あらすじ
考古学者と再婚したルイーズの元に死んだはずの先夫から脅迫状が舞い込んだ。さらにルイーズは寝室で奇怪な人物を見たと証言する。だが、それらは不可思議な殺人事件の序曲にすぎなかった……過去から襲いくる悪夢の正体をポアロは暴けるか? 中近東を舞台にした作品の最高傑作、新訳で登場
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Posted by ブクログ
ミス・マープルものを続けて読んでいたので、久しぶりのポアロもの。舞台はメソポタミア遺跡の発掘現場。ポアロの強さ、鋭さ。旅が舞台だと、ポアロの活躍がより活かされていいですね。これも名作。
Posted by ブクログ
有名な名探偵ポアロシリーズの一つ。
以前「そして誰もいなくなった」を読んだことがあり、他にもアガサクリスティの小説を読んでみたいと思い、タイトル買いをした一冊。
読み進めていくうちに引き込まれていき、誰が犯人で何の目的のために、という思いが抜けなかった。
最後までとても読みやすく、話の流れもとても理解がしやすかった。
他のシリーズも読んでみたいと思う。
Posted by ブクログ
時折垣間見える中東の景色や発掘現場の様子などの描写は活き活きとして、目に浮かび上がってくるようでした。
ただ、中東の描写や発掘現場の描写が盛りだくさんというわけではないのでご注意を。
事件が起きた場所が、発掘チームだったという程度で思っていた方が楽しめそうです。
今作、ルイーズという美人がかき乱す人間模様が描かれた作品。
ルイーズの人となりの把握から始まり、周りの人物がルイーズにどんな感情を持っているのか?から犯人と動機をあぶりだしていきます。
登場人物それぞれのルイーズに対する捉え方、抱いている感情の書き分けが素晴らしくゾッとする。
アガサ・クリスティー作品の中でライトに読めて、うまみを感じられる作品じゃないかと思います。
Posted by ブクログ
多分、今、私の灰色の脳みそは“ポアロ”色に染まっている。
事件に関わった看護師の手記という書き方のためか、ポアロの容姿などがこと細かく描写されている。
そのためか、NHKドラマで観たスーシエの演じるポアロは、ほんとにそっくり(まるでドラマが先にあったよう)。
この、新訳シリーズは文字が大きく(眼に優しく)カバーもステキで、楽しく読める。
イラクの照つく大地とジリジリするような人間関係を、冷房の効いた部屋で没頭して読んでました。
この後、ポアロはオリエント急行で帰るそうです……ということは?アレですか?
Posted by ブクログ
絶対に全員を平等に疑おうと決めてかかっていたのに、犯人の予想をまったく付けられなかったので大分びっくりした。なんだったら語り手がポアロではないので疑わしい、という先入観に邪魔されていたかもしれない。それでも、作中の女性たちが口々に言う『ミセス・レイドナーはろくでもない』説を、そういうタイプには見えない…と半信半疑でいたら、正しくはそういう空気のせいだったというどんでん返しがあり、クリスティの真実に対しての着眼点が相変わらず凄くて、震え上がった。
Posted by ブクログ
エルキュール・ポアロの作品でメソポタミヤが舞台になっていました!
考古科学者と再婚したルイーズの元に死んだはずの先夫から脅迫状が届いて、ルイーズは奇妙な人物を見たと周囲に言って、、、というハラハラドキドキのサスペンス物語です!
ぜひ読んでみてください!
