アガサ・クリスティーのレビュー一覧

  • 第三の女

    Posted by ブクログ

    ミステリの導入はその後に始まる又は既に始まっている事件をどのように捉えるかを決定付ける重要なポイントだと思っているのだけど、本作ほど実態を掴めない導入は珍しいかもしれない

    ポアロを頼ってやって来た依頼人、けれど彼女が口にしたのは「自分が犯したらしい殺人について相談したい」などとちょっと要領を得ないものだし、結局依頼をしないままに帰ってしまう
    これ程までに「これから事件が始まるぞ!」と思えない導入はやはり珍しく思える
    ただ、ポアロは依頼人が去り際に口にした「年をとりすぎていらっしゃるから」なんて言葉に触発されて動き出すのだから、別の意味で面白さがあるが


    本作の特徴的な点は先に上げた導入部も

    0
    2024年05月16日
  • ヒッコリー・ロードの殺人

    Posted by ブクログ

    ポアロもの。

    ポアロの秘書ミス・レモンの姉であるハバード夫人が寮母を務める学生寮で、盗難騒動が次々と発生。
    件の寮を訪れたポアロは、学生たちの前で警察を呼ぶべきだと主張します。
    そしてその直後、盗難の一部は自分がした旨を打ち明けた寮生が謎の死を遂げてしまい・・・。

    今回の舞台は外国人留学生の多い学生寮(学生だけでなく社会人も寄宿)ということもあって、登場人物が多く、誰が誰なのかを一致させる為、冒頭の登場人物一覧をいつも以上に行ったり来たりしながら読みました。
    多種多様な寮生というだけでも大変なのに、寮の経営者・ニコレティス夫人は異常にヒステリックだわ、料理人のイタリア人夫婦もイマイチ鈍いわ

    0
    2024年05月16日
  • ポアロ登場

    Posted by ブクログ

    短編だからすぐ解決しちゃうのが名残惜しい気持ちになる。ポアロシリーズは長編が好き。唯一の(??!)ベルギー時代のポアロの失敗談を聞けたのは面白かった。チョコレートの箱!笑

    0
    2024年06月13日
  • カリブ海の秘密

    Posted by ブクログ

    久し振りに読み返しました。続く[復讐の女神]、書かれることのなかった[Woman's Realm]三部作構想の第一部に当たります。おしゃべりのなかに情報を見いだすミス•マープルは健在です。ラフィール氏との関係が次の作品に繋がっていくところが、ちょっと粋な感じです。ミステリーとしては標準かもしれませんが クリスティの好きな作品のひとつです。

    0
    2024年05月12日
  • カーテン

    Posted by ブクログ

    「犯人」だけ覚えていたので
    他の部分は新鮮に感じながらの再読。

    年を取ったポアロが療養しているのは
    ゲストハウスとなったスタイルズ荘。
    呼び出されてやってきたヘイスティングズは
    ここに殺人を教唆する稀代の悪人Xがいて
    新たな事件が起きる可能性を知らされる。
    車椅子になって身動きの取れないポアロのため
    住人や近隣の関係者に話を聞こうとするが
    その中には彼の最愛の末娘も含まれていた…。

    人の善いヘイスティングズさえ
    自分の愛する人間が絡むと
    一線を越えそうになってしまう。
    人間の弱い部分を操る今回の犯人は
    平然と近くに暮らしていそうで怖い。
    そう考えると『スタイルズ荘』の
    ある意味わかりやすい

    0
    2024年05月07日
  • マン島の黄金

    Posted by ブクログ

    『夢の家』
    『名演技』
    『崖っぷち』
    『クリスマスの冒険』
    『孤独な神様』
    『バグダッドの大櫃の謎』
    『光が消えぬかぎり』
    『クィン氏のティー・セット』
    『白木蓮の花』
    『愛犬の死』
    上記10作が収録された短編集。
    『崖っぷち』の中で、丘の上の道について、「小道からはずれないようにすれば危険はまったくないのだが、うっかり小道から足を踏み外すと危険極まりなかった」と表されているのが、人の生き方そのものを表している様で、印象的だった。アガサ・クリスティーの作品には、こんな表現が時々見られる様な気がする。

    0
    2024年05月07日
  • ハロウィーン・パーティ〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    話に派手さも深さも無いし、トリックも特異な点があるわけではないのだけど、それだけにクリスティらしさが詰まった作品と言えるのかな?


