あらすじ
傲慢で美貌の愛妾ノフレトを連れて族長が帰ってきた。その日から一族のなかには反目や憎しみが。そしてノフレトが崖の小径から謎の転落死を遂げた。これで平和が戻ってくるかに思われたが――紀元前二千年のナイル河畔で起こった恐るべき惨劇! エジプトの古代都市を舞台に華麗な世界が展開する異色ミステリ。
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Posted by ブクログ
死ななかった時点で犯人はわかったので、あとは、ほんとにカメニと結婚するの?ホリがいいよホリが!とレニセンブの結婚が気になってしょうがなかった。
ホリでよかったけど、カメニかわいそう。でもすぐ誰か見つかるかな。
Posted by ブクログ
初めのうちは、どこの文化の話かよくわからなかった。
現代のイギリスの話でないことは分った。
昔の話なので、生活の実感がわかなかった。
家族の間の関係は、資産がある家だとこういうふうなんだろうなと想像はついた。
登場人物でアガサクリスティに近いのは、
インホテプの娘レニセンブと
インホテプの母エサかな思った。
「生きている妾と、死んだ妾では大違い」
といった、人生訓のような言葉があちこちに出てくる。
エジプト文化の人生訓なのか、
アガサクリスティの見聞きした人生訓なのははわかららなかった。
話の筋としては、へネットという召使の位置付けがよくわからなかった。
殺人者の正体も意外だった。
へネットの位置付けと殺人者の正体の2点を除けば、とても奥深い物語だと感じました。
エジプトへ行って,エジプト文化に触れてから再読したい。
Posted by ブクログ
古代エジプトを舞台にしたミステリ。墓守を生業とする一家の主が、若く美しい後妻を連れ帰ったその日から、平穏で穏やかな日常がもろくもくずれさり、隠されていた恐怖や憎しみが一家を覆い始めます。
性格の全く異なる3人の兄弟とそれぞれの妻、夫を亡くして実家へ戻った末娘、皮肉で辛辣な祖母と小心で傲岸な父、一家に仕える誠実な使用人、一家の間につねに不和の種をまこうとうかがう女召使、そして父の連れ帰った若い後妻・・・。かれらの繰り広げる心理劇が見どころです。
面白かった
面白かった。
かなりはっきりとしたヒントが示されていたのに
気づけなかった。
作者がうまいのか、私がヘボなのか。
まぁ両方か。
次に読む本こそは謎を解いて見せるぞ。
Posted by ブクログ
アガサ・クリスティー。ノンシリーズ。舞台は古代のエジプトだが、人間は変わらない。未亡人の主人公の父親が愛人を連れて戻ったとき、事態は動き出す。その家に住んでいる家長とその息子たち、またその奥さんたちや召使いの今まで見えていなかった性質があらわになる。その中には殺人者の性質をもつものがいる。
ミステリーというよりサスペンスよりの作品。
容疑者は少なく、次々と死んでいくので犯人当てはしやすい。しかし複雑なトリック等がなく、人間関係の妙だけで、ここまで読ませるのはクリスティは推理作家としてだけでなく純粋に小説家として技量が高い。
Posted by ブクログ
深堀骨氏による後書きが腹におちた。
いわくミステリとは人間関係の綾を描くものなのだと。
そう、そうなのよ、だから私は皆がくさそうとも、キャラの造形と配置が見事な『検視官』シリーズをいまだ愛読してるし(新刊出るんかいな…)、ディーヴァーといえど人が魅力に乏しい『エンドゲーム』はピンと来なかったのよ(いえ、ライムのシリーズなどは心から愛してます)!
古代エジプトの裕福な一家で起きる連続殺人事件を追う本作は、しょーじき、こう、サンドラ・ブラウンとか、ハーレクイン的なロマンチックミステリー仕立てなんだけど、妙に心を打つのは、さらりとした筆致ながら人々の欲望と愛情の描写がお見事だから。少女漫画にもありそうじゃん!って話だけど、重くも希望を感じされる読後感は、やっぱり天才の技だなあ
Posted by ブクログ
読み始めは、人物名が頭の中でまぜこぜになってしまい、誰が誰だかわからず、読み進めるのが難しかった。
軌道に乗ってしまえば、さすがアガサ・クリスティ!
