アガサ・クリスティーのレビュー一覧

  • ゼロ時間へ

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    しっかりした和食(横溝作品)が続いて洋食が食べたくなったので、久々にクリスティーを。
    ちょうど、”夏の終わりに読みたくなるミステリー”とtwitterで聞いたもので、海辺の館が舞台のこちらを選びました。

    殺人は事件が起きるはるか以前から始まっている――。
    ずばり、これが今作のテーマです。
    殺人犯がいかにして強い憎悪を抱き、どんな計画を立て、そして分厚い仮面の下にそれを隠してあたかも普通の人を装って生活する様を、我々読者に気取られないように書き切ったクリスティーの筆力はさすがとしか言えません。なかなか事件が起きないのに退屈させないのもすごい。
    事件が起きて、証言や証拠が集まって、探偵が皆を集めて「さて……」と言う。そんないつものパターンとは異なる読書体験に、脳の違う部分が刺激された気がします笑
    それにしても、犯人があの人だったとは……。
    それを踏まえて再読したら、そのサイコパスっぷりに背筋が寒くなりそうです。この作品の発表は1944年とのことですが、その時代にサイコパスや精神的DVといった要素を持つ人物を描くクリスティーは、どれほど時代感覚に優れていたというのか。。

    今作はノンシリーズとのことで、いわゆる探偵役を務めるのがバトル警視。
    娘とのエピソード(一見関係ないように思われる)で、すっかり夢中になってしまいました。
    派手さはないものの、堅実な捜査を重んじ、そして自身の直感も大切にする。
    そんなバトル警視から、ポアロさんへの言及があったのには思わずニッコリ。二人が共演する『ひらいたトランプ』、早速ぽちってしまいました〜♪

    犯人を追い詰める証拠の弱さと結末のラブロマンスはちょっと引っかかりましたが(トマス、いいところがないじゃないか!笑)、でも、これまで他人に傷つけられてきた二人だからこそ今後は幸せになってほしいな。
    真相を覚えているうちにぜひ再読したい一冊です。

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    2024年09月03日
  • 牧師館の殺人

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    探偵役が変わると作品のテンポ感が変わってなんか新鮮だった。
    牧師館の書斎で死体が発見された。
    すぐに若い画家が自首するも、その供述内容はどことなく怪しい。
    さらには別の人物までもが罪を自白する。
    混乱する現場をよそに、ただ一人ミス・マープルは冷静に状況を見ている。
    やっぱ聡明な女性は素敵です。

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    2024年09月01日
  • 鏡は横にひび割れて

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    恩田陸の『鈍色幻視行』で、表情がこの小説に出てくる女優のようだという描写があり、調べたらレビューの評価も高かったので読んでみた。
    小説の中でも、その凍りついたような真顔の表情というのが鍵となってミス・マープルが追っていく。
    最後まで、どうやって、誰が、どんな目的で殺したか全くわからなかった。殺されたパドコックさんも女優もあまり魅力的には感じず、事件を追うのに余りひきつけられなかったけど、真相を知ったら女性が好きなクリスティ作品として上位に挙がるのは分かる気がした。

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    2024年08月31日
  • 死への旅

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    1954年発表のノンシリーズものの一作。クリスティ初期の作品ではお馴染みのスパイ・冒険ものが帰ってきた。とはいえ、スパイ・冒険はあくまでも味付け、純粋なミステリーとしても控えめで、骨子は人生を悲観した女性ヒラリーの波乱に満ちた旅物語。それ以上のものはないが、なくてもよいそれがクリスティ。

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    2024年08月30日
  • 七つの時計

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    チムニーズ館に宿泊していた外交官が睡眠薬を過剰摂取してなくなった。タヒ体の近くには7つの目覚まし時計。秘密結社『セブンダイヤルズ』という謎の組織も登場し、登場人物の誰も彼もが怪しい。ハラハラドキドキが詰まった1冊です。

