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初めてのミスマープルもの。
ポアロよりマープルのがキャラとしては好きかも!
ヒロインのグエンダが「いままで一度も訪れたことのない国の、一度も来たことのない家」を買って、張りたいと思い描いた壁紙と全く同じものがそこに張ってあるのを見つけるシーンが、なんとも言えず不可解で最高の導入。殺人を見る夢も不気味でよい。
クリスティー作品の、これから素敵な謎が展開していくぞ、とわくわくさせる始まり方、好き!
解説が恩田陸さんなのも得した気分。
「ふとした瞬間に、ざわざわとした胸騒ぎを覚える小説」「ゆったりとした、語られぬ部分を余白として感じられる小説」まさに!
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解説(奥田睦氏)が共感、言い得て妙。“冬休みの午後、炬燵に入り、緑茶をすすり、マクビティの胚芽チョコレートビスケットを食べながら、クリスティーを読み耽る楽しみ”、そして“幸福な読書の象徴”…
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若妻のグエンダがイギリス南部に買った趣のある家。訪れるのは初めてのはずなのに、なぜか見覚えがある。
ある夜ミス・マープルと彼女の甥夫婦とともに観劇をしていたグエンダは、かつてその家で起きたと思われる殺人のシーンを唐突に思い出し、それと同時に幼少期にやはりこの家に住んでいたということを確信する。分別のあるマープルは、殺人事件の真相を暴くと意気込むグエンダ夫妻を諌めるものの、二人の好奇心を止めることはできない。経験則から知らない方がいいこともあると知っているマープルと、知らずにはおれない若い二人の対比がクリスティらしくて非常に良い。
結局はマープルも夫妻をサポートするため動き出す。グエンダ夫妻とマープルはそれぞれにかつての関係者たちを訪れ、殺害されたと思しき女性はヘレンという名のグエンダの継母だということが判明する。ヘレンはグエンダの父と離婚してどこか外国へ行ったと思われていたが、本当は殺されているのかもしれない。だとすると犯人は一体誰なのか。三人は「彼女の生涯における男たち」を辿っていく。
普通のフーダニットと異なり、そもそも殺人が本当に行われたのかということがスタートでありゴールでもある。
「若い男女を優しく見守る」スタンスは、ポアロにもマープルにも見られるクリスティの持ち味。
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出版社と著者の契約に基づき、クリスティの死後に出版されたミス・マープル・シリーズ最後の一冊。犯人探しの楽しみはもちろん、そこに描かれる時代がかった風景、冒頭のホラーにも似た展開、様々な性格の登場人物たち、そして控え目に大活躍するマープルと、マープルシリーズの魅力を詰め込んだ、まさに大団円にふさわしい一作。恩田陸の解説(というか随想)も良い。
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眠れる獅子を起こすと厄介な事になる。それは誰もが胸に留めるべき教訓なのだけど、本作で起こしてしまうのは殺人
誰も殺人と思わなかったワンシーンが一人の女性の回想により突如起き上がる。序盤は唐突に、そして話が進む毎にゆっくりと殺人犯の足音が忍び寄る様子にはクリスティーの熟練さがそこかしこに活きていると感じられるね
本作の他にも殺人と思われていなかった過去の事件が現代に殺人として蘇る事件はクリスティー作品には幾つか有るけれど、本作の場合はそもそも事件とすら思われておらず、被害者のヘレンは駆け落ちしたと殆どの者に信じられていた点が特徴
グエンダ自身もこれまでヘレンの事など欠片も覚えて居ないどころか、殺人現場に自分が居た事すら覚えて居なかった
なのにとある台詞を聞いた瞬間から彼女は眠れる殺人の存在を確信するわけだ
その導入はホラー感が有りつつも、幼少時の鮮烈な記憶が残っていたという納得感が有る為に読者にも眠れる殺人の存在を確信させるもの
本作を面白くしているのは殺人を思い出すグエンダの存在だけでなく、彼女と共に事件を探るジャイルズの存在が有ってこそだね
