アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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ネタバレ主人公が一人称ですべてを語るとき、
読者は感情移入がしやすく、
自然と主人公側に立って物語を俯瞰し、
一緒に物語の旅をすることになる。
でも、それがクリスティーの手にかかると、
この一人称も読者を欺く手段となる。
普通に考えれば、あり得ない。
転職を重ね、これと言った取り柄もない貧乏人の青年マイクと、
アメリカの大富豪の娘エリー。
このあまりにも育ちが違う二人が一緒になり、
ロマンスとして描かれる。
まるで「ローマの休日」のように。
途中、暴力や殺人、それにつながる憎しみ等の描写は描かれないが、
ラストになって押し寄せる欲望、殺人はこれまでのロマンスとして
描かれたものを一気に破壊し、マイクの人格も破壊していく。
終わりなき夜に生まれついた人間の悲劇。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあの人が目撃したものは。
殺人を目撃したと吹聴した嘘つきの少女ジョイスが殺された。彼女は口封じのために殺されたのか。パーティーに居合わせた推理作家のオリヴァーは、ジョイスが自分の気を引くために嘘をついたのだと自責の念にかられ、ポアロに助けを求める。村にやってきたポアロが様々な人から話を聞いて見つけた過去の事件とは——。
校長先生の勘すごい。誰もが怪しい感じで出てくるし、遺言書の偽造とかも出てくるし、何もかもが関係しているのかと思いきや、真実として出てくるのは、「ジョイスは嘘つき」「遺言書の偽造はあった」「世話をしていた外国人女性の失踪」最初から示されていたことはその通り。解釈次第なのだ。どのように結びつけるかが問題。
雰囲気のあるイケメンが実はかなり強い独自の思想にかられた犯人の1人だったということで。儀式っぽいかたちで死んでしまうのも絵になる。そもそもハロウィンパーティーということでミステリアスな絵が最初から示されている。雰囲気を楽しむ作品。 -
Posted by ブクログ
死への旅
クリスティの長編スパイスリラー。若い女性がアクティブに行動するスパイスリラーはクリスティのなかでもたくさんあるが、今回の様に死を望んでいたヒラリーが特殊な事から亡くなった科学者の妻を演じ、失踪した科学者を探す冒険をする作品。
クリスティのスパイスリラーを幾つか読んであるが、ヒラリーの冒険は面白いが、彼女が悪の親玉を暴く、大立ち回りをする様な作品ではなく、彼女自身の活躍はあるが、どちらかと言えば諜報部員たちの傀儡の様に行動している場面が多い。
終盤に立って、彼女の強さや賢さ、魅力が表現されるのだが、その場面が少なく少し物足りない。
反面、夫と別れ、子供とは死別してしまったヒラリーの再生の物語としてもおもしろい。クリスティは最初に試練をあたえ、それを乗り越え成長する女性を描くのが上手いが、今回でいえばヒラリーにもっと危機的な状態があってもよかったし、もっと彼女に目立って欲しかった。
彼女の冒険の途中、いく人かの特徴ある人物達が登場しているが再登場は少ない。もっとキャラクターが素敵だったらもっともっと面白い作品になっていただろう。
起承転結、いずれも既視感があり、今までに読み終えた作品を確認する予定だが、内容はとても面白かった。昔ながらのトリックも古典としての味がある
クリスティ作品の中では比較的有名ではない作品だが、決して侮れない作品だ。最後にミステリーとロマンスで締めるあたりがクリスティらしい。 -
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1936年の作品。
エルキュールポアロシリーズ長編12巻。
あらすじ
イラクのアッシリアの遺跡調査団を率いるレイドナー博士は、美貌の妻、ルイーズの付き添いとして看護婦のミス・レザランを雇う。ルイーズはとても美しく聡明な女性だったが、亡くなった前夫のフレデリックボスナーから「他の男と結婚したら殺す」と脅迫状が何度も届いたことで常に怯えていた。
果たして、ミスレザランが雇われてまもなくルイーズは何者かに殺されてしまう。たまたまバグダッドに旅行中だったエルキュールポアロはこの事件の捜査を依頼される。犯人と思われるのは、ルイーズの亡くなったはずの夫フレデリックボスナーと、その弟のウィリアム。そのどちらかが調査団に紛れ込んでいると見て捜査を始めるが…。
感想
今から90年前の遺跡調査団の様子が伝わってきて、異国情緒溢れる作品です。
が、、肝心の殺人事件に関しては…自信満々のポアロに思わず「そんなわけあるかーい!」とつっこんでしまった。
クリスティ作品はどれも大好きですが、たまにそんなバナナなオチ?のものもありますね笑。
看護婦さんが語り手となってるのも珍しい。もしやアクロイド殺しパターン?!と思ったら違った。いつも助手をコケにしまくるポアロですが、女性相手だから優しめな感じがします。 -
Posted by ブクログ
ネタバレクリスティーは、一体どれだけ「予想外の犯人」を生み出すのでしょうか?
