アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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ネタバレ★は3.5というところ。いやはや、クリスティー作品にはこんなテイストもあるのか!とまたもや驚かされてしまいました。
これは10月に読もう、と前から決めていてやっと手に取ったのだけど、会話が多いせいかスラスラ読めてしまい、気付けば1日で読破。そして休日の終わりに「はぁ今作も面白かった」と満足感いっぱいなわけです。当初はドレイク夫人と富豪の老婦人との関係がつかめなくて混乱しましたが、家系図が整理できてからはスッキリ。甥夫婦は別の舘に住んでいたということですね。
さて今作では子供が犠牲になってしまうということで、これまでにない緊張感と胸の痛みを感じました。もともと子供好きではない私からしても、さす -
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Posted by ブクログ
療養のためセント・メアリ・ミード村を離れて遥か彼方の西インド諸島を訪れたミス・マープル。
そこは最早リゾートだからセント・メアリ・ミードのような人間関係は生じないかと思いきや、裕福な人間たちが限られた空間に集うわけだから根本的な人間模様は変わらない
つまり噂も憶測も飛び交うお喋りの坩堝と化すわけだ
ゴールデン・パーム・ホテルにてお喋りの代名詞となっている人物がパルグレイヴ少佐だね
ミステリにおいて、口が軽い人間が殺される率は高いものだけど、彼もその例に漏れず
ただ、この場合に厄介だったのは彼があまりにお喋りだったせいで皆が彼のお喋りを話半分にしか聞いていなかった事か
誰も彼もまともに聞いて -
Posted by ブクログ
犯人が他者に知られてはいけない事は数あれど、殺人の瞬間なんて目撃された日にはその時点でミステリはお終いとなる筈
けど、犯人は目撃されたと知らないし、目撃者の言葉を信じる者はかのミス・マープルだけ
本作はそのような導入を持つ作品だね
そもそも列車に乗っていたら別の列車で行われた殺人の瞬間を目撃してしまうなんてかなりドラマティック
これで被害者の死体がすぐに発見されれば、非日常に一歩だけ迷い込んでしまった身震いする逸話で終わるのだろうけど、生憎と死体は発見されず
だから目撃者のミセス・マギリカディは義憤に駆られるし、マープルも死体探しに本気になる
ただ、マープルは行動力が有るわけではないから実 -
Posted by ブクログ
ネタバレクリスティの長編ミステリー。探偵役は(一応)マープル。
推理小説の探偵物でよくある光景が警察官が無能であり、探偵の足を引っ張る構図だ。探偵を邪険に扱い(場合が場合なので仕方ない部分もあるが)、的外れな推理をしてんで真実に辿り着けない様な人物や事柄を重宝し、しまいには探偵が解き明かした真実を受け入れ犯人を我が物顔で逮捕し、探偵に笑顔を振り撒いて一件落着する。ある種のお約束だ。さて、では、もし探偵がいる中で警察官がとても優秀だったらどうなるのか。答えは「面白味に欠ける」だった。
今作に出てくるオヤジさんこと主任警部のフレッドは優秀であり、完全にマープルが脇役になっている。読者は当然、探偵の活躍 -
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戯曲3編収録。
〇「海浜の午後」
読んでいると少し登場人物がワチャワチャしている感じがするが、おそらく舞台では人物の出入りがはっきりするので、あまり気にならないのだろう。
過保護の青年の恋愛話など全体にユーモラスなものにしようとしているのだろうが、ラストはあまりスッキリしない。
〇「患者」
転落して動くことも口をきくこともできなくなった患者。事故なのか、自らの意思で落ちたのか、それとも犯罪か。警察は医師の協力により、ある実験によってその真相を明らかにしようとする。
〇「ねずみたち」
何者かによりアパートの一室に誘い出された男女。誰が自分たちをここに呼んだのか、またその目的は何か。 -
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メソポタミアの殺人
クリスティの長編。ポアロシリーズ。
外国旅行物、現在のイラクあたりの土地の様であり、考古学の発掘隊が舞台になる。
余り地理感覚はないのだが、何故だかクリスティの外国旅行物はワクワクしてしまう。彼女の描写力は人物像に留まらず風景描写も素晴らしい。また、彼女自身、考古学の様々な工程に知識があり(パートナーが考古学者だったのは有名)作業工程の描写がリアルだ。こういった要素を習得しているミステリ作家は少ないと思うので、彼女の作品の差別化としても重要な要素だ。
ストーリーの大筋は王道のフーダニットであり、また殺害のトリックがかなり個性的(現代では似たようなトリックを使った作 -