面白かった
あざやかな謎解きでした。
そして、読み終わったあとに第一章を読み返すとゾワッとします。
本筋とは関係ないが
「人生は戦場なんです」
というセリフにハッとした。
本当にそのとおりだと思う。
Posted by ブクログ
最初、夫が怪しい!と思っていたのに、「夫は本当に妻を愛していた」と何度も書かれて「そうなのかぁ」と思わされてしまった。いや、確かにそうなのだけれどそれが動機だとは。元夫の弟が、兄を失ったショックでからだの成長が止まり、アラブ人の子供として働いてるんだ!とまで考えが飛躍したのに。
日本語訳、文章を書き慣れていない女性の手記のナチュラルさが出ていてとてもよかった。
Posted by ブクログ
ポアロシリーズの中では好きな部類。
凄惨な事件ながらも、中東の異国情緒あふれる雰囲気が、読んでいる間もなんとなく心を温めてくれた。
犯人とトリックに関しては多少「うーん?」と思うところもなくはないが、それでも最後の犯人の自供のセリフは悲しくて不気味で心に残った。
ミスレザランの目線で進むところもよかった。ヘイスティングスとは違う物言いや目の付け所を書き分けるところ、さすがアガサ・クリスティ。女性ならではのものの見方が繊細に表されていて秀逸。
名作オリエント急行と時系列で繋がっているところも、さすがは殺人事件磁石のポアロさんだなぁと笑ってしまった。
また読み返したい一作。
Posted by ブクログ
この犯人は思いもよらなかった!
いつもながらミスリードに翻弄され、鮮やかな種明かしに驚かされたものの、みなさん言ってるように、よく考えたらそんなわけあるか!?笑
ただ「ビスミラーヒ・アル・ラーマン・アル・ラヒーム」とアラビア語で始まる推理は非常にかっこいい。
Posted by ブクログ
発掘調査中に起きた殺人事件。レイドナー夫人が頭を殴られて殺された所から始まりました。ポアロが屋上に上がった時に殺人のトリックが分かったのは凄いなと思いました。男女のもつれが悲劇を生んだ話でしたが、この後でオリエント急行殺人事件に出会うなんてまるで名探偵コナン並みだなと思いました。
Posted by ブクログ
この手の類いはだいたい見破れない。
そしてアガサ・クリスティの描く女性とその関係はリアルで魅入られてしまう。女をよく見るよなぁ、、と感心してしまった。
Posted by ブクログ
その人だけは絶対にないと頭の中で外してた。思い返してみると色々伏線張られてた...トリックより殺人までの下準備が恐ろしい。
派遣された看護師視点の作品で、読者と同じ目線で話が進んでいくのが新鮮だった。「殺人は癖になる」いうポアロの言葉が印象的。
Posted by ブクログ
前回読んだのが思い出せないぐらい久しぶりに、クリスティーを読みました。ミステリーとは斯くあるものだと言わんばかりの女王による王道なお話でした。たまにはいいです。
Posted by ブクログ
ポワロの解説が核心に迫るまで真相に気がつけなかった…!その場にいるかのようにだんだんと背筋がゾッとしていく感覚になった。古代文明の発掘現場と魅惑の女性の組み合わせだから、全体的にロマンチックな雰囲気だった。
Posted by ブクログ
イラクで遺跡を発掘している調査団長のエリック・レイドナーの妻ルイーズが精神的に不調を抱えているため、看護婦のエイミー・レザランがルイーズのサポートをするためテル・ヤリミアの現場に赴くが、ルイーズが何者かに殺されてしまう。
外部から人が入りづらいので、遺跡調査団のメンバーの中に犯人がいるらしい。。。
そして、調査団は昨年までは和気あいあいとしていたが、この年からはメンバーが入れ替わったせいなのか、ギクシャクとしてよそよそしい雰囲気が漂っている。
うーん。この感じが何とも言えないサスペンスを感じさせてくれる。
もちろん、ポワロが登場して事件を解決してさすがポワロとなるのだけど、殺されたルイーズの性格設定の重要さがよく考えられているなと思いました。(ツッコミどころは目を瞑ります。)
でもルイーズは哀れだなぁ(美人だからなおさらか)
Posted by ブクログ
アガサクリスティの作品は本当にどれも面白い。
この「メソポタミアの殺人」は、他の有名タイトルに比べるとワクワクドキドキ感は少ないけれど、抜群の読みやすさと程よい謎解き加減がちょうどよかった。
