あらすじ
名探偵ポアロは、夜ごとゲームに興じ悪い噂の絶えぬシャイタナ氏のパーティによばれた。が、ポアロを含め八人の客が二部屋に分れてブリッジに熱中している間に、客間でシャイタナ氏が刺殺された。しかも、客たちは殺人の前科をもつ者ばかり……ブリッジの点数表を通してポアロが真相を読む。
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やっぱりアガサ・クリスティー作品は面白い!
そうだったのか!と、何度も予想を覆させられました。
人間心理の闇と悲しさ。
名探偵ポアロのシリーズを読み進めていきます。
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他のポアロ作品で、この事件がポアロの推理の真骨頂だって話が出てきた気がして読んだ。(小説に出てきたんじゃなくて誰かのレビューだったかも…)たしかに灰色の脳細胞大活躍!で楽しかった。今回も思い切り騙された!何度も!!
ブリッジのルールが分からなくても楽しめる。容疑者4人とも何かしら過去があり、それが判明していくのも面白い。あとは女性として、賛成はしなくとも気持ちが分かる場面もあったり。シンプルなストーリーだけど、その分ポアロの推理が真正面から楽しめる。
オリヴァ夫人とレイス大佐は既に知ってる登場人物だったから嬉しかったー。
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手品のような小説
この小説の醍醐味は、一つの犯罪について、被疑者4人のそれぞれのトランプゲームのやり方や言動から犯罪をどう犯すタイプか推測していく過程にポアロの能力が発揮されるところ。
そこに、徐々に過去の事実が明るみにされ、各人の動きも加わり複雑に絡み合って、その先にあることへの期待がましていく。
ところが、終盤に犯行状況が明らかとなったのは単純な理由?そこまで随分と理論的に進められてきたお話が、一転して豊かな感情が現れる……?
でもまだ安心してはいけない。
この展開の奥行きは、さすがです。
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最後の最後までひっくり返される楽しさ!
今までなんとなく読み流してたブリッジのルールを今こそ知るときと思って、ルール調べてとりあえず少しやってみた。やってみてから読んでよかった~。パートナーが向かい合って座ってるなんてちゃんとルール知らないとわからなかったし。
途中バトル警視のロバーツに関するメモの「妻 なし(気の毒)」ってとこで大爆笑してしまった。
( )の中いる?(((^^;)
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ブリッジのルールを知っていた方が楽しめると思うけれど、知らなくても十分楽しめると感じた(自分は知らない)。
探偵側と容疑者側が人数の面で当分されていて、探偵側がグループで謎を解いていくという筋が面白い。
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個人的にどんでん返しだったのでとても楽しい。
ポアロが混乱したり、小芝居を打つシーンも珍しくて好き。
その小芝居のために、女子からすけべじじい呼ばわりされても気づきもせず熱中するポワロが可愛い。
「人生の暗さなんぞをしゃべるのは、安っぽい人のすることよ」のロリマー夫人のセリフが気に入ったので、今後愚痴っぽくなりそうなときにこれを思い出そうと思う。
(この本が刊行された時、クリスティは46才。)
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ブリッジのルールは分からなかったけど話の展開が好みだった。容疑者4人なのにこんなに分からないもの?!最も怪しくない人物を疑うのがミステリーの鉄則だけど、序盤からその通りにはいかなかった。
シャイタナは殺される事予期してたのかな?自分でメンバー集めておいてわざわざあの席に座ったの?笑 大胆すぎる犯行に犯人の心理が透けて見えてるところがおもしろい!
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ブリッジのルールを知らなかった私が残念。
ブリッジのルールを知らなくても十分楽しめてしまうところはさすがとしかいいようがない。
ラストは久しぶりに「え?」て言ってしまった。
いや、アガサクリスティーのは毎回「え」てなるけど、声が漏れたのは久しぶりだった。その一瞬だけ私自身がオリヴァ夫人になって小説の中に入れた気さえした。
ありがとうアガサクリスティー!
