アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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ネタバレ【再読】
ロンドンへと向かう飛行機の中で、フランス人の金貸しの女性が殺害された。その女性マダム・ジゼルは、何者かに毒矢によって殺されたと見られる。そして機内からは吹き矢の筒も発見された。同じ便に乗り合わせたポアロは、フランス警察のフルニエとともに捜査を始める。まず二人は、被害者の身辺を探ることに。マダム・ジゼルは金を貸した相手の弱みを握り、返済を渋った場合はそれをネタに相手を恐喝していたことが発覚する。また彼女の手帳から、乗り合わせた乗客のうちの何人かがジゼルの顧客であることが判明した。
捜査を進めていたポアロは二人の乗客ジェーンとノーマンと再会し、三人で事件を追うことに。すると、死んだジゼルには娘がおり、莫大な遺産を相続することになっていたことがわかった。ポアロはその娘が乗客であるホーバリー夫人のメイドだと突き止めたが、その矢先に娘は自殺してしまう。
ポアロは、ノーマンを犯人と名指しした。ジゼルが娘に莫大な遺産を残していることを知ったノーマンは娘に接近し、結婚した。飛行機の中でトイレに行くふりをして乗員に変装し、直接毒針を被害者に刺して殺したのだった。そして遺産を相続して用済みになった娘をも殺害した。
飛行機の中で毒の塗られた吹き矢が使われるという荒唐無稽な犯罪。だがそれこそが重要な鍵で、「そんなことは不可能だ」というところから考えれば、違う手を使ったということが見えてくる。吹矢筒が発見されることによってミスリードするのが上手い。
この作品ではポアロが主体的に捜査をするものの、素人探偵を使いながらという点が前作『三幕の殺人』とよく似ている。事件がその関係者にどのような影響を及ぼすか踏み込んで書かれている点も面白い。
●見どころ
・若い二人の探偵の推理と恋路を見守るポアロ
・『オリエント急行の殺人』を仄めかすポアロ
●名言
「イギリス人がよく言う表現を使うなら、まったくむかつくようなゴミ人間なんですから」
「すこしは憎んでもけっこうですよ。しかし、あなたは真実を直視せずに愚者の楽園に暮らすような人じゃないでしょう」 -
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ネタバレ【再読】
パーティの席で、老牧師バビントンが突然死した。不幸な病死だと判断されたが、同席していた元俳優のチャールズ・カートライトらは、殺人事件ではないかという疑惑を抱く。
その数ヶ月後、今度はバビントンの死に居合わせた医者のバーソロミューが同じようにパーティの最中に死亡する。
チャールズと友人のサタースウェイト、チャールズが想いを寄せる女性エッグは、ポアロをアドバイザーに据え独自に捜査を始める。事件直後、バーソロミューに仕えていた執事が姿を消していたため警察は執事を犯人と見て後を追っていたが、三人はそれは間違いだと考える。
両方のパーティに参加していた者から話を聞いてまわっていた最中、二番目の被害者バーソロミューが何事かを企んでいたこと、それにラッシュブリッジャーなる女性が関係していることを掴む。探偵たちはその人物に面会しようとしたが、その矢先彼女も何者かによって殺害されてしまう。
ついに真相に辿り着いたポアロは、チャールズこそが犯人だと指摘する。エッグに恋をしたチャールズには実は妻がいた。その事実を唯一バーソロミューに知られていたので彼を殺害したのだった。恐るべきことに、一人目の被害者バビントン牧師の殺害は、単なるリハーサルに過ぎなかったのだ。
ポアロシリーズでありながら、捜査を進めるのは三人の素人探偵たち。すでに「ポアロとヘイスティングズ」という型を確立しているにもかかわらず、それに固執することなく新たな挑戦がなされている。ポアロは素人探偵たちの推理と恋路を見守る役に徹している。それでも美味しいところは譲らない。
●見どころ
・恋人たちの動静にきわめて敏感なポアロ
・ポアロの探偵としての過去(イギリスに亡命後世話してくれた女性が殺され、その事件を解決)
・古い価値観に縛られない活発で今どきの女性
・外国人であることをフル活用して相手を油断させるポアロ -
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ノンシリーズの短編集。
「クリスティーの短編はイマイチ」なんて仰る方もおられますが、いやいや、どのお話も収め方がうまい。わりと似たようなパターンが続くにも関わらず、一気読みしても飽きない面白さがありました。
収録作品の中で既読は「ナイチンゲール荘」のみ。
『世界推理短編傑作集』に収められていたのは「夜鶯荘」の名前でしたが、しっかり筋を覚えているにも関わらずやっぱり面白かったですね〜。電話のシーン、あまりに機転が利きすぎる。
一般人が突然犯罪に巻き込まれるパターンが多いのですが、その中で勇気を振り絞ったり慎重さを発揮したりして、いい意味で人生を逆転させる構成になんだかスッキリしました。
表題作の「リスタデール卿の謎」もそうですが、「あなたが幸せならよかった」と言いたくなるような微笑ましい結末の作品が多い印象。特に、作者から「君付け」される男の子たちが奮起する姿がいじらしかったですね。
「イーストウッド君の冒険」は、”死体のわきにあったもの”がなんなのか、ぜひ知りたくなりました!
