アガサ・クリスティーのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
婚約中のロディーとエリノアの前に現われた薔薇のごときメアリイ。ロディーが彼女に心変わりし、婚約は解消された。エリノアの心に激しい憎悪が湧き上がり、彼女の作った食事でメアリイが死んだ。犯人は私ではない!エリノアは否定するが・・・嫉妬に揺れる女心を、ポアロの調査が解き明かす。
クリスティお得意の男女のもつれが引き起こす殺人事件、と思いきや?という展開。誰がどう見ても犯人はエリノアが怪しいので、さすがに犯人は違うんだろうと思うものの、動機がはっきりしないので全然分からなかった。しかしロディーのろくでなし具合にはイライラしたね。こんな男と結婚しなくてエリノアは正解だと思うよ。普通なら被疑者だから手のひらを返したように逃げていってもおかしくないのに、無実を信じて(場合によっては有罪でも)助けようとしてくれたドクターの方がよっぽど男前。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ牧師の四男であるボビイは、友人とのゴルフの最中に崖から転落した男を発見する。男はボビイが見守る中、「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」という謎めいた言葉を残して絶命する。
男の身元を示すものがないかとポケットを探ったところ、そこには女性が写った写真があった。
ボビイは、現場を通りかかったロジャー・バッシントン・フレンチに死体の番を任せるが、その間に死体のポケットの中の写真がすり替えられたことを後に知ることになる。
ロジャーの怪しい行動からこれは単なる事故ではないと見抜いたボビイは、幼馴染のフランキーとともに独自の捜査を始める。当然、潜入先はバッシントン・フレンチ家。さらにその近所に住む怪しげなニコルソン博士にも目をつける二人。だが犯人の魔の手は、逆に二人にも伸びてくる。
最後の最後までエヴァンズの正体がわからないところ、「トミーとタペンス」のような純朴な青年ボビイと上流階級の娘であるフランキーの凸凹コンビの冒険活劇、そして最後は大団円。クリスティーらしさが詰まった一冊。 -
Posted by ブクログ
都市化が進むセント・メアリ・ミードと、ミス・マープル自身も老いを感じる今日この頃。懐かしい人々のことを思い出し、少しセンチメンタルになるマープル。
大物女優とその夫が移り住んだゴシントンホールは、かつて『書斎の死体』で死体が発見された曰く付きの場所。そこで開催されたパーティには、多くの周辺住民が参加する。そしてそこで、野戦病院協会幹事のヘザー・バドコックが殺害される。
ヘザーはパーティの主役でもある女優のマリーナと間違えて殺されたのか、それともはじめから彼女自身が狙われたのか。全ての鍵は、ヘザーと対面した時にマリーナが浮かべた「凍りついたような表情」にあった。
立て続けに殺人が行われるものの約450ページとやや冗長に感じるが、全ての真相はマリーナの仕草に集約されているので、それを推理しながら読むと面白い。最も、終盤に入りマープルが目撃者たちの言葉を正確に検証するあたりで大方の予想はつく。
当事者であれば理解できるであろう殺意の描き方が巧み。
変わりゆく村でも情報の伝わるスピードは健在で、人々の在り方や価値観の変化にもクリスティは常に目を向けている。 -
Posted by ブクログ
スーシェ版ポワロさんに合わせて手に取りました。
しばらくはドラマのエピソードに先駆けて読むタイトルが決まりそうですが……この次は『ゴルフ場殺人事件』。じゃあいいか笑。そしてその次が『もの言えぬ証人』。おおこれは気になります。
さて今作は、ポワロさんの優秀な秘書ミス・レモンが仕事上のミスを犯すところから始まります。
それにしても、ドラマ版ではあんなにチャーミングなミス・レモンですが、原作では「実務的な観点から見れば、彼女は女ではなくて、機械だった――完璧な秘書だった」と表現されているのがちょっと面白い。良い改変だ。
そんなミス・レモンの気が散ってしまっていたのは、お姉さんの悩み事のせい。
ということで、彼女が管理を任されている学生寮が今作の舞台となります。
「学生寮」といっても、暮らしているのは学生だけでなく社会人も。様々な国籍の人物が出てくるので、当時のアメリカやアフリカの人々がどう見られていたかも垣間見られて興味深いです。
いつものごとく、国籍と専門(職業)と性格を一致させるのに苦労したのですが……今回それより気になったのがポワロさんの口調!
