アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
避暑地の島で休暇を過ごしていたポアロだったが
集った滞在客たちの間には不穏な空気が流れていた。
それはただひとりの女性…
美貌の元女優の存在によるものだった。
自分の家族が一緒に滞在しているにもかかわらず
他の既婚者と親密な雰囲気をふりまく彼女が殺されたとき
滞在客の誰もがその結末に驚かなかった。
犯人は彼女の夫もしくは義娘か?
自分の夫を奪われた妻か?
それとも彼女の夫に好意をもっていた
幼馴染みの女性か?
ポアロはそれぞれのアリバイから
事件を読み解いていく…。
映画版もドラマ版も見たはずなのに
犯人忘れてた。
風光明媚な映像がたくさんあったのは
覚えてるんですけどね。
円熟期の代表作というだけあって、読み応えありました。
ザ・クリスティーって感じですねぇ。
登場人物がみんなちょっとずつ怪しい(笑)
ポアロさんが親切にする女性は
犯人じゃないかと思いきや
今回はいろんな女性に親切すぎて
見事にケムにまかれたわ! -
Posted by ブクログ
ミステリの導入はその後に始まる又は既に始まっている事件をどのように捉えるかを決定付ける重要なポイントだと思っているのだけど、本作ほど実態を掴めない導入は珍しいかもしれない
ポアロを頼ってやって来た依頼人、けれど彼女が口にしたのは「自分が犯したらしい殺人について相談したい」などとちょっと要領を得ないものだし、結局依頼をしないままに帰ってしまう
これ程までに「これから事件が始まるぞ!」と思えない導入はやはり珍しく思える
ただ、ポアロは依頼人が去り際に口にした「年をとりすぎていらっしゃるから」なんて言葉に触発されて動き出すのだから、別の意味で面白さがあるが
本作の特徴的な点は先に上げた導入部も有るだろうけど、殺人事件が一向に見つからないという点も上げられるね
依頼人になる筈だったノーマが殺人について言及したのに彼女の周囲にそれらしき殺人は無い
彼女の人間関係を探ってみても殺人が起きそうな気配は彼女以外から一切感じない
夢遊病のように歩き回るノーマが夢の中で人を殺し、それがいずれ現実に起きるのではないかと誤解してしまう程に殺人の気配は希薄
もう一つの特徴は殺人事件が見つからない為にポアロが手にする情報も方向性が生まれない事だね
何処に殺人が有るか判らない。だから探すべき情報も判らない。そうしてポアロや読者に提示される情報はバラバラ過ぎて推理の役に立つものが混じっているのかすら曖昧
物語が進展するのはやはり隠された殺人が見つかってから。でも、それだってその死が何を意味しているのか全く判然としない
それだけにポアロが「サード・ガール」の意味から事件の真相に気付き、更に事件が新たな展開を迎える流れは秀逸 -
Posted by ブクログ
ポアロもの。
ポアロの秘書ミス・レモンの姉であるハバード夫人が寮母を務める学生寮で、盗難騒動が次々と発生。
件の寮を訪れたポアロは、学生たちの前で警察を呼ぶべきだと主張します。
そしてその直後、盗難の一部は自分がした旨を打ち明けた寮生が謎の死を遂げてしまい・・・。
今回の舞台は外国人留学生の多い学生寮(学生だけでなく社会人も寄宿)ということもあって、登場人物が多く、誰が誰なのかを一致させる為、冒頭の登場人物一覧をいつも以上に行ったり来たりしながら読みました。
多種多様な寮生というだけでも大変なのに、寮の経営者・ニコレティス夫人は異常にヒステリックだわ、料理人のイタリア人夫婦もイマイチ鈍いわで、唯一まともなハバード夫人の激務っぷりに同情しつつ、試しに妹のミス・レモンに“一日寮母”をさせたらどうなるのかな・・なんて思ってしまいました(特にミス・レモンVSニコレティス夫人は見てみたいかもw)。
で、盗品&破損品と人物を結びつけたり、寮生たちの関係性を洗ったりしていくうちに、第二第三の殺人が起こり、さらには思わぬ組織犯罪が浮かび上がってくる展開です。
