あらすじ
甥のレイモンドを筆頭に、前警視総監や画家など様々な職業の人々がミス・マープルの家に集った。一人の提案で各自が真相を知っている昔の事件を語り、その解決を推理しあうという〈火曜クラブ〉ができたが……田舎の老婦人ミス・マープルが、初めて驚異の推理力を披露した短篇13篇を収録。
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Posted by ブクログ
1932年の作品。
ミスマープル初登場作品、表題の「火曜クラブ」を含む短編集。
ヘンリー卿が初めてミスマープルと出会い、この田舎の老嬢の慧眼に敬服するところが読みどころ。
まさに安楽椅子探偵の真骨頂!
楽しい珠玉の短編集です。
訳者のあとがきも、クリスティ作品に深い考察を加えていて、他の作品と合わせて読むのが楽しくなる。
この短編集がのちの長編につながる元になっているものもたくさんあって、あとから知るのも面白い。
女優のジュリアや、お手伝いのグラディスなど。
何度も何度も読み返したい、まさに
ポケットに「火曜クラブ」を。
Posted by ブクログ
ミス・マープルの初歩のような短編集でした。
短編集なので日常の謎が多いのかと思ったらほとんどが殺人絡みで事件も推理も本格的でした。これを短編でどんどん出しちゃうとは本当にアガサ・クリスティーは引き出しが多いんだなあ。
「迷宮入り殺人事件。」作家のレイモンド・ウェストは最近この言葉が気に入っている。ここはイギリスの田舎町セント・ヘアリ・ミードの老婦人ミス・マープルの居間。レイモンドはミス・マープルの甥で、古風で家庭的で居心地の良い叔母さんの家で集まりを開いたのだ。その場に元スコットランドヤードの警視総監、ヘンリー・クリザリング卿(サー・ヘンリー)がいたこともあり、参加者たちが自分が遭遇して解決まで知る不思議な事件の話をして、他の参加者が謎解きをする「火曜クラブ」の集いが行われることになった。
『アスタルテの祠』語り:ペンダー博士(教区の老牧師)
森に囲まれた屋敷で週末を楽しむ若い男女。森には古い宗教の神であるアスタルテの祠がある。一行は祠の前に集うが一人の男が倒れて死ぬ。
『金塊事件』語り:レイモンド(そこそこ売れてる作家)
コーンウォールの海岸に金塊を積んだまま沈んでいるという船の伝説がある。興味を持ちコーンウォールに向かったレイモンドは、宝探しのニューマンという男と知り合う。ニューマンは、ある夜怪しい男と阿知賀海岸沿いの洞穴に荷物を積み下ろししている様子を目撃したというのだが…。
『舗道の血痕』語り:ジョイス・ランプリエール(若い女性画家)
コーンウォールの海辺の村にスケッチに行ったジョイスは、夫婦と、夫の知り合いらしい女の三人組を見た。だがジョイスの目には、その三人組は不吉なものを感じる。翌日、ジョイスは、ホテルの前の白い敷石の舗道に赤い血痕のようなものを見る。そして隣村の浜辺に、夫妻の妻の溺死体があがった。
『動機対機会』語り:弁護士ペサリック
資産家のクロード氏は、霊能力者に入れ込み、遺産の大半を親族ではなく彼女に遺す遺言を書いた。だが実際に彼が死に、遺言状を開くとそれは白紙に変わっていた。
遺言状を封入した場にいた霊能力者には、自分に有利な遺言状をすり替える動機がない。
遺産を横取りされる資産家の親族には、すり替える動機があるが、その場にはいなかったので機会がない。
『聖ペテロの指のあと』語り:マープル。
マープルの姪のメイベルの夫が中毒死した。その近隣では夫婦仲が良くなかったことからメイベルに夫殺しの噂がたつ。マープルは姪の名誉を守るため、真相を調べる。
…今まで読んだりドラマで見たミス・マープル物って、捜査はあくまでも警察が行い、マープルは事件のヒントになるようなことを言ったり、真相を伝え、警察が裏取りをするようなものだった。しかしここでは、夫の遺体を掘り返して死因となった毒物の再捜査を依頼するとか、関係者に事情聴取するとか、医療辞典で毒物を調べるとか、ほぼ警察。そしてこの時代、人が身元を偽ったり罪を犯すことができてしまうので、付き合いのある人たちはお互いを監視し、怪しい人物は排斥する。現在は監視カメラやSNSでの監視社会といわれるけど、この時代は近くの人の目で見張っていることが感じますね。