若い新婚夫婦が選んだ家は妻が昔住んでいた家でおまけに殺人が有ったらしい。それに興奮して余計な捜査を始める二人の様子はかなり危なっかしくて他のミステリならば被害者候補に成りかねないもの
だというのに、ジャイルズは意外な賢さを見せるし、グエンダも素晴らしい直感によって選ぶべき道を選んでいる
また、田舎のお婆ちゃん感たっぷりのマープルが二人を支えているものだから、尚更に事件だけじゃなく事件に接する主要人物も魅力的に感じられる作りになっている
本作の主題となる眠れる殺人はとあるポイントを過ぎるまで本当に殺人が有ったのかあやふやままに展開する。唯一頼りになるのはグエンダの曖昧な記憶だけ
だから関係者も時には読者でさえも「本当に殺人が有ったのか?」と疑いながら捜査は進んでいく
そのような展開だったからこそ、眠れる殺人が起き上がり過去に関係する人物に牙を向いた瞬間には恐怖すら感じられ、その恐怖の正体が解き明かされた瞬間には興奮を覚えずに居られない
本当に上手い構成になっている作品ですよ
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何となく「復讐の女神」と似たタイプかな?と思っていたら大当たりだった。家の庭に埋めていたのも一緒で怖〜…となった。しかしリード夫妻が無事で良かった。最後にマープルが助けてくれたのが嬉しい。マープル最終作まで読んでしまったので寂しい…。
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ミス・マープルを初めて読んだ。 ポワロとは違って、より人の心理に寄り添って解決する感じ。 突如思い出した、子どもの頃に見た殺人事件は、幻なのか?現実なのか? 出てくる人皆怪しく思えてきた(笑)
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やはり、外国の作品を読めたことが奇跡だと感じるほど読むのが大変だった。単純に慣れてないだけなのだけれど、、
登場人物を覚えてきた、中盤からは物語に入っていけて面白かった。人間模様の複雑さが読みにくい部分もあったが、同時に面白かった。
あと、途中途中これを訳している方がすごいなと感じた。
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回想の中の殺人
久しぶりに犯人あてに成功
ブランデーくらいでやっと怪しみ始められたが
ミス・マープル初めて読んだけどこれが最後の事件らしい
信用しやすい人間の目を通して事件が描かれると全く違ったものになってしまう
恩田陸が解説なのもよかった
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アガサ・クリスティの中でも、クリスティらしい作品だと思います。
まず、この設定を思いつくのがすごいと再読にもかかわらず、脱帽。記憶の中の、過去の犯罪。
クリスティは、他にもいろいろ有名な作品がありますが、この作品は落ち着きもあり、また凝った構成、恐怖感情だったり、この1作品で多くの感情が詰まっており、とても面白く読めました。読み終えたあと、なんとも言えないような胸が締め付けられました。
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記憶もないほど幼い頃に過ごした海辺の快適な家、おぼろげながら幸福な印象にそぐわない惨劇の場面…曖昧な中から浮かび上がる明暗のコントラストが魅力的。オカルト的な要素は珍しいけど、心地よさと怖さを結びつけるところがまさにアガサ。クレプスキュールレーベルのfrom Brussels with loveというアルバムに入っていたHelen’s songというきれいだけど背筋が寒くなるような曲を思い出した。謎解きは定番的なため、リリーが手紙を書く時点で死亡フラグ+相談相手=犯人確定。この犯行のトリックも読めた。テニスネットのエピソードで元の事件も確信。新たな死者が出たのは気の毒だけど、若い命を断たれ汚名を着せられたヘレンのためにはせめて真実が明らかになってよかった。復讐の女神と同じ話で、今の時代ジェンダー問題になるけど、こういう事件は犯人が男性ならしっくりくる(女性ならライバルを襲う)。ミス・マープルはおとり捜査が好きみたいだけど、動く指のミーガンの時みたいに事前調整してあげたほうが良かったと思う…ウォルター・フェーンの家に死人がいる気がすると言うグレンダの直感はガセだったのか、「マギンティ夫人は死んだ」のアリアドニ・オリヴァ的なオチはなかった。
