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ポアロは巨額の財産をもつ老婦人から命の危険を訴える手紙を受け取った。が、それは一介の付き添い婦に財産を残すという問題のある遺言状を残して彼女が死んだ二カ月後のことだった。ポアロとヘイスティングズは、死者からの依頼に答えるとともに事件に絡むテリアの「ボブ」の濡れ衣を晴らす。
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Posted by ブクログ
ポアロのもとに老婦人から依頼状が届くが、すでに彼女は2ヶ月前に亡くなっていて…という奇妙な出来事から始まります。
ポアロシリーズの中でも、愛犬家にはたまらない一冊。作中にはクリスティー自身も犬を可愛がっていたんだろうなと思える表現が多く、献辞からも愛犬への深い愛情を感じました。
作中に登場する犬・ボブの気持ちを代弁する場面にはほっこりしつつ、事件の推理はなかなか真相に気付けない!全員が怪しい!すっかりクリスティーの術中にハマっていました。途中、登場人物一覧を見返す人が多いはず。
そしてタイトルの"もの言えぬ証人"とは誰のことなのか、読み終えてから「そういうこと!?」と衝撃。人間の心理や、無意識を巧みに利用するクリスティーの凄さを改めて思い知らされる一冊です。
Posted by ブクログ
1937年の作品。
長編ポアロシリーズ14巻目。
ある日エルキュールポアロは、裕福な独身の老婦人、エミリーアランデルから調査の依頼の手紙を受け取る。しかしその手紙は2ヶ月前に書かれたものであり、手紙を出した彼女はすでに故人となっていた。彼女の死は病死で、少しも疑わしいところはなかった。が、彼女が死ぬ前に遺言状を書きかえたこと、階段から落ちて怪我をする事故があったことなどからポアロは彼女の死が殺人によるものではないかと疑い始める。
容疑者は、エミリーアランデルの甥のチャールズアランデル、姪のテリーザアランデル、同じく姪のベラ・タニオスとその夫でギリシャ人のドクタータニオス。彼女の死によって莫大な遺産を受け継いだ付添人のミスロウソンである。
一部始終を目撃していたはずのエミリーの愛犬、ボブは言葉を話すことができない…。
この作品は、ワンちゃんのボブがキーパーソン(キードッグ?)となって出てきます。
アガサクリスティの飼い犬がモデルになっているのかな?
ヘイスティングスくんの語りで書かれていますが、ヘイスティングス君はさすが、犬語も解すんですね!!
強い個性のキャラクターがいっぱい出てきますが、中でも強烈なのが、ミス・ピーボディというオールドミス。尖った傘の先でヘイスティングス君を刺して喜んだりしています。宮崎駿作品の湯バーバのようなイメージです(個人的見解)
いろいろな伏線も出てきますが、鮮やかなほどミスリードさせられたー!
やはりヘイスティングス君の語りの作品は軽妙で面白いですね!
Posted by ブクログ
デビット・スーシェのドラマを見ました。
白テリアのボブが可愛くて可愛くて。ボブに懐かれたポアロが、田舎には不釣り合いな完璧な紳士装束でボブのお散歩をする姿も可愛くて可愛くて。
そこで原作も読みたくなりました。ボブは原作では出番は少なかったのですが、やっぱり、かわいい!