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四人の容疑者のうち、半々で見事に明暗が別れた。アンが容姿以外良いところが無さすぎて笑ってしまった。容赦がない。ロリマー夫人はかっこよくて好きだったんだけどなあ。
婦人服売り場でストッキング19足買うお爺ちゃん、怪しすぎて今ならSNSに勝手にアップされそう。
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ひらいたトランプ
ポアロシリーズ長編。再読だが記憶は曖昧。途中、うっすらとだが犯人を思い出したと思ったのだが。恥ずかしい事に、意外性のある結末に初見読みの様なリアクションをしてしまった。作品構成が良くトリックも上手い。
しかし、終盤、とある人物が都合よく睡眠薬を飲んでいる事、それを犯人が見越している事は腑に落ちないが。
初見の際にはまだポアロシリーズの世界観を把握していなかった為、バトル警視やレイス大佐、オリヴァ夫人まで疑ってかかった事を思い出した。後々彼らが登場する作品を沢山読んでいる為、完全に容疑者から除外される訳だが、いかに筆者が「容疑者はこの四人」といっても我々読者は素直に取らないし、筆者はあのクリスティだ!!と構えて読んだ記憶がある。そのせいで理路整然と簡潔に完成された今作の魅力が小さくなっていた事に今更ながら気づいた次第だ。
シャイタナという如何わしい人物がポアロ、バトル含めた優秀な探偵役と名目上は素晴らしい人物合計八人を招待しパーティを開く。シャイタナはパーティ招待メンバーに過去の事件を匂わせ彼らの秘密を握っている事を喜んでいたが、二組に別れて開催されたブリッジのゲーム中、何者かに刺殺されてしまう。ポアロ達のグループはシャイタナと別の部屋におり、メンバーはポアロ、バトル、レイス、オリヴァといわば探偵的素養がある人物達。一方、殺害されたシャイタナと同室にいたのは4人のグループでそれぞれが過去に何かを隠していると思われる人物。犯人はこの四人のうちの誰かである事は間違いなく、彼らの過去を捜査しながら真相を突き止めていく。
ストーリーの土台としてポアロがブリッジの戦い方、スコアシートの取り方などからそれぞれの人物の性格や特徴を読み解き、今回の殺人のケースに当てはめて推理を進めていく。ブリッジを知らない人には彼らの性質をどの様にポアロが読み解いていったのかが少しわかりにくい。また、それぞれが過去に何らかの事件を起こしているだろうと推定できる設定の為、彼らの過去について明かされていく事実が物語に深みを与えている。
登場人物が限られている事が今作をシンプルにそして一人一人を深く掘り下げる事に適しており、他の作品の様に登場人物の名前や性格に悩まされる事がない。ブリッジ要素以外はわかりやすく読みやすい。僕は今作を手に取ったのが比較的早い段階だったため、探偵側の人物達の知識がなかった。本来であれば非常に洗練された謎解きミステリーだが、あろう事にバトルやレイスを疑ってかかる始末で個人的に反省した部分だ。(全てを疑う様にしたのもクリスティなのだが(笑)
ポアロと並び、バトル警視やオリヴァ夫人の活躍も魅力的で、特にオリヴァ夫人の強烈な個性がシリーズ中何度も登場を求められる人物になる事はクリスティの表現力によるものだろう。これほど魅力的なキャラクターは中々他のミステリーにも存在しない(他のミステリーで登場する強烈な人物達は“狙い“すぎていて作品に馴染まない様に見える)
評価としてとても面白かったが、ブリッジを知らない事が残念でならない。おそらく知識があればもっと楽しめた。再読により、ポアロシリーズの世界観を理解した上で読むと何倍も面白く感じた。
Posted by ブクログ
ブリッジのルールは何もわからないけど最後まで裏切られて満足した
特にロマリーが見た犯行シーンが盗癖のあるメレディスが宝石に興味を持っていたのをそう見ただけというのがよかった
プロファイル物って言ったことを鵜呑みにするしかないんだけど今回は四者四様でかつわかりやすい性格なので個人的に納得感あった
Posted by ブクログ
ブリッジのゲーム中に悪名高いシャイタナ氏が殺された。
疑わしい人物が4人しかいないので、とても整理しやすい。
だけど結局犯人を当てることはできず、またしても見事に振り回された。
これで解決か...と思った瞬間から展開が二転三転する。
物証が無い状態かつ聞き取った情報のみで推理していくその過程がとても面白かった。
ブリッジのルール等を知っているとより楽しめる内容かもしれない。
Posted by ブクログ
登場人物が少なくて、序盤から4人のうち誰が犯人かが絞り込まれて、全員があやしいけど、犯人になり得るけど、ならない、といったような二転三転あり、面白かったです!最後無事閉幕〜と思ったら、そこからまたぐいぐい読ませる。
Posted by ブクログ
イギリスの作家「アガサ・クリスティ」のミステリ長篇『ひらいたトランプ(原題:Cards on the Table)』を読みました。
4月からNHK-BSプレミアムで「デビッド・スーシェ」主演による英国ITV(グラナダ)版「名探偵ポワロ」シリーズの再放送が始まったので、久しぶりに「エルキュール・ポアロ」シリーズを読みたくなったんですよね、、、
「アガサ・クリスティ」作品は『パーカー・パイン登場』以来なので、約3年振りですね。
-----story-------------
名探偵「ポアロ」は偶然から、夜ごとゲームに興じ悪い噂の絶えぬ「シャイタナ氏」のパーティによばれた。
が、「ポアロ」を含めて八人の客が二部屋に分れてブリッジに熱中している間に、客間の片隅で「シャイタナ氏」が刺殺された。
しかも、居合わせた客は殺人の前科をもつ者ばかり…ブリッジの点数表を通して「ポアロ」が真相を読む。
(解説 「新保博久」)
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1936年(昭和11年)に刊行された「エルキュール・ポアロ」シリーズのミステリ長篇、、、
映像化作品の『名探偵ポワロ「ひらいたトランプ」』で観たことがある作品ですが、真相が二転三転する終盤の展開は記憶に残っていなかったので、本格ミステリとしてしっかり愉しめました。
■序文
■1. シャイタナ氏
■2. シャイタナ氏の晩餐
■3. ブリッジの勝負
■4. 最初の殺人者?