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    2024年08月29日
  • 秘密機関

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    【トミー&タペンス】
    クリスティー32歳。
    デビュー作の次に書かれた2作目。

    トミーとタペンスが生き生きしていて魅力的だけど、やっぱり冒険ものが苦手でミステリーじゃないと途中挫折しそうになる…。
    すると面白い出来事が出てきて、クリスティーに「頑張るのよ!」と励まされているかのように、またぐいぐい読める。

    世界の命運を握る秘密文書の行方を若者素人探偵が探すという、どうにもあり得ない設定。
    それについては、あ〜そうなんだ程度に深く考えない方が良さそうだ。

    「一体誰が黒幕なのか?」というミステリーの犯人当てのような楽しみ方がわかると、一気にものすごく面白くなってきた。
    2人が若さに溢れていて明るく魅力的。
    そして今までのシリーズにはないドキドキ感!
    冒険もので初めて最後まで楽しく読むことができた(゚∀゚)

    クリスティーの幅広い作品のおかげで、私の狭い偏った好みを徐々に矯正してもらってる感じがする。

    思い返せば、あんなにカタカナ名前が苦手だったのにいつの間にか慣れたし、文化は違っても人間の本質は同じなんだと外国の壁も取っ払ってくれた。
    クリスティーのおかげで読書の楽しさが大きく広がった。私にとってクリスティーはもはや先生。

    自分のクリスティー読書50冊目は、冒険ものに初めて踏み出して楽しめたので、忘れられない1冊になった。

    クリスティーの作品は100冊あるので、これでやっと半分まできた。
    色々なジャンルがあるので、全然飽きないどころか、読めば読むほど愛が強まってしまうのがクリスティーのすごいところ。

    杉江松恋さんの解説がとてもわかりやすくて、自分がどうして『ビッグ4』を途中で挫折してしまったのか理由がわかった。
    この解説を読むと、クリスティーのことも作品のこともより深く知ることができて、より作品が面白くなる。こういう解説が大好きだ。
    ★3.5

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    2024年08月29日
  • 忘られぬ死

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    アガサ・クリスティのミステリーは大胆なトリックではなく、微細な人間関係の描き様にこそ最大限の魅力である。本書忘られぬ死も登場する女性やロマンス模様に面白さがある。もちろんトリックも秀逸である。ポアロやミス・マープルのような探偵がいなくてもクリスティの作品は面白い。

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    2024年08月28日
  • 満潮に乗って

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    ネタバレ

    真実を全て世間に明らかにしない、明らかにしないほうが幸せなこともある。殺人事件という非日常はそんなに起こり得ない。だからこそ事件が起こる前の人間の心情描写を丁寧に描く。動機を持っている人が犯人ではないこともあるし、一見動機がないのに明らかになると納得できるような隠された動機がある。みんな怪しいし、殺されそうな人は明らか。えっこの人から殺されるの!この人今死んじゃうの、、そんなドキドキも味わえる良い作品

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    2024年08月27日
  • ひらいたトランプ

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    クリスティのミステリは、しばしば中盤が弛れるけど、ラストの真相解明で毎度スッキリさせてくれる。
    展開の捻りも聞いてるし、トリック自体は物理的なものではなく心理的なトリックに重きを置いているので、私の好みな作品だった。

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    2024年08月25日
  • 満潮に乗って

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    【ポアロ】
    解説に「この本を手にしている方は、かなりの重症のクリスティー・ファンだろう」と書いてある。解説者もこの本は「四十数冊目くらいのクリスティー本」らしい。
    私もこの本でクリスティー48冊目で、ポワロ作品は自分の好きなタイプはほぼ読み終わってしまった。
    だから残りのポワロ作品になかなか手が伸びず、かなり久しぶりのポワロ。
    ここからのポワロは自分の苦手な作品が続くので、どこまでいけるのか自分に挑戦。