    事件は愚かな少女が殺人現場を見たと吹聴した事から始まる。その構図は個人的に『葬儀を終えて』を思い出させるかな
    自分の発言がどのような影響を生むか全く想像できていない愚か者の言葉が無用な殺人を呼び起こす。まあ、あちらはもう少し異なる構図ではあるけれど

    本作の特徴を一つ挙げるならそれは被害者が幼い子供である点か
    クリスティ作品によく見られる金銭も愛憎もあまり絡んでこない年代が被害者となれば、作中で盛んに言及されるように変質者や狂人による犯行を疑いたくなるもの
    でも

    0
    2024年05月06日
  • チムニーズ館の秘密

    Posted by ブクログ

    殺人あり、大泥棒の登場あり、政権のいざこざあり。波瀾万丈の冒険ミステリ。謎解きが面白い作品が多いアガサ・クリスティだが、本書のような冒険が絡む物語も良い。

    0
    2024年05月02日
  • クリスマス・プディングの冒険

    Posted by ブクログ

    『クリスマス・プティングの冒険』
    『スペイン櫃の秘密』
    『負け犬』
    『二十四羽の黒つぐみ』
    『夢』
    『グリーンショウ氏の安房宮』
    上記6作が収録された短編集。
    同じ時間に銃で自分を撃つ夢を連日見ると言う人が、後日その通りになってしまう『夢』が摩訶不思議な雰囲気が漂っていて好き

    0
    2024年04月29日
  • ビッグ4

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    攻略本で0.5点(ポアロシリーズの中で最低点)の本書。
    実家の本棚にもあるので読んだことはあるはず。
    例によって内容は全く覚えていないけど、いやさすがに0.5点てことはないはず、と読み進めると。。。

    冒頭のヘイスティングスが南米から帰還する場面こそ、「ヘイスティングス、おかえりー!!」と思ったけれど、そこから始まるこれまでのポワロものから急に路線変更したかのような国際諜報ものと化す展開に戸惑いを覚える。
    え、なんで世界を暗躍する犯罪組織に急に目をつけられる!?
    そりゃ世界的に名声を馳せる優秀な探偵ではあるだろうけど、何かしらの因縁があるわけでもなし、唐突感が否めない。
    その上、一章々々であっ

    0
    2024年04月28日
  • 未完の肖像

    Posted by ブクログ

    ノンシリーズ(メアリ・ウェストマコット編)。

    想像力が豊かで内気なシーリアは、優しい母親・ミリアムや、周囲の人々に温かく見守られて不自由のない少女時代を過ごします。
    やがて、美しく成長したシーリアは、穏やかで堅実なピーターと婚約していたのにも関わらず、突如現れたダーモットから猛アプローチを受けるうちに、彼に惹かれていき・・。

    本書はメアリ・ウェストマコット名義で描かれたロマンス小説(ミステリでない方のクリスティー)シリーズの一つで、クリスティーの自伝的な内容といわれているようですね。
    冒頭では、とある肖像画家が、今にも自殺してしまいそうな女性(シーリア)と知り合い、その彼女から聞いた半生を

    0
    2024年04月26日
  • 茶色の服の男

    Posted by ブクログ

    アガサ・クリスティーといえば、ポアロやミス・マープルなどの探偵が活躍するイメージを持っていたが、この作品は彼らがまだ有名でない時期に執筆されたと知ってた。クリスティーの初期の作品であり、ミステリーではあるものの、主人公アンの冒険譚。

    0
    2024年04月22日
  • なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    事件解決に乗り出す主人公のコンビが作中ではそれぞれ別の人(犯人の2人組)に惹かれて、最後はきれいにまとまるというのが割と現実的な感じがした。悪役の女性が小気味良いが衰弱して見つかったあたりで怪しげに見え、自分がミステリずれしてしまったと感じた。