■5. 第二の殺人者?
■6. 第三の殺人者?
■7. 第四の殺人者?
■8. 犯人は誰か?
■9. ドクター・ロバーツ
■10. ドクター・ロバーツ(続)
■11. ロリマ―夫人
■12. アン・メレディス
■13. 二人目の客
■14. 三人目の客
■15. デスパード少佐
■16. エルシー・バットの証言
■17. ロウダ・ドーズの証言
■18. 幕間のお茶
■19. 協議
■20. ラクスモア夫人の証言
■21. デスパード少佐
■22. コンビーカーでの証拠
■23. 絹のストッキングの語るもの
■24. 三人の殺人容疑者たちを消去?
■25. ロリマー夫人は語る
■26. 真相
■27. 目撃者
■28. 自殺
■29. 事故
■30. 殺人
■31. ひらいたトランプ
■『ひらいたトランプ』解説 ミステリ評論家 新保博久
「生きた犯罪コレクションを見せましょう」… 「シャイタナ氏」の奇妙な申し出は「ポアロ」の興味を惹いた、、、
殺人を犯しながら、告発されないでいる人間たちを集めるというのだ… 不気味なパーティは何事もなく進んだ。
食後、「シャイタナ氏」を除く8人の出席者はニ組に分れてブリッジに熱中した… しかし、ゲームが一段落した時、客間の隅では「シャイタナ氏」の刺殺死体が発見された!
「ポアロ」は、ブリッジの点数表を通して殺人者の心理を売み、真犯人を追いつめる… いやぁ、久しぶりの「アガサ・クリスティ」作品でしたが、面白かったですねー 愉しめました。
ブリッジを愉しんだ一組は、医者の「ジェフリー・ロバーツ」、探検家の「ヒュー・デスパード少佐」、ブリッジ狂の老婦人「ロリマー夫人」、可憐な娘「アン・メレディス」… この中に「シャイタナ氏」を殺害した人物がいて、全員が過去に身近に不審な死を遂げた人物がいた、、、
もう一組は、ロンドン警視庁の「バトル警視」、陸軍情報部「ジョニー・レイス大佐」、探偵作家の「アリアドニ・オリヴァ夫人」、そして「ポアロ」と、真相を探る面々… 容疑者4人と真相を探る4人が同じ邸に居合わせ、容疑者4人には、それぞれ怪しい過去があるという導入部からワクワクさせられますよね。
そして終盤の二転三転の展開… 『26. 真相』、『27. 目撃者』、『28. 自殺』、『29. 事故』、『30. 殺人』、『31. ひらいたトランプ』と、サブタイトルを見ただけでドキドキさせられます、、、
真犯人と思われた人物が自殺し、次に真犯人と思われた人物が事故死し、そして、真犯人が明らかになる… 本格ミステリの醍醐味を詰め込まれた作品… 「アガサ・クリスティ」らしさが愉しめる作品でした。
以下、主な登場人物です。
「シャイタナ」
パーティーの招待主。洒落者
「アリアドニ・オリヴァ夫人」
探偵作家
「アン・メレディス」
可憐な娘
「ジェフリー・ロバーツ」
医者
「ロリマー夫人」
ブリッジ狂の老婦人
「ジョニー・レイス」
大佐。陸軍情報部部長。ポアロの友人
「ヒュー・デスパード」
少佐。探検家。
「バトル」
ロンドン警視庁警視
「オコナー」
巡査部長
「ラクスモア夫人」
植物学者の夫人
「ローダ・ドーズ」
メレディスの同居人。ウェンドン荘持ち主
「エルキュール・ポアロ」
私立探偵
Posted by ブクログ
ブリッジのルールは結局よくわからないままだったけど、十分楽しめた。
クリスティーは本当にどの作品もハズレがない。
定期的に読みたくなるし、全作品を読破するまで死ねないとすら思うけど、読破してしまう日が来るのもさみしいという…。
Posted by ブクログ
限られた登場人物で、それぞれの描写がとても良かった。特にアン・メレディスの、人間の弱さと狡猾さを凝縮したような暗くいじけた若い美女と、対照的に落ち着いて聡明なロリマー夫人、2人が対峙する「幕間のお茶」では葛藤に揺れ動く中で直前の自身の言葉を取り消すように言った(ので傲慢には聞こえない)「人生の暗さなんぞを喋るのは安っぽい人のすることよ」などはっとされるせられるような名言もある。バトル警視の無駄のない適所適材な仕切り方が心地よく、作品全体が引き締まり整う感じ。もっとポワロとの共演作があったらよかったのにと思う。似た個性の大佐と少佐の描写がどちらも好人物ながらあっさり目、大佐の退出直前の会話でなるほど、と思わされる反戦メッセージとの一貫性かな。ポワロの思想としてはオリエント急行の殺人と絶妙に矛盾しているあたりが逆に奥深いと思う。ちょい役ではラクスモア夫人、シャーロックホームズ風のオコナー巡査部長に笑わせてもらった。推理小説としては終盤で何度も振り回されたのが爽快だった。ブリッジ覚えてみたいけど、2人組ルールはハードルが高い…