1年後。ヘンリー・クリザリングは、セント・メアリー・ミードのアーサー・バントリー夫妻にミス・マープルの推理力の話をする。そこでバントリー家でもミス・マープルを含めた夕食会が開かれる。
『青いゼラニウム』語り:アーサー・バントリー(晩餐会主催者)
友人ジョージ・プリチャードの妻は、常に病気を抱え、気難しく癇癪持ちで文句ばかりで通いの看護師たちも次々に変える。最近はザリダという占い師に信心しているが、彼女は「この家は邪悪で、青い花は死の記し」とかいう不吉な予言をす。そしてある日、プリチャード夫人が部屋で死んでいる。そして壁紙の赤い花の一枚の花びらが青く変色していたのだ。
『二人の老嬢』語り:ロイド医師
カナリア諸島に保養地に出かけたロイド医師は、イギリス人資産家のミス・バートンと、コンパニオンのエイミ・ディラントの老嬢二人組を見かける。海水浴中にエイミが溺死する。しかしロイド医師はどことなく違和感を覚え…。
『四人の容疑者 』語り:サー・ヘンリー
ローゼン博士はある犯罪組織に潜入して潰したが、それによって報復を受け殺された。容疑者は同居していた4人に絞られたが、その中の誰なのか、どうやって外部から指令を受けたのか。
事件が未解決では犯人と疑われた無実の者が被害を被る。はっきり無罪と証明されないとずっと疑われてその後の人生も変わってしまう。だからこそ真相を明らかにしなければならない。
『クリスマスの悲劇』語り:ミス・マープル
クリスマスに水治療院を訪れたマープルは、そこで見かけた夫妻を観察して、夫が妻を殺すと予見する。そして、予想通りに妻が殺されるが、夫にはアリバイがあった。
…この時代の殺人犯への求刑は絞首刑。アガサ・クリスティの探偵たちは自分が犯人を暴くということはその犯人を死刑にするということを承知して悪を許さないという気持ちを持っている。(そして無実と思った人を助けることは、その人の命を助けるということ)
穏やかな田舎のおばあちゃんミス・マープルの強い気持ちが感じられます。
『毒草』語り:ドリー・バントリー夫人(ミセス・バントリー。晩餐会主催者)
ある資産家の食卓で食中毒が起こり、女の子が一人死亡する。原因は、食材に紛れ込んだジギタリスの葉だと判明する。毒殺だとしたら誰が食べるともわからないものに毒をいれるだろうか?しかし事故とも思えない。
『バンガロー事件』語り:ジェーン・ヘリア(とても美人の人気女優。しかし「頭空っぽ」ともいわれる・笑)
このジェーン・ヘリアは晩餐会でも「わたくし、わかりませんわ」とか、「そういえばわたくしね」などとトンチンカンの言葉を挟むのだが、「わたくしがこんなにおばかさんでなければ…」などと自分の美貌には絶対的自身があるが他の面では控えめなのが感じが良いとも思えます。しかしミス・マープルも「ジェーン・マープル」なので、誰かが「ジェーン」と呼ぶと一瞬マープルのことか!?と思ってしまうの。なぜ同じ名前にしたんだ。
さて、そんなジェーン・ヘリアのお話。
ジェーンは地方巡業で警察の訪問を受ける。なんでも近くのバンガローに泥棒が入ったのだが、容疑者として取り調べられている青年は「女優のジェーン・へリアに脚本のことで呼ばれた」と証言したらしい。だがジェーンと顔を合わせた青年は「ジェーン・ヘリアを名乗って自分を呼び出したのはこの女性ではありません」という。
…ジェーン・ヘリアを「美人で気立てもよいが頭空っぽ」と繰り返してきた効果が出ているオチ。
『溺死』
また数カ月後。
サー・ヘンリーはバントリー夫妻の家を訪ねていた。そこへミス・マープルが、サー・ヘンリーに協力を求めに来る。
数日前にセント・メアリ・ミードで、ローズという娘の溺死体が引き揚げられた。腕に傷があったことから誰かに突き落とされたようだ。彼女は妊娠していて、父親はロンドンからやってきた建築家サンドフォードと言われる。村の大工ジョーはローズに夢中で、サンドフォードに敵愾心を持っていた。
地元の警察は、犯人をサンドフォードだと思っている。だがミス・マープルはある人物が犯人だと思っていた。だが証拠がまったくない。そこでサー・ヘンリーに証拠が挙がるか調べてほしいというのだ。
…ミス・マープルは「田舎の村にいるからこそ、人間性を観察することができる」ということで、犯人については「見れば分かる」という面がある。