    0
    2024年04月14日
  • 杉の柩

    Posted by ブクログ

    婚約中のロディーとエリノアの前に現われた薔薇のごときメアリイ。ロディーが彼女に心変わりし、婚約は解消された。エリノアの心に激しい憎悪が湧き上がり、彼女の作った食事でメアリイが死んだ。犯人は私ではない!エリノアは否定するが・・・嫉妬に揺れる女心を、ポアロの調査が解き明かす。

    クリスティお得意の男女のもつれが引き起こす殺人事件、と思いきや?という展開。誰がどう見ても犯人はエリノアが怪しいので、さすがに犯人は違うんだろうと思うものの、動機がはっきりしないので全然分からなかった。しかしロディーのろくでなし具合にはイライラしたね。こんな男と結婚しなくてエリノアは正解だと思うよ。普通なら被疑者だから手の

    0
    2024年04月13日
  • 運命の裏木戸

    Posted by ブクログ

    初登場時若かったトミー&タペンス。今作運命の裏木戸では二人とも75歳近くになっている。それでも持ち前の好奇心や探偵力は衰えていない。これがアガサ・クリスティ最後の作品だと思うと感慨深い。

    0
    2024年04月09日
  • メソポタミヤの殺人〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    ポアロ作品♡
    女史の作品はどれもそうだけど、登場人物に愛着が湧いちゃう。
    そしてこの作品は手記形式なのがまた良かった!
    殺人が起きているので不謹慎だけど、なんかロマンティックでムードが良い不思議。

    0
    2024年04月08日
  • ポアロ登場

    Posted by ブクログ

    標準的な文庫本の厚さにも関わらず、14篇も作数があって、読み応えあり。
    外国人の名前が覚えられないので何度も戻りながら読み進めた。

    0
    2024年04月07日
  • なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    牧師の四男であるボビイは、友人とのゴルフの最中に崖から転落した男を発見する。男はボビイが見守る中、「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」という謎めいた言葉を残して絶命する。
    男の身元を示すものがないかとポケットを探ったところ、そこには女性が写った写真があった。
    ボビイは、現場を通りかかったロジャー・バッシントン・フレンチに死体の番を任せるが、その間に死体のポケットの中の写真がすり替えられたことを後に知ることになる。
    ロジャーの怪しい行動からこれは単なる事故ではないと見抜いたボビイは、幼馴染のフランキーとともに独自の捜査を始める。当然、潜入先はバッシントン・フレンチ家。さらにその近所に住む怪し

    0
    2024年03月31日
  • 鏡は横にひび割れて

    Posted by ブクログ

    都市化が進むセント・メアリ・ミードと、ミス・マープル自身も老いを感じる今日この頃。懐かしい人々のことを思い出し、少しセンチメンタルになるマープル。
    大物女優とその夫が移り住んだゴシントンホールは、かつて『書斎の死体』で死体が発見された曰く付きの場所。そこで開催されたパーティには、多くの周辺住民が参加する。そしてそこで、野戦病院協会幹事のヘザー・バドコックが殺害される。
    ヘザーはパーティの主役でもある女優のマリーナと間違えて殺されたのか、それともはじめから彼女自身が狙われたのか。全ての鍵は、ヘザーと対面した時にマリーナが浮かべた「凍りついたような表情」にあった。
    立て続けに殺人が行われるものの約

    0
    2024年03月26日
  • 第三の女

    Posted by ブクログ

    ほほお、そうきましたか。
    散らかっていた事象が一つに集約される瞬間が好きだなあ。
    「自分が犯したらしい殺人についての相談」と聞いた時点で、これは何かあるなと分かる。
    結局、その“何か”には最後まで気づけないが。
    まあでも自分なりに推理しても、ちっとも当たらないのが楽しい。
    そして、ロマンスを忘れないところがまた良い。

    0
    2024年03月24日