Posted by ブクログ
〈ここが好き〉
・ブリッジの進め方、スコアの書き方、記憶力から本当に犯人を推測できること。序文に書かれている探偵小説の醍醐味を味わえる。
・カーズ・オン・ザ・トランプ(手の札は開けて置く)がモットーというポアロの言葉。
・アン・メレディスの悪辣さ。
〈これが分からない〉
・東洋的残酷さとは?
デヴィッド・スーシェ版が好きなので、読むにあたり、ブリッジのルールをyoutubeで履修しました。理解して読むと、カーズ・オン・ザ・トランプの真意を掴めるしより一層面白いと思います。
スーシェ版は原作の内容とはかなり変更されてますが、まとまりはあって、結構好きです。
Posted by ブクログ
ブリッジのルールを知らなくても面白い。知っていたらもっと面白いかも。
殺人を過去に犯したとされる4人と警視、調査局員、探偵小説家、私立探偵の4人がパーティーに招かれた。ブリッジをしている途中でパーティーの主催が殺された。ダミーの間に誰かが彼を殺した。それは4人の中のいったい誰なのか。得点表からポアロが導き出した真相は?
物的証拠が何もないところから、ポアロが推理を働かせて真相を突き止める。ポイントになるのはブリッジの得点表から見る4人の性格、彼らの過去、注意力、ブリッジのプレイヤーとしての遊び方。殺人は大きな賭けであり、大胆さと注意力を必要とする。
終盤、ポアロはロリマー夫人の告白を受け、その立派な態度に感服する。直後に描写される訪問者アン・メレディス、亡くなっていたロリマー夫人。ポアロとバトル警視が急行するのもあって、犯人はアンだとハラハラしてページをめくる。そうしたらアンは確かに殺人を犯していたが、ブリッジの途中でシャイタナ氏を殺したのはドクター・ロバーツだったのだ。油断しきったところを後ろからガツンとやられた。この終盤の急展開は他の作品でもあったがとても気持ちいい。一番犯人らしくない者が真犯人。決めつけ屋の探偵小説家に絶対犯人だと見做されている人が犯人だなんて思う訳がなかった。
探偵小説家オリヴァ夫人のキャラクターが面白い。著者のセルフパロディなのか。世間的イメージを誇張して描いてみたのかもしれない。とにかくややうざったいところも含めてチャーミング。オリヴァ夫人も他作品で出てきていたし、他の作品で出てきたレイス大佐やバトル警視が登場するのもオールスターのようで嬉しい。
Posted by ブクログ
全く知らなかったがオールスター編だったのか。普通に容疑者4人以外のレイス大佐とか疑ってたぞこっちは。初耳のブリッジはクリスティーオリジナルゲームかと思ってた。面白そうなのになんで日本で浸透してないんだろう。2vs2のゲームで1人休憩てよくわからんな。
他の方もおっしゃっているように、ゲームから容疑者の心理や性格を分析するスタイルは『カナリヤ殺人事件』や『心理試験』を想起させるが、それ一辺倒にはならず、容疑者4人の過去の犯罪にも焦点を当てている分、説得力があると思う。後ろめたい過去のある4人の容疑者をポアロが聴取で追い詰めていく展開も高度な騙し合いとなっている。フェミニストの推理作家はやや浮いた道化として描かれているので、完全に投影しているわけではないのだろうが、推理作家の苦労やポリシーが伝わってきて楽しい。
ブリッジ知らなくても結構面白い。ブリッジ自体も多分ポーカーより面白い。
Posted by ブクログ
トランプのゲーム自体への理解が不十分ではあったので、100%この話を楽しめたわけではないのが残念だが、意外性かつハラハラを味わえる本だった。
最近年のか海外小説の登場人物を覚えるの苦手になってきたなあ。誰だっけと思ってしまうことが増えたのでぜひ訓練したい。
