あらすじ
婚約中のロディーとエリノアの前に現われた薔薇のごときメアリイ。ロディーが彼女に心変わりし、婚約は解消された。エリノアの心に激しい憎悪が湧き上がり、彼女の作った食事でメアリイが死んだ。犯人は私ではない! エリノアは否定するが……嫉妬に揺れる女心を、ポアロの調査が解き明かす。
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1940年の作品。
エルキュール・ポアロシリーズ長編18巻目。
あらすじ
大富豪の老女ローラ・ウェルマンの姪であるエリノア・カーライルは、親戚で幼なじみのロディ・ウェルマンを深く愛しており、2人は婚約していた。ウェルマン夫人の遺産を狙っている娘がいるとほのめかす匿名の手紙が届いたことがきっかけで、エリノアとロディは夫人の館を久しぶりに訪れる。館の門番の娘のメアリィ・ジェラードをウェルマン夫人は可愛がり、教育を受けさせたり面倒を見ていた。ロディは、美しいメアリィを一目見た瞬間、彼女に夢中になってしまい、それを知ったエリノアはロディとの婚約を解消する。その後、ウェルマン夫人が遺言を残さず亡くなり、唯一の肉親であったエリノアが莫大な遺産を相続する。さらにその後、メアリィジェラードがモルヒネにより毒殺された。警察は嫉妬による殺人と判断し、エリノアは容疑者として裁判にかけられる。エリノアを助けるためにロード医師が依頼したエルキュール・ポアロが真相に迫る…
ポアロに珍しい法廷モノ。そして文句なしに面白い!何より構成が素晴らしい!
なかなかポアロは出てこないんですが、感情を表に出さないエリノア・カーライルの心情が巧みに描かれていて、深く愛する男性が別の女性に恋に落ちてしまうことを知った彼女の切なさに胸が締め付けられます!
そしてそんな彼女を一途に想うロード医師…。
ポアロが優しい。恋のキューピッドさながら慈愛に満ちています。ヘイスティングス君やジャップが出てこないとポアロすごいいい奴に思えるw
裁判のシーンは手に汗握る臨場感。伏線回収していく清々しさ!さらに、この伏線関係なかったんだ!とバラしていく巧みさも素晴らしい〜!!
クリスティ作品の中でも大好きな作品の一つです。
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うーん面白かった!久々の星5つでございます。
証拠的にも動機的にも黒としか思えない状況をどうひっくり返していくのか。
あらゆるクリスティーランキングで、”派手ではないが傑作”と名高い今作を、ついに読むことができました。
あらすじから、エリノアが(おそらく)犯人でないことは明らかなのですが、それを抜きにしても彼女のような女性はとても好みなキャラクターです。クリスティー作品に時々出てくる、知性と品があって自立した女性にめっぽう弱いんだよなぁ。
そしてへっぽこ探偵な私は、「エリノアでないならロディしかありえないのでは?!」と早合点していたため、最後の最後に明かされる謎解きにはびっくり仰天。ポアロさんの入れ知恵はあったでしょうが、なんだか頼りないと言われていた弁護士さんがかなりやり手じゃないか……!
それにしても、人間はやはりゴシップ好きといいますか、調査を進める中で語られるエリノアとメアリイの人柄の描写にはとても興味深いものがありました。
実際の田舎ネットワークには辟易しちゃいますが、この”どこで誰が見て・聞いているかわからない”状況は面白い。物的証拠がほとんど出てこない会話シーンが続くにも関わらず、飽きずに読み通させる筆力はさすがです。
総じて、エリノアというキャラクターも大好きだし、あっと驚く謎解き(解決への糸口のささやかさも加えて)も結末のロマンスも、すべてに拍手!私の中のクリスティーベスト10に堂々ラインナップしたい一冊となりました。
Posted by ブクログ
エリノアが状況証拠通り、実は犯人だったという結末もあるかな、(近年流行った某ミステリーを想起)という疑惑が拭えないまま一気読み。
枝葉と思えた情報が真犯人に繋がっており、本当に見過ごせない。
愛憎関係の機微が物語に厚みをもたらしており、「ナイルに死す」が好きな人はきっとお好みかと思います。
Posted by ブクログ
“冷静沈着で、常に溺れない人物”
他人から見たらそう見えても、その人の心のうちはその人しかわからない。
特に“苦しさ”は……
人からどう見られているか、そういう人ほどよく感じてしまい、その人たちの期待を裏切らないようにしてしまう、この物語の中心となる人物。
その人の、心の声が聞こえてくるような小説……。
ひょっとしたらポアロ作品の中で一番かもしれない(まだ未読があるけど)。
裁判の場面、事件発生時の描写、ポアロによる主要人物への聞き取り、最後の謎解き、謎解きの後の情のあり方。
すべてにおいて満足。
Posted by ブクログ
本気で誰かを好きになったことのある女性には、刺さるなんて言葉では足りないほど、心が抉られる作品でした。
それでいて、シリーズの中でも読み進めやすい部類に入ると思います。
嫉妬を表に出すまいとするエレノアに対して、そんなに自分を殺さないで欲しいと思わずにいられませんでした。
気高くて、情熱的な女の子なのに、婚約者のロディがそういう女を好まないという理由で、いつも冷静に振る舞ってきたのかと思うと、ロディに石ぶつけてやりたくなりました。
メアリイも実はとんだ腹黒なのかと思いきや、健気で優しい女の子で、どちらもただただ可哀想…。
ホプキンズが「ピンクのバラが刺さってしまった」という腕の傷を見つけた時の、エレノアが幼少期を思い出す場面で、自分でも引くくらい泣いてしまいました。
これまでの憎しみが嘘のように消えていく心情も、ロディと過ごした楽しい日々も、とても美しい描写でした。
読み進めると、腕の傷は真相を紐解く重要な鍵だということが分かるのですが、それも踏まえて、私の中で最も大好きな名場面になりました。
星5つしか付けられないのが悔しいくらいです。
悲しい物語ですが…1番愛する作品となりました。
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111108さんのポアロおすすめ5から、ようやく読みました!
