アガサ・クリスティーのレビュー一覧

  • 牧師館の殺人

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    久しぶりにクリスティでも読むかと思ってミス・マープル・シリーズを読み返している…といいつつ、この「牧師館の殺人」は初読な気がする。学生時代、ポアロは好きだったけど、マープルはあんまり読まなかったんだよな。

    謎解きの要素は謎解きの要素としてあるのだが、そんなクラッシク・ミステリーを楽しむ年でもないので、イギリス田舎町の有閑婦人やメイドの、時代がかった描写が楽しい。1930年というから、ざっと100年ほど前の現代小説。

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    2023年10月15日
  • カリブ海の秘密

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    療養のためセント・メアリ・ミード村を離れて遥か彼方の西インド諸島を訪れたミス・マープル。
    そこは最早リゾートだからセント・メアリ・ミードのような人間関係は生じないかと思いきや、裕福な人間たちが限られた空間に集うわけだから根本的な人間模様は変わらない
    つまり噂も憶測も飛び交うお喋りの坩堝と化すわけだ

    ゴールデン・パーム・ホテルにてお喋りの代名詞となっている人物がパルグレイヴ少佐だね
    ミステリにおいて、口が軽い人間が殺される率は高いものだけど、彼もその例に漏れず
    ただ、この場合に厄介だったのは彼があまりにお喋りだったせいで皆が彼のお喋りを話半分にしか聞いていなかった事か

    誰も彼もまともに聞いてないのに、パルグレイヴ少佐はお喋りのせいで殺されてしまった
    マープルは人との会話からその人柄を読み取るのが得意なタイプだけど、肝心な人物の話が曖昧なものだから推理も上手く進まないという点が今回の事件の特徴かな

    また、もう一つの特徴を上げるなら、マープルの助手役となった人物が風変わりと云うか驚きの人物であった点だろうか
    マープルは療養に来るくらいには体の自由が効かない状態。おまけにポアロのように名探偵を名乗っているわけでもないから警察を自由に動かせもしない
    だから彼女の代わりに動いたり、考えを補佐する人物が必要となるわけだけど、まさかあの人物がマープルの助けになるとは思わなんだ
    マープルの推理力に感激し協力的になる人物は数あれど、あのような姿勢から協力的になった人物はかなり珍しいんじゃなかろうか?


    あと、特徴と言える程のものではないけど、あとがきで言及されているように、本作はマープルの柔軟な姿勢が目立って居るね

    ゴールデン・パーム・ホテルでは知り合いがいるわけでもなく、むしろ彼女と年の離れた人物ばかり。夕食時にはスチール・バンドが鳴り響くなど彼女向けの環境とは言い難い
    それでもマープルはその環境を楽しもうと自分の言い分を他所において、全く異なる生き方をする人物の話に耳を傾けるし、スチール・バンドも好きになろうと努力する

    そういった控えめな積極性が噂をかき集めなければ真実に到達できない事件の解決へ近づく助けとなっていると読み終わると判るね

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    2023年10月10日
  • ヘラクレスの冒険

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    ネタバレ

    冒頭のポワロによる自分の名前の由来であるヘラクレスに対する突っ込みが面白かった。印象に残ったのはアルカディアの鹿 (わりと爽やか)、ステュムパロスの鳥(推理できた)、クレタ島の雄牛(いかにもな話の流れからの急展開に意表を突かれた)、ヒッポリュテの帯 (元がわりと艶っぽい話なのでどうポワロと取り合わせるのかと思ったら上手くまとまっていた)。いい話とは思わなかったけど展開に驚いたのはアウゲイアス王の大牛舎 (ポワロ側のやり方が汚くない?)。

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    2023年10月05日
  • 招かれざる客

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    戯曲なので苦手な人はなかなか読みづらいかもしれないですが、内容は素晴らしいものでした。いい意味でアガサ・クリスティーらしい作品でタイトルの回収もしっかりやってのけるところが読んでいてすごく気持ちよかったです。

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    2023年10月01日
  • バートラム・ホテルにて

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    ネタバレ

    クリスティの長編ミステリー。探偵役は(一応)マープル。
     推理小説の探偵物でよくある光景が警察官が無能であり、探偵の足を引っ張る構図だ。探偵を邪険に扱い(場合が場合なので仕方ない部分もあるが)、的外れな推理をしてんで真実に辿り着けない様な人物や事柄を重宝し、しまいには探偵が解き明かした真実を受け入れ犯人を我が物顔で逮捕し、探偵に笑顔を振り撒いて一件落着する。ある種のお約束だ。さて、では、もし探偵がいる中で警察官がとても優秀だったらどうなるのか。答えは「面白味に欠ける」だった。
     今作に出てくるオヤジさんこと主任警部のフレッドは優秀であり、完全にマープルが脇役になっている。読者は当然、探偵の活躍を見たい訳で、勿論、今まで上記の様な不平不満を言ってきた訳だがあくまで探偵役、真実を解き明かすのはマープルであり、警察官は彼女の推理に感嘆するというのが大好きだった事に気付いた。今回はバトル警視の様な形が良かったのではと感じてしまう。マープルの存在感が余りにも小さかった。
     事件発生までバックボーンにある強盗事件などが取り上げられ、どうやら登場人物達に関係がありそうだという事がわかる。更には昔の様式を現代に受け継いでいるバートラムホテルが舞台となり、マープルは子供の頃訪れたこのホテルを姪からのプレゼントで訪れる事になる。
     美しい秩序あるホテルが舞台であり楽しい印象を得る。荘厳ではありながらも何処か現実的ではない何かを感じるホテル。従業員達は一流であり、滞在客は昔の時代からやってきた様な年寄りと外国人達。そこで始まっていく事件。序盤中々何事もおきず、中盤からようやく物語が進行していく。
     今作の母娘は印象的で、娘についてはリドルストーリー的な雰囲気で幕を閉じる。後見人など、彼女の幸せん願っている事に間違いはないが、最後は何とも悲劇的な幕切れだった。改めてマープルの関わり方が不明。
     作中でマープルがロンドンを満喫している様子は滅多に見られない描写で嬉しく思った。しかし彼女は何処に行っても殺人と巡り遭う運命なのだろう。
     余りにも広範囲の事件になる為、やはりノンタイトルで整理されたら一級品だった様に思う。ドンデン返しの犯人は想像を超え、最終章だけならクリスティ作品の上位に挙げても良いくらいだ。