そんな、どこかほのぼのした作品が多い中で、掉尾を飾る「白鳥の歌」の存在感が一層際立ちます。
オペラは詳しくないのでいまいち掴みきれていない部分も多いのですが、演劇好きでもあるクリスティーの本領発揮といいますか、長編で読みたかったと思わされるほどの迫力がありました。クリスティーにナツォルコッフのインスピレーションを与えたのは、どのプリマドンナだったのでしょう?
正直、ミステリ長編のロマンスには「またか」感があるのですが、不思議と本書にはそんな悪印象を持つことなく、楽しい読書を終えることができました。
ドラマの復習もしたいし、次は『ポアロ登場』を読もうかしら。『死人の鏡』や『教会で死んだ男』もいいな……。
ところで解説に、本書が刊行された1934年には『オリエント急行の殺人』『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』『パーカー・パイン登場』『三幕の殺人』『未完の肖像』の5冊も上梓されている……とあって目を疑いました。そんなクリスティーの速筆ぶりが最大のミステリーでは?? -
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他のジャンルや作家さんを味見したあとは、いつだってクリスティーに戻りたくなります。「やっぱり白ごはんとお味噌汁よね!」みたいな感じです。笑
ポアロシリーズ2作目である本書ですが、ドラマを視聴済み、あらすじもいまいち惹かれずでスルーしていた一冊だったりします。
けれど、結末を知っているはずなのに二転三転する展開にはビックリ。意外すぎる真犯人すら覚えていない、驚異の脳細胞よ。。
フランスが舞台なせいか、男女関係があちこちにあり、「火遊びかと思いきや本命」みたいなミスリードもたくさんあってまあ翻弄されました。それにしても「若さと美貌に寛大なフランス法廷」……( ˊᵕˋ ;)
しかし本書で最も言及しなくてはならないのは、なんといってもヘイスティングズでしょうね!さすがに、無分別すぎる!笑
「愛されキャラ」として認知しているから耐えられたものの、ポアロシリーズを順番に読んでいく純粋な読者からすれば、よっぽど腹に据えかねるキャラクターだったのではないでしょうか。そのあたりがどう読まれたのか、ちょっと気になります。
また、解説として掲載されているのは、ドラマ版で日本語吹替版を演じられた熊倉一雄氏のエッセイ。
あいにく私は字幕派で、熊倉氏のお声は拝聴したことがないのですが、スーシェ版ポアロへの思い入れを読むことができてよかったです。
「アガサ・クリスティーの作品の魅力は、ひと昔前の世の中の様子がけっこう書かれている」という評にはまったくもって同感です。現代ミステリは殺伐として暴力的すぎます。奥ゆかしいのがいいよ。
総じて、ドラマ版のジロー警部もインパクト大でしたが、原作も思った以上に楽しむことができました。やっぱりクリスティーはいいな〜。 -
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2作目のポアロ作品。3.3。
場面的状況を主に、誰が怪しいかを一つずつ憶測のもとに追い詰めていくポアロの推理力と自尊心がすごい。
物的証拠からは勿論のこと、誰がこの状況で罷り通らない嘘の証言をしているのかとの洞察力というか、合理的というか、事実を縫合させて事件を解決に導く手腕がすごい。
時として、犯人になりますよ、と暗に揺することで重複した事件の一つを自供させる持っていき方の強引さもポアロの魅力の一つなのかもしれない。
本人は真実のみが必要であり趣向、明かされた真実の後の犯人の動向を気にしないので、まだ著者2作目だが、ポアロの紳士さの裏にある冷徹さが癖になる。 -
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くしくも直前に読んだクリスティー作品「五匹の子豚」と同じように過去の殺人事件を遡り、真実を探る内容の本作。これに関しては過去に読んだかどうかも怪しいくらい曖昧な印象(-。-;
「五匹の子豚」に比べると、さらに事件の内容は漠然としていて各々の発言がどのこと・誰のことを指しているのかが、よりわざとボカシて言わせているなあという印象が強い。
事件の真相は割と分かりやすいのだが、より家族間の心情にスポットライトを当てて、ポアロさんも事件の真相がもたらす影響を考慮しながら過去を遡っている感じ。
推理の派手さはないが、<当時のことを何かしら記憶している人たち=像>を探してタッグを組むミセス・オリヴァとの会話劇が楽しい点が魅力かな。 -
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ネタバレ【再読】