年配の訳者さんだったので予想はしていましたが、ミス・レモンや学生相手に「あんた」と呼びかけるのはなんだかなんだか〜!ドラマではどんな表現になっているのか、よくチェックしたいと思います。
そんな引っ掛かりはありつつも、中盤からするするとページを繰る手が進んでしまうのはやっぱりいつものクリスティー。
「いかにも怪しい人物はシロ」「いかにも怪しい人物がクロ」、両方のパターンがありますがさて今作は。私は裏をかいて見破れませんでした笑。
たくさんの人物が出てきますが、読み終える頃にはすっかり認識できるのがクリスティー作品のすごさですよね。アキボンボ、いいひとだなぁ。 -
Posted by ブクログ
『黄色いアイリス』ではじめましてだったパーカー・パインについてもっと知りたくて、短編集を手に取りました。
前半は"パーカー・パイン劇団"が奮闘するお話、そして中盤からはパイン氏が旅先で出会う"不幸な人たち"の悩みを解決する構成に。
単発ドラマとして発展できそうな形だけに、パイン氏の登場がこれ限りなのがなんとも残念。月曜20時のドラマでやってそうなのに……。
個人的に好きだったのは「退屈している軍人の事件」。『ハロウィーン・パーティー』に登場したリンゴ好きのオリヴァ夫人の筋書きに、思わずニヤリ。こういう誰も傷つかない結末にはほっこりしてしまいますね。
多くの活躍はありませんでしたが、パーカー・パイン氏(とその仲間たち)と「あなたは幸せ?」の新聞広告には、一度読んだら忘れられない印象を植え付けられたのでした。 -
Posted by ブクログ
ポアロもの。
資産家、アバネシー家の当主・リチャードの葬儀が終わり、出席した親族一同の前で遺言執行人の弁護士・エントウィッスル氏から故人の遺産の内容が公開されます。
ですがその時、リチャードの末妹・コーラの放った爆弾発言により、その場が凍り付くことに。
「だって彼は殺されたんでしょ?」
そしてその翌日、コーラが自宅で殺害されているのが発見されて・・。
これぞファーストインパクト(?)といった感のある、コーラの爆弾投下。
もう、これで引き込まれちゃいますものね~。
この、“・・彼は殺されたんでしょ?”は、
“いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ”(『死との約束』)
“なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?”(『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』)
と並ぶ、クリスティー“つかみ名台詞3選”といったところでしょうかね。(※現時点)
(因みに、個人的な“優秀つかみシチュエーション編”は『パディントン発4時50分』です♪)
さて、コーラの発言と彼女の死亡によって、リチャードの死因も怪しくなってきたぞ・・ということで、序盤は弁護士のエントウィッスル氏が、独自で関係者達にヌル目のヒアリングをしていき、中盤からはそのエントウィッスル氏から依頼を受けたポアロが登板してガッツリ調査していく流れです。(UNARCOのポンタリエってw)
とにかく、相続関係者(ある意味容疑者)が多いので、巻頭の家系図を頼りに読み進めていた私ですが、今思えば“家系図に注目”してまうという事自体、トラップに嵌っていたのかも・・( ゚д゚)ハッ!?
こうして真相を追っていく過程で、彼らの抱える事情や人間模様がじわじわ炙りだされてくるというじんわり展開で、ちょっと進みが遅いかな・・と思いつつ、これまでクリスティーの印象操作によるミスリードに散々騙されてきた実績(?)を持つ私なりに、“敢えて怪しくない人物”をマークしていたのですが・・結果、大ハズレでしたー!
犯人が想定外な人物だったどころか、最初っから騙されてましたよ~。
さすが、クリスティー師匠は1枚も2枚も上手でしたね。
ところで、本書に登場したアバネシー家親族の男性陣が揃いも揃ってダメんずばかりで(何だかクリスティーあるあるになってきた模様)、特にスーザンとモードには“目を覚ませ!”と肩を揺さぶりたくなった私です~。 -
Posted by ブクログ
スーシェ版ポワロさんの次の回が「黄色いアイリス」なので先に原作を読んでみました。ドラマもどんどん見たいのになかなか進みません(^^;
9話収録のうち、先にドラマで観ていたのは3編。いずれも、脚本家の脚色のうまさが光る作品になっていましたね。
そして本書を手に取るきっかけとなった「黄色いアイリス」も、映像映えしそうな内容。どんな演出になっているのか、楽しみです。
短編はさくっと読めていいのですが、いかんせん長編よりも人物を覚えるのに苦労します。覚えた頃にはお話が終わってしまう……。
中でも気になったのはパーカー・パイン。調べたところ、このお話に登場したマギー・セイヤーズは悪女を演じることが多いんだとか。ドラマで大好きなミス・レモンも同名で出演しているそうで、次はパーカー・パインの短編集を読んでみようと思います。
それにしても、「二度目のゴング」はあの格闘技に出てくるゴングでいいんだろうか……??