あらすじ
東西の冷戦でふたつに割れたヨーロッパ。その西側陣営で科学者たちが次々に失踪していた。いままた、めざましい成果をおさめた科学者が行方不明に。東側の陰謀か誘拐か? 事件を追う英国情報部は科学者の妻に瓜ふたつの女性をスパイとして敵地に放つ……会心の冒険スパイ小説。
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Posted by ブクログ
アガサクリスティの推理小説をたくさん読んできたので、
だんだん類型化して読むようになってきました。
最初の見開きの人物紹介で、誰が死に、誰が犯人かを予測するようになりました。
半分以上は当たりません。
第1章を呼んだところで、次の予測をするようにしています。
本書では、すぐにその予測も外れました。
第2章で、予想外の方がなくなられたからです。
主人公は、死なない。主人公だと思われる人は死んでしまう。
結局、本筋の主人公は、人物紹介の下の方にある人になったところで、がっくりしました。
このがっくり観を味わいたくて、アガサクリスティを読み続けています。
本書も、第3章までで、半分は満足しました。
最初の方に出てくるモロッコは行ったことがないので、ちょっとピンときていません。
モロッコを舞台にした映像作品を見てから、もう一度読み直そうと思いました。
Posted by ブクログ
自殺をしようとしていたヒラリーが、ひょんなことから女性スパイとして別人になりすまし、敵地の施設に潜り込む。ミステリーの女王クリスティが描く、冒険スパイ小説。
Posted by ブクログ
死にたかった彼女に与えられたのは決死のスパイ任務。
相次ぐ科学者失踪の謎を探るために、白羽の矢が立ったのは飛行機事故で命を落とした女性と同じ赤毛のヒラリー。彼女は失踪した科学者ベタートンの妻になりすまして中東に滞在する。旅の目的地がどこにあるのかわからないまま。
クリスティーあるあるの国際的陰謀に素人が挑む冒険小説ちょっぴりロマンス付き。いきなり素人がスパイ任務は無理だろうと思うけどヒロインに自分を重ねてみれば、これ以上楽しい設定もない。旅の途中で出会うさまざまな人物の裏を考えつつ、ロマンスだと思えば意気投合した若い男性がお相手なのは明白。夫の科学者が犯した殺人までは読めなかった。共産主義やソ連に対する態度がとても時代を感じるが、そこももはや作品のエッセンス。
Posted by ブクログ
死への旅
クリスティの長編スパイスリラー。若い女性がアクティブに行動するスパイスリラーはクリスティのなかでもたくさんあるが、今回の様に死を望んでいたヒラリーが特殊な事から亡くなった科学者の妻を演じ、失踪した科学者を探す冒険をする作品。
クリスティのスパイスリラーを幾つか読んであるが、ヒラリーの冒険は面白いが、彼女が悪の親玉を暴く、大立ち回りをする様な作品ではなく、彼女自身の活躍はあるが、どちらかと言えば諜報部員たちの傀儡の様に行動している場面が多い。
終盤に立って、彼女の強さや賢さ、魅力が表現されるのだが、その場面が少なく少し物足りない。
反面、夫と別れ、子供とは死別してしまったヒラリーの再生の物語としてもおもしろい。クリスティは最初に試練をあたえ、それを乗り越え成長する女性を描くのが上手いが、今回でいえばヒラリーにもっと危機的な状態があってもよかったし、もっと彼女に目立って欲しかった。
彼女の冒険の途中、いく人かの特徴ある人物達が登場しているが再登場は少ない。もっとキャラクターが素敵だったらもっともっと面白い作品になっていただろう。
起承転結、いずれも既視感があり、今までに読み終えた作品を確認する予定だが、内容はとても面白かった。昔ながらのトリックも古典としての味がある
クリスティ作品の中では比較的有名ではない作品だが、決して侮れない作品だ。最後にミステリーとロマンスで締めるあたりがクリスティらしい。
Posted by ブクログ
1954年発表のノンシリーズものの一作。クリスティ初期の作品ではお馴染みのスパイ・冒険ものが帰ってきた。とはいえ、スパイ・冒険はあくまでも味付け、純粋なミステリーとしても控えめで、骨子は人生を悲観した女性ヒラリーの波乱に満ちた旅物語。それ以上のものはないが、なくてもよいそれがクリスティ。