そしてミス・マープルがこの事件を見過ごせなかったのは、このままでは無実の人物が死刑になるかもしれないことを防ぎたい、しかしそれは自分の告発により別の人物を死刑にするってことでもある。
ミス・マープルはそれでも正義を貫く強い気持ちがあります。
Posted by ブクログ
「狭い村も広い世界もさして違わない」「人間なんてみんな、似たりよったりですからね」
たまにふと読みたくなる。人間性が、事件を解くカギ。
Posted by ブクログ
ミス・マープルの連作短編集。
ミス・マープルを囲んで繰り広げられる推理合戦13編。
各自が真相を知っている"迷宮入り事件"を語り、参加者一同が真相を推理し合うもの。
参加者の年齢も職業もバラバラなので、どの事件も変化に富んで面白い。私も一緒に解いてみたけれど13の事件全て惨敗だった。
特に面白かったのは『動機対機会』『二人の老嬢』『四人の容疑者』『溺死』
全ての事件の真相を次々と見事に暴くミス・マープル。自身の住むセント・メアリ・ミード村からほとんど出たこともない彼女はどうしてこんなに簡単に事件の真相を探り当てることができるのか。
「この世の中に起こることは、すべて似たりよったり」
にこやかにサラリと言ってのけるミス・マープル。ポアロと推理合戦で競ったらミス・マープルの方が余裕で勝つのでは、と思えてならない。
Posted by ブクログ
さくっと読めるミステリを求めて選んだ一冊。推理の核心もだが、ストーリー展開がやっぱり上手だなと思う。イギリスのそこそこの階級の人々の生活描写も、読んでいておもしろい。しかし、ちょっと気になるところも。
「動機と機会」万年筆で書いたのはサインだけで、遺言状の内容部分は鉛筆で殴り書きしてあったとあるので、当時の鉛筆の質は分からないけどさすがに2ヶ月で白紙の紙にはならないのでは?
「クリスマスの悲劇」マープルと警部のあいだでイヤリングについてのやりとりがあったけど、真相の部分ではまったく触れられておらず不自然さが残る。死んだ召使がイヤリングをつけたままということ?
最近ミステリばかり読んでいることもあって重箱の隅をつつくようなところが気になってしまった。
Posted by ブクログ
13編の短編集
各々が、真相を知る事件について語り、話を聞いた人たちで推理をし、真相を当てる火曜クラブ。
参加者は、警視総監や弁護士、牧師に医師に作家に画家と、人の行動や心理に詳しい職業。
それでもみんなが真相の解明に苦戦する中、ミス・マープルは淑女らしく慎み深く全てを明らかにしていく。
編み物の目を数えながら、セント・メアリ・ミードの誰かを思い出しながら。
マープルの鋭い目の付け所と、鮮やかな解決が爽快なのと、マープルの甥のレイモンドへの温かくも甥っ子には少し耳が痛い指摘がなんとも微笑ましい。
Posted by ブクログ
少し駆け足で読んでしまった感は否めないですが、どれもおもしろくとても印象的でした。
個人的には『バンガロー事件』と『溺死』こそマープルなんじゃないかなぁと勝手に納得してしまったかもしれません。
ただただあの観察力と洞察力…もとい思考が欲しいと思っちゃいます。
Posted by ブクログ
個人的にクリスティ作品の魅力といえば、
個性豊かかつ人間味のある登場人物(事件の容疑者)たち、
膨大な情報の中にミスリードと本当のヒントとを潜り込ませる巧みさ、
そしてミスリードの要素すら拾い上げ本筋とは別のストーリーに昇華させる組み立ての巧さ、
あたりが大きいのだが今回は短編集という性質上どうしてもそれらを感じづらかったというのが正直な印象。
短いページ数で語らなければいけないので人物描写にそこまで割けず、ミスリードを入れる隙がないのでヒントが分かりやすく浮き彫りになっており、長編では毎回予想外の真相に驚かされていたのに、今回は途中でなんとなく分かってしまうことが多かった。
というのは各話で語られるミステリーの内容の話で、毎回変わる語り手の性別や性格や職業による語り口の違いの書き分けにはもはや凄みすらある。
そしてそれを逆手にとったような『バンガロー事件』の結末が特に痺れた。