新訳版についている解説もとっても良かった。
たまにひどい解説がついていてゲンナリすることもあったのでその点もかなり嬉しいポイント。
Posted by ブクログ
1936年の作品。
エルキュールポアロシリーズ長編12巻。
あらすじ
イラクのアッシリアの遺跡調査団を率いるレイドナー博士は、美貌の妻、ルイーズの付き添いとして看護婦のミス・レザランを雇う。ルイーズはとても美しく聡明な女性だったが、亡くなった前夫のフレデリックボスナーから「他の男と結婚したら殺す」と脅迫状が何度も届いたことで常に怯えていた。
果たして、ミスレザランが雇われてまもなくルイーズは何者かに殺されてしまう。たまたまバグダッドに旅行中だったエルキュールポアロはこの事件の捜査を依頼される。犯人と思われるのは、ルイーズの亡くなったはずの夫フレデリックボスナーと、その弟のウィリアム。そのどちらかが調査団に紛れ込んでいると見て捜査を始めるが…。
感想
今から90年前の遺跡調査団の様子が伝わってきて、異国情緒溢れる作品です。
が、、肝心の殺人事件に関しては…自信満々のポアロに思わず「そんなわけあるかーい!」とつっこんでしまった。
クリスティ作品はどれも大好きですが、たまにそんなバナナなオチ?のものもありますね笑。
看護婦さんが語り手となってるのも珍しい。もしやアクロイド殺しパターン?!と思ったら違った。いつも助手をコケにしまくるポアロですが、女性相手だから優しめな感じがします。
Posted by ブクログ
久々のクリスティー!
本書はなんといっても、看護婦ミス・レザランの手記で語られるのが特徴。
やはりクリスティー作品に出てくる、職業意識の高いご婦人は頼もしいですね。彼女目線の”ポアロ描写”にもくすっと笑ってしまいました。
『ナイルに死す』と同じく、中東の世界観たっぷりな今作。
生涯の伴侶となったマックス・マローワンと共にこの地を訪れたクリスティーには、どんな風にこの景色が映っていたのか……とレザランの手記を通して想像できます。余談ですが、ポアロさんはこの事件の後にオリエント急行に乗って”あの事件”に遭遇するそう。うーん、コ○ン君(笑)。
登場人物が多いのはいつものことですが、今回は職業も国籍もバラバラということで当初はなかなか苦戦しましたが、物語も半分くらいまで進むとしっかりキャラクターの輪郭が濃くなっていくのがさすがのクリスティー。
そして、妄想としか思えなかった犯人も、シンプルながらしっくりくる謎解きに十分納得でした。
こちらはまだドラマ版が未鑑賞なので、「松明を持って湿地から姿を現わし、男を惑わす妖精」と評されるルイーズがどんなふうに描かれているのか、観るのが楽しみです。
Posted by ブクログ
ポアロシリーズ12作目。1936年の作品。
テル・ヤリミア遺跡調査団宿舎の間取り図が出てきたところで、前に読んだことがあると気がつきました。そのあとで犯人も思い出しだので伏線とミスリードを確認しながら読んだのですが、これがなかなか楽しかった。
アガサ・クリスティーはやっぱり犯人がわかっててもおもしろいなあ。
遺跡発掘現場が舞台で、考古学者と再婚した美しきミセス・レイドナーが調査団たちに巻き起こす不協和音が事件の発端となるというのが、設定からして皮肉めいています。
アガサ・クリスティーが考古学者と再婚したのが1930年。とうぜん、彼の発掘調査に同行したこともあるでしょうし、その時に現場で敬われると同時に邪魔者扱いされたこともあったのかもしれません。
発掘現場である中東を美化していないところもいいです。
(15ページ)
でも、バグダッドの不潔さと混乱ぶりは信じられないくらい。『千夜一夜物語』から想像されるようなロマンチックなものなんてどこにもない。
(76ページ)
本当にがっかりだった。発掘現場は土と泥の山で、大理石もなければ、黄金もない。美しいといえるようなものは何もない。これなら、クリックルウッドにある叔母の家のほうが、まだ見栄えのする遺跡になるはず。
90年近く前の作品で、イギリスの上流階級の人々を中心とした登場人物といった違いはあるものの、ミセス・レイドナーをめぐる女性たちの嫉妬と羨望の視線は現代にもあるあるな感じで、こういうところがアガサ・クリスティーの普遍性だなと思います。
