【感想・ネタバレ】愛国殺人のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2023年07月02日

犯人とポワロとの対話が印象的
この思想があるからこそポワロは愛されるだけではなく尊敬される探偵でいるのだと思う

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年05月31日

ポアロ行きつけの歯医者モーリィ氏がピストル自殺を遂げた。しかし、ポアロが最後に見たモーリィ氏はそのような素振りはなかった。自殺説を疑うポアロはジャップ刑事と共に捜査に乗り出す。英国が大戦中であり、タイトルから右翼、左翼の話し?と思い犯人予想。夫婦共犯説を立てた。怪しい歯科医、超金持ちの銀行マン、さら...続きを読むに彼らにぶら下がる家族や恋人。どうもモーリィ氏への殺人を行う時間的余裕がない。ホワイ、フー、ハウダニット!!分からん!最後の謎解きで、オーマイガー!そんなことになっていたとは。⑤  
「汝エホバの言を棄たるによりエホバもまた汝をすてて王たらざらしめたまふ」
人間は人間であり上も下もない!ということ。

誤字発見!P344 仮設→仮説

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年02月23日

バカだから歯医者の建物の構造がいまいちつかみきれなくて残念。なんとなくの想像で終わった。
顔を潰されている死体は替え玉。もはや、鉄板の流れ。金田一しかり…
とわかっていても、犯人は最後までわからなかった。タイトル、原題のストレート和訳にしてたら、全然意味わかんなかっただろうな。語呂も悪いし。

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購入済み

面白かった

A
2022年12月18日

トリック自体は運任せといえなくもないが
捜査を撹乱するには十分だったりする。
そんなところがなんともいえない現実感を感じて、
少し怖くなる。
犯人の言い分も、さもありなんという感じで
アガサ・クリスティって天才だね。

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Posted by ブクログ 2022年07月18日

「アガサ・クリスティ」の長篇ミステリー『愛国殺人(原題:One, Two, Buckle My Shoe)』を読みました。

「アガサ・クリスティ」作品は、5月に読んだ短篇集『マン島の黄金』以来ですね。

-----story-------------
憂鬱な歯医者での治療を終えてひと息ついた「ポア...続きを読むロ」の許に、当の歯医者が自殺したとの電話が入った。
しかし、なんの悩みもなさそうな彼に、自殺に徴候などまったくなかった。
これは巧妙に仕掛けられた殺人なのか?
マザー・グースの調べに乗って起こる連続殺人の果てに、灰色の脳細胞「ポアロ」が追い詰めたものとは。
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1940年に刊行された「エルキュール・ポアロ」シリーズ長編第19作目の作品、、、

原題はマザー・グースの童謡の1節『いち、にい、わたしの靴の留金を締めて』から引用されていて、以降20までの数え歌の歌詞が作品の章のタイトルとなっています。

 ■1. いち,にい,わたしの靴のバックルを締めて
 ■2. さん,しいそのドアを閉めて
 ■3. ごお,ろく,薪木をひろって
 ■4. しち,はち,きちんと積みあげ
 ■5. くう,じゅう,むっくり肥っためん鶏さん
 ■6. じゅういち,じゅうに,男衆は掘りまわる
 ■7. じゅうさん,じゅうし,女中たちはくどいてる
 ■8. じゅうご,じゅうろく,女中たちは台所にいて
 ■9. じゅうしち,じゅうはち,女中たちは花嫁のお仕度
 ■10. じゅうく,にじゅう,私のお皿はからっぽだ

ちなみに邦題の『愛国殺人』は、アメリカ版の原題『The Patriotic Murders』の訳題のようですね。

登場人物が多く、頭の中で一人ひとりの特徴が整理でき読み進める感じとなり、序盤~中盤は少しもどかしい感じでしたが、終盤はバラバラのピースが埋まっていく愉しい感覚が存分に味わえる展開となっていました。

読み終わったときには、さすが「アガサ・クリスティ」作品って感じでしたね。


動機が、公的な理由だと思っていたら、実は個人的な理由だったり、

狙われていると思われた人物が、実は狙う側だったり、

「ポアロ」も惑わされる真相でした。


それにしても、、、

「国を愛するがゆえの殺人」という真犯人の動機は、余りにも利己的な思考… 人間に優劣を付け、公を護るために犠牲を強いるというのは、到底納得できるものではなかったですねぇ。

