あらすじ
バルコニーからあやまって転落したと思われる患者に対し、病院の一室で尋問が行なわれた。その結果はまさに驚くべきものだった。瀕死の患者は突如殺人未遂を示唆したのだ。意外な結末までをサスペンスフルに描く「患者」ほか、表題作と「ねずみたち」をあわせ、一幕ものの傑作三篇収録した戯曲集。
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海浜の午後、患者、ねずみたち の三部作になっている。
海浜の午後では、以外なところで警察官が登場する。
煮え切らない若者は、最後には自立する方向で歩み始める。
時期がくれば、すべてが動き出すことを表現したかったのだろうか。
上演するとすれば、時間の流れを感じさせる音楽を背景に選びたい。
ps.
2010年の名古屋グランパスの開幕戦を観戦しに、豊田スタジアムに行ったときに、本を落としてしまいました。行き帰りの電車で読む為です。どなたか拾われた方はお送りいただけると幸いです。スタジアムには遺失物の連絡はしました。
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海辺の午後
クリスティの短編戯曲集
海辺の午後
昔から裕福な人達が過ごして来たビーチ。時代の流れで海辺を訪れる人達も様変わり。
古い時代の夫婦や家族が時間を過ごすビーチにビキニを着た非常識な美女が現れ男達を魅了、女達は反感を抱く(時代を感じる描写)。
一方、付近では盗難事件が発生、エメラルドなど高価な品物が盗まれてしまう。
古き時代を引きずりながらビーチで余暇を楽しむ人達と美女と警察のドタバタ劇。ミステリー的な要素は多く無いが、クリスティ得意の「オールドミス」が牛耳る家族(立場の弱い夫、束縛される息子)や若い二人の男女等、設定は面白い。
今の時代背景から見るとコメディの様に見えてしまうが、少なからず当時もそういった要素があった戯曲だとおもわれ、バランスが変わっても楽しく読める作品だ。いつの時代も若者は革新的で年寄りは保守的だと分からされる作品だ(笑)
患者
私立療養所の個室から始まり、とある屋敷へ。
ウィングフィールドの妻がバルコニーから転落し、意識が戻らない状態。家族は事故と捉えているが、警察が介入し真実を調査していく。
情事のもつれが原因と考えられるが、怪しい人物は数人おり、誰が犯人かを探る人間活劇。
正直、ありきたりな設定かもしれないが、最後まで誰が犯人か、そして最後、犯人が決定づけられてフォーカスされていく舞台の進め方がとても面白い。
クリスティでも良くある設定の様に思えるが、必ず何処かに驚きがあるのは彼女の短編作品にも共通している。犯人はこいつだろうと疑ってかかり、結局裏切られるのはいつもの事だ(笑)。
ねずみたち
サスペンスミステリ。クリスティによる恐怖ミステリの傑作だろう。密室に男女二人。体の関係もあり不倫関係にあるが、密室のなかで徐々に人間性が現れていく。最後、リドルミステリーの様な形になるが、結局はどういう事なのだろう。中編の一部分を切り取った様な作品で、できれば推理小説として読みたい一作だった。
作中に登場人物は五人しか出てこないのに圧倒的に面白く、謎が残ったまま、陰鬱な感じで終わっていくのも魅力的だ。
劇として進めていくとおそらくかなりシンプルになるだろうが、初めてどの様な舞台になるのか気になった。
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『海浜の午後』
海辺のビーチチェアに寝そべる人々。夫アーサーをほったらかして友人のボブと砂の城を創り遊ぶノーリーン。ジョージとクラム夫人の会話。息子を支配するガナー夫人。盗まれた首飾りの話。彼らの周囲を歩き回る謎の美女。首飾り盗難事件を捜査するフォーリー警部。
『患者』
何者かに突き落とされたウィンクフィールド夫人。精神的なショックから会話をすることができなくなった夫人。犯人を突き止めるための実験。瞬きによる会話。夫であるブライアンの浮気相手の正体。
『ねずみとり』
マイケル・トランスに誘われ彼の家にやってきたサンドラ。マイケルは旅行中で留守。家にいたジェニファー。誘い出されたことに気がつくサンドラ。同じく誘い出されたデイビッド。サンドラの元夫の死に不審を持つアレック。部屋から発見されたマイケルの遺体。仕掛けられた罠。
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キュートでスリリングな劇をどうぞ。
劇が3作品収められている。どれも小品ではあるが最後まで一気に読ませる。
「海浜の午後」海辺に集まった人々の中に強盗がいる? あっと驚く正体が判明するのが2段階になっているのがひねりどころ。息子を縛り付ける母などクリスティーあるあるキャラクターも見もの。
「患者」植物状態と思いきや、患者は意思を示せる。実験の結果、口封じに現れた犯人は。イニシャルなんかわからないので推理不可能かと思いきや、ちゃんと劇中に名前が出てました。
「ねずみたち」復讐の狂気。はたして警察は2人の弁解をどのように聞いただろう。
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【戯曲】
戯曲の短編集3作品。
ただでさえ短い戯曲なのに、233ページの中に3作品もある。サクッと読める。
短いのにひねりがあって、予想外の展開が楽しめる。
特に『患者』が面白かった。
舞台で観たらもっとドキドキして楽しめそう。
◆あらすじ
バルコニーから転落した後遺症で、口も聞けなくなった女性に医師がある実験をすると…
解説の柳原慧さんは、クリスティーで1番好きな作品は『ホロー荘の殺人』だと書いてあった。
私もちょうど前日に『ホロー荘〜』を読んでNo.1だとレビューしたので、タイミングが良くて驚いた。
『ホロー荘の殺人』は有名ではないし、そんなに1番に選ばれそうにない作品なのに、同じ気持ちの方に解説で出会えてすごく嬉しかった。
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海辺の午後
患者
ねずみたち の3編からなる戯曲集。
中でも面白かったのは『患者』
予想とは違ったラストにビックリ。人物の紹介の仕方も上手いなと思いました。
わがままを言うならば、戯曲集ではなくて、小説として読んでみたかったです。
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アガサ・クリスティーの戯曲三編。舞台をやるなら最後にどんでん返しがいいんだろうなと思ってたけど、『ねずみたち』は段々と追い込まれていく流れで、これはこれで見応えがありそうだと感じた。
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戯曲3編収録。
〇「海浜の午後」
読んでいると少し登場人物がワチャワチャしている感じがするが、おそらく舞台では人物の出入りがはっきりするので、あまり気にならないのだろう。
過保護の青年の恋愛話など全体にユーモラスなものにしようとしているのだろうが、ラストはあまりスッキリしない。
〇「患者」
転落して動くことも口をきくこともできなくなった患者。事故なのか、自らの意思で落ちたのか、それとも犯罪か。警察は医師の協力により、ある実験によってその真相を明らかにしようとする。
〇「ねずみたち」
何者かによりアパートの一室に誘い出された男女。誰が自分たちをここに呼んだのか、またその目的は何か。動機というか目的にはやや強引なところがあるが、追い詰められていくサスペンスが良くできていると思う。上手い役者が演じれば、観ていて面白いのではなかろうか。