    大富豪ゴードンが戦災で亡くなる。
    亡くなる直前に若い娘と結婚し、巨額の財産は彼女のもとに行くことに。親族は複雑な思いを抱く…。

    いつまで経ってもなかなか事件は起こらない。
    登場人物は全員大富豪ゴードンの遺産に寄生していて、優柔不断で煮え切らないグダグダした個性の薄い人ばかりで、誰にも魅力を感じない。
    だんだんイライラしてきて他の本も挟みながら、読み終わるまでに3日くらいかかった。

    でもラストはさすがクリスティーだった。
    伏線もたくさん張ってあったし、遺産に寄生する一族にイライラさせることもクリスティーの計算上だったのかもしれないとも思えてきた。
    読み終わってみれば普通にこの作品も面白かった。やっぱりこれだからクリスティーはやめられない。
    クリスティー58歳の作品。
    ★3.5

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    2024年09月07日
  • 象は忘れない

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    ネタバレ

    過去の事件の真相を探る本書は当時を知る「象」たちに話を聞いていくことでストーリーが展開される。昔の記憶はバラバラなところもあるがそれを結びつけていくと浮かぶ真相。ポワロやオリヴァの少しずつ過去を解き明かす様子が良かった。真相自体は途中からとても想像しやすいものであるが、大切なのはそれを当事者たちがどう受け止めるか、そしてこれから先どう生きていくか。過去を通して自立していく心温まるストーリーだった。像は忘れないが、人は忘れることができる。忘れていくこともまた大切なのだと感じた。

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    2024年08月19日
  • 死が最後にやってくる

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    舞台は紀元前二千年のエジプト。しかし人間関係の本質は現代と変わらない。その人間の機微を巧みに描くクリスティは天才だ。

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    2024年08月18日
  • 象は忘れない

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    ネタバレ

    読むきっかけは、最近読んだミステリの解説の中で、ミステリ作家たちが長編小説の傑作は『象は忘れない』で意見が一致した、という文章を読んだこと。

    今まで読んだポアロの中で一番情報を汲み取るのが難しかった!!
    十年以上前の事件の真相について、当時関わっていた人たちに話を聞いていくのだけど、話し手は自分がそう思いたいと考えていることを事実として記憶しているので、
    出てくる人の話がある事実においてはこうだけど、別の人によるとこうだ…みたいな感じで、事件についての情報がかなりとっ散らかっているように見える。
    だけど最後の種明かしの場面では、「象」たちが話したことがシンプルな真相にきれいに収束していって、読み終えた後は感慨深い気持ちになった。
    事件の真相を知った上で読み返せば、推理小説としてはもっと楽しそう。
    あと最初はすごく読みにくかった…翻訳が古いのかな?と思ったけど、古さよりはミセス・アリアドニをはじめとする登場人物の会話のせいかな思った。
    会話って文字に起こしてみるとかなり散らかっているので、こういう読みにくさも意図的なんだろうな…

    また、クリスティーの晩年の作品を読んだのも初めてだった。
    作中に出てくる年代が1970年代で、「え!最近じゃん!?」と驚いた。
    今まで読んでいたクリスティーは戦前のものが多かったので…
    作中に出てくる『五匹の子豚』も気になる。近いうちに読もう。

    あとシリヤとデズモンドの二人がよかった。
    ポアロが、シリヤには「幸福になる素質」「勇敢さ」があると言っていた。
    この二つって人生を生き抜く上でとっても大事なことなのでは、と20代中盤を過ごしていて感じてきている。

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    2024年08月14日
  • スリーピング・マーダー

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    【マープル】
    クリスティーが37歳の時に執筆して、亡くなった後に公開された作品。
    マープルの最終話となっているけど、執筆したのはマープル作品初期の頃なので、こちらから読むことに決めた。