犯罪自体は恐ろしくも、上流中産階級の優雅なセリフ、タイプの違う美女2人の描写が心地よく、うっとりしながら読み進めた。
実は強い情熱を秘めたツンデレのエリノアが大好きになってしまったので、ラストはほっこり。
そしてトリックにはびっくり!まだ2作しか読めてないけど、ポアロシリーズの犯人、体張る人多いな。
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ミステリとしてはもちろん、愛憎劇、法廷ものとしても楽しめた。作家の脂が乗り切った、という表現にぴったり。発行年順に読んでいて、今が一番読み終わるペースが早い。
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証拠集めではなく、会話から真実を探ってくのが読んでいて楽しい!同じ人物なのに、人によって全く違う印象だったり、少しずつ嘘をついていたり。犯人は、「そうか〜なるほど」でした。
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聴く耳を持つものにとっては、真実同様の価値があります。ときには、真実以上の働きさえします。」 人は嘘をつく。不都合な事実を隠すためであったり、誰かを守るためであったりと理由は様々。それらを紐解くことてポアロは真実を導き出す。一番不利な立場にあったエリノアが最後まで嘘をつかなかったことが、ポアロを最も悩ませていたという仕掛けがとても良い。
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シンプルな事件と思わせておいて、あれよあれよと見える視点がガラリと変わるテンポの良さがたまらない。自分も探偵と思って読んでいけば解けそうなくらい文章に真相がしっかりと描かれているのがすごい。いつもながらそこそこページあるのにあっという間に読んでしまう。
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アガサクリスティの攻略本を読んだので、ドラマは見ていて原作を読んでいないものから読んでみました。登場人物がカタカナだとわからなくなることがありますが、ドラマで見た後だと役者で考える事が出来て、わかりやすいと思います。
東野圭吾のミステリーを大分読んだので、クリスティはいつも時間がかかるのにサクサクと読めました。相変わらずの面白さでした。
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面白かった!
人の感情の機微、特に恋愛感情を描かせるとクリスティーの右に出る者はいないなぁと、毎回感心させられる。
ミステリとしての話の内容ももちろん最高に楽しめるのだが、人物描写が素晴らしく、エリノアのような女性に憧れ、ロード先生のような男性に出逢いたいなぁと羨ましくなった。
クリスティー作品では何作かごとに思うのだけど、今作もやや翻訳に違和感あり。ちょっと言葉遣いに古臭さを感じる箇所があった。
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加害者だと思われている人物にも実は被害者への殺意があった、様々な人物がウソをついていた。そのウソがなぜつかれたのか、背景を辿ると真実が見えてくる。人物同士の感情や関係が交差する素晴らしい話だった。
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【ポアロ】
恋愛ドラマ+ミステリー。
ポアロが出てくるまでミステリーということを忘れていたくらい。
もうポアロ登場しなくても良くない?と思ってしまうほど、恋する女性の痛いくらい切ない心情を巧みに描いている。
クリスティーはやっぱり女性の心理描写が超絶上手い。ロディーのそんなにどこが良いのかわからなかったけど、恋は盲目なのかな…。
法廷から始まり、ポアロの聞き込みを挟んで最後は法廷で終わる、今までにない展開。
人によってその人への見方が全く違う。
誰が本当のことを言ってるのか、読者自身も人を見る目を試されているようで面白かった。
「何でもない嘘を付くのが犯人」とポアロ。
一見なんの意味もないような嘘から犯人を絞っていくのが痛快だった。
最後もミステリーとは思えない温かさを感じた。ポアロはこんな良いこともするのね( ◜‿◝ )♡
『ナイルに死す』と同様に、いつまでも心に残る登場人物だった。
このタイトルはどういう意味なんだろ。
こんなに良い作品なのにあまり有名ではないのは、このよくわからないタイトルのせいだとしたらもったいない。
Posted by ブクログ
エリノアは絶対犯人ではないし、登場人物の中に必ず犯人がいる!とわかっていたのに、最後まで真犯人が誰かわからなかった……
紛失したモルヒネ=殺人に使われたモルヒネだと確認されてないことや、バラのトゲで怪我したのだという言葉…絶対何か関わってくると思いつつ、同じように出された車の目撃情報などは推理を惑わせる情報で、あーーこのバランスがうまいんだった…アガサ・クリスティーの小説は…と思った。
事件そのものも面白かった。登場人物たちはそれぞれ個性があるし、あとがきでも言及があるように、一昔前のイギリスの「階級が人の性格をある程度決める」という要素もあり、この感覚はこの時代の小説ならではの空気を出していて好き。
解決パートが裁判の尋問形式で進むのも面白かった。ポアロの推理披露がみたいという人には物足りないかもしれないけど、それでもポアロのかっこよさは少しも損なわれていない。
物語を半分読み終えてポアロが登場しただけで、そのかっこよさにワクワクした!