たまたま人物を覚えることが得意だった(不都合なことを覚えていた)ために殺されたり、邪魔な人間を(歯科で)油断させて殺すために歯科医が殺されたり、、、

たまったもんじゃないですよ。


本書を読んで、歯科について考えさせられた、、、

受診するときは誰もが無防備… 確か「ヒッチコック」の映画でも、歯科医に殺害されそうになるシーンがあったような気がします。

歯医者に行くのが怖くなりましたね。


あと、ちょっと気になったのは装丁に使われている靴の写真、、、

これは「メイベル・セインズバリイ・シール」の履いていた、バックル付きのイヴニング用の靴の方に変更した方が雰囲気が出ると思います。



以下、主な登場人物です。

「ヘンリイ・モーリイ」
 歯科医

「ジョージイナ・モーリイ」
 ヘンリイの妹

「ライリイ」
 ヘンリイのパートナー、アイルランド人

「グラディス・ネヴィル」
 ヘンリイの秘書

「フランク・カーター」
 グラディスの恋人

「アグネス・フレッチャー」
 モーリイ家の小間使

「アムバライオティス」
 ギリシャ人

「メイベル・セインズバリイ・シール」
 元女優

「レジナルド・バーンズ」
 内務省退職官吏

「アリステア・ブラント」
 銀行頭取

「ヘレン・モントレザー」
 アリステアのまた従妹

「ジェイン・オリヴェイラ」
 アリステアの姪

「ジュリア・オリヴェイラ」
 ジェインの母

「ハワード・レイクス」
 ジェインの恋人

「アルバート・チャップマン」
 セールスマン

「シルヴィア・チャップマン」
 アルバートの妻

「ジャップ」
 主任警部

「エルキュール・ポアロ」
 私立探偵

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年03月28日

これは鮮やかなどんでん返しですね

タイトルにも納得。

どんな理由であれ殺人は許されざる行為だというポアロの倫理観が好き

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年03月22日

導入部が面白いポアロシリーズ19作目。世界一の名探偵でも歯医者怖いんだね(笑)

以下ネタバレ

ポアロ行きつけの歯医者の先生がポアロが受信した日に自殺。そして翌日に同じ日に受診した患者が死亡、別の患者は行方をくらます……歯科医院内で何かあったのかと思いきや、スパイやら国家機密やらなんだか物騒な流れ...続きを読むに。
タイトルからして革命家の方々のアレかと思いきや、めちゃくちゃ個人的な殺人でびっくり。スパイはミスリードだったのね。
登場人物が多くて混乱気味やったけど、サクサク読めた。

最後まで読んでからタイトルを見返すと思わず納得。
そして私は最後のオチが好きでした。ポアロぽかーんやん(笑)

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Posted by ブクログ 2019年09月01日

すごくおもしろかった。

ポアロファンが好きなものが詰め込まれている1冊だと思いました。

ポアロシリーズのなかでも、読み応えのある作品だと思います。

まずポアロの登場シーンが多いのがいい。

ヘイスティングスがいないのが残念ですが、ポアロによる調査シーンが多くてうれしかったです。

ジャップ警部...続きを読むは出てくるので、二人の掛け合いも楽しめます。

ミステリとしては、最後まで読者に頭を使わせてくれる構成で、一度流れに乗るとページをめくる手が止められませんでした。

日本語のタイトルからは想像できませんが、実はマザーグースの暗記唄をモチーフとしたお話です。

章タイトルが、マザーグースの暗記唄の一節になっていて、全章のタイトルをならべると一つの暗記唄になっています。

マザーグースに興味がある方も楽しめるのではないでしょうか。

また、冒頭でポアロが歯医者さんに行くのですが、そうしたほのぼのとした生活感のある描写も、非常に魅力的です。

◇おすすめポイント
 ・ポアロがほぼ出ずっぱり
 ・生活感のある描写も豊富
 ・最後まで読者に頭を使わせるミステリ

◇こんな方におすすめ!
 ・とにかく頭を使いたい
 ・マザーグースに興味がある
 ・ポアロが好き

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Posted by ブクログ 2018年05月20日

動機も犯人も、クリスティの目論み通りに騙されて予想外でした。
歯医者での殺人と言うことで、確かに誰しもが無防備な姿だよなーとおもしろく感じたのですが、浅いけれど政治思想かぶれの登場人物が出てきたせいか、読み進むのが辛くなった。時代背景の差のせいか。でもラストで盛り返して★4つ。

