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Posted by ブクログ
クリスティ自身がベスト作に選出した一作。
探偵役不在のノンシリーズで、本格ミステリーというより、メアリ・ウェストマコット名義の『春にして君と離れ』のように、恋愛や結婚をテーマにした心理劇という印象が強い。
後半まで大きな事件は起こらず、不穏な空気とじわじわとした心理描写で物語が進む。展開はかなり地味ではある。
しかし、この作品のトリックは“あの作品”と骨子を同じくしている。そして本作は、その発展形であり、一つの到達点として読める。
本格ミステリーの色が薄いという見かけとは逆に、その緻密な構成には唸らずにはいられない。自身がベストに挙げたのも納得だった。
『春にして君と離れ』が好きなら読んで損はない。
この静かな圧倒感は他に代えがたい。
Posted by ブクログ
「信頼できない語り手」のタイプの小説。読みはじめてすぐに、これは自分が好きな小説だと分かった。
クリスティの小説のおすすめとしてよくタイトルを見かけていたが、期待以上だった。
まだクリスティの小説を読んだことがないというひとはぜひ読んでみて。
ところどころで、「ん?」と違和感がでてくるのだけど、すぐにもとの話の調子にもどってしまう。なんか変だぞと怪しみながらも、なにを意味しているのかよく分からないといったバランスになっている。
読みおわったあと、全ての事実を知った状態で、もういちど最初のページから読みなおしたくなった。
作中で事件や殺人も起こるので、犯人は誰なのか考えながら読んだ。最後に事実が明らかになるまでミスリードさせられっぱなしだったな。
表紙もお気に入り。読み初めてすぐと、読み終ってからとでは印象がまったく変わってくる。
あらすじ
マイクは呪われた土地と噂されている「ジプシーが丘」に建つ物件を見にきていた。
母子家庭で育ち、土地と仕事を転々としながら生きてきたマイクには、土地を買うだけの資金はなかった。
しかし、たまたま見かけた広告に運命を感じて物件を見にきていたのだった。
マイクとは対照的に、エリーは大富豪の娘として生まれ育った。
エリーは身内に内緒でこっそりと旅行していたときに、「ジプシーが丘」でマイクと出会う。
二人は惹かれ合い、やがて結婚し「ジプシーが丘」に素晴らしい家を建て、そこで暮らすようになるのだが……
Posted by ブクログ
【ノンシリーズ】
攻略本でベスト3位、クリスティー自身が選ぶベスト10の中にも入っている作品。
これはもう読むしかない。
ポアロは出てこない「ノンシリーズ長編」
◆あらすじ
呪われた「ジプシーが丘」。
貧しい青年は大富豪の娘と結婚し、呪いの噂のある屋敷で結婚生活をはじめるが…。
なかなか事件が起きないので、何のジャンルなのかさえわからないまま進む。
もしかしてこれは『春にして君を離れ』みたいな感じかな?と思ったら急展開。
そこからはすごいミステリーだった。面白い!
まさに「クリスティの総決算」だった。
読んだ後にもう一度最初の方から確かめたくなる。今までで1番怖かった。
Posted by ブクログ
大富豪の家の子エリーと駆け落ち同然の恋をして結婚した主人公マイクはジプシーが丘といういわくつきの土地に家を建てて二人で生活する。しかし結婚直後にエリーは不自然な死を迎え、多くの財産をマイクは手にする。エリーの友人で身の回りのことを全て担っていたグレタとマイクは実は昔から面識があり一連の事件を描いていたことが発覚。最後はマイクがグレタを締め殺して終わり。後半50ページから突然話の展開が進んであっという間に読み終わった。
母親も建築家サントニックスもマイクの魂胆をうっすら理解してはいたがマイクは彼らとは別の道を進み終わりなき夜へと向かってしまう。逆にエリーは朝ごと夜ごと甘やかな喜びに生まれつく人となりその対比が面白い。
Posted by ブクログ
アガサ・クリスティのノンシリーズ。
呪われていると噂が絶えない「ジプシーが丘」と呼ばれる土地に魅了された青年の物語。
本編の3分の2ぐらいは、絵に描いたような信じられない逆玉婚の描写が続く。そんなに上手いこといく??って思っていると、終盤で事件が起きて、そこから驚愕の展開に移り変わる。
クリスティが晩年に描かれた作品だけに、狂気に満ちた欲深い人間の描写には恐ろしいものを感じた。
そして、真相を知った上で読み返してみると、初読とは違った解釈ができる表現や構成が随所にあって、上手いなぁと感嘆させられる。
甘やかな喜びに生まれつく人と、終わりなき夜に生まれつく人。この対比のメッセージ性が印象深く、後悔とやるせなさを感じさせる読後感だった。
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