    戦争中に執筆しているからなのか、仄暗くて重い雰囲気。怪奇要素も入っていて、今までのマープル作品にはない感じだった。

    マープルは無理に話を聞こうとしない。
    動揺して怖がっている人には、湯たんぽと濃くて熱くて甘いお茶で精神的に落ち着かせてくれる。
    相手が話しやすい雰囲気づくりが上手い。
    この作品では、まるで心理カウンセラーのようなマープルが印象に残った。

    解説は恩田陸さん。
    まさか解説でこんなに心を持っていかれるなんて思わなかった。
    私は『ドミノ』しかまだ読んでないので、全然恩田さんのことは知らないのに一気に心を掴まれた。

    自分が心の中で思っていて言語化できないクリスティーの好きな部分を全部言ってくれた感じがした。解説のこんなに短い数ページでそれをやってしまうすごい才能。
    クリスティーを読み終わったら恩田陸さんの本ももっと読んでみたい。

    次は未読最後のマープル作品『復讐の女神』。
    ついにマープルが終わってしまう。

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    2024年08月15日
  • カリブ海の秘密

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    ネタバレ

    いや~今回も犯人は難しすぎ。療養のため奇麗で温かい西インド諸島を訪れたマープル。一週間は何事もなく穏やかに過ごしていた。彼女を相手に懐古談をしていたパルグレイブ少佐が亡くなって発見される。少佐に自分の妻殺しの内容を知られたと思った犯人の仕業とマープルは考える。ホテルの従業員の夫妻(ティムとモーリー)の使用人・ヴィクトリアも刺殺される。登場人物の夫婦達や金持ちのラフィール、その秘書、医師等怪しい者が多すぎて、犯人予想ができずに混乱。でも一応予想した、が、やっぱりハズレ。76歳のクリスティーの作品、完敗。③

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    2024年08月18日
  • 杉の柩

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    登場人物は資産家の未亡人、その甥と姪、未亡人の寵愛を受けている娘、医師と看護婦2人。
    甥と姪は将来を約束した仲だが、未亡人の世話をしている娘を見て、甥の気持ちが揺らぐ。
    ほどなくして、未亡人が亡くなり、姪が遺産を相続するが、甥との仲は破綻する。そんな中、娘が殺されて、犯人として姪が逮捕される。医師は姪の無実を信じて、名探偵エルキュール・ポアロに調査の救いを求める。遺言を残さず亡くなった未亡人、若いながら遺言を残して殺された娘。姪に不利な状況が積み重なるなか、姪が本当にやったのか、それとも濡れ衣なのか、ポアロの調査が始まる。登場人物とポアロとの会話から、真実が見つけだせるのか、姪は本当に無実なのか。ある出来事がきっかけとなり一気に氷解していく。提供される情報をもとに、丁寧に読み解くことが求められる。

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    2024年08月12日
  • 魔術の殺人

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    【マープル】
    1952年クリスティー62歳で、マープル長編12作品のうち5番目の作品。

    マープルの学生時代の友人に「妹の身に良からぬことが起きる予感がする」と頼まれて、マープルは友人の屋敷に赴くと…。

    最初の夫とその子ども、2番目の夫とその子ども、3番目の夫、実子と養女とその旦那もいて…もう人間関係が複雑過ぎるよー。

    人数が多いのと魅力のある登場人物がいなかったので、誰にも感情移入できずに終わってしまった。

    邸宅で非行少年ばかりを集めた少年更正施設をしていたり、妄想癖のある青年も出てくる。
    もう色んなことがてんこ盛りなので、面白みが薄くなっている感じがした。
    ★2.5

    マープル長編の未読は残りあと3作品。
    執筆した順番で最後の3作品を読まずにとっておいた。
    楽しみでもあり、マープルが終わってしまう寂しさもある。大切にゆっくり読もう。

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    2024年08月08日
  • 愛国殺人

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    憂鬱な歯医者での治療を終えてひと息ついたポアロの許に、当の歯医者が自殺したとの電話が入った。しかし、なんの悩みもなさそうな彼に、自殺の徴候などまったくなかった。これは巧妙に仕掛けられた殺人なのか?マザー・グースの調べに乗って起こる連続殺人の果てに、灰色の脳細胞ポアロが追い詰めたものとは?