Posted by ブクログ
ポアロシリーズ13作め。1936年の作品。
原題は『CARDS ON THE TABLE』。
本文の中では「手の札は開けて置く」と訳されている。
解説によるとこれはブリッジのルールで「攻撃側の一人は持ち札をすべて卓上に表向きにさらし(カーズ・オン・ザ・テーブル)、どの札を出すかは一切パートナーに委ねて、休み(ダミー)としてプレイには参加しない。」
このルール自体がこの作品の事件の基本なので、それとかけたうまいタイトルなのだが、邦題だとピンとこないのが惜しい。
たしかこの話は前に読んだはず、と思いましたが例によって犯人は覚えていないので、後半の二転三転を「あれ、この人が犯人だったけ?」と思いながら楽しみました。
本作で初登場の推理作家オリヴァ夫人のキャラクターがすばらしい。アガサ・クリスティー自身というより、読者が想像するクリスティー像を自らカリカチュアしている感じ。
以下は有名なセリフ。ポアロをベルギー人にしたことを皮肉っております。
107
「ただ一つ、あたしの後悔してることがあるの──それはね、主人公の探偵をフィンランド人にしたことなの。フィンランドのこと、あたし全然知らないでしょ。ところが、フィンランドからよく手紙がきて、その探偵の言動がおかしいだのなんだの言ってくるの。フィンランドじゃあ探偵小説がとても愛読されているのね。冬が長くって、その間は日光がささないからじゃないかと思うわ。ブルガリアやルーマニアじゃあ、探偵小説は読まれないでしょ。あたし、探偵をブルガリア人にしとけばよかったわ」
266
「オリヴァさん、お手柄でしたね。あなたの作品のひょろ長いラプランド人の探偵より、ずっと素晴らしかったですよ」
「フィンランド人ですわ。彼、どうせ馬鹿な探偵ですけど、皆さんに人気があるのよ。」
そしてクリスティー作品によくある2人の女性と1人の男性の構図。アン・メレディスとローダ・ドーズはお互い自分にないものをもっているところに嫉妬もしている。女友達あるあるの関係ですね。
上品で頭が良くて孤独なロリマー夫人も印象的でした。そしてこういうマダムにはつねに優しいポアロ。
234
「生きるのはむずかしいことですよ。わたしの年になったら、わかります。限りない勇気と忍耐が必要なのです。そして、死ぬ時になって、誰もが、“人生にそんな値打ちがあったのかしら”って、疑うんです」
149
「記憶力は貴重な贈り物です。それがあれば過去もけっして過ぎ去ったものになりません──マダム、あなたには過去のことも、目の前に巻物を広げるように開けて、すべての出来事が昨日のようにはっきり映るんじゃございませんか?」
ロリマー夫人がシャイタナ氏と出会ったというエジプトのホテル、ルクソールのウィンター・パレス、検索したら今もありました。エジプトって観光地のイメージが強いんですが、リヴィエラと並ぶようなリゾート地なのですね。
おもしろくて数日で一気読みしてしまいました。アガサ・クリスティーの描く人間模様、登場人物たちの台詞の粋なこと。
コーヒー飲みながらクリスティーを読むってそれだけで幸せを感じます。
以下、引用。
12
ウェセックス・ハウスの鍵煙草入れ展示会であった。
14
シャイタナ氏がアルゼンチン人か、ポルトガル人か、ギリシャ人といった英国人のきらう国籍を持っている人なのかどうか誰にも明らかでなかった。
34
「あたしの天使がもう来るころよ、さあ、一勝負始めない? きっと今夜はつくわよ」
52
「ドクター・ロバーツですよ」オリヴァ夫人がまた断固として言った。「彼、とっても親切なんですもの。人殺しには親切そうなのがよくいるわよ──変装ですよ!」
64
「あたし、いつだって実際に行われた殺人よりも、素敵な殺人を書けるんですよ。あたし、話の筋で苦労したことなんか、ありゃしませんよ。それにあたしの読者は毒薬の方を欲しがりますよ、ナイフより」
106
