アガサ・クリスティーのレビュー一覧

  • 教会で死んだ男

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    ポアロものが11話、ノンシリーズの怪奇小説1話、ミス・マープルものが1話収録。
    ポアロものは「スズメ蜂の巣」だけヘイスティングスが登場しないけど、いつもの事件解決パターンとは違う趣向で良かった。
    ミス・マープルものは、長編の「予告殺人」に登場したバンチとクラドック警部が登場。バンチは良いキャラだったので再登場して嬉しい。ポアロも良いけど、やっぱりミス・マープルもいいなあと思った。

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    2024年03月23日
  • ヒッコリー・ロードの殺人

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    スーシェ版ポワロさんに合わせて手に取りました。
    しばらくはドラマのエピソードに先駆けて読むタイトルが決まりそうですが……この次は『ゴルフ場殺人事件』。じゃあいいか笑。そしてその次が『もの言えぬ証人』。おおこれは気になります。

    さて今作は、ポワロさんの優秀な秘書ミス・レモンが仕事上のミスを犯すところから始まります。
    それにしても、ドラマ版ではあんなにチャーミングなミス・レモンですが、原作では「実務的な観点から見れば、彼女は女ではなくて、機械だった――完璧な秘書だった」と表現されているのがちょっと面白い。良い改変だ。

    そんなミス・レモンの気が散ってしまっていたのは、お姉さんの悩み事のせい。

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    2024年03月13日
  • パーカー・パイン登場

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    『黄色いアイリス』ではじめましてだったパーカー・パインについてもっと知りたくて、短編集を手に取りました。

    前半は"パーカー・パイン劇団"が奮闘するお話、そして中盤からはパイン氏が旅先で出会う"不幸な人たち"の悩みを解決する構成に。
    単発ドラマとして発展できそうな形だけに、パイン氏の登場がこれ限りなのがなんとも残念。月曜20時のドラマでやってそうなのに……。
    個人的に好きだったのは「退屈している軍人の事件」。『ハロウィーン・パーティー』に登場したリンゴ好きのオリヴァ夫人の筋書きに、思わずニヤリ。こういう誰も傷つかない結末にはほっこりしてしまいますね。

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    2024年03月10日
  • ビッグ4

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    ポアロシリーズでは“異質”

    あとがきによれば、有名な「クリスティー失踪事件」の直後の出版で、結構“売れた”ようだ。
    もともと、いくつかの短編だったネタを合わせて繕った、とある。
    そのせいか、一つの事件の解明ではなく“ビッグ4”という組織との対決ということで、まるで同じ国の某諜報機関物のよう。
    さすがに巧みな作者だけに一気に読める面白さだが、何か物足りなかったのが残念。

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    2024年03月08日
  • 終りなき夜に生れつく

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    途中までは、ラブロマンスと遺産系を争う感じかと思いきや、
    途中からはゴリゴリのミステリーと人間の欲を描き切る描写。
    切り替えが唐突だったので、ん?となったが、後半からの展開は怒涛であっという間に読み切れました。

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    2024年02月29日
  • 複数の時計

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    このシリーズを読み続けているからこそ、見当違いの方向に導かれた感がある。
    これぞ無意識の先入観か。
    正体不明の男の死体と、彼を囲むように置かれた複数の時計。
    もうこれだけでワクワクしてしまうもんなあ。
    それにしてもポアロってこんなに年老いてたっけ?
    すごくお爺さん感があって、ちょっと驚いてしまった。

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    2024年02月28日
  • 検察側の証人

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    別の本で紹介されていたので、前情報なく読んでみました。戯曲であることに驚き、ストーリーにも驚き 笑
    ただ、やはりエンターテイメントである一方、シェイクスピアを読んだ時の重みはあまり…
    今度は小説にも挑戦します

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    2024年02月26日
  • 葬儀を終えて〔新訳版〕

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    ポアロもの。

    資産家、アバネシー家の当主・リチャードの葬儀が終わり、出席した親族一同の前で遺言執行人の弁護士・エントウィッスル氏から故人の遺産の内容が公開されます。
    ですがその時、リチャードの末妹・コーラの放った爆弾発言により、その場が凍り付くことに。
    「だって彼は殺されたんでしょ?」
    そしてその翌日、コーラが自宅で殺害されているのが発見されて・・。

    これぞファーストインパクト(?)といった感のある、コーラの爆弾投下。
    もう、これで引き込まれちゃいますものね~。
    この、“・・彼は殺されたんでしょ?”は、
    “いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ”(『死との約束』)
    “なぜ、エヴァ

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    2024年02月25日
  • 鏡は横にひび割れて

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     冒頭の映像的なシーンで事件発生もその後は落ち着いた感じで展開し終盤になって色々と動きが…ミス・マープルがすっかりおばあちゃん扱いになってるが、ミス・マープルを実際に読むまで思っていた「安楽椅子探偵」のイメージにはこの方が近いかとも思う。

     有名女優が近所に引っ越してきてそこから起こる騒動は、何だか現実味のない設定ではあるがドラマとしてはとても面白かった。色々とスッキリしない部分も残ってはいるが、まぁ隅々まで整合性を求めなければ読後感も中々にスッキリする。後は何を言ってもネタバレになりそうなので黙っとこ。

     個人的には前作『パディントン発〜』登場のルーシーの活躍する話しも見たかったなとも。

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    2024年02月25日
  • バグダッドの秘密