今回もポアロは“いい仕事”をしてくれるのですが、いつもに比べて前面に出てこず、“整理と紐づけ作業”に徹している印象です。
そして一緒に捜査をするシャープ警部も、ニコレティス夫人にブチギレされながらも、辛抱強く関係者たちへのヒアリングをしたりと地道に頑張っておりました。
余談ですが、西アフリカ人のアキボンボ君の「(被害者が殺されたのは)部族間の血の恨みだったのでは・・」という証言には、“大喜利の回答か!”とツッコミたくなりました・・勿論、彼は大真面目なんですけどねw
犯人に関しては、“一周廻ってそこですか!”という感じでしたが、“あの人”と“あの人”が母娘だったというのは驚きで、見抜いたポアロは流石です。
事件解決後は、急にカップルが誕生するなどほっこりしたラストで、ミス・レモンもノーミスになり、めでたしめでたしでございました。
ところで、前述したようにこの話には多種多様な人種のキャラが登場するのですが、今だったらポリコレ的にマズイんでねーの?という程差別表現満載で、これも時代なんかなー・・と思った次第です~。 -
Posted by ブクログ
「犯人」だけ覚えていたので
他の部分は新鮮に感じながらの再読。
年を取ったポアロが療養しているのは
ゲストハウスとなったスタイルズ荘。
呼び出されてやってきたヘイスティングズは
ここに殺人を教唆する稀代の悪人Xがいて
新たな事件が起きる可能性を知らされる。
車椅子になって身動きの取れないポアロのため
住人や近隣の関係者に話を聞こうとするが
その中には彼の最愛の末娘も含まれていた…。
人の善いヘイスティングズさえ
自分の愛する人間が絡むと
一線を越えそうになってしまう。
人間の弱い部分を操る今回の犯人は
平然と近くに暮らしていそうで怖い。
そう考えると『スタイルズ荘』の
ある意味わかりやすい犯人像の対極だね。
最後の最後にヘイスティングズと
一緒に捜査をする話が読めて良かった。
文句を言いあったり
ちょっとイライラしあったりしつつも
ポアロさんが一番信頼しているのは
ヘイスティングズだから。
そばにいてくれて良かった。 -
Posted by ブクログ
話に派手さも深さも無いし、トリックも特異な点があるわけではないのだけど、それだけにクリスティらしさが詰まった作品と言えるのかな?
事件は愚かな少女が殺人現場を見たと吹聴した事から始まる。その構図は個人的に『葬儀を終えて』を思い出させるかな
自分の発言がどのような影響を生むか全く想像できていない愚か者の言葉が無用な殺人を呼び起こす。まあ、あちらはもう少し異なる構図ではあるけれど
本作の特徴を一つ挙げるならそれは被害者が幼い子供である点か
クリスティ作品によく見られる金銭も愛憎もあまり絡んでこない年代が被害者となれば、作中で盛んに言及されるように変質者や狂人による犯行を疑いたくなるもの
でも、そこに理性的な犯行動機があるならば、また被害者のジョイスが殺される直前に吹聴した殺人の話に意味があるならば
今回の事件をややこしくするのは、ジョイスの発言を信じる者が皆無な点だね。ジョイスの話を起点に事件の推理を進めるしか無いのに、彼女の話から事件の全容は見えてこず、従って彼女が目撃した筈の過去の事件も容易に見えてこない
ただ、ポアロはいつもの調子で事件関係者の話を聞き続ける事で推理を膨らませていくわけだ
そうして辿り着いた真相にやはり派手さはないのだけれど、子供が被害者として描かれたからこそ活きるラストであるようには思えたかな -
Posted by ブクログ
ネタバレ攻略本で0.5点(ポアロシリーズの中で最低点)の本書。
実家の本棚にもあるので読んだことはあるはず。
例によって内容は全く覚えていないけど、いやさすがに0.5点てことはないはず、と読み進めると。。。
冒頭のヘイスティングスが南米から帰還する場面こそ、「ヘイスティングス、おかえりー!!」と思ったけれど、そこから始まるこれまでのポワロものから急に路線変更したかのような国際諜報ものと化す展開に戸惑いを覚える。
え、なんで世界を暗躍する犯罪組織に急に目をつけられる!?