「実際をいうと、あたし、正確ということそんなに気にしていないの。すべてに正確な人なんている? いまでは誰もいないんじゃないかしら。たとえば、二十二歳の美しい処女が、窓から海を眺め、可愛がっていたラブラドル犬のボブに、さようならの接吻をした上、ガスの栓をひねって自殺した、という記事が載った時に、その女が二十六歳で、その部屋の窓は海に面していないし、犬はシーリアム・テリヤでボニーというんだと、騒ぎたてる人がいるかしら」
「もっと大切なのは、人をうんと殺すことね。小説が少しだれてきたら、だらっとタワー流させれば引き締まりますよ。誰かが何かを打ち明けようとする──すると、まずその人が殺される。この手はいつもうまくいくわ。これ、あたしのどの小説なもあるのよ」
107
「ただ一つ、あたしの後悔してることがあるの──それはね、主人公の探偵をフィンランド人にしたことなの。フィンランドのこと、あたし全然知らないでしょ。ところが、フィンランドからよく手紙がきて、その探偵の言動がおかしいだのなんだの言ってくるの。フィンランドじゃあ探偵小説がとても愛読されているのね。冬が長くって、その間は日光がささないからじゃないかと思うわ。ブルガリアやルーマニアじゃあ、探偵小説は読まれないでしょ。あたし、探偵をブルガリア人にしとけばよかったわ」
138
「日本の版画が六枚、これは一級品だった。鏡の上には中国の絵二枚、大変立派な鍵煙草入れが五、六個。日本の象牙の根付がこれも五、六個、これは一かたまりに机の上にのっていた。」
139
「たとえばシャーロック・ホームズみたいに、とおっしゃるんでしょう。夜になってもその犬は吠えなかった。これはおかしいぞ!」
149
「記憶力は貴重な贈り物です。それがあれば過去もけっして過ぎ去ったものになりません──マダム、あなたには過去のことも、目の前に巻物を広げるように開けて、すべての出来事が昨日のようにはっきり映るんじゃございませんか?」
152
オリヴァ夫人は小さな二人乗りの自動車の運転台から下りるのに、大骨折りだった。それというのも、第一に現代の自動車製造者が、ハンドルをながら者はみな、すんなりした脚の持ち主ばかりだと考えているからである。それに加えて座席の低いのが流行ときている。そこで、肉付きのいい中年の婦人が運転台に座ると、外へ出るのに身体をあっちへやったり、こっちへやったり、超人的努力をしなければならなくなる。
155
「あたしは犯人の目星、ちゃんとついてるの。あの医者、何ていったっけ、名前は? ロバーツ。そうそう、ロバーツですよ。これ、ウエールズ系の名前ね。あたしはウエールズ人なんて絶対に信用しないの。」
158
「それに、もうひとつ打ち明けて言うと、本当の殺人事件ってあたしの手に負えそうもないの。本の中でいつもこっちの勝手に作りつけてるでしょ。だから本物だと困っちゃうの。」
177
「ああ、あなたが好きになったのよ。きまっているじゃないの。ぜんぜん興味がないのに、親切なことをする男ってあるかしら。あなたが不器量で、にきびでもいっぱいできていたら、こんな所まで来やあしないから」
181
「ドーズさんの故郷はデヴォンシャーだと思いますわ。時々クリームが送られてまいりますから。それを見ると、故郷を思い出すとおっしゃってますもの」
195
「雨、雨では別に怪我もしませんよ」
209
「日本の風土病みたいなもの──買ってきた日本製の髭剃りブラシからうつったのよ。日本人ってよく注意しないのかしら、こわいわねえ。それからあたし、日本製は敬遠してるの」
221
「そんな簡単なわけにはいかないのよ」オリヴァ夫人は言った。「まず考えなきゃあならないでしょ。そして、考えるのは退屈なことよ。それから、筋を立てなきゃあならない。ところが、時々行き詰まっちゃうの。そしてその行き詰まりからどうにも抜け出せそうにないって気になる──でも、しまいに何とかなるの! 書くのってけっして楽じゃあないわ。他のことと同じように、辛い仕事なのよ」
222
「退屈なのはそれを書く時。これで書き終えた、六万語くらいかなと思って、数えてみると、三万語くらいしか書いていないのはしょっちゅうなのよ。そこで、殺人をもう一つふやし、女主人公がもう一度誘拐されることにしなきゃあならない……こんなことって退屈な仕事よ」
234