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    1951年発表のノンシリーズ作品。初期の作品『茶色の服の男』と味付けは似ているが、よりスパイもののスパイスが利いているのと、米ソの対立という時代背景が題材に含まれているのが特徴。もちろん、本格的なスパイものとはスリリングさでは比較できないし、ミステリとしてもサプライズの大きさだけで言えば傑出するものはないが、クリスティならではの安定感、安心感が心地いい。

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    2024年02月24日
  • 魔術の殺人

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    ミス・マープル長編5作目。今回はマープルがある女性の屋敷を訪ねることになり、そこで事件が起きるという展開。マープルが頭から登場してくれて出番も多いのだが、ちょっと盛りあがりに欠ける気もした。人物描写は良いのだけど、犯人が分かるくだりのクライマックス感が今ひとつ。

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    2024年02月22日
  • 葬儀を終えて〔新訳版〕

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    騙された!それはもう清々しく騙されました!
    ……と、私は一体何度クリスティーの感想に書けば気が済むのでしょうか。それくらい、まんまと彼女の術中にハマってしまったのでした。

    「だって彼は殺されたんでしょ?」
    大富豪リチャードの葬儀で、末妹コーラが放った一言はその場をいた人々に動揺を与えた。そしてその翌日、コーラが何者かに殺される――。
    『雲をつかむ死』でも思ったのですが、クリスティー女史は本当につかみもうまい。今作はポアロものの中でも後半の作品になるのですが、あらすじが気になりすぎて手に取ってしまいました。
    ページを開いてびっくり。なんと、これまで読んだクリスティー作品で初めて、家系図がついて

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    2024年02月18日
  • 火曜クラブ

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    ミス・マープルの短篇集。部屋に数人が集まり、自分が知っている難事件を話し合う。そして、その場にいる最も謙虚でもの静かな人物が最後にズバリと真相を言い当てるというパターンは、この時代(「火曜クラブ」の発刊は1932年)には多少新規性があったのだろうか。その後、1970年代にアシモフが黒後家蜘蛛の会ですっかり定着させた感がある。訳者あとがきにもあるように一つ一つの話は長編の習作であったり翻案であったりするものも多いのだが、とりあえず「ミス・マープル登場」と言ってもよい記念碑的な一作。

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    2024年02月17日
  • そして誰もいなくなった

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    ミステリーを読んでみたいという気持ちで古典に手を出した。古典故大きな驚きはあまりなかったが、しっかりと面白い。

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    2025年10月23日
  • 復讐の女神

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    殺人の動機、いわゆるホワイダニットが特殊というか異常でそこに物語のキモがあった。バスツアーというグランド・ホテル形式も作品に面白さを追加するいい要素だった。

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    2024年02月12日
  • 黄色いアイリス

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    スーシェ版ポワロさんの次の回が「黄色いアイリス」なので先に原作を読んでみました。ドラマもどんどん見たいのになかなか進みません(⁠^⁠^⁠;
    9話収録のうち、先にドラマで観ていたのは3編。いずれも、脚本家の脚色のうまさが光る作品になっていましたね。
    そして本書を手に取るきっかけとなった「黄色いアイリス」も、映像映えしそうな内容。どんな演出になっているのか、楽しみです。

    短編はさくっと読めていいのですが、いかんせん長編よりも人物を覚えるのに苦労します。覚えた頃にはお話が終わってしまう……。
    中でも気になったのはパーカー・パイン。調べたところ、このお話に登場したマギー・セイヤーズは悪女を演じること

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    2024年02月10日
  • 鳩のなかの猫

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    ポアロシリーズだということを忘れてしまうくらいポアロが出てこない。
    名門女子校で起こる殺人事件と中東の王国での革命騒ぎ。
    この2つの出来事が徐々に繋がっていき、全容が見えてくるという構成が面白い。
    個人的に、物語の舞台が屋敷とか豪邸ではなく“学校”であることに新鮮さを感じた。
    メインキャラのほとんどが女であり、彼女達の思惑が交錯するストーリーも良かった。

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    2024年02月04日
  • 象は忘れない

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    ネタバレ

    「五匹の子豚」のような過去の真相を探る系ストーリーだが、五匹の子豚ほど容疑者がいないので犯人ダービーの盛り上がりはイマイチ。また、双子が出てきた時点で真相はある程度察してしまう。事件の前段階でもう少し何とか出来たのでは?という感想になる。

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    2024年02月03日
  • バートラム・ホテルにて

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    ネタバレ

    犯人がそこそこカスな上に捕まっていないので、読後感がスッキリしない。ホテルの対応にホクホクしながらも、裏にある邪悪さを感じ取って少しづつテンションが下がっているマープルが可愛い。牧師さん生きてて良かった。

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    2024年02月03日
  • 雲をつかむ死〔新訳版〕

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    ポアロシリーズ10作目。1935年の作品。
    原題は『Death in the Clouds』。
    飛行機という密室の殺人事件なので「雲の中の死」、「空中殺人事件」みたいなタイトルですが、事件の不可解さから「雲をつかむ」にかけているわけですね。

    阿津川辰海による解説に「心理描写を行っているにもかかわらず、犯人が分からない、という趣向は、本作発表の四年後、『そして誰もいなくなった』で飛躍的進化を遂げる。テキストを読むというゲーム性では、『そして誰もいなくなった』は、『アクロイド殺し』のトリックとも繋がる。」とありますが、「テキストを読むというゲーム性」とはクリスティーの小説をよくあらわしている言葉

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    2024年02月02日