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Posted by ブクログ 2017年08月24日

そこら辺の行きあたりばったり事件とは一線を画す練りに練った殺人計画で、犯人の頭の良さと用意周到さを感じました。

歯医者を殺し、歯医者になりすまして別の男を殺した上にその罪を歯医者になすりつけ、歯医者が所有する患者のカルテをすり替えて、その患者を殺したとき患者の遺体を別人のものと誤認させる無駄のなさ...続きを読む。昆布で一番出汁二番出汁をとったあとに刻んで佃煮にするがごとく、歯医者殺しの一件を有効活用しています。

登場人物が多い点が残念。多いだけでなく若干キャラ被ってるのがいて、把握に苦心しました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年01月09日

再読。今クリスティのポアロ物再読がマイブーム。十代の頃読み耽ったときに見逃していたこと、読み流していたことが多くて自分でも驚いている。自分は国家のために必要だから殺人を犯してもいいと主張する犯人に「国家のことではなく、自分の命を他人からうばわれない、という権利を持っている個人」に関することが自分の役...続きを読む割だと答えるポアロ、こんなこと言ってたんだ、卵形の頭の小男!

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Posted by ブクログ 2015年04月19日

「なんでこんな邦題つけるんだよー。原題とぜんぜん違うじゃないかよー」
などと怒っていたのだが、僕の負け。いやはや、すばらしい邦題でございました。

ラストのポアロの苦悩は、『九尾の猫』あたりのクイーンの苦悩にも重なる。
極めて明快な形で謎が解明されるのに、なんとなしに後味の悪さが残るのは、本書が「小...続きを読む説」として優れている証左だと思う。

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Posted by ブクログ 2014年01月16日

あらすじにマザーグースの~と書いてあったので見立て殺人の話かと思ったら、違かった。違くてよかった。
クスリと笑えるラストもよい。いずれ読み返したい。

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Posted by ブクログ 2013年11月13日

最初『ビッグ4』みたいな話かと思ったが、どうやら違ったよう。
『愛国殺人』の『愛国』って、ああそういう意味だったのか!と、最後の最後に目から鱗が落ちた。

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Posted by ブクログ 2013年04月11日

個人的にはここまで読んで来たポアロ作品の中では、一位は「アクロイド殺し」なんだけど、この作品はベスト3には入る印象的な作品だったと思う。

とりあえず、一番印象的なのは、犯人の殺人の動機。そしてこの作品名「愛国殺人」の意味。さすが、クリスティだと思う。

内容は何気ない日常を匂わせる歯医者という舞台...続きを読むで起こる自殺事件。それから次々に死者が出るんだけど、最後の死者のトリックはさすがに僕でも分かりました!…となるはずが、どんでん返しがあってビックリ。



とまあこんな感想ですが時間があればまた読んでみたいかなって作品。

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Posted by ブクログ 2023年09月19日

かの有名なポアロも歯医者に掛かるのか、と謎の親しみを覚えた。
彼に治療を施した歯科医が突然自殺してしまう。
しかし、その死を不審に思ったポアロは調査を開始する。
巧みにミスリードさせる犯人の手腕に最後までやられっぱなしだった。
よくよく考えるとなかなかシニカルな邦題だなと。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年09月03日

解決編での構図の逆転が鮮やかでそれなりに面白いが、引きが弱い上に故意に読みにくくしたような不自然さがある作品。歯科医のモーリイとライリイ、アリステアとアムバライオティス、ジェインとジュリアなど登場人物の名前が紛らわしく、またフランク・カーターとハワード・レイクスもキャラクター設定も被っている感じで区...続きを読む別しにくかった。すきま時間に少しずつ読み進める読書習慣もあり、忘れたり混同したりでなかなか読み進められなかった。わざとにしか見えないので意図が知りたい。
中盤で「歯医者が一人が死んでも大した事じゃない」という人物に対しポワロが「あなたにはそうでも私にはそうでは無い」というのがびしっと決まってかっこいいな、と思ったら、解決編でもう少し丁寧な言い方ながら同じことをいう犯人に対し、ポワロが決然と見解の不一致を告げる。この至極真っ当な主張の繰り返しが本来軽い読み物の推理小説を引き締めていて良かった。
ただ、市井の若者ならそのような乱暴な言い方も仕方ないかもしれないが、真犯人のキャラクターからするとあまりにとってつけたような…地味で控えめだけど中身がサイコパス?という違和感。