    かなり登場人物が入り乱れて、しかも本人かどうか分からない死体も登場したり出てくる人物が本物なのかどうかなど混乱をきたしました。でも面白かった!ポアロが警察の先を進みながら解き明かしていくところはこれぞミステリという感じ。重婚が理由の殺人って他にも読んだ記憶があるんだけど、当時は結構問題になるレベルだったんだろうか・・・現代だとあまり見たことがないけれど。冷静で仕事に対しては真面目でこんな人が殺人をするわけない、と思っている人に限って恐ろしい考えを持ってたりするんですよね。体面を保つために命を狙われたり人を殺すような考え方は歪んでるし、奥さんも止めなさいよと思ってしまった・・・。

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    2024年08月06日
  • さあ、あなたの暮らしぶりを話して

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    ネタバレ

    クリスティーのシリア発掘調査日記。

    クリスティーの再婚した相手が考古学者であり、クリスティーも夫と一緒に発掘調査に同行したことは有名だが、その様子は初めて詳しく知った。オリエントな世界に魅せられていくつかの作品を上梓したクリスティーだが、その作品の下敷きになったであろう中東への眼差しがここに現れている。

    ヨーロッパと違う風土、人々。虫や小動物に悩まされたり、勝手が違うルールやマナーに呆れたり、クスリと笑える描写もある。これが当時の典型的な西洋人の中東への見方かと納得することもあり、あまりにナチュラルな上から目線は現代から考えると座りが悪い部分もある。戦時中にまとめたのだから、明らかに過去を振り返って楽しかったと回想する思い出の記ではあるが、クリスティーも異邦人生活の楽しさ(それも配慮してもらえる立場での)を教授していたのだなと。時間も空間も超えてこれを読む自分は、ひとつの旅行記としてというより、クリスティーの情報のひとつとして読んだ。

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    2024年08月06日
  • 愛の重さ

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    【ノンシリーズ】
    「いっそ死んだのが兄でなくローラだったら…」と両親から思われているローラ。
    今度こそ両親の愛情はローラに注がれると思ったら、妹シャーリーが生まれた。すると今度は妹ばかりが愛され…。
     
    『第1章 姉ローラ目線』
    読者が姉か兄だと、下の兄弟が生まれた時の姉ローラの気持ちがよくわかると思う。

    『第2章 妹シャーリー目線』
    私は3番目なので、まさに妹シャーリーと同じ。「うん、わかるわかる。」とシャーリーに共感しながら楽しかった。

    と、ここまでは『春にして君を離れ』『娘は娘』と同様に面白かった。

    第3章になったら、説明もなく新しい謎の伝道者の話に突然切り替わる。
    1.2章との繋がりが全くないので意味がわからず混乱する。ローラとシャーリーの話はどこへ行った?
    そして宗教色が急に強くなるので、頭に内容が入ってこない。今まで宗教感をこんなに出したことなかったのに、急にどうしたんだろう。

    第4章で第3章との繋がりがわかるけど、最後の終わり方も今までのクリスティーとは違う違和感を感じた。
    第2章まではいつも通り面白かったので、第3章から突然の方向転換に驚いた。

    解説にその辺りのことが説明されてるかなと思ったら、なぜかクリスティーの容姿について終始書かれていた。

    末尾の一文
    「だから、本書を手にするときは、くれぐれもクリスティーの中年以後の容姿は思い浮かべないこと。これが肝要である。英国伝統の、やや面長の、しかしすこぶるつきの美人時代のアガサ・クリスティーを、思い浮かべていただきたい。」

    クリスティーに失礼過ぎるし、上っ面じゃなくて作品の中身について解説できる人が解説を書いて欲しい。

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    2024年07月31日