「生きるのはむずかしいことですよ。わたしの年になったら、わかります。限りない勇気と忍耐が必要なのです。そして、死ぬ時になって、誰もが、“人生にそんな値打ちがあったのかしら”って、疑うんです」
246
「あなたは私の言うこと、おわかりになっていません。私は殺される人のことを言ってはいません。殺す人の心に起こる変化を申しておりますんです。人間を殺せるという心の持ち方について、です」
「戦争では、たしかに、個人的な判断を行使して殺人するのではありません。しかしだからこそ戦争とはもっとも危険なものなのです。戦争では人間は相手を殺すことに正当な理由をつけられます。このように、人間が他人の生死を左右できるという考えに、一度でも取りつかれたものは、もっとも危険な殺人犯人になりかかっているのです──利益のためでなく──思想のために人を殺す──こんな人ははなはだ傲慢な殺人犯人です。そういうひとは全能の神の権能を奪いとったことになります」
248
「手の札は開けて置く(カーズ・オン・ザ・テーブル)。これがこの事件のモットーでしたよ。」
255
「冬になると時々外国に行くほかは大部分ロンドンで暮らしています。外国といっても、リヴィエラとかエジプトとかいった一流の土地です。」
66
「エジプトのホテルでしたよ──たしかルクソールのウィンター・パレスだったかしら」
266
「オリヴァさん、お手柄でしたね。あなたの作品のひょろ長いラプランド人の探偵より、ずっと素晴らしかったですよ」
「フィンランド人ですわ。彼、どうせ馬鹿な探偵ですけど、皆さんに人気があるのよ。」
297
「このポアロっていう人、頭がいいと思う?」
「シャーロック・ホームズみたいには見えないわね」
かくてその日の午後から三時には、ローダ・ドーズとアン・メレディスは、ポアロのきちんと片づいた部屋で、澄ましこんで椅子に腰かけ、古風な形のグラスに注がれたブラックベリーのシロップを、少しずつすすっていた。二人ともブラックベリーは大嫌いだったが、礼儀をわきまえていたので断れなかった。
303
「短剣です、お嬢さん、十二人の人々が、一人の男を指したという短剣ですよ。ワゴンリッツから記念品としてもらったものです」
392
よく指摘されるように『ABC殺人事件』のなかに、本書の予告篇のようなエルキュール・ポアロのせりふが見いだされる。
「四人の人間がブリッジをしていて、それに加わらない一人が煖炉のそばの椅子に座っている。夜更けになって、暖炉のそばの男が死んでいることが発見される。四人の一人が、ダミーになって休んでいるときに、そこにいって彼を殺したが、ほかの三人はゲームに夢中になっていて気づかなかった。ああ、それがあなたにふさわしい犯罪ですよ!四人のうちのだれがやったのか?」
395
ここがブリッジの非常に得意な点だが──攻撃側の一人は持ち札をすべて卓上に表向きにさらし(カーズ・オン・ザ・テーブル)、どの札を出すかは一切パートナーに委ねて、休み(ダミー)としてプレイには参加しない。プレイの段階では、常に四人のうち一人は抜けるわけだ。
Posted by ブクログ
【ポアロ】
1936年クリスティー46歳の作品。
タイトルの通り〈トランプ〉のブリッジが重要になってくるので、ルールを知っていればもっと楽しめたのにと思う。
同じくトランプで事件を解いたヴァン・ダインのアノ事件と似ていた。
トランプで何がわかるの?と思うかもしれないけど、トランプって本当にその人の性格が出てくるので面白い。
この作品を読んでる途中に、お正月で親戚達とトランプの大富豪をやったので、Naotyポアロになりきって観察してみた。
・序盤から良いカードを出して過ぎて、最後に破滅する〈勝負師タイプ〉
・全然良いカードがない、終わったわ…と言いつつ大富豪になる〈策士タイプ〉
・自分の手の内が全部顔と行動に出てしまう〈正直タイプ〉
・良いカードを持ってるのに最後まで使えない〈心配性タイプ〉
・平民が1番平和だわ〜と本当にずっと平民の〈万年平民タイプ〉
・大貧民から1つずつ着実に上り詰めて大富豪になる〈叩き上げタイプ〉
・女の子には甘いが男の子には厳しい〈おじさんタイプ〉
・孫にだけ優しい〈おじいちゃんタイプ〉
いや〜見事にそれぞれの性格が出ていて面白かった!
