【感想・ネタバレ】招かれざる客〔小説版〕のレビュー

あらすじ

ミステリの女王の名作戯曲を小説化! 真犯人や真相に関する趣向はクリスティー作品史において前例はなく、まさに〈反ミステリ〉の新境地を開拓したのだ。小山正(本書解説より) 冷たい霧の中、電話を借りるため館を訪ねたマイケルが見たのは、当主が椅子にうずくまり、傍らでその夫人が拳銃を握る姿だった――11月の寒々とした晩。南ウェールズの霧深い田舎道で車が脱輪し、男は近くの大きな屋敷に助けを求めた。だが、そこには車椅子に座った屋敷の当主の射殺体が。そして傍らには当主の若く美しい妻が銃を握って立っていた。果たして妻が犯人なのか? どんでん返し連打の名作戯曲をチャールズ・オズボーンが小説化! 解説:小山正 今後の刊行予定2025年1月刊『蜘蛛の巣〔小説版〕』アガサ・クリスティー(チャールズ・オズボーン小説化)山本やよい訳 客間で見つけたのは夫の前妻と結婚した男の死体!? 傑作クライム・コメディ戯曲の小説化。 以下、続刊『白昼の悪魔〔新訳版〕』アガサ・クリスティー田村義進訳 地中海の避暑地の島に滞在中の元女優殺人事件。関係者のアリバイをポアロは崩せるか? 以上、クリスティー文庫

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Posted by ブクログ

ネタバレ

招かれざる客
クリスティの戯曲を小説化した作品。クリスティ作品ふ戯曲も面白いのだが、戯曲だと読み難い為、全作品小説化して欲しいと願う。
クリスティの作品から派生していく作品(ソフィ・ハナのポアロシリーズ等)は、クリスティの余韻を感じる事が出来るし、キャラクターの世界観を壊さなければとても楽しむ事が出来るが、戯曲を小説にするこによって、まるでクリスティが蘇った気持ちになるし、女史の未読作品が殆ど無くなってしまった今となっては単純に個人的に楽しんでいる。

現代だと突飛押しもないスタートから始まる今作だが、余りにも変わった導入は唯一だしクリスティらしいスタート。スタークウェッダーという若者が霧の中で車を溝に落としてしまい、近くの屋敷に助けを求めると玄関が開いていて、リビングで中年男性の死体と銃を握りしめた女性が立っているという導入。スタークウェッダーは女性に好意を持ち銃を握りしめる女性に事の顛末を確認していく。

冒頭では余りにも突飛な物語の導入ね驚き、どうやってこの事件の結末を結ぶのか、スタークウェッダーとローラ・ウォリックの出会いがどの様に発展していくのか全く想像だに出来なかった。スタークウェッダーのキャラクターも不気味であるが人間味があり、中盤からは本当に一目惚れで無茶したのだなぁと笑ってしまう。中盤以降、登場人物が出揃い、物語の真相がわかってくるが、中盤から怒涛の展開が始まっていき、流石はクリスティと息を呑む構成だった。元々演劇用だと考えれば、起承転結がはっきりしていてわかりやすいわけだが、ミステリー、ロマンスを交え、どんでん返しに次ぐどんでん返しは最終的にとてもよく作用していたと思う。

終盤のとある出来事、それに付随するウォリック家の面々の行動の意味と結末、悲劇は本の厚さからは想像出来ない様なボリュームのあるドラマを与えてくれるが、一方で警察官が余りにも魅力がない事が残念であり、癖のある警官が実は切れ者パターンも盛り込んで山盛りな仕様でも今作は楽しかっただろう。そして事件の全貌が見えて来ると、冒頭からの解釈が一変してしまい、今作の本当の悲劇が見えて来る。とある重要人物が名前だけで作中に登場しない理由に深い意味があり、衝撃的だった。

◯ネタバレになるが、看護婦が登場しているとある人物の偽装があっという間に明るみに出てしまう。

やはりクリスティは面白い。戯曲は数冊読んでいるがどれも魅力的な物語なので、是非小説に焼き直してほしい。

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2025年04月08日

Posted by ブクログ

適度な緊張感があって一気に読みました。
細かい描写にリアル感あって、最後に驚かされ終わり方が良かった。面白かった。

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2025年07月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

霧の中、屋敷に来た「招かれざる客」が見たのは——。

ほらやっぱりマイケルの復讐だった! ミステリを読み慣れていると途中で気付いてしまうけど、だからといってこの作品の価値は下がらない。登場人物は皆お互いに何かを隠していたり考えていたりする。銃を持って逃げたジャンを追いかけるところの緊迫感もよい。そしてマイケルが罪を告白したように見えるラストも、彼が真犯人と断定されたシーンではないということ。あくまで可能性のひとつだということもギリギリできるのでは。クリスティーの面白さが存分に味わえるし、劇で見てみたいと思う。

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2025年03月02日

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