【感想・ネタバレ】火曜クラブのレビュー

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ミス・マープルが短編で13の事件をサクサク解決していく。「青いゼラニウム」と「四人の容疑者」は流石にちょっと無理があるのでは、という気がする。「動機対機会」と「クリスマスの悲劇」は好き。ミセス・バントリーはお話しするのが苦手と言いつつも一瞬で仮名を考えてるのがすごい。

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2024年02月04日

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ネタバレ

 クリスティの短編集。連作。マープルが初めて推理を披露した作品。安楽椅子探偵の中でも有名なミス・マープル。クリスティ自身がとても好きなキャラクターらしいが、愛情を感じる。
 この作品ではマープルの家に集まった様々なジャンルの人々(作家、画家、弁護士、元刑事、牧師)が、それぞれ持ち寄った過去に起きた未解決 事件(現在は解決している)を出題し、謎解きしていくミステリー。結成日が火曜日なので火曜クラブだ。
 火曜クラブ
 とある屋敷で起きた殺人事件の話。最初は食中毒と思われたが、殺人の噂がたち、改めて調べた所、死体から毒物が発見される。
 とても短い解説でそれぞれ考えうる可能性を上げていくが、最後マープルが自身の身近に起きた事例をベースに見事に回答に辿り着く。
 ダイエットの言葉と粉砂糖に紛れていたヒ素。マープルの推理が鮮やかだ。
 アスタルテの祠
 衆人環視のなか、数メートル先にいる人間を刺殺し凶器を隠す。そんなトリックだが、整理すればマープルが推理した方法しか考えられない。月の女神の神秘など仮装しながらパーティの最中ということや現場の得体の知れない神秘性等も要素にあるが、冷静であれば真相に辿り着く。
 金塊事件
 レイモンドに対するマープルはいつでも慈愛に満ちている。今回もとても優しく、教えを説く様に真相をかたる。いわば金塊事件は彼の友人の自作自演であり、実際の金塊わ運びこんだのは逮捕された人物では無い。タイヤ痕は当時大きな証拠だったのだろうが、タイヤの取り替えという大体なトリックを使っている。
 というか、ここまでの会合で全員がマープルの能力に驚嘆しても良いと思うが(笑)
 歩道の血痕
 水着についていた血痕が地面に滴り落ちる状態を遠くから発見できるだろうか(笑)とどうしても疑いたくなるが。今回もマープルの思考、推理は見事であり、あっという間に真相を看破してみせた。レイモンドの驚きは当然だが、村であっても様々な人間の一部を長い人生では経験することがあり、まさにマープルは人間の教訓のようだ。
 動機対機会
 遺言状と消えるインクの万年筆。クリスティの話には降霊術の話がよく出てくるが、当時は重要な娯楽の一つだったのだろう。更に人の死が現代よりもより身近にある環境下において、この物語の主人の様な対応と、降霊術師の様なペテン師が生まれる事は理解ができる。結末は楽しいし、こんな昔にも消えるインクがあった事は驚きだ。
 聖ペテロの指のあと
 当時の目薬の用薬について知識は無いが、素直に読むことができた。気の狂った年寄りは厄介だ。スコットランドヤードに言ってマープルの意見を聞く様に、は正しくその様になるのだが(笑)人の人生は必ず誰かと似たり寄ったり。あなたが気づかないだけ。現代でも十分に納得してしまう。
 青いゼラニウム
 舞台を移し、メンバーも変わる。前警視総監が前回の会合を思い出し、マープルの特筆すべき推理力についてかたり、今回の会合にも招かれた。
 とある夫妻の話。占師の言葉を信じる妻と信じない夫。壁紙の花の色が変化し、夫も疑惑を感じる中、妻が死亡する。真相についてマープルが紐解く。その後、登場人物たちが幸せになれそうでよかった。
 二人の老嬢
 雇い主とコンパニオン。コンパニオンが遊泳中溺死するが、近くにいた雇い主がコンパニオンを殺す理由はない(利害関係等逆転してしまう)しかし、後日雇い主は彼女が亡くなったことを悔やみ海で自殺する(死体は見つからない)コンパニオンが雇い主を殺す動機はあり、その矛盾が論点になるが、マープルが見事に看破する。二人の入れ替わりと死の偽装。当時では考えられるトリックであり、完全犯罪とまで言われている。証拠を上げる事が難しい、現代では直ぐに気づかれてしまう内容だ。
 四人の容疑者
 犯人が確定しないことによって不幸が訪れる。現代ミステリーでもテーマとして面白い内容だ。容疑者であれば、必然、避けられる運命にあるし、あの人がもしかしたら・・・という疑惑があってしまうと社会的に様々なものを失うのは現在でも有名人などの事例で読み解ける。トリックは英語として成り立つもので、翻訳では馴染めなかった。内容は面白い。
 クリスマスの悲劇
 マープルの魅力が詰まった作品。語り手がマープルで過去に経験した殺人事件をかたる。
 ある程度人生経験が有れば対面した相手の良し悪しは感じ取る事が出来るが、マープルは村での経験からある夫婦の妻に危険が及んでいる事に気づく。ただし証拠もなく年寄りの戯言だと思われる可能性があり、どうしても伝え方がわからない。妻に打ち明けても夫を愛している為恐らく信じてもらえない。そんな中、実際に殺人事件が発生する。死体入れ替えの擬装。マープルをもってしても騙された真相。妻は主人を愛して死んでいった為、それだけが救い。
 毒草
 複数人で食べた食事の中に毒草が混入しており若い娘が死亡した事件の語り。誰が彼女を殺したのか。どうやって彼女だけ殺したのか。もしくは彼女以外を殺害するつもりだったのか。各々がそれぞれ推理を披露するが、やはりここでもマープルが芯をついた推理を披露する。
 バンガロー事件
 女優が語り手の謎。正体なき盗難事件の犯人とは。流石のマープルも数少ないヒントでは真相に行きつかないと思いきや、帰り際、二、三言女優に耳打ちしアドバイスを送る。マープルの優しさが現れた作品。
 溺死
 今作は連作であり、それぞれの職業者が未解決事件を語らうという一種のゲームだった訳だが、このやりとりがあるからこそ、最終話の「溺死」は解決に至る。元警視総監のサー・ヘンリーはマープルの推理力をリスペクトしており、今回の事件においてマープルが彼に相談した際に彼女を信じ協力をする。
 若い女性が妊娠中に溺死した事件。報われぬ恋に自殺だと思われたが、他殺の可能性が浮上。妊娠させた相手の青年が怪しまれるが、ヘンリーはマープルを信じ、関係者への聞き込みを続けていく。
 まるで最後の事件の為に火曜日クラブは開催されていたかの様な内容。短編十二作の関係値が無ければヘンリーもマープルも相互に協力関係は気づかれないだろうし、彼女の洞察力を披露したからこそ、今回の事件は「クリスマスの悲劇」の対比になっている様に思う。
 今作は短編ではなく長編として読んでも面白い。