各ミステリーの内容についても、真相が予想できるからといって読み応えがないなどということは全くなく、謎めいたシチュエーションの面白さはさすがといった感じ。
特に『舗道の血痕』の語り手ジョイスが見ていたであろう定点観測のような景色は読みながらまざまざと頭に思い浮かんできて、読み終わった今でも強烈に残っている。
ホームズ作品の短編集も「シチュエーションの面白さ勝負」みたいなところがあるが、あちらがおどろおどろしい見るからに奇妙なシチュエーションが多いのに比べて、クリスティはもっと日常と隣り合わせの、牧歌的な雰囲気の中に潜むちょっとした違和感というような、じわじわと感じる恐怖を得意としているように感じた。
Posted by ブクログ
「ミス・マープルと13の謎【新訳版】」 (創元推理文庫)のハヤカワ文庫版。ちなみにこっちの方が出版が早い。でも私は先に創元推理文庫版で読んだ、のだが気が付かなかった。
どこかで読んだことある気がするなぁって思ったんだよなぁ…笑
Posted by ブクログ
マープルのすごさがつまってる。ただのうわさ話好きのおばあちゃんではない、人間観察のプロというか驚くべき知性というか。ポアロも大好きだけど、それぞれ別の人間観察における知性というか。クリスティがマープルがお気に入りだったのも納得。
Posted by ブクログ
はっきりした証拠がない推理も結構多くて、これ確証ないけどいいの?のとは思ったけど、人間観察から推理するっていうのは面白かった!
時代の違い、台詞が長い、覚えにくい人名、脇道にそれる話題…などがちょっと読みにくかったけど、筋書きやトリックはシンプルでわかりやすい。
短編集なので、いろんな事件が楽しめてよかった。
Posted by ブクログ
ミス・マープルの短編初登場作品。13編の作品からなるが、どれも最後にミス・マープルがあっと言わせてくれる。後年の長編に比べると、中にはやや強引な展開もあるように感じるが、楽しめる。
Posted by ブクログ
ミス・マープルが初めて登場する13話の短篇集。某事件の真相を悟りながらも皆の前では明かさずそっと警告してスマートに去っていく様はどう考えてもただの老婦人ではない
“わたしはね、この世の中に起こることは、すべて似たりよったりだと思うんですよ”
Posted by ブクログ
ミスマープルは、児童書版で読んで以来だから30年ぶり?もっとか?
短編集なんだけど、短編集だからか、意外と一話一話がしっかりと描かれていて、しかも、あっさり解決されていく様子が痛快。
こんな風に迷宮入りの事件について語り合えるクラブ作れたら楽しいだろうなぁ。
Posted by ブクログ
目次
・火曜クラブ
・アスタルテの祠
・金塊事件
・舗道の血痕
・動機対機会
・聖ペテロの指のあと
・青いゼラニウム
・二人の老嬢
・四人の容疑者
・クリスマスの悲劇
・毒草
・バンガロー事件
・溺死
アンソロジーなどで何編か読んだことはあるはずのミス・マープルシリーズ。
実はきちんと読んだのは初めてです。
思った以上に短い作品ばかりで、推理をするというよりも人々の意見を聞いているうちに正解に流れ着いちゃった、という感じ。
長編と比べたら、必ずしも論理的ではないけれども、ミス・マープルの言葉には説得力がある。
しかし、これほどバラエティに富んだ殺人事件と同じ構造の事件が起きているのだとしたら、セント・メアリ・ミード村というのは、米花市と同じくらい怖い土地である。
流れるように読んだから、個別の感想は特になし。
Posted by ブクログ
本作は、ミス・マープル初登場のタイトル作を含む13の短篇集。これらは、1927年から雑誌連載していた6篇に、他の短篇を追加して1932年に発刊されたもの。作品の初出としては、1930年発刊の長篇『牧師館の殺人』より先になります。
そんな事情もあってか、前半6篇より追加された後半は尻上がりに面白くなって行きます。犯人当ても前半の『アスタルテの祠』『金塊事件』『動機対機会』は、犯人を当てることができましたが、後半は惨敗。マープルというキャラを、著者が次第にものにしていってる感じがしました。
最初はただの田舎のおばさんだったミス・マープルが、人生経験から推理して発言し、次第に周りの人達の信頼を得て行く様子がとても良かったです。そんなミス・マープルの象徴的な発言が、6篇目ラストP171にあり、雑誌連載の締めくくりにしようとした感じがして興味深かったです。