イギリス人が書いたとは思えない内容だった。
ホリかっこいいですね。面白かったです。
Posted by ブクログ
クリスティ劇団に所属する名優たちが、それぞれの役をしっかりと熱演する良作。全てが型通りのため、ある程度犯人は読みやすく難易度も低めだが、予定調和的な心地良さがあるのも事実。エジプトという舞台に現代風のアレンジが加えられ、クリスティ作品を読む上での味変作品としても貴重な一作。
Posted by ブクログ
古代エジプトを部隊にしたお話。
数ヶ月に渡る長い期間の話が描かれているのが特徴。とは言え、その長い期間における人間の間の機微が事件に関わってくる的な点話で、要はいつものクリスティ。
事件が開始すぐに起こらないのは、前作「ゼロ時間へ」と似ているとも感じた。
Posted by ブクログ
古代エジプトでも連続殺人は起こる。
父親が若い愛妾を家に連れてきた。彼女の態度に家の者たちが反感を募らせる中、彼女は亡くなった。そして続く不幸。夫を亡くして実家に帰ってきていたレニセンブの運命はいかに。
いや古代エジプトの意味あったかな、と言ってはいけないのだろうけど、クリスティーがエジプトにハマっていたことは伝わる。しかし別に古代エジプトでなくてはいけない理由は特になかった。だからこそ普遍的なミステリは時代も場所も選ばないんだなぁと思う。多分実写化するならセットを組めばロンドンでも東京でも大丈夫な古代エジプト。
気の強い義姉、気の弱い兄、自尊心の強い兄、おっとり静かな義姉、我儘で自惚れ屋の弟、老獪な祖母、落ち着いた管理人、湿っぽく押し付けがましい召使い、若くて歌の上手い書記、一家の主人、性格の悪い愛妾。これだけキャラクターが揃っているだけでお腹いっぱいである。一人、また一人と死んでいくのはなかなかスリルがあり、最後にレニセンブに迫る害意もハラハラする。そして明かされる犯人。
確かに自分で毒を入れたなら飲む量を調節できる。ずっと低い評価をされてきた抑圧からの悪に染まってしまった心。探偵役が犯人に示す温情とレニセンブへの誠実さ。最後のロマンスも含めてクリスティーだなぁと満足。
Posted by ブクログ
ノンシリーズ。
紀元前二千年のエジプトが舞台という異色の設定ではありますが、良い意味で“いつものクリスティー”ともいえる、人間ドラマ&ミステリを楽しませて頂きました。
墓所守をしている一族の長・インホテプが、北方からノフレトという美貌の愛人を連れて帰ってきたことから一族内の空気が不穏なものに包まれていきます。
インホテプの娘・レニセンブの胸騒ぎも虚しく、ある日ノフレトが墜落死してしまい・・。
ノフレトVS一族の妻女達のバチバチの対立から、ノフレトの死を皮切りにしての連続不審死。
その真相は、殺人のトリック云々ではなくて“まさか、あの人が!?”という、“印象操作”的な目くらましで見事に騙されました。
そして、レニセンブの恋の行方は?誠実なホリかイケメンのカメニを選ぶのか・・というロマンスパートも注目です。
解説でも書かれていましたが、本当にクリスティーは“人間関係の綾”を描くのが上手いですよね。
個人的に、トリック一辺倒のミステリより“物語性重視”なので、私がクリスティーを殊更に好む理由がこれなんです。
と、いう訳で久々にクリスティーワールドを堪能させて頂きました。うん、これこれw。
Posted by ブクログ
古代エジプトの墓所守の家族内で起こる連続殺人事件。ポアロやマープルといったシリーズ探偵が登場しない歴史ミステリーで、作者としては異色の作品。
家長である父親、その子供の長男夫婦、次男夫婦、三男、夫を亡くして出戻りの長女、家長の年老いた母、雇われの管理人の男、古参の召使の女が主な登場人物。登場人物それぞれが個性的で、性格の違いによる書き分けが巧い。特に、家長の母親エサの慧眼ぶりと召使のへネットの嫌味な性格が印象的。
家業の墓所守や農地経営等で一族の生計を立ててきたが、父親が出張先から妾を連れて戻ってきたことで、微妙なバランスを保っていた家族内の関係に波乱が生じ、連続殺人へとつながっていく。
お互いの微妙な心理関係を織り込みながら進行していくストーリーは、なかなか読ませる。ヒロイン役の長女レニセンブがホリとカメニのどちらを選ぶのかというラブロマンスとしての興味もある。
犯人は1つだけトリックを使っているが、たいしたものではないし、読者が推理する要素はほとんどないので、ミステリーとしては平凡。
Posted by ブクログ
久々クリスティ。
犯人はそれほど難しくない。
家長が若い愛人を連れて帰って来てからの、
家族が崩壊していく様がおもしろく読める。
でもこれ舞台がイギリスの片田舎とかでも
あまり違和感がないなと思った。
Posted by ブクログ
クリスティらしい人間関係を誤認させるスタイルの推理小説だった。あとから読むとさもありなんという感じだし、構想や発想自体は現代から見ると余計にそう感じるがさほど真新しくもないけれど、一見何の問題もなさそうな登場人物たちの間に様々な葛藤があることがわかってくるのが面白い。そしてその葛藤は結末や真相に決定的な影響がないが無視できるものではない・・・というさじ加減が絶妙である。
これから読む方は随時出てくるセリフが強調されているあたりをよく確認しながら読み進めてほしい。
Posted by ブクログ
紀元前二千年の古代エジプトで、墓守一家に起きる連続殺人事件を描いたミステリ。
舞台は古代エジプトですが、クリスティーは当時のエジプトの生活や文化などを綿密に調べて書いたそうで、難なく作品世界に入ってゆけます。
現代を舞台にした他の作品と同じように、謎解きプラス人間ドラマとして楽しめました。
近代的な科学捜査の無い設定で、登場人物たちの行動や心理描写のみでミステリを創りあげるクリスティーの手腕はさすがだな~と思いました。