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ミス・マープルもの。
結婚を機にイングランドへ移住し、新居を探していたグエンダは、初めて見るはずの家の内部に既視感を抱きます。さらに後日見た芝居のある場面からその家で起こった恐ろしい記憶が浮かんできて・・。
グエンダの夫のいとこがミス・マープルの甥夫婦だったという事もあり、この“回想の中の殺人”の解明にミス・マープルも手助けすることになります。
封印された記憶に眠る殺人が掘り返される過程で、グエンダの継母の人生と関わった男性たちが浮かび上がってきて、皆怪しいような怪しくないような・・。
真犯人については、そのトリックにまんまと目くらましされて、解った時は“あんただったのか!”と、我ながらクリスティーの“いい客”です。
本書はミス・マープルの最後の事件という位置づけになっている事もあり、これにて私も“ミス・マープルものコンプリート”と相成りました。
ミス・マープルものの良さは、トリックだけに走らず愛憎劇的な人間ドラマがある点で、しかも変にドロドロした感じもなく、古き良き英国の雰囲気を味わいながら楽しめるのが好きでした。
ところで、解説の恩田陸さんが、“冬に炬燵に入り、マクビティの胚芽チョコレートビスケットを食べながらクリスティーを読み耽る愉しみ”と書いておられましたが、もう激しく同意します。本当、クリスティーとマクビティのビスケットは至福の組み合わせですよね!
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なにを置いても、冒頭部分で若い妻グエンダが初めて来るはずの新居について詳しすぎることに気づき始め、回想の殺人を思い出すまでの描写が圧巻。テンポよく、必要な情報を含みながら、予感が確信に変わるスリルが味わえた。
若い夫婦を心配して色々と手を回すミスマープルの優しさが読んでいて嬉しかった。
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ついに最後の巻…
最後と思うとさみしくなって、読み終わるのがもったいないような、でも続きが気になるし…と、結局どんどん読んでしまった…(。-_-。)
少しずつ蘇る記憶をたどっていくが、ミスマープルシリーズで初めて(!)犯人が当たっていた☆
もっと続きが読みたいけど、これで終わりなのが本当に残念。
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ミス・マープル最後の事件ということで、寂しく思いながらも楽しく読ませて頂きました。クリスティーの作品は、推理小説としての良さはさることながら、異国情緒をたっぷりと感じることが出来るところがとても好きです。イギリスに行きたいなあ。
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マープルシリーズの最終作品(カリブ海関連の三作品よりも後)
恩田陸さんの解説にある「セピア色の殺人」とはいいえて妙だと思った。
作中で起きる殺人事件は一件のみで、メインは19年前の殺人事件。
段々と真相に近づいていく過程が面白い。
事件の発端から解決までの一連の流れに無駄がなく、飽きることなく読めた。
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クリスティーは何回読んでも面白い
ポアロも大好きですが、地味なミス・マープルの方がもっと好きです
そしてミス・マープルと古き良き時代というか、英国の上流階級の雰囲気がとてもあってて、いつ読んでもその世界に浸ってしまいます
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初のミス・マープルだったのに、引退試合だったことにショック。
この作品はスリルとか興奮とか、ミステリーに求められているよくある要素はほとんどなかったのですが、過去を掘り下げながらそれぞれの人物像を明らかにしていく様子がとてもリアルで、靄がすこしずつ晴れていく感覚が快感でした。