ただ途中でポアロが察しの悪いロード医師にイライラする場面では、わたしも同じようになにもわからなかったので、「ごめん…」と思いながら読んだ。
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エリノアを信じて良かった。高潔な人だった。メアリイは何も良いこと無くて可哀想。看護婦を全く疑ってなかったので、ラスト数ページだ引っくり返った。メアリイの自殺だと思ってた。主観は何も当てにならない。
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舞台は法廷。既に被告人として起訴されているエリノア。今回の事件は誰の目から見ても明らかであり、被害者のメアリイを殺害する動機も機会も有していたのはエリノアだけ。彼女が犯人である事を疑わない人達と、彼女が犯人では無いと信じる人達。明らかに不利な状況下、医者であるピーターは彼女を救い出すべくポアロに真相究明を依頼する。
体の不自由な金持ちの未亡人ローラと彼女の寵愛を受ける門番の娘のメアリイ。クリスティの王道的な設定だが、構成が面白い。プロローグ→ローラ邸→ポアロ始動→法廷→エピローグと流れていきテンポが良い。ただし、ポアロの推理は少し単調に見え(いつもの自暴自棄がない)、終盤の法廷パートはクリスティ的ではない(人物等の描写は控えめで裁判の様子が淡々と進んでいく)。その中でとある人物の一つの矛盾がフォーカスされ(最終は何故こんな事が質問されるのか不思議に思うが)少しずつ綻びが始まり、最後に本当の事件の真相が明るみになる。
基本探偵は、真実を調査し、集め謎を解いていくが、今回のポアロは嘘でも良いので集め、何故その嘘が必要なのかという矛盾をきっかけに今回の謎を解明する。とある何気ない様な嘘から真実を炙り出す手法は見事で意外にこのアプローチをしているミステリーは少ない様に思う。
犯人については意外という事以外は何も言わないが、少なくとも上記に描いた様にとある不思議な証言から辿り着く事ができる。
亡くなった二人は真相を知らずにある意味で良かったと思う。また、最後、エリノアが選ぶ結末はクリスティらしく素敵な反面、他の登場人物たちはどの様に反応したかが気掛かりだ。
全体的にまとまりが良く魅力的な作品だが、登場人物達の個性は少なく普段より癖がない。終盤の法廷パートが単調で(あえてそうしているだろうが)、転調する時の効果(真犯人が判明する時)は大きいが疲れてしまう。衝撃度は高く、やはりミステリーはこうでなくてはっ!と感心してしまった。
犯人が何故メアリイを殺害したのか、動機が最大の論点であり、いつもポアロが言っている様に考えればある程度予測が出来た。とても読みやすく面白い作品だ。
Posted by ブクログ
これ、ロマンス小説だ。
ミステリーが物語のスパイスになっており、なかなかドラマティックな仕上がり。
メアリイの出現により、ロディーとの婚約を解消することになったエリノア。
しかし、後日彼女の作った料理でメアリイが死んでしまい、エリノアに容疑がかかる。
依頼を受けたポアロはその疑いを晴らすべく、調査に乗り出した。
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構図としては『ナイルに死す』を思い起こす要素が幾つも見られる作品
あちらが恋愛関係のこじれという焦らしが殺人事件という最高潮へと至る物語ならば、こちらは安定していた恋愛関係が別の恋愛感情によって歪さを見せ、殺人事件により更に発展していくという感じかな
本作の真相を考える上で特徴となる点は被害者であるメアリイ・ジェラードを殺して得をする人間が皆無な点。クリスティー作品の多くにおいて、被害者を殺す事で得をする人物が犯人であった点を考えれば、誰からも恨まれず大金を持ち合わせていたわけでもないメアリイを殺したがる人間なんて居るわけがない
もし、居るとしたら薔薇の如き美しさを持つ彼女に嫉妬した人間だけというわけで…
ここで厄介となるのは殺人の機会を持ち、同時に嫉妬という動機を持つのがエリノアしか居ない点。事件に関する何もかもが彼女が黒であると示している