私はほとんど推理せずに読み進めるタイプなのですが、それにしても犯人に気を許しまくっていて、むしろ鼻につく○○○の方を疑っていました(^^;
今作には目次がなく、「おっ、これは第三幕で犯人を指摘するけど、真犯人はその後のエピローグでポアロさんがこっそり暴くやつだな!」なんて予想もしていましたが、そこは三幕できっちりと緞帳が下りましたね。なにも当たらない……。
目次の代わりの「〈照明〉エルキュール・ポアロ」がなんともニクいですね。
まー、しかし、「通し稽古」で実際に毒物を使うなんて……恐ろしい奴です。
素人探偵たちに少々中だるみも感じましたが、プロットとしてはなんの破綻もない。改めて、クリスティー作品のクオリティの高さに感心いたしました〜。 -
Posted by ブクログ
冒頭こそとある女学校の入学模様を描きつつも、それに続くは中東のある国で起こった革命に拠る余波。また、革命を逃れた宝石の行方を公安やら殺人鬼が追うというのはスリリング有る展開
けれど、メドウバンク校で生じる事件の発展はじっくりと行われるね
王国で起きた革命はお偉いさんを走らせるものでは有るけれど、イギリスの女学校では遠い話。遠縁とされるシャイスタが入学してきたとしても扱いに困るような事はない。むしろ、ちょっとやそっとじゃ揺らがない軸を持っている学校だと判る
そんな女学校で教師が何人も殺される。しかもそのうち二人が殺された現場は室内競技場という殺人の動機を見出すのが難しい場所
読者には動機が何となく見えはする。けれど、何故現場に室内競技場が選ばれたのか?何故体育教師は殺されたのか?そして宝石はどこに隠されているのか?
錯綜する幾つもの謎が本作をワクワクとしたミステリにしてくれるね
ポアロの登場は終盤になってからであり、それまではスパイのアダムやケルシー警部が推理や捜査を担当するだけあって、真相究明は一向に進展しない
けれど、そうした遅々とした展開が逆にサスペンス風な本作の内容を活かしているね。アダムやケルシーの懸命に関わらず事件は起きるし犯人の尻尾すら掴めない。平穏に包まれていた筈の女学校が混沌と化していく様子には緊迫感が有る
そうした緊張を強いる要素すら有る展開だからこそ、とある少女が見せた勇気によってポアロが舞台に登場し、事態が打開されていく展開は爽快感が有りましたよ
事件とは別方面の要素だけれど、本作に登場するバルストロード校長は傑物だね
たった一代でメドウバンクを英国では名の知れた学校に育て上げた。また、校内で殺人事件が続く中でも全く取り乱さないどころか、事件が終わった後に学校を復調させる道筋まで思い描いている。また、作中で彼女が掲げる教育理念も素晴らしいもの
事件が終わった後に彼女がどうなったかは流石に本筋から外れるから描かれないけれど、彼女ならば、そして彼女が新たに得た共同経営者とならば、メドウバンクを再び偉大な学校に出来ると容易く想像できる程の人物に思えたよ