【感想・ネタバレ】忘られぬ死のレビュー

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Posted by ブクログ

 今作は僕がまだ読んでいなかったクリスティ作品の一つ。改めてクリスティの独創的なアイデアに衝撃を受ける事になった。
 過去作の感想でも述べているが、クリスティ作品の魅力の一つは序盤の構成力であり、その作品から目が離せなくなる様な仕掛けがとにかく秀逸だ。面白い作品の殆どは序盤から面白いし、スタートがつまらなければ最後まで読み終える事はストレスになってしまう。
 今作では、主要な登場人物それぞれが過去に起きた美しいローズマリーの死を回想し、それぞれの目線で彼女との関係ややりとりを明かしていく手法をとる。この時点でローズマリーの自殺とされた「死」が疑惑の残るものだと読者に浸透させ、彼女の夫のジョージや妹のアイリスの回想や焦燥を経て新しい事件への一連へと繋がって行く。
 登場人物それぞれがローズマリーを思い出し回想しながらオムニバスの様に進行して行くストーリーは見事に尽きると思うし、更にはそれぞれの目線から事件ご語られる事により全員に感情移入してしまい、誰が犯人であればこの作品は綺麗に締められるのかと終盤まで気持ちが高揚してしまった(笑)。実は序盤からある程度の予測はしており、クリスティが好む犯人像とエンディングがある為、ある程度犯人の目星をつける事はできる。しかし、当然フーダニットの魅力は損なわれていないし、衝撃感もありながら楽しむ事が出来た。
 トリックについてはある程度納得できるものでありながらも、映像がない中で単純にそうなるかなぁという部分もあるが、駐車場で自車と同じ車を間違えてしまう事がよくある僕にとっては、この様なトリックに騙されるだろうなぁと納得してしまった。
 少し勿体ないのは、探偵役が唐突に現れる部分で、それぞれの登場人物達をもったいぶった挙句、とある人物が探偵としての役割を受け持ち始めた瞬間は流石に笑ってしまった(探偵役はある程度明かしていても良かったと思う)あくまでレイスはレイスであり、彼が探偵役では無い事は彼が登場する他シリーズからも読み取れる。最後、真相が明らかになった後、ハッピーエンドの側面と、バッドエンドの側面が上手に構成されていた為、個人的にとても満足感のある作品だ。
 特にルシーラとルースの役割が見事だと思う。クリスティは年老いた女性、働く有能な女性の描写が上手く、この二人には特別思いやりをもってしまう。その他、政治家のファラデー夫妻、ルシーラの息子であり問題児のヴィクター、バトルを彷彿とさせる主任警部のケンプ、そして登場人物一覧に名前が挙げられない人々もそれぞれ魅力があり、何故存在しているかの役割が見事に果たされている。

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2024年01月17日

Posted by ブクログ

全然犯人わからんかったな…と、読み終わって呆然とするような事件だった。クリスティーは絶妙に嫌味な人物と、こいつが怪しいのかもしれない…という不穏な空気を描くのがめちゃくちゃ上手いので、毎回きっちりと踊らされてしまう。悔しい、けど、その手腕があまりにも見事なので腹も立てられない。今回は特に、殺害方法すらもまったく予想がつかなかったのに、無事に解き明かされ犯人が暴かれた後、判明した動機で更にまた一回驚かされたので、本当に唖然とするしかない一作だった。

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2022年12月05日

Posted by ブクログ

『ささやく真実』を読んだので、美女、パーティーでの毒殺という共通項のあるこちらを再読。5年前に読んだけど見事に忘れていて、誰が犯人だっけとどきどきしながら読んだ(笑)。うん、やっぱりおもしろい。動機から言ったら、途中まではみんな犯人に思えてしまうほどで、ひょっとしてこれそういう話だっけ……なんてw ラストのさわやかさも見事。

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2016年12月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アガサクリスティの小説を80冊くらい読んでくると、
この話、前読んだことがあるような気がしてくる。

登場人物の類似性、
設定の類似性
地方の類似性、
職業の類似性、
時代の類似性
など、シリーズものでないものの方が、強く既見感を感じることがある。

本作品の既見感は、なぜかは、全巻読んだら考えてみたいと思いました。

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2011年08月14日

Posted by ブクログ

クリスティー作品で一番好きなのがコレ!
ロマンティック・ミステリーの最高峰です。私にとって。
名探偵が出てこないので謎解きシーンはありませんが
ヒロインが魅力的。
同じプロットの短編(黄色いアイリス)にはポアロが登場します。

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2010年10月22日

Posted by ブクログ

ミステリーを久しぶりに読みました。アガサ・クリスティの作品は初めて読んだのですが、とても面白くびっくりしました。最後まで犯人は誰か分かりませんでした。巧妙なトリックと伏線回収が素晴らしかったです。これを機に他の作品も読みたいです。