解説の恩田陸が「クリスティはセピア色」と表現していて、妙に納得してしまいました。
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ニュージーランドからイングランドにやって来た新妻グエンダ。イングランドで家を見つけ改装を始めるがイングランドに来たことがないはずが家に関する記憶が蘇り始める。記憶にあらわれる遺体。ヘレンと言う名前。夫ジャイルズと調査を始める。実はイングランドで住んでいた事があったグエンダ。南アフリカからイングランドへの帰国中にヘレン・ケネディと再婚していた父親ケルヴィン・ハリデイ。グエンダの購入した家に住んでいた夫妻。ヘレンの兄ジェイムズ・ケネディが語るヘレンの駆け落ち。ヘレンは駆け落ちしたが自分がヘレンを殺したと主張し精神病院に入れられた末に自殺したハリデイ。男関係が派手だったヘレン。ヘレンから来た手紙。ミス・マープルの調査。
2009年12月16日購入
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春にして君を離れ でアガサクリスティおもしろい!となって読んでみた。
ぐいぐい読み進められる展開にわくわくしながらマープルと一緒に謎をかんがえていく楽しさ。これにつきる。
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ずいぶん久しぶりにクリスティーの長編を読んだ。単行本も持っているが、当時、ミス・マープル最後の事件として鳴り物入りで刊行された記憶がある。
長い間眠っていた事件が、ヒロイン役があることをきっかけに記憶を呼び起こしたために、関係者に波紋を広げ動き出す。そして新たな事件も……。
展開がスムーズで、とても読みやすい。犯人の見当は途中から大体ついたが、最後まで飽きさせず読ませるのは、さすがクリスティー。
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ニュージーランドから来た若妻、英国で購入した家に既視感、幼少期に遺体を見た記憶。彼女は駆け落ちしたと思われていた父の再婚相手であり、父は殺したという妄想とともに自殺していたことを知る。呼びかけに反応した彼女の兄は出奔後に手紙を受け取ったという。
最後の謎解き、意外な犯人、分かってみれば、様々な伏線が張られていたことに改めて気付く。懐かしの時代の正統派ミステリー。有名なタイトル、寝た子を起こすなだったのですね。
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初のミス・マープル作品。
過去に起きたであろう事件を掘り起こしていく展開がメインゆえ、血腥さが少なく、ミス・マープルの穏やかな人物設定のお陰か安心して読んでいられた。一方で、新婚夫婦の一途だけれど未熟な行動にハラハラさせられ気を揉む場面も。寝た子を起こすから新たな事件が生じ、余計なことをしなければいいのに、とミステリー読者にあるまじき考えが頭に浮かぶ。
良く言えば読みやすい作品、ただちょっとあっさり風味で物足りない。
Posted by ブクログ
ミス・マープルが活躍する最終作。クリスティーの死後に発刊されたが、執筆はポワロ最終作の「カーテン」と同様、1940年代に行われて親族に寄贈された。
【あらすじ】
イギリスへの移住のため、夫に先駆けてニュージーランドから到着したグエンダ。イメージ通りの邸宅が手に入り、意気揚々と内装工事に着手するが、何故か館に既視感を覚える。
そしてある夜、演劇のセリフをきっかけに、グエンダはその館でヘレンという女性が殺害された記憶を思い出す。
【感想】
回想の殺人が題材。グエンダとジャイルズ夫妻が捜査を進め、マープルは参謀役の立場をとる。前前作に位置する「復讐の女神」と類似性があるため、続けて読んだ人は謎解きし易いかもしれない。
ミス・マープルの活躍もこの作品で打ち止めとと思うと大変感慨深い。作品中の彼女はまだまだ活躍しそうなのだが…短編集は未読なので、そちらで彼女の活躍を楽しみたい。
Posted by ブクログ
読みながら、冒頭をドラマで見たことがあることを思い出した。
あれが、スリーピングマーダーだったとは。
クリスティの小説としては最後のこの一冊も、ついに読み終えてしまったけど、最後がマープルさんらしいマープルもので良かった。