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2023年07月24日

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『火曜クラブ』
サー・ヘンリーが語る事件。夕食に海老料理を食べたジョーンズ夫妻とミス・クラーク。ジョーンズ夫人が死亡する。事件前に妻の死を願うメモを書いていたジョーンズ氏にかかる容疑。メイドのグラディスが作ったコーンスターチ。ダイエット中のミス・クラーク。料理に混入された砒素。

『アスタルテの祠』
ダートムアに屋敷を購入したリチャード・ヘイドン。知り合いを集めて行ったパーティ。仮装した参加者。謎の女を演じるダイアナ・アシュレー、山賊の仮装をしたリチャードの従兄弟エリオット。アスタルテの祠で演技すくるダイアナに近づこうとしたリチャードが倒れる。駆け寄ったエリオット。刃物で刺されていたリチャードの死。翌日同じ現場で肩を刺されたエリオット。

『金塊事件』
レイモンドが知り合ったニューマン。無敵艦隊の船が積んでいた金塊を引き上げることに夢中になるニューマン。ニューマンに招待され彼の屋敷に向かう途中に汽車で乗り合わせたバッジウォース警部に聞かされた半年前の沈没船から消えた金塊の話。ニューマンの引き上げ作業を妨害するケルヴィン。ケルヴィンが何かを海から引き上げるのを目撃し暴行されたニューマン。ケルヴィンのトラックのタイヤの跡。

『歩道の血痕』
画家のジョイス・ランプリエールが目撃した夫婦。夫が古い知り合いの女性キャロルを妻に紹介する場面。三人で海水浴に出掛ける一行。消えた妻。干されていた赤い水着。ジョイスが地元民から聞かされた歩道にあらわれる血痕の伝説。ジョイスが目撃した血痕。1年後に再び目撃したキャロルと夫の秘密。

『動機対機会』

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2015年06月07日

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難事件を解きほぐす、ミス・マープルにおまかせ。

持ち込んだお話を聞いただけで、謎を解いてしまうミス・マープル。のんびりとしたおばあさんのイメージが強いが、実は鋭い目で人を観察し、小さな村の人間関係を考えの土台とし、不思議な事件の裏にある人間関係を解き明かす。時には自分の推理を元に事件を防ごうとする正義感の強い人。作品のトリック自体は、それはもう古典というべきか、あまり難しいものはない。よく推理小説を読む人なら、なんとなくわかってしまうものも。でもそれは瑕疵にならない。ありがちだけどキャラクターが揃っているし、物語はシンプルに面白く、しかしちょっと邪な気持ちでワイドショーを見ている楽しさに似ている。

印象的なキャラクターは女優のジェーン・ヘリア。頭がからっぽとされているが、彼女が語り手となる「バンガロー事件」などは、一筋縄ではいかないところを見せている。まあ、計画だけなら誰でも練ることができるから、そういうことを計画するだけでも、あまり頭がよくない、という捉え方は可能だけれど。

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2019年03月26日

Posted by ブクログ

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全編ミス・マープルの短編集。
各自真相を知っている話を披露して推理しあうということになり・・・

前警視総監もいるのに見事に推理してしまうミス・マープル(@_@;)
13編すべて真相を解いたのはミス・マープルでした。
短くて読みやすいけど、それぞれの話で色んな名前が出てくるから混乱しちゃいました。
私が単にカタカナ名前を覚えるのが苦手なだけかもしれないですが・・・(~_~;)
金塊事件で甥のレイモンドが簡単に人を信じちゃう性質だと判明してちょっと笑ってしまったw

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2013年11月18日

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