あらすじ
アンカテル卿の午餐に招かれたポアロを待っていたのは、血を流している男と、その傍らでピストルを手にしたままうつろな表情をしている女だった。それは風変わりな歓迎の芝居でもゲームでもなく、本物の殺人事件だった! 恋愛心理の奥底に踏み込みながらポアロは創造的な犯人に挑む。
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Posted by ブクログ
こ、これはまたすごいものを読んでしまった……!クリスティーの引き出し、どこまであるんだ。。
ポワロシリーズも残り10冊ちょっととなり、何を読もうかと迷って手に取った本書。なんと解説があのはやみねかおる先生!すっかり懐かしくなって、「夢水清志郎シリーズ」ぽちってしまいました〜(^^♪
さて。
いつもレビューを読んでくださる皆様はおわかりの通り、私は普段ミステリーしか読みません。ヒューマンストーリーや恋愛ものは、なんだか冷めてしまって飽きてしまうのです。
そんな私ですが、500ページ近くを費やして描かれる濃密な人間関係に、すっかり引き込まれてしまいました……!
被害者であるジョンはモラハラ野郎なので1ミリも同情しなかったのですが、登場する女性陣のクセの強さ、人間性、自活することと忘れられない過去への葛藤……それらが生き生きと描かれ、退屈するヒマなんて全くありませんでした。
クリスティー以外のミステリーを読むと、そのステレオタイプな女性像にうんざりすることが多いのですが、時代を経てなお、はっきりと息遣いの感じる女性を描くこと、それにクリスティーは本当に長けていたなと感じます。
だめんず製造機なヘンリエッタの行く末にはハラハラし通しでしたが、ラストの姿にも感動。芸術家としてしか生きられない孤高さには胸を打たれました。でもジョンに魅力を感じるのはどうかとおもう!
だんだん「ホロー荘」がつかめない幻影のように思えてくる過程もぞっとしましたし、なにより唯一応援したくなったミッジが幸せになれそうでよかった。
逆にミステリー好きでなく、人間ドラマ好きな方々にもオススメしたい一冊ですね。
これは、ポワロシリーズの中でも忘れられない作品だ。。
【印象深いセリフ】
p200
「…でも、わたし、相手がだれであろうと、世の中にその人しかいたいみたいに考えるのは、よくないと思っていますのよ」
p470
「…あなたにとっては、人の心が傷つけられるのは耐えがたいことです。しかし、ある人々にとっては、それ以上に耐えがたいことがあります。――わからない、ということです。…科学的な精神の持主にとっては、真実が第一なのです。どんなに辛かろうと、真実は受けいれることができ、人生の模様に織りこんでいくことができるものなのです」
Posted by ブクログ
ポアロシリーズ㉒
週末、アンカテル卿の屋敷「ホロー荘」にヘンリー・アンカテル卿の妻ルーシーの招待により親戚や客が集まる。
ホロー荘の近くの別荘に住むポアロは、ルーシーに日曜日の昼食に招待される。
ホロー荘に訪れたポアロは、プールサイドで銃で撃たれ倒れている男とその側に銃を持って立ち尽くす女を目撃する。
それは、どこか演出されたような場面だった。
灰色の脳細胞を駆使して謎にせまるというよりも、一人ひとりのキャラクターが際立っていて話にのめり込んでしまう感じでした。
事件に関わる女性達が、とても個性的で、考え方や悩みが生々しく、それぞれの行動に納得してしまいました。「きっと、貴方ならそうするだろう」と。それがまた、面白くもあり、悲しくもあり。
男性陣が、それぞれ魅力があるんだろうけど、「人としてどうなのよ!」と、ちょっとツッコミたくなる感じでした。
多くの感想にもありましたが人間関係が秀逸でした。
Posted by ブクログ
ヘンリエッタのことを読み進めるうちにどんどん好きになっちゃうので、犯人だったらどうしようとヒヤヒヤしていた。犯人でも探偵でもないのに主人公すぎる。ジョンは人好きのする性格ではないのにモテてるのが不思議だが、クラブトリーばあさんの態度を見るに、ヘンリエッタと同じくらい義理堅かったんだろうな。