ドラマでは、ポアロにボブを譲る話があったので「ポアロさん、ロンドンにつれて帰ろう!お散歩なら私がするから>▽<」と思ったですが、残念ながらポアロはボブを別のお宅に置いてきてしまった(´・ω・`)
しかし原作ではボブをロンドンに連れて帰ることに!!わーい(^o^)
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ポアロの事務所にエミリイ・アランデルという老婦人から手紙が届いた。田舎の古風な名家の頑固でしっかり者のオールドミスらしい。ポアロが気になったのはその手紙の日付だった。書かれたのは2ヶ月前なのだ。彼女はなぜ2ヶ月間手紙を出さなかったのか?ポアロとヘイスティングスがエミリイの屋敷「小緑荘」に向かう。
しかしエミリイ老婦人は1ヶ月前に持病により亡くなっていた。
ポアロは、エミリイは身の危険を感じて自分に依頼しようとしたと察し、エミリイの死の真相を探ろうとする。依頼人は亡くなっているが、ポアロの矜持なのだ。
エミリイは莫大な資産を持っていた。本来は三人の甥と姪に相続されるはずだったが、最新の遺言状でほぼ全財産が付き添い看護師のミニー・ロウスンに引き継がれることに変更された。当然甥や姪たちは猛反発。
果たしてエミリイ老婦人の死には、誰かの悪意があるのか…。
●エミリイ・アランデル:地方の名家アランデル家の屋敷「小緑荘」の女主人。エリザベス女王時代の頑固な価値観の持ち主。
クリスティの「前時代の頑強な老婦人」っていいですよね。
●ワイヤへアードテリアのボブ:エミリイ・アランデルの飼い犬。いたずらっ子。この物語はヘイスティングスの一人称事件記録なのですが、ヘイスティングスはボブの気持ちを代弁しているのがまた可愛いかわいい。「犬は私を見ると『やい、見かけないやつだな。噛みついてやる。それでそのボールを投げてくれよ』というように吠え立ててきた」みたいな笑
遺産受取人
●ウイルヘルミナ(ミニー)・ロウスン: エミリイの付き添い看護師。ほぼ全財産受け取ることに。
原作では、人々から階級も教養もあまり頭の良くない女性と見られていて、こんな人がそんな大金相続してもあっという間に騙し取られそう…と思った…
親族とその関係者
●チャールズ・アランデル: 20代前半のエミリイの甥。享楽家で遊蕩三昧で常に金に困っている。ちょっとした詐欺や、エミリイ叔母さんのお金をくすねている。今回も「遺産を取り戻すためなら違法行為も厭わない」と公言。
だが人間としては魅力的で、周りからの評判は割と良い。
●テリーザ・アランデル:20歳くらいだっけな。エミリイの姪で、チャールズの妹。美人で派手。現代っ子らしく生きることが大好き、今欲しいものが今欲しい、遊びもファッションも恋愛も最先端のため金欠。兄と同じく「遺産を取り戻すためなら違法行為も厭わない」しかしそれは自分のためだけでなく、婚約者で町医者のドナルドスンの成功のためでもある。
眼の前の華やかな生活を送ってきたテリーザが、真面目で堅物っぽいドナルドスンとの婚約は意外でもあるのだが「最初の男ではないけれど、多分最後の男」と言い切る。高飛車で身勝手だが潔良くて割と好感を持てる…自分の近くにいなければ(^_^;)
●レックス・ドナルドスン:将来有望の医者で生真面目くん。エミリイのような老婦人からは「頭は良いかもしれないけど、男としてはなっちゃいない」という低評価。
ヘイスティングの記述では、冷静で洞察力があると案外高評価。
読者としても、全く正反対のテリーザとドナルドスンが愛し合っているのはなんか良いのよね。
●ベラ・タニオス:エミリイの姪。夫はギリシャ人で子供が二人いる。子供のことで頭がいっぱいの「ハサミ虫のような女」と言われるような(^_^;) 金欠をやりくりして一生懸命レリーザのファッションを真似っ子するが、センスが悪くて野暮ったくなってしまう(^_^;)
どうやら夫に頭が上がらないらしい。
なんか、半径10メートルで生きる冴えない主婦って身につまされてツラい(^_^;)
●ジュイコブ・タニオス:ギリシャ人医師でベラの夫。この時代ギリシャ人は差別的な目で見られたが、陽気で親切でベラを「自分にはもったいないほどの素晴らしい女性」と賛美するので、ギリシャ人だけど話してみると案外いいやつ、みたいに
思われる。でもベラのお金で投資に失敗し、エミリイの遺産分与を期待していた。