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2022年12月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

クリスティーの中期ノンシリーズ。
ミステリというより、どちらかというとロマンスメイン。

最後が少し駆け足気味で、途中、散々含みを持たせたセリフとかは放置。もうちょっと解決編が長くても良かったのかなと。
意外な犯人ではあったけど。。。
うーん、読者が置いていかれる意外性というか、騙された!とはならない。

あと、題名が間違いやすい笑
「わすれられぬし」じゃなくて「わすられぬし」なのね。

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2022年01月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ちょい役が黒幕(この悲劇は誰の責任かと言うとこの黒幕の母親=愚鈍なのに割とちゃっかりしていて息子を甘やかし放題で極悪人にした被害者の伯母に負う所大だと思う)で、従犯者の叙述はアクロイド殺しと違ってアンフェアでは…また如才なく世の中をよく知っている女性が、いくら魅力を感じたにしても初めて会った悪人の話にころっと乗るのは現実味がない気がする。
ただし一人ひとりの登場人物の書き込みが丁寧にされていて読み応えがあり面白かった。ファラデー夫妻の顛末は結局筋と関係なかったけれど結構感動した。でも途中でアレクサンドラが「あの時それを知っていれば、今はもう手遅れ」と言っていたのは、小説の半ばごろでいきなり犯行の告白のようにも取れるけれどそれにしては露骨すぎるし何なのか頭をひねった。結局何のことだったのか回収がなかった。彼女の印象についてケンプ警部が昔のキリスト教の聖者についての独白が斬新でアガサって意外とこういう人だったんだと思った。女優にキャンセルを伝えたのも結局ルースだったのか、どういう目的があったのかよくわからない。アンソニーの設定はひねりすぎ、レイス大佐は映画「ナイル殺人事件」の軽妙洒脱な陽性キャラクターがちらついてちょっと違和感。
夫を除くほとんどの語り手からディスられていたようなローズマリー(キャラクターとしては白昼の悪魔の被害者に近い)だったが、落ちたバッグ の偶然は、万霊節の夜に彼女の意思が働いたような、人生これからの妹を守り、代わりに自分を愛してくれた夫を呼び寄せたとも取れ、残された妹が姉の想いに応える結びがほんのりじんとくる。

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2021年11月27日

Posted by ブクログ

無駄があるわけじゃないけど長かったなぁ。
もう少しコンパクトに出来るはず。

でも、ストーリーはなかなかでした。
ただの怪しい男が実はスパイだとは、すでにスパイを仕事としている人が出ているだけに、気がつかなかったなぁ。

物話語りはスパイが活躍するのではなく、美しい姉妹を取り巻く殺人事件で恋やら金やらそんな物が背景にあるだけだけどね。

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2015年08月04日

Posted by ブクログ

これも、榛野なな恵さんによってマンガ化されたのを読んだので原作も。マンガも読んでいたのに、謎解きが頭に入っていなかった。謎解きよりも、登場人物たちのロマンスとか人間関係を興味深く読んだような。んー、やっぱりわたしは謎解きには興味ないのかもしれない。あと、あくまでもわたしの場合だけど、どうしてもクリスティって薄味(失礼)というかなんというか、あんまりのめりこんで読む、引き込まれて読む、っていう感じではないみたい。けっして嫌いではないんだけど。あと、マンガと比べて、とか、最近のミステリと比べて、かもしれないけど、なんか結末がブツッと終わっちゃう気がして。もうちょっと説明とか後日譚とか余韻とかあってもいいような気が。犯人がわかったらハイ終わりー、みたいなのがもの足りないというか。それが本当の本格ミステリというものか。

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2011年09月18日

Posted by ブクログ

忘られぬ死読んだ。「すばらしいショーだったよ」。いやー殺人が起きるまでが長すぎて、ミステリ読んでるよりは単なる愛憎小説読んでる気分でしたが、それでもおもしろかった。マール姉妹の関係をうがってみるだけでご飯三杯はいける。美しいことはいいことです

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

何故姉は死んだのか、から始まるお話。
読んでいて、なーんとなく違和感のあるお話だったのだが、最後まで読んで全て納得。犯人もトリックもここまで全く想像に及ばなかった作品は正直久しぶりであった。

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2022年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ポワロもマープルも出てこない作品です。
登場人物が意外と少なくて、登場人物の心理描写が丁寧に描かれています。ただ、犯人については意外性がなかったように思います。あまり登場してきませんし。。
主人公の恋愛描写を入れて映像化されたら見てみたいとは思います。

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2020年08月09日

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