なお、タイトルの火曜クラブと言う、各自が語る迷宮入り事件を参加者が推理し合うのは前半6篇まで。7篇目からは、バントリー夫妻の家での晩餐会での謎解きになり、最後の1篇は、議論ではなく現在進行形の推理物です。
特に面白かったものは、『舗道の血痕』『青いゼラニウム』『バンガロー事件』『溺死』。
正誤 十五刷
P104の10行目:
あその舗道の上→あそこの舗道の上
P343の7行目:
こちゃまぜ→ごちゃまぜ
Posted by ブクログ
ミス・マープルが短編で13の事件をサクサク解決していく。「青いゼラニウム」と「四人の容疑者」は流石にちょっと無理があるのでは、という気がする。「動機対機会」と「クリスマスの悲劇」は好き。ミセス・バントリーはお話しするのが苦手と言いつつも一瞬で仮名を考えてるのがすごい。
Posted by ブクログ
短編のいいところとして、すぐにトリックが種明かしされるところ。この本ではマープルが、鮮やかに解決する姿が何度も出てきて爽快感がある。
前書きにもあったように、動き回らないマープルは短編に合っているのかもしれない。
Posted by ブクログ
クリスティの短編集。連作。マープルが初めて推理を披露した作品。安楽椅子探偵の中でも有名なミス・マープル。クリスティ自身がとても好きなキャラクターらしいが、愛情を感じる。
この作品ではマープルの家に集まった様々なジャンルの人々(作家、画家、弁護士、元刑事、牧師)が、それぞれ持ち寄った過去に起きた未解決 事件(現在は解決している)を出題し、謎解きしていくミステリー。結成日が火曜日なので火曜クラブだ。
火曜クラブ
とある屋敷で起きた殺人事件の話。最初は食中毒と思われたが、殺人の噂がたち、改めて調べた所、死体から毒物が発見される。
とても短い解説でそれぞれ考えうる可能性を上げていくが、最後マープルが自身の身近に起きた事例をベースに見事に回答に辿り着く。
ダイエットの言葉と粉砂糖に紛れていたヒ素。マープルの推理が鮮やかだ。
アスタルテの祠
衆人環視のなか、数メートル先にいる人間を刺殺し凶器を隠す。そんなトリックだが、整理すればマープルが推理した方法しか考えられない。月の女神の神秘など仮装しながらパーティの最中ということや現場の得体の知れない神秘性等も要素にあるが、冷静であれば真相に辿り着く。
金塊事件
レイモンドに対するマープルはいつでも慈愛に満ちている。今回もとても優しく、教えを説く様に真相をかたる。いわば金塊事件は彼の友人の自作自演であり、実際の金塊わ運びこんだのは逮捕された人物では無い。タイヤ痕は当時大きな証拠だったのだろうが、タイヤの取り替えという大体なトリックを使っている。
というか、ここまでの会合で全員がマープルの能力に驚嘆しても良いと思うが(笑)
歩道の血痕
水着についていた血痕が地面に滴り落ちる状態を遠くから発見できるだろうか(笑)とどうしても疑いたくなるが。今回もマープルの思考、推理は見事であり、あっという間に真相を看破してみせた。レイモンドの驚きは当然だが、村であっても様々な人間の一部を長い人生では経験することがあり、まさにマープルは人間の教訓のようだ。
動機対機会
遺言状と消えるインクの万年筆。クリスティの話には降霊術の話がよく出てくるが、当時は重要な娯楽の一つだったのだろう。更に人の死が現代よりもより身近にある環境下において、この物語の主人の様な対応と、降霊術師の様なペテン師が生まれる事は理解ができる。結末は楽しいし、こんな昔にも消えるインクがあった事は驚きだ。
聖ペテロの指のあと
当時の目薬の用薬について知識は無いが、素直に読むことができた。気の狂った年寄りは厄介だ。スコットランドヤードに言ってマープルの意見を聞く様に、は正しくその様になるのだが(笑)人の人生は必ず誰かと似たり寄ったり。あなたが気づかないだけ。現代でも十分に納得してしまう。
青いゼラニウム
舞台を移し、メンバーも変わる。前警視総監が前回の会合を思い出し、マープルの特筆すべき推理力についてかたり、今回の会合にも招かれた。