性格の悪さを隠そうとしないシーラが特に好き。
(221ページ)
「死んだひとの悪口を言っちゃいけないというけれど、それはちがうとわたしは思うの。事実はあくまで事実よ。言っちゃいけないのは、むしろ生きてるひとの悪口じゃないかしら。生きてるひとは傷つく。死んだひとは傷つかない。でも、死者がなした悪は死後も生きつづける。とかなんとか、シェークスピアも言ってるでしょ。」
クリスティーはいろんな出版社からいろんな訳が出てますが、どの訳でもいいなら、ハヤカワの旧装丁旧訳で満足なので、あえて新訳で読むというルールを自分に課していて、今回は2020年出版の新訳版を選んでいます。
旧訳と比較はできませんが、固有名詞が解説もなく結構でてきます。
「P・G・ウッドハウスの小説」とは美智子皇后が言及したことで日本でもちょっとブームになった『ジーヴス』シリーズあたりですね。
「セイリー・ギャンプ」はディケンズの『マーティン・チャズルウィット』に出てくる看護婦。wikiの訳ではセアラ・ギャンプ。
「イアーゴー」は有名だけどシェークスピアの『オセロ』の登場人物。
ミセス・レイドナーの本棚のタイトルも調べてみました。
『相対性理論序説』はベルグマン著。
『ヘスター・スタノップの生涯』
日本語訳だと法政大学出版の『オリエント漂泊
ヘスター・スタノップの生涯』が見つかりました。
『思想の達しえるかぎり』はバーナード・ショーの作品。
『リンダ・コンドン』も実在の小説のようです。
『クリュー列車』は日本語訳が見つからず。
どれもなかなか難しそうな本ですが、すらすらと説明しているポアロは読んだのか。
ミスター・エモットとの会話で『雪の女王』が出てきますが、カイ少年のことはおぼえていてもゲルダを忘れてるのが驚き。ゲルダ、主人公なんですけど!
(こういう視点で見ると雪の女王とカイ少年の関係って未成年誘拐みたいなもので結構ヤバい。)
(278ページ)
「子供のころ読んだ北欧の童話で、雪の女王とカイ少年が出てくる話があります。ミセス・レイドナーはその雪の女王です。いつもカイ少年を連れて歩いていました」
「ええ。ハンス・アンデルセンの童話ですな。たしか少女も出てきたはずです。ゲルダでしたっけ」
あと、「ヴァン・アルディン」は『青列車の秘密』に登場する大富豪「ヴァン・オールディン」のこと。
(137ページ)
「エルキュール・ポアロという人物をご存じでしょうか、博士」
「ええ、聞いたことはあります。ヴァン・アルディンという人物が高く評価していました。たしか私立探偵でしたね」
「人生は戦場なんです。ピクニックじゃない。」とか名言も多い。
(206ページ)
「わたしもよく冗談を言って笑います、マドモアゼル。でも、冗談ではすまないこともあります。わたしは仕事で多くのことを学んできました。そのなかでもっとも恐ろしいのは、殺人は癖になるということです」
以下、引用。
35
駅に着き、プラットホームにおりたって、まわりを見まわしていると、ひとりの青年が近づいてきた。顔はまん丸で、頬っぺは真っ赤。P・G・ウッドハウスの小説の登場人物のようだ。
41
パーティー会場で全部の男性からダンスを申し込まれないと気がすまないひとを、わたしはこれまで何人も見てきた。
48
「お待たせしました、みなさん。セイリー・ギャンプのお見えですよ」と、コールマンはディケンズの小説に出てくる看護婦の名前を出して言った。
59
部屋はきれいで、家具は簡素だけど、ベッド、整理だんす、洗面スタンド、椅子など、一通りのものは揃っている。
「お湯は朝とお昼と夕食のまえに持ってきてくれます。それ以外の時間なら、廊下に出て、手を叩き、使用人が来たら、こう言うのよ。ジブ・マイハール。覚えられる?」
68
〝ドナルドが(アーサーでも誰でもいいが)いまも生きていたら〟という言い方をする者は多い。でも、もし本当に生きていたとしたら、ごくありきたりの太った、気むずかしい、ロマンチックなところなどかけらもない中年男になっているにちがいない。
76
本当にがっかりだった。発掘現場は土と泥の山で、大理石もなければ、黄金もない。美しいといえるようなものは何もない。これなら、クリックルウッドにある叔母の家のほうが、まだ見栄えのする遺跡になるはず。
137