富豪の娘ルースは、夫デリクの奔放な女性関係に悩まされていた。ルースの父ルーファスは義理の息子デリクに対して娘と別れるよう迫る。だがデリクは、ルースも別の男と不倫していることを仄めかす。
このデリクと妻のルース、デリクの愛人ミレーユ、そして莫大な遺産を相続することになったキャサリンが偶然ブルートレインで乗り合わせていた。
翌日、コンパートメントの中でルースが死体となって発見される。前日食堂車で顔見知りになっていたキャサリンは、パリ警察とたまたま居合わせたポアロから事情を訊かれることに。それにより、ルースが持っていた高価なルビーが紛失しており、さらに彼女のメイドも前もって列車を降ろされていたことがわかる。
その後警察は、被害者のコンパートメントに入るところを目撃されていたことや「K」のイニシャルが入ったシガレットケースが見つかったこと、妻が死ぬことで多額の遺産を得ることなどから夫であるデリクを逮捕した。
だが本当の犯人はルーファスの秘書ナイトンとルースのメイド・メイスンだった。ナイトンはル・マルキの名で知られる犯罪者で、ルースが持つルビーを狙っていたのだった。
被害者の顔を潰したのは、一度メイスンが被害者になりすまして車掌と言葉を交わしていたため、その発覚を防ぐ目的だった。
鉄道ミステリーといえば『オリエント急行殺人事件』があまりにも有名だが、こちらも骨太のミステリー。不誠実な男女が多く登場するも、ポアロはときに厳しくときに優しく若者に寄り添う。
●見どころ
・ヘイスティングズもしくはゲストキャラによる一人称視点ではなく三人称視点
・セント・メアリ・ミード登場
・ハイエナのようなレディ・タンプリン
・あまりの嘘吐きの多さにブチギレるポアロ
●名言
「わたしはこれから脅かし、怖がらせ、わたしの言葉に耳を傾ける者の心に恐怖を叩き込んできます」 -
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ネタバレ【再読】
南米から帰国し、久しぶりのポアロとの再会を喜ぶヘイスティングズ。それも束の間、突然二人のもとに男がやってきて、謎めいた言葉を残して力尽きる。その裏にはビッグ4なる国際犯罪組織の存在があった。ビッグ4はその豊富な資金と優れた頭脳で兵器を開発し、世界に脅威を与える存在だった。
二人は組織と関わりのあると思われる人々を一人一人あたっていく。だがその先々で、まるで先回りするように事件が発生する。そしてその魔の手は、ついにポアロとヘイスティングズにも伸びる。
ビッグ4の陰謀を阻止するため、いつも以上に灰色の脳細胞を働かせて策を巡らせるポアロ。ヘイスティングズまで騙して自分の死を偽装し、ついにビッグ4を追い詰める。
特定のコミュニティの中で事件が起きるのではなく、点々として起きる事件の裏にビッグ4なる国際犯罪組織が暗躍しているというタイプのストーリー。強大な敵、ロシアの女泥棒など、ボリュームの割に登場人物がかなり多いのが特徴。前3作と大きく趣が異なるため好みは分かれるところ。場面転換が目まぐるしく、一つ一つの事件のスパンが空いている点は短編をつぎ合わせて書かれたものだからだろう。いわゆるスリラー、冒険小説に分類される作品だが、どうしてもビッグ4が「よくわからないけどとにかくすごい奴ら」に感じられてしまう。ただ、ポアロとヘイスティングズの信頼関係が深く描かれているのは良い。
●見どころ
・映画のような開幕
・自分が死んだら世界の損失、ヘイスティングズの場合はそうでもないと言ってのけるポアロ
・「読者のみなさんが私だったら、どうしますか?」と唐突に我々に訊いてくるヘイスティングズ
・シンデレラを人質に取られ(たと思い)、頑張るヘイスティングズ
●名言
「わたしたちの今度の冒険の功績は、すべてあなたのものです。あなたのような、いい友人をもって、わたしは本当に幸せ者です!」
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★3.5
アガサ・クリスティー直筆の戯曲
戯曲なんで、ト書きまであるんですよねぇ。最初のうちは、なんかそのト書きが気になって読みにくいと思いましたが、読み進んでいるうちに慣れて、どんどん読み進むことが出来ました。むしろ小説よりも、読む速度は速かったかも。
2作品が収録されているのですが、1作目はポワロ物、2作目はノン・ポワロ。
1作目の『ブラック・コーヒー』は、舞台を意識したのか、いつものポワロ物とちょっと違う雰囲気を感じますね。特に気になったのは、ジャップ警部が軽い人物に見えた事。うーん。
2作目の『評決』ですが、出版時の評判はイマイチだったらしいのですが、私的には中々面白い気がします。最後のどんでん返しが、中々凄い。そう来たかと。
でも、もう一ト戯曲を読むか?と問われたら、ちょっと考えるかなw