村の人達
●キャロライン・ピーポディ:エミリイの昔からの友達の老婦人。ポアロとヘイスティングスはエミリイの死を探るために嘘をついて彼女に面会するんだが見破られている。そして道で出会ったヘイスティングの脇腹をパラソルで突っついたりする。ヘイスティングは嘘ついた負い目があるし、相手は老婦人なので逆らえない笑。食えない婆さんって感じで面白い。
●トリップ姉妹:霊媒師の中年姉妹。ドラマでは好き勝手に楽しそうに「きゃあきゃあ、お告げよお告げよ♪」などとやりたい放題だったが、小説では割と大人しめ・笑 しかし彼女たちが目撃したエクトプラズム?とかなんとかが解決のヒントに。
今回のポアロは「本来なら自分に依頼されるはずだった事件」として自主的に捜査しています。何の権限もないし、殺人だとしたら犯人に疑われないように(第二の殺人を防ぐため)しなければいけません。そこで関係者に身元を偽ったりします。ヘイスティングスからすると「嘘」は良くないという価値観で、ポアロは「必要な口実(要するに嘘)は別に悪くない」という価値観が現れます。なるほど。
しかしあくまでも「亡くなった依頼人だったらこういうことを望むだろう」ということを汲み取ったうえでの捜査と、始末の付け方をします。そしてポアロが出てこなければ起こるはずだった第二、第三の殺人も防いだことに。
犯人は身勝手ですが、最後に明かされた殺人者への「ちょっと思いがけない墓碑銘」がなかなか切ない。
この物語ではこの時代の、外国人差別、女性軽視、職業社会的地位による格差というものも現れていました。
ギリシア人のタニオス医師に対して「アランデル家の女が外国人なんかと結婚するなんて」「ギリシャってアルメニア人を虐殺したんでしょ。あらトルコだったかしら?」という扱い。タニオスさんは明るいし医師としても優良なのでエミリイ老婦人もちょっと見直すようですが。
ミニーの付添婦という職業も軽んじられています。「まともな人間が就く職業ではない」くらいの扱い。ミニー自身は悪意はない人(単純な人。悪いことを考える知能もないというか…)なんですが、彼女に余るほどの大金相続は、読者としても心配に(^_^;)
そしてあとがきで書かれていた「ポアロは120歳くらいで死んだことになる」には笑ってしまった。これって横溝正史も「ポアロは計算したら120歳くらいってことになる。現実と合うかは気にしなかったんだろう」と書いているので有名なんだろうけどさ。
そしてボブ(^ ^)
ヘイスティングスには犬友達が結構いることが判明。きっと犬の散歩している人を見かけたら話しかけて犬を触りまくっているに違いない 笑
そのためかボブの吠え声や仕草を代弁するのが楽しい楽しい。「ぼくはいい番犬だろ?ぼくが吠えたって気にするなよ。これがおつとめなんだからね」「ボールがそこにはないって?何言ってんだい。ボールは同じ場所にあるって決まってるのさ」などなど\(^o^)/
ボブはポアロへの報酬のようなもの。しかしヘイスティングスに取られちゃったみたい笑
ボブは他のお話には出てこないけど、今後ポアロ物を読むときには「お家に帰ったらボブがいるんだよね★」って思うことにします。(いませんが、いると考える)
Posted by ブクログ
エルキュール・ポアロシリーズのひとつで、他の作品同様にヘイスティングスとの軽妙なやりとりは全編通じて健在でした。本作品の最大の特徴は初期設定でしょう。裏表紙にも書いてありますのでここでも述べますが、ある老婦人が死亡してから2ヶ月近く経って、ポアロに手紙が届きます。しかもその手紙は自分の身の危険を明確に述べているわけでもなく、状況的には自然死であろうということで、怪しいところがないなかでポアロは捜査を始めます。そして死亡した老婦人の関係者(親戚や使用人)と話を進めるなかでポアロは推理を進めるわけですが、私の個人的な感想としては、他の作品以上に登場人物の心理分析が中心になっていて、なかなかそのあたりの機微を読み取るのが難しい。これは女性の読者の方が共感する作品かもしれませんね。正直わたしは種明かしのパートもそんなに共感できませんでした(というよりよくわからなかった)。ただ舞台設定はユニークで序盤は大変引き込まれました。
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