おまけに本人も迫る絞首台に抗う気力を持たない
愛情を嘲笑うかのような残酷な運命を前にして、彼女に想いを寄せるロード医師が立ち上がる展開はヒロイズム的だね
彼自身エリノアの無実を心底信じているわけではない。それでも彼女を救う為にとポアロに依頼し、捜査に協力した
その決断が残酷な殺人物語を恋愛物語に引き戻すきっかけとなっていく構成はクリスティーらしさに満ちているね
Posted by ブクログ
こないだのクリスティ忌におすすめされていたので。
実家にあったのしか多分読んだことがないのであんまり読んでないんだよね。
いわゆる連続殺人ものではないので、どきどきするスリルはないけど、ここからどうするのかの展開とそれぞれの心の機微が面白く読めて、なるほど地味だけどおすすめされるわけだ、と思いました。
やっぱりミステリはおもしろいね。
Posted by ブクログ
「鎌倉殿の13人」のラストシーンが、この作品をもとにしたのではないかという話を聞いて、読んでみた。ガッツリ同じシーンがあるわけではないので、言われてみればそうかなという感じ。
それとは別に、ページを捲る手が止まらなかった。さすがクリスティ。
Posted by ブクログ
短期集中アガさんの最終回。
たぶん未読であろうと思う。
ポアロもの。
遺産相続がらみ殺人。
状況証拠や動機で真っ黒の女性の嫌疑を晴らす。
女の嫉妬やらプチロマンスもあり。
思ったよりもおもしろかったな~。
でも、こんなのわからんわ。
反則ではないけど、イエローカードでもないけど、注意ぐらいは受けそうじゃないか。
読者への挑戦みたいなのがあるわけじゃあないからいいっちゃいいんだけど、あれの犯人とトリックを当てるのは無理。当てようとして読んでないからいいけど。
何の気なしに著者、つまりアガさんの経歴みたいなのを眺めてみたんだけど、ちょっと笑った。
「~嵐のようなロマンスののちに結婚した。」って(笑)
なんだ「嵐のような」って。見たんか。
しかも二度目の結婚だろうに。
たしかにアガさんは失踪事件起こしたりなんだりいろいろあったけど、普通にそこは「結婚した」でいいじゃん。
こんなん勝手に書かれたら顔真っ赤っかになるわ。
羞恥プレイか。
作家さんはうかうか死んでられんな~。
Posted by ブクログ
登場人物は資産家の未亡人、その甥と姪、未亡人の寵愛を受けている娘、医師と看護婦2人。
甥と姪は将来を約束した仲だが、未亡人の世話をしている娘を見て、甥の気持ちが揺らぐ。
ほどなくして、未亡人が亡くなり、姪が遺産を相続するが、甥との仲は破綻する。そんな中、娘が殺されて、犯人として姪が逮捕される。医師は姪の無実を信じて、名探偵エルキュール・ポアロに調査の救いを求める。遺言を残さず亡くなった未亡人、若いながら遺言を残して殺された娘。姪に不利な状況が積み重なるなか、姪が本当にやったのか、それとも濡れ衣なのか、ポアロの調査が始まる。登場人物とポアロとの会話から、真実が見つけだせるのか、姪は本当に無実なのか。ある出来事がきっかけとなり一気に氷解していく。提供される情報をもとに、丁寧に読み解くことが求められる。
Posted by ブクログ
婚約中のロディーとエリノアの前に現われた薔薇のごときメアリイ。ロディーが彼女に心変わりし、婚約は解消された。エリノアの心に激しい憎悪が湧き上がり、彼女の作った食事でメアリイが死んだ。犯人は私ではない!エリノアは否定するが・・・嫉妬に揺れる女心を、ポアロの調査が解き明かす。
クリスティお得意の男女のもつれが引き起こす殺人事件、と思いきや?という展開。誰がどう見ても犯人はエリノアが怪しいので、さすがに犯人は違うんだろうと思うものの、動機がはっきりしないので全然分からなかった。しかしロディーのろくでなし具合にはイライラしたね。こんな男と結婚しなくてエリノアは正解だと思うよ。普通なら被疑者だから手のひらを返したように逃げていってもおかしくないのに、無実を信じて(場合によっては有罪でも)助けようとしてくれたドクターの方がよっぽど男前。