そりゃ世界的に名声を馳せる優秀な探偵ではあるだろうけど、何かしらの因縁があるわけでもなし、唐突感が否めない。
その上、一章々々であっという間にポワロvsビッグ4の小さな一幕が完結してしまい、長編というよりむしろ短編集の趣。
と思っていたら、巻末の解説文で当時既出の短編達を再編して長編に仕立て上げたという経緯があった模様を知り、あぁやっぱりと。
しかも、そのタイミングはクリスティ失踪事件の直後ながら、名作『アクロイド殺し』の後に間をおかず作品を世に出したいという出版社の強欲事情が絡み合い、無理くり生み出された代物のよう。
なんと不幸にまみれた作品。
それでも自分的には、その昔クリスティに傾倒していた頃はランダムに読んでいたので気付かなかったけれど、今順番に再読している中でポワロシリーズが辿っている山谷、試行錯誤、意外とシリーズとしての経過も盛り込まれている点(猟犬ジロー警部に対する言及やヘイスティングスの結婚と南米行き等)を感じ、ある意味興味深い一冊となった。
攻略本霜月氏のコメントの数々の辛辣ぶり、極めつけの「エンタテイメント小説の研究者以外は『ビッグ4』を読む必要はない。」にも遺憾ながら同意してしまうが、逆にその作家人生の序盤にしてかなり大きな谷がありつつ、ここから盛り返すクリスティの作品群に、女王の底力を感じるものでもある(ちなみにあとひとつ0.5点がある。。。)。
次は『青列車の秘密』。 -
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ノンシリーズ(メアリ・ウェストマコット編)。
想像力が豊かで内気なシーリアは、優しい母親・ミリアムや、周囲の人々に温かく見守られて不自由のない少女時代を過ごします。
やがて、美しく成長したシーリアは、穏やかで堅実なピーターと婚約していたのにも関わらず、突如現れたダーモットから猛アプローチを受けるうちに、彼に惹かれていき・・。
本書はメアリ・ウェストマコット名義で描かれたロマンス小説(ミステリでない方のクリスティー)シリーズの一つで、クリスティーの自伝的な内容といわれているようですね。
冒頭では、とある肖像画家が、今にも自殺してしまいそうな女性(シーリア)と知り合い、その彼女から聞いた半生を“知人の作家・メアリー”に物語にしてほしいと依頼する、というところから入っていて、そこからシーリアの長い物語が幕を開けるという構成です。
シーリアの子ども時代にかなりのページが割かれていて、そこがちょっと冗長に思われがちですが、ここで彼女のバックボーンがしっかりと描かれていることによって、その後の展開におけるシーリアの価値観への理解に繋がるのかな・・と思いました。
そして、問題の(?)ダーモットが登場してからはもう危惧した通りの展開というか、無駄だとわかっていても、シーリアの母・ミリアムと同じような気持ちで“ダーモットはやめておけ!”と思いながら読みました。
ダーモットの“やめておけポイント”は無数にあるのですが、個人的に最も“コイツはアカン!”と思ったドン引きポイントは以下の場面です。
↓↓
ダーモット「・・約束してくれたまえ、いつまでも美しいままでいるって」(←は・・?)
シーリア「でも、もしあたしが美しくなくなっても、愛してくださるでしょう?」(←頑張れ、シーリア!)
ダーモット「そうはいかないよ。同じというわけにはね・・以下略」(←おいおい!お前もオッサンになるだろうが!そこは棚上げかい!)
・・と、このような身勝手なダーモットと夢見がちなシーリアとの結婚生活は、お互いが未熟だったということもあると思いますが、最初から危なっかしくて見てられない感じでした。
さらに、最高の理解者だった母・ミリアムの死で消沈していたところに、ダーモットから離婚を切り出されるというダブルパンチですっかり病んでしまったシーリアが痛々しくて、読んでてしんどかったです。
因みにこの辺りは、クリスティーの“失踪騒動”の原因となった事情とも重なりますよね。
そんな訳で、後半は結構しんどいシーリアの半生でしたが、クリスティーの巧みな人間描写で綴られているのもあって、なかなかの読み応えでございました。
あと、冒頭に登場した謎の肖像画家と、本文中に度々シーリアの妄想(?)に出てきた“切り株のような腕”という暗示が終盤で繋がってきたのもゾクっとさせられましたね。
ミステリとはまた違った味わいの、メアリ・ウェストマコット名義で描かれたロマンス小説(?)シリーズは、この作品の他に五作(全六作品)あるとのことなので、また追々読んでいきたいと思っております~。