とある夫妻の話。占師の言葉を信じる妻と信じない夫。壁紙の花の色が変化し、夫も疑惑を感じる中、妻が死亡する。真相についてマープルが紐解く。その後、登場人物たちが幸せになれそうでよかった。
二人の老嬢
雇い主とコンパニオン。コンパニオンが遊泳中溺死するが、近くにいた雇い主がコンパニオンを殺す理由はない(利害関係等逆転してしまう)しかし、後日雇い主は彼女が亡くなったことを悔やみ海で自殺する(死体は見つからない)コンパニオンが雇い主を殺す動機はあり、その矛盾が論点になるが、マープルが見事に看破する。二人の入れ替わりと死の偽装。当時では考えられるトリックであり、完全犯罪とまで言われている。証拠を上げる事が難しい、現代では直ぐに気づかれてしまう内容だ。
四人の容疑者
犯人が確定しないことによって不幸が訪れる。現代ミステリーでもテーマとして面白い内容だ。容疑者であれば、必然、避けられる運命にあるし、あの人がもしかしたら・・・という疑惑があってしまうと社会的に様々なものを失うのは現在でも有名人などの事例で読み解ける。トリックは英語として成り立つもので、翻訳では馴染めなかった。内容は面白い。
クリスマスの悲劇
マープルの魅力が詰まった作品。語り手がマープルで過去に経験した殺人事件をかたる。
ある程度人生経験が有れば対面した相手の良し悪しは感じ取る事が出来るが、マープルは村での経験からある夫婦の妻に危険が及んでいる事に気づく。ただし証拠もなく年寄りの戯言だと思われる可能性があり、どうしても伝え方がわからない。妻に打ち明けても夫を愛している為恐らく信じてもらえない。そんな中、実際に殺人事件が発生する。死体入れ替えの擬装。マープルをもってしても騙された真相。妻は主人を愛して死んでいった為、それだけが救い。
毒草
複数人で食べた食事の中に毒草が混入しており若い娘が死亡した事件の語り。誰が彼女を殺したのか。どうやって彼女だけ殺したのか。もしくは彼女以外を殺害するつもりだったのか。各々がそれぞれ推理を披露するが、やはりここでもマープルが芯をついた推理を披露する。
バンガロー事件
女優が語り手の謎。正体なき盗難事件の犯人とは。流石のマープルも数少ないヒントでは真相に行きつかないと思いきや、帰り際、二、三言女優に耳打ちしアドバイスを送る。マープルの優しさが現れた作品。
溺死
今作は連作であり、それぞれの職業者が未解決事件を語らうという一種のゲームだった訳だが、このやりとりがあるからこそ、最終話の「溺死」は解決に至る。元警視総監のサー・ヘンリーはマープルの推理力をリスペクトしており、今回の事件においてマープルが彼に相談した際に彼女を信じ協力をする。
若い女性が妊娠中に溺死した事件。報われぬ恋に自殺だと思われたが、他殺の可能性が浮上。妊娠させた相手の青年が怪しまれるが、ヘンリーはマープルを信じ、関係者への聞き込みを続けていく。
まるで最後の事件の為に火曜日クラブは開催されていたかの様な内容。短編十二作の関係値が無ければヘンリーもマープルも相互に協力関係は気づかれないだろうし、彼女の洞察力を披露したからこそ、今回の事件は「クリスマスの悲劇」の対比になっている様に思う。
今作は短編ではなく長編として読んでも面白い。
Posted by ブクログ
短編集で1話1話集中を切らすことなく読めて読みやすかった。
若干わかりづらい言葉の言い回しもありますが、真相のオチもおもしろくてそれぞれ一気に読めちゃいます。
マープルさんの真相に辿り着く視点がおもしろい。
推理力とかではなく、人間観察力と洞察力にとても優れている人なんだなって感じました。
Posted by ブクログ
素人探偵ミス・マープルの初の短編集。
人の本質を見抜くその手腕に、田舎の老人だと侮っていた周囲が呆気に取られるのが面白い。
翻訳なのか時代なのか、その言い回しが難しく、私の読解力不足ですんなりと理解できないのが悔しい。
また読み直して更に理解を深めたい作品だった。
面白かった
怖いねぇ、マープルさん。
何もかも見透かされてるような気分になる。
なにしろ証拠もなにも関係ないんだから。
それでいて、確かにそうだよねと思わずにいられない。
Posted by ブクログ
ドラマ「ミス・マープル」(ジョーン・ヒクソン版)に今さらハマり、マープル初登場の短編集を読むことに。
初読から1年半後に再読。どの話もきれいに忘れていた!