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Posted by ブクログ 2023年06月05日

歯医者が殺される。それは自殺と見られた。しかしそれは巧妙に仕組まれたものであるのか。ミステリのお手本となる作品。クリスティの筆は素晴らしい。

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Posted by ブクログ 2022年09月10日

ポアロが検査に行った歯医者の歯科医モーリイが、その日に亡くなってしまいます。自殺と思われますが、モーリイには自殺する理由はなく、また殺される理由も思い当たりませんでした。いったい動機は何なのでしょうか。

その後事件が立て続けに起こりますが、一連の事件の陰には何があるのでしょうか。
保守派で新しいこ...続きを読むとをやってみようと思わない銀行頭取のブラントに反感を持っている人たちが見え隠れしています。

歯医者という身近なところから、タイトルにもなっている「愛国」という大きなテーマになっていきますが、私には複雑でなかなか真相が見えない事件でした。

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Posted by ブクログ 2022年09月04日

時代背景もあるのか、ファシズムなどの要素もある作品。
複雑な構成であるが、クリスティの他作品と比較するとそこまででもないかな?という所。

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Posted by ブクログ 2022年07月04日

ポアロもの。

歯医者で憂鬱な治療を終えたポアロの許に、当の歯医者が自殺したとの連絡が入ります。
彼の直前の様子から、とても自殺とは思えないポアロは、真相解明に動きだしますが・・。

ポアロも歯医者嫌なんだ( ̄m ̄〃)と、共感できる事にちょっと嬉しくなる私。
さて、歯医者の死に続いて、治療を受けに来...続きを読むていた怪しげなギリシャ人も死んでしまい、さらに同じく歯医者に来ていた中年婦人も失踪して・・と錯綜していく中で、“これは、スパイ絡みかも?”という流れに。
大物銀行家に対しての銃撃未遂もあり、これは『ビッグ4 』ばりの、国際犯罪組織が関係してくるのかな?と読み進めていきますが・・。
で、結局これが完全にミスリードで、国際犯罪云々ではなく、犯人の身勝手な個人的事情による犯行だった事が判明。
“共犯者”と共に、巧妙なトリックを仕掛けて殺人を行い、他の人間に罪をなすりつけようとする卑劣さに呆れちゃいますね。
ところで今回は、“常に激オコ”なハワード・レイクス(銀行家の姪・ジェインの彼氏)と、“常に不貞腐れている”フランク・カーター(歯医者の秘書・グラディスの彼氏)のキャラがかぶってしまい、途中区別がつかなくなって、登場人物紹介を何度か見直すはめになりました。
で、“不貞腐れている方”のカーターが逮捕されちゃう場面があるのですが、彼のあまりに無礼な態度に面会に来たポアロが“もう、こいつが犯人ってことで、いっか・・”と、匙を投げそうになったりしていました。
そして、今回のミスリードの原因でもある、バーンズ氏のラストの一言がなかなかいいオチになっていたと思います。これは一本取られましたね!

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Posted by ブクログ 2022年06月19日

どの辺が愛国なのか分からんかったけど、全部読んだら成る程と頷ける題名。なかなかぶっ飛んだ考え方の犯人でした。

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Posted by ブクログ 2021年10月14日

クリスティ。ポアロのいった歯医者が謎の自殺を遂げる。
調べていくうちには事件の背後に諜報員の影を感じ取る
いつものクリスティとは違うテイストの話で、人物描写などが薄くクリスティの良さが出ていないように感じ、話に入り込めなかった

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Posted by ブクログ 2017年03月13日

ポワロが歯医者にかかった直後、その歯科医が自殺したと連絡が。背後には反社会組織の存在が怪しまれる。

ビッグフォーのようなサスペンス要素もあり、謎は解けないままに死体ばかりが次々と発見される。ポワロには珍しく全体的に登場人物の心理描写はあっさりとしている印象。反面、ポワロがたびたび自身の推理に不安を...続きを読む覚え老いを感じるシーンや、犯人に対して強い決断を行うラストなど、ポワロの内面や心情が強く描かれた作品。

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Posted by ブクログ 2015年11月29日

最後までわからないストーリー。イギリス国家が関係する規模の話だが、やや退屈なものだった。どんでんがえしが多く、相変わらずとうじょうじんぶつが多いため混乱する。

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Posted by ブクログ 2015年06月12日

基本的なトリックを上手く組み合わせて意外性を引き出すところは良く出来ていると思いますが、被害者が犯人の凶行に気づかない、診療スケジュールが犯人の思惑通りにいくものなのか疑問に思いました。マザーグースも本筋とはあまり関係なく拍子抜けでした。
また、真犯人のバックボーンが物語に上手く溶け込んでいない感じ...続きを読むで、最後の熱弁は浮いていました。

