アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ愛の探偵たち
クリスティの短編集。女史が生み出してきた探偵たちが活躍する作品集。
三匹の盲目なねずみ
100ページ以上ある為、中編だと認識。新婚夫婦が初めて民泊を経営し、そこに宿泊する様々な特徴の人々。大雪で外部との連絡が途絶えた環境。捕まらない殺人鬼。「雪の山荘」のお約束が十二分に詰まったお手本の様な作品。合わせて、クリスティはサスペンス作品の出来も素晴らしい事を思い出させてくれた作品。
ストーリーについてはある程度犯人も予測しやすくなっているが、とても面白い。登場人物達の癖づけによって皆んなが怪しく見え、疑う事が出来る状態で進行する為、スリリングな内容だ。
奇妙な冗談
マープルが登場。若き夫婦の叔父が亡くなり、遺産があるはずだが見つからない。知人の伝手でマープルを紹介してもらい、遺産探しがスタートされる。短い物語で大きな波は無いが宝探しは古今東西面白い道理で今回もとてもユニークに感じた。高額切手での遺産は今の時代では中々思いつかないが、叔父さんのちゃめっ気にほのぼのした空気感の物語だ。
昔ながらの殺人事件
探偵役はマープル。セントメアリミードで発生する事件について、全てマープルに報告すれば良いのにと思うのは僕だけだろうか(笑)警察署長に至るまでマープルの観察力、推理力についていけるものはいない。今回もスペンローという人物が感情を出さないタイプなので警察から疑われているが、この時代は陪審員制度然り、感情に訴えなければ無罪になれないのではと思う程だ。
マープルの観察と推察はシンプルであり急所を突いている。今回はお節介な部分も魅力だ。
申し分のないメイド
探偵役はマープル。村で発生する盗難事件について。彼女が最後、犯人を警官に告げるシーンにおいて、自身のメイドのいとこがあらぬ疑いでクビになり、噂が経っている事を解消する為に憤りを感じている部分が、彼女の優しさだけでは無く強さも表している。事件はありきたりではあるが、犯人の正体についつは楽しむ事ができた。
管理人事件
病気で塞ぎ込んでいるマープルにヘイドック医師が身近で起きた謎をまとめて持参。
若くてお金持ちの夫婦。夫の故郷である田舎に戻り、家を再興し、昔ヤンチャだったがオールドミス達に認められ。そんな暮らしの中で、以前敷地の古屋敷に住んでいた老婆が嫌がらせをする様になり。マープル曰く、昔から人が大きく変化する事はない。後味が悪い事件である。
四階のフラット
探偵役はポアロ。若い男女グループがフラットという旧イギリスの家屋で鍵を無くしてしまい裏通路(ゴミ捨て場?)から侵入し部屋のドアを開けようと試みるが、誤って下の部屋に侵入してしまい。死体を発見し、困っているところ、上のフロアにいたポアロが助け舟を出す。最後、ロマンチックに締めていくところがポアロシリーズらしい結末だ。
ジョニー・ウェイバリーの冒険
ポアロシリーズ。ヘイスティングスも登場。誘拐事件。被害者家族の屋敷内にて偽装が多すぎる為、ポアロは違和感に気づく。いわゆる誘拐偽装事件であり、ある程度見たことのあるストーリーだった。
愛の探偵たち
表題作。探偵役はクィン。表題作の探偵がクィンである事が感慨深い。内容はありきたりなものでアリバイも当時のミステリーに有りがちな壊れた時計の二重仕掛けだ。犯人達がそれぞれ自分が犯人だと名乗り上げ、殺害方法を実際のものと違う方法を挙げ推理が自分達に向かない様に偽装する。何重にも偽装を仕込んでいるところが面白い作品だ。 -
Posted by ブクログ
クリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。普段の文脈と違った表現方法。序盤は不思議な感覚だった。
今作は飛行機内という密室での殺人だが、密室である事がテーマではなく、フランスで金貸しをしているマダムジゼルがどのように殺害されたのかがポイントだ。当時の推理小説ではありきたりで古臭い印象があるであろう、未開の地住人の吹き矢、未発見の毒など、大げさに伏線を広げながらも二本のスプーンや黄蜂の死骸、乗客の持ち物リスト等実際の手がかりも十二分に描写し、きちんと道筋が立つ様にしている。
当時飛行機というものがどの様なものだったかがわかる描写が面白く、ポアロが飛行機が苦手というのもイメージ通りで彼の可愛らしさの部分である様に思う。
クリスティ作品は時代背景と海外ミステリーという側面から登場人物がこんがらがる事が多いが、今回は飛行機のスチュワード等登場人物に挙げられていない人物も多く、冒頭に挙げた様に少し変わった書き方をしていた為、序盤なかなか苦労してしまった。
クリスティは年寄りの描写も上手いが若くて魅力的な女性を描くのも得意で読者として感情移入しやすい。ジェーンについては犯人かどうかわからない中でポアロの「お節介」が始まった段階で犯人ではなさそうだと感じたが、ポアロの粋な計画もあり悲劇的であるがこれから希望に満ちていく女性としてとても印象深い人物だ。最後、あれ程ポアロが感心するなんて(笑)とてもチャーミングだ。
また、クリスティ自身、考古学が割と身近にある関係上、考古学者の冒険に割と肯定的なのだろう。
トリックとしては大味で、果たして3分程度で今回のトリックが可能かどうかは疑問だ。合わせて毒針を手で刺すにしても上手くできるかどうかは謎なのだが、ここはご愛顧で良いだろう。
人の人相なんて他人であれば気が付かないため、変装などについては納得のいくものであった。
ポアロ含め警察も関係者を洗いざらい巻き込むのはミステリー古典のお約束だが、なかなか今回は冒険があると感じている。ホーバリ夫人への脅迫然り、ジェーンを秘書として連れていく事然り。古典だからこそ許容できる面白さだと思う。
最後に、ジローは少しばかりでも登場し、皮肉の一つでも言って欲しかったが(笑)名前がでるだけでも楽しい気分になった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ<トミー&タペンス>シリーズ。第一次世界大戦終結後のロンドンで再会した幼馴染のトミーとタペンスは、失業中でお金が無いし退屈だからと軽いノリで「ヤング・アドベンチャラーズ」なる万屋みたいな会社を起こすも、怪しげな依頼をきっかけにヒッチコック映画さながらの陰謀騒動に巻き込まれてしまう。
クリスティーが本作のような冒険小説を発表していたこと自体に驚かされた。ポアロやマープルや『そして誰もいなくなった』のようなミステリー小説のほうが馴染み深いぶん読むのに苦労したが、楽しめた。ただトミーとタペンスの向こう見ずでお金に意地汚い部分は少し苦手。 -
Posted by ブクログ
記念すべきポアロの第一短編集。個人的にはクリスティの本領は、やはり短編より長編にあるかなと改めて感じた。と言いながらそんなにたくさんは読んでないが。笑
短編であるが故に、ポアロとヘイスティングの名(迷)コンビぶりがよけいに際立ち、ポアロのある意味鼻持ちならない自信過剰ぶりが際立っている。この一冊だげだとポアロの魅力の一端しか伝わってこない気もする。
謎解きそのものは、単純でオチを知ってしまえば「そんなもんなのね」というものが多い。驚きが少ないという意味では、ミステリの出来としてはごく普通という気がする。
謀略小説風の「首相誘拐事件」と、伝奇小説風の「エジプト墳墓の謎」が個人的にはお気に入り。