「舗道の血痕」「二人の老嬢」「クリスマスの悲劇」あたりが良かったかな。
「バンガロー事件」は、頭からっぽキャラのミス・ヘリアの意外な一面が明らかになって面白かった。
(2025.9.21)
Posted by ブクログ
1932年のミス・マープル初登場作品です。
ポワロやホームズとは違い、見た目はただのおばあさんのマープル。でも、そんな彼女がめちゃくちゃ鋭い推理をします。
13個もの短篇が入ってるので、テンポ良く読めました。
Posted by ブクログ
【マープル短編】
ポアロの短編より面白かった。
「前置き→事件の話披露→マープルの推理」の展開で13話まである。
推理が好きな人は短くてたくさん推理ができるので楽しめると思う。
短編だとやっぱり人間ドラマが感じられないので、私は楽しむのが難しかった。
中でも『二人の老嬢』が1番面白かった。
Audibleにて。
★2.5
悲しいことに、これでAudibleにあるクリスティー作品は全部聴き終わってしまった…(;O;)
今まではAudibleと紙の本を2冊同時進行で読んでいたので、家でも移動中でもいつでもクリスティー作品を楽しむことができた。
紙の本ではまだまだクリスティーを読むけど、Audibleでは何を読もう…。
クリスティー以外の作品は久しぶりなので楽しめるか心配…。
クリスティーを読む前はカタカナ名前が苦手で海外ミステリーを全く読まなかったけど、クリスティーのおかげで少し慣れたような気がする。
クリスティーと同じイギリス人でクリスティーへのオマージュと紹介されていた『カササギ殺人事件』を読んでみようかな。
Posted by ブクログ
ミス・マープルは普通の田舎の老婦人で、探偵でも警察でもない。だが、自分の経験したことを頭の中でつなぎあわせて、その場に居合わせたわけでもないのに、話を聞いただけで真実を見抜いてしまうのだ。このような短編集においてはピッタリの役だと思う。
Posted by ブクログ
ミス・マープルの短篇集。部屋に数人が集まり、自分が知っている難事件を話し合う。そして、その場にいる最も謙虚でもの静かな人物が最後にズバリと真相を言い当てるというパターンは、この時代(「火曜クラブ」の発刊は1932年)には多少新規性があったのだろうか。その後、1970年代にアシモフが黒後家蜘蛛の会ですっかり定着させた感がある。訳者あとがきにもあるように一つ一つの話は長編の習作であったり翻案であったりするものも多いのだが、とりあえず「ミス・マープル登場」と言ってもよい記念碑的な一作。
Posted by ブクログ
絶賛クリスティーブームの現在、初めてのミス・マープルに挑戦です。 ポワロシリーズは大好きなものの、本書はなかなか苦戦。短編ですがそのたびに人物がたくさん出てくるので覚えるのが難しく……。 ただ、メンバーが変わった後半からはぐっと読みやすくなりました。バントリー夫人がいい味出してます。 トリックが面白かったのは「動機対機会」「青いゼラニウム」、「二人の老嬢」はすっかり騙されてしまいました。 次はミス・マープルの中編や長編を読んでみたいところ。