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Posted by ブクログ 2015年03月30日

誰が誰だかわかんなくなった。ちょっとややこしい。アムバライオティスとかいうどう考えても1番覚えにくそうな名前を真っ先に覚えた。

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Posted by ブクログ 2013年06月03日

個々の登場人物の印象(インパクト)が薄く、したがって、読みすすめる度に、あれ?この人どんな人だっけ?となってしまった。久しぶりにクリスティ読んだせいかも。。。

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Posted by ブクログ 2012年01月22日

英語で読む本を見つけようと考えて読み始めた本。最後の展開はドキドキしながら読めたけど、前、中段は長く感じた。解説を読んでよくわかったけど、人物配置や物語の妙を味わう作品で、トリックがメインでないからだった。推理小説として読んだから長く感じたのか。

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Posted by ブクログ 2013年03月23日

既に十冊以上読んできたポアロシリーズの中でも、
訳者が自分の一番好きな人だったので、さらさらと楽しんで読んだ。

ただ確かに楽しくは読んだのだが、さらさらと読み流してしまったのは、
男女共登場人物に魅力、人間としての深みを感じなかったからだと思う。
個性豊かな登場人物が多数登場するポアロ作品において...続きを読むは、
大抵の作品において、少なくても一人位は読者が
感情移入したくなるような人物が浮き出てくるものだが、
この作品の人物達は皆「薄い」気がして私はあまり好きになれなかった。

犯人との対決場面を筆頭に、
この作品には、所々に、エルキュール・ポアロの探偵としての信条や
一人の人間としての信念がよく表れている気がする。

エルキュール・ポアロが、己の信念の下に真実を導き出す、
高潔な名探偵である事が改めて実感させられるが、
その一方、歯医者の治療に恐怖心を感じていたり、
お洒落で履いているエナメルの靴で足が痛いのが気になったり、
と相変わらずちょっと可愛いおじさんぶりも時々覗かせていて、
そんな描写を読むと「ポアロさん、相変わらずだな。」と
なぜだかほっとする。

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Posted by ブクログ 2020年07月15日

非常にまっとうな、王道を行くミステリーだった。もはや、ミステリーというジャンルには収まらない、ドラマに重点が置かれた小説という気がする。
謎ときのトリックの奇抜さで勝負するのではなく、純粋に物語としての構成と、人物設定の念入りさを高度に組み合わせて、見事なまでのクオリティーを達成している作品だった。...続きを読む

犯人を途中で予測するのは、それほど難しくないかもしれない。しかし、この本の醍醐味は、謎解きではなく、一体どういう動機で人が殺されたのか、というところだ。
もともとの原題は「One,Two,Buckle My Shoe」だったけれども、日本語版では「愛国殺人」になっている。これは、非常によく出来たタイトルだったと思った。原題は、マザーグースの寓話から取ったもので、これは日本人には馴染みが薄いために、この「愛国殺人」というタイトルにしたのだろう。

優れた物語というのは、善と悪、白と黒にはっきりと分かれないものだと思う。完全な善も完全な悪もなく、それぞれの登場人物がそれぞれの事情を抱えて、その関連の中で時に利害関係が発生し、時に誰かが誰かを殺してしまうことがある。
そういう物語を読んだ後には、すっきりとしない気持ちも残る。それがしかし、この作品のようによく練られた末のものであれば、心地良い余韻として響くものなのだと思う。

私はまったく妙な男です。すなわち、私は方法と順序と論理を尊びます。そして、私は理論を弁護するために、事実を曲解するのは嫌いです。その点が、まあ普通でないところとでもいうのでしょうかね。(p.231)

「まあこういいましょう。彼女がどこにいるかはわかりました、と」
「それじゃ、あの人は亡くなったの?」
「そうは申しあげません」
「じゃ生きてるのね」
「どちらとも申しあげませんでした」
「そう、彼女は死んでるか生きてるかどちらかでしょ、そうじゃなくて?」
「実際は、そんなに単純なものではありません」
「あなたは物事をむずかしくするのがお好きのようね!」
「私はよくそういわれますよ」
(p.290)

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