「エルキュール・ポアロという人物をご存じでしょうか、博士」
「ええ、聞いたことはあります。ヴァン・アルディンという人物が高く評価していました。たしか私立探偵でしたね」
142
「あなたはわたしを見くびっていますね、お嬢さん(マ・スール)。プティングの味は食べたらわかる、といいますぞ」
〝プティングの味は食べてみないとわからない〟、という諺のつもりだろう。
172
ポアロは手紙を受けとると、注意深く目を通しはじめた。指紋をとるための粉末を振りかけるでもなく、顕微鏡を持ちだすでもないので、少しがっかりしたが、考えてみれば、お年もお年なので、新しいものにはついていけないのかもしれない。普通に見て、読んでいるだけだ。
187
コールマンの立ち居振るまいは、血のかよった生身の若者のものというより、P・G・ウッドハウスの小説のなかの滑稽な登場人物のもののように思える。
206
「わたしもよく冗談を言って笑います、マドモアゼル。でも、冗談ではすまないこともあります。わたしは仕事で多くのことを学んできました。そのなかでもっとも恐ろしいのは、殺人は癖になるということです」
209
ポアロは紅茶に角砂糖を五つ入れて、スプーンでゆっくり掻きまわした。
221
「死んだひとの悪口を言っちゃいけないというけれど、それはちがうとわたしは思うの。事実はあくまで事実よ。言っちゃいけないのは、むしろ生きてるひとの悪口じゃないかしら。生きてるひとは傷つく。死んだひとは傷つかない。でも、死者がなした悪は死後も生きつづける。とかなんとか、シェークスピアも言ってるでしょ。」
222
「いわば女性版のイアーゴーといったところよ。あのひとにはドラマが必要だった。でも、自分が舞台に立つことはなかった。いつも裏で糸をひき、それを眺めて楽しんでいただけ。」
230
大人の男は子供のように保護され、守られているわけじゃない。ときには性悪女に出くわすこともある。あちこちでいろいろな女性と出会うはずです。スパニエル犬のように忠実な女性もいれば、〝死ぬまであなたのもの〟と誓う情の深い女性や、おせっかいで口やかましい鳥のような女性もいるでしょう。人生は戦場なんです。ピクニックじゃない。
278
「子供のころ読んだ北欧の童話で、雪の女王とカイ少年が出てくる話があります。ミセス・レイドナーはその雪の女王です。いつもカイ少年を連れて歩いていました」
「ええ。ハンス・アンデルセンの童話ですな。たしか少女も出てきたはずです。ゲルダでしたっけ」
344
それは本棚に並んでいた本のタイトルを見てもあきらかです。
『ギリシア人とは何者なのか』、『相対性理論序説』、『ヘスター・スタノップの生涯』、『クリュー列車』、『思想の達しえるかぎり』、『リンダ・コンドン』等々。
そこからわかるのは、第一にミセス・レイドナーが現代科学と文化に大きな関心を持っていたということ。つまり、それだけ知的な女性であったということです。『リンダ・コンドン』や『クリュー列車』という小説を読んでいたということは、男に束縛されない、自立した女性に共感を寄せていたということでしょう。レディ・ヘスター・スタノップにはその人間性に魅せられていたにちがいありません。『リンダ・コンドン』は女性による女性の賛美の書であり、『クリュー列車』の主人公は情熱的な個人主義者です。『思想の達しえるかぎり』は、感情的にではなく知的に生きよと説いています。
Posted by ブクログ
【ポアロ】
語り手が看護師なのが新鮮で良い。
考古学者夫人の心身に不安があるとのことで、看護師エイミーは夫人の付き添いを依頼される。
でもみんな何かを隠していておかしい…。
それが何なのか先が気になり、人間ドラマも丁寧で面白い。
ポアロの「殺人は癖になる」という言葉が怖かった。
ツッコミどころはあったけど、ストーリーと異国情緒な雰囲気が好きだったので気にしないことにしよう(^_^;)
オリエント急行の事件は、このメソポタミアの帰り道だったとは!ポアロの灰色の脳細胞はなかなか休めない。
★3.5
Audibleにて。
これでAudibleのポアロとノンシリーズは全部聴いてしまった(TOT)
Audibleのクリスティー作品は、ナレーターさんの演じ分けが上手で、過剰な演技もないので物語に入り込みやすくて本当に楽しかった!