今年1発目に読んだ『茶色の服の男』のレイス大佐がこの作品にも登場していて、たまたまこの順番で読んだのに偶然に驚いた。
推理作家のオリヴァ夫人の初登場作品でもあり、キャラクターも楽しい。
ポアロ作品は残すところあと4作品。
どれも攻略本では低評価だけど、もったいなくてなかなか読めない。
★2.5
Posted by ブクログ
『ゼロ時間へ』で頼もしい活躍を見せたバトル警視が登場するとのことで手に取りました。カバー見返しの登場人物リストは最少なのでは??
バトル警視だけでなく、探偵役はポワロさんにオリヴァ夫人、レイス大佐と、まさにお菓子のアソートパックのような豪華さ。それぞれの探偵の捜査方法が異なっていて、楽しく読めました。
それにしても、犯人が○○と思いきや実は○○と見せかけて○○だったとは……。
その立派な人柄から、○○○○○○の告白に衝撃を受け心打たれていたのですが、そこから二転三転。まんまとクリスティー女史の手のひらで転がされてしまいました。ネタバレありでも書けない!笑
イギリスを舞台にした作品では必ずといっていいほど出てくるブリッジがテーマということで、ルールがわからないと楽しめないのでは?と敬遠していましたが全くの杞憂でした。もちろん、ブリッジを知った上なら各プレイヤーの性格がわかって面白いんだろうなぁ。
容疑者のうち、誰が何を見てどんな発言をしてどう行動したか?それぞれ書き出して読み進めるのも楽しそうな一冊です。
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クリスティのミステリは、しばしば中盤が弛れるけど、ラストの真相解明で毎度スッキリさせてくれる。
展開の捻りも聞いてるし、トリック自体は物理的なものではなく心理的なトリックに重きを置いているので、私の好みな作品だった。
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作中にブリッジというトランプのゲームが出てきて、それが事件を解くキーになるのだが、ブリッジを知らない自分でも面白く読めた。4人容疑者がいてそれぞれの過去の犯罪を調査する中パートで自分はなかだるみしたが、最後の解決編でさすがと感心した。
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ポアロ作品。
ブリッジ話の中心に出てくるので、ブリッジを知らないとそこがちょっとおいていかれそう。
犯人が終盤にかけてくるくると変わってゆくのはいつも通りで、そこら辺が素晴らしい作品であった。とは言え、容疑者が最初から絞られていたり、犯人への手がかりの意味などでは、他作品よりかは一歩劣るかな?という印象です。
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ポアロもの。
シャイタナ氏のパーティによばれたポアロ。8人の客が4人づつに分かれてブリッジに興じている間に、シャイタナ氏が刺殺されてしまいます。
シャイタナ氏に近いテーブルにいた4人が疑われますが、この4人は其々に隠された“前科”があって・・・。
上記の“容疑者グループ”に対して、ポアロ達“探偵(?)グループ”には、ノンシリーズ等にも登場しているバトル警視やレイス大佐、そしてクリスティーを彷彿させるオリヴァ夫人など、ええキャラ揃いです。
容疑者4人の過去を洗うバトル警視と、彼らのブリッジの点数表などから心理状態を探るポアロとの協力関係が良いですね。
そして、終盤の怒涛の展開が、もう二転三転でグイグイ読ませます。
犯人は“一周廻ってそうきたか”という人物で、真相にいきついたポアロに脱帽です。
ブリッジのルールを知っていれば、より楽しめたかもしれませんね。
“ババ抜き”ならわかるのですけどね(笑)・・。
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名探偵ポアロは偶然から、夜ごとゲームに興じ悪い噂の絶えぬシャイタナ氏のパーティによばれた。が、ポアロを含めて八人の客が二部屋に分れてブリッジに熱中している間に、客間の片隅でシャイタナ氏が刺殺された。しかも、居合わせた客は殺人の前科をもつ者ばかり・・・ブリッジの点数表を通してポアロが真相を読む。
ブリッジのルールは全く知らないのですが、それでもポアロの思考にはなるほど~と頷けるものばかりで非常に面白かった。ルールだけ聞くと難しそうなんだけど、自分でもやってみたくなっちゃった。まさかのあの人が自白するのですが、その後の展開が秀逸で最後まで予想を裏切られる。ところでなぜアン・メレディスは最後にオリヴァ夫人のもとを訪れたのだろう?てっきり殺すつもりなのかと思ったけど、夫人は疲れた様子だったと記載があって、真相を話したということ?4人の性格がブリッジを通して巧みに描かれるだけでなく、ちょっぴりロマンスも混ぜてくるところがクリスティーらしいなと思う。