2023年06月25日

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ポアロもの。

アンカテル卿の館・ホロー荘に招かれたポアロは、館内のプールサイドで一人の男が血を流して倒れており、その傍らにピストルを手にした女が立っているのを目撃します。
この芝居がかった殺人現場の裏にあるものとは・・・。

殺された男性は医師のジョン、ピストルを持っていた女性はジョンの妻・ガーダ
ということで、一見単純そうに見えるシチュエーションですが、そこはクリスティー。勿論そう簡単な話ではありません。
何しろ、“事”が起こるまでにホロー荘に集った面々を巡る、複雑な人間模様が綴られているので、全員“腹に一物”抱えているように見えてしまいます。
まずはジョンを巡っては、妻・ガーダ、愛人で彫刻家のヘンリエッタ、昔の恋人で女優の・ヴェロニカという四角関係が展開しているし、それに加えてヘンリエッタの事が好きなエドワード、エドワードに想いを寄せるミッジ・・と、一体何角関係だよ?と言いたくなる程、それぞれの思いが錯綜しております。
そして、アンカテル卿の妻・ルーシーのキャラも強烈でして、その浮世離れっぷりは天然を通りこしてもはやサイコ。
何気に一番怖い人だと思いました(ある意味ラスボス)。
で、今回ポアロは出番も少ないし、終始受け身な感じで“ポアロもの”っぽくないなぁ・・という印象です。
終盤では、犯人と事の真相はわかったけど解決はしていないような・・という感じでしたが、ポアロ曰く「このような終局は、わたし自身は慈悲ぶかいものだと思っています。」とのことなので、これが落としどころだったのかもですね。

因みに、ラストでジョンが実はいい奴だった的な話になっていましたが、序盤でのモラハラエゴイストなジョンの印象が悪すぎて、“今更印象良くしようとしても、手遅れだっつーの”と思った私です。
と、いうことで何だか謎解きより“キャラ祭り”といった感じの本書でしたが、そんな人間描写を楽しませて頂きました。
とりあえず、唯一まともだったミッジには幸せになって頂きたいですね~。

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2023年05月26日

Posted by ブクログ

いつもよりも恋愛色の強い物語。
ホロー荘の女主人のキャラがなんか濃ゆくて、あんまり好きになれませんでした

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2022年10月11日

Posted by ブクログ

いわゆる「ポワロもの」であるが、その主人公であるはずのポワロがほとんど登場しない珍しい一冊。殺人トリックは単純だし、謎解きとしての面白さはあまりない。しかし、登場人物たちの心理描写が丹念に描かれていて、推理小説というより、一種の恋愛小説として面白く読める佳編。何度も映画化されているのにも納得させられるものがある。

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2022年03月17日

Posted by ブクログ

 『ナイルに死す』に続き、”複雑な人間関係が絡み合った系”の作品を読んでみた。今回はかなり丁寧に読み進めてみたのだが、どいつもこいつも、怪しかったし、やはりいつも通りアガサクリスティのじらしにむずむずした。

 ヘンリエッタの、どこか地に足つかぬ、あまりに感情先行な言動。ガータの裏の顔。ルーシーの危なっかしい天真爛漫さ。ヴェロニカの意味ありげな行動。そして、エドワード、別荘、リッジウェイ病・・・。すべてが怪しかった。
 そしてまさか、そういういきさつだったとは。さすがにそれは思ってもみなかった。
 誰もが怪しく、物語が一歩一歩規則正しく進んでいく様は、やはり正統派のミステリー小説。アガサクリスティーはいつだって期待を裏切らないのだ。たしかに、『ナイルに死す』と似た物語だが、情景の美しさや、すがすがしいほどの人間臭さを感動的なほどまでに味わえるのは、『ナイルに死す』の方に違いない。

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2020年04月30日

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