これからAudibleにもっとクリスティー作品が増えると良いなぁ。(7月23日に『もの言えぬ証人』が配信スタート予定)←でも紙の本で読んでしまった(T_T)
紙ではまだまだポアロを読むけど、Audibleではマープルへ!
ミス・マープルは田舎の噂好きのおばあさんのイメージにどうしても興味が持てず、1冊も読んでこなかった。
ミス・マープルとポアロはどう違うのか?
違いも楽しみ(•‿•)
Posted by ブクログ
ポアロ作品♡
女史の作品はどれもそうだけど、登場人物に愛着が湧いちゃう。
そしてこの作品は手記形式なのがまた良かった!
殺人が起きているので不謹慎だけど、なんかロマンティックでムードが良い不思議。
Posted by ブクログ
ポアロシリーズ12作め。
遺跡発掘チームに起こる殺人事件の話だった。
犯人の正体はわりと想像ついたけど、まさか過去のあの事件とつながっていたとは。
「ナイルに死す」と同様に異国情緒あふれる作品だった。
いいね、ミステリーは。こういう古き良きミステリー小説を読んでいる時が、一番心穏やかでいられる気がする。誰にも邪魔されないのだ。
Posted by ブクログ
ミステリーなのに犯人が誰であるかよりも、この物語の世界を楽しむために読んでしまう。
相変わらずロマンティックだな。
再婚したルイーズの元に届いたのは、死んだはずの先夫からの脅迫状。
怯える彼女以外は誰もまともに取り合わなかったが、その文面通りに事件は起きてしまう。
Posted by ブクログ
犯人は最後まで全く分からず。騙された感は楽しめた。
でも、いくら時間が経ち、変装していたとしても、前の夫と今の夫が同一人物だったら妻ならば分かるんでないの?
もうひとつ言うと、一つ目のトリックが少々物理的過ぎるかなあ。あの状況で鉄格子から頭出すかな。。
と、ツッコミどころはあるけど、面白いです。
Posted by ブクログ
ポアロ作品。
メソポタミアの発掘現場で起こる殺人事件で、何故メソポタミアなのかというと、クリスティ本人の再婚事情にあるらしい。
当然悪くないのだが、他作品と比較しても解決はちょっとあっさりめであった印象。
Posted by ブクログ
殺人の過去を再現せよ。
妻の様子を見てほしいとドクター・ライリーを通じて考古学者に依頼され、看護師のレザランはバグダットに向かった。不思議な魅力を持つルイーズ・レイドナーは不安定な様子を見せ、周囲の空気も何かピリピリとしている。ルイーズが昔の夫からの脅迫状に怯えていることをレザランは知ったが、その後ルイーズは殺されてしまう。犯人は死んだはずの昔の夫なのか?
ドクターに頼まれてレザランが書いた手記という形で表された作品。『アクロイド殺し』を知っていると警戒してしまうが、そんな警戒心もあっけらかんとした書き出しで解けてしまう。バグダットへの第一印象と心の変化。遺跡発掘への無関心と調査団や現地で出会う人への好奇心と鋭い批判。小気味良い語り口で次々とページをめくらせる。
込み入った話かと思いきや、解決してしまえば人間関係は単純に近い。正直この人は登場しなくても話まとまったなという人も。それでも大勢の人間が集まる異国の風景はそれだけで何か起こる予感を備えている。バグダットの気候はよくわからないけど、熱い日差しと乾いた空気にクラクラして、何かが起きそうな。
レザランのキャラクター気に入ったので、この人が語る物語を他にも読みたかったなと思った。