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    2023年10月01日
  • 海浜の午後

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     戯曲3編収録。
    〇「海浜の午後」
     読んでいると少し登場人物がワチャワチャしている感じがするが、おそらく舞台では人物の出入りがはっきりするので、あまり気にならないのだろう。
     過保護の青年の恋愛話など全体にユーモラスなものにしようとしているのだろうが、ラストはあまりスッキリしない。

    〇「患者」
     転落して動くことも口をきくこともできなくなった患者。事故なのか、自らの意思で落ちたのか、それとも犯罪か。警察は医師の協力により、ある実験によってその真相を明らかにしようとする。

    〇「ねずみたち」
     何者かによりアパートの一室に誘い出された男女。誰が自分たちをここに呼んだのか、またその目的は何か。動機というか目的にはやや強引なところがあるが、追い詰められていくサスペンスが良くできていると思う。上手い役者が演じれば、観ていて面白いのではなかろうか。

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    2023年10月01日
  • 白昼の悪魔

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    ポアロシリーズで「してやられた」って思うの何回目だ。
    今回もロマンス寄りの話かと思いきや、本格的なミステリーだった。
    関係者達の言動や目にした情報から、あらゆる可能性を考慮し犯人に辿り着く。
    灰色の脳細胞を駆使したポアロの推理が冴え渡る。
    最初から最後まで面白く読めた。

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    2023年09月28日
  • 象は忘れない

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    過去に起こった事件の真相を究明するため、ポアロが動く。最後にはこれぞクリスティといわしめる真実が解き明かされる。ポアロ作品の後年の名作。

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    2023年09月28日
  • メソポタミヤの殺人

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     メソポタミアの殺人
     クリスティの長編。ポアロシリーズ。
     外国旅行物、現在のイラクあたりの土地の様であり、考古学の発掘隊が舞台になる。
     余り地理感覚はないのだが、何故だかクリスティの外国旅行物はワクワクしてしまう。彼女の描写力は人物像に留まらず風景描写も素晴らしい。また、彼女自身、考古学の様々な工程に知識があり(パートナーが考古学者だったのは有名)作業工程の描写がリアルだ。こういった要素を習得しているミステリ作家は少ないと思うので、彼女の作品の差別化としても重要な要素だ。
     ストーリーの大筋は王道のフーダニットであり、また殺害のトリックがかなり個性的(現代では似たようなトリックを使った作品が幾つかある)
    であり、実際様々な問題点はあると思うが、当時の発想としてはとても面白いものだと思う。
     当然かも知れないが、第二の殺人は毒によるありきたりなものであり、犯人からすれば急遽の殺人の為矛盾は無いのだが、物足りなさを感じてしまう。第一の殺人だけでは解決にもっと時間がかかっただろう。というポアロの見立ては間違いなく、彼が屋上にて今回のトリックの着想を得るのも第二の殺人によってだった。
     登場人物が目新しくポアロは旅の途中の行程を変更し、彼等の事件に協力する事になる。語り手も事件に遭遇した看護師が勤めており、普段のシリーズと雰囲気が少し違っている。
     真相において、犯人への同情が語られているが全く不思議だ。どう考えても同情の余地は無いと思うのだが。また、十年以上前ではあるが、夫婦になった相手(しかも推理上は彼女は彼を恐れていた)について、全く思い出さないという事があるのかが疑問だ。(頻繁に話題にも上がるし、相手のさが気付かない何気ない癖などもある様に思う)被害者の性格を加味しても中々難しいと思ってしまう。全体的に面白い作品だが、少し捻くれて読んでしまった。

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    2023年09月23日
  • バートラム・ホテルにて

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    ネタバレ

    これまで読んだアガサクリスティーの小説とは少し違った。人が死ぬのもかなり後半の方だし、牧師さんは生きてたし。でも比較的人物関係も整理しやすくはあったから理解はしやすかった。強盗事件が物語の軸ならもっとそこを深く掘り下げて書いて欲しかったかも。

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    2023年09月22日
  • 鳩のなかの猫

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    イギリスの名門校で教師が殺害される。その少し前に起こった中東での革命で、莫大な価値を持つ宝石が消え失せた。この二つの事件の関連は?
    ここに誘拐事件なんかも絡んできて、事件だらけ。ポアロも中々出てこない!!

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    2023年09月19日
  • 愛国殺人

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    かの有名なポアロも歯医者に掛かるのか、と謎の親しみを覚えた。
    彼に治療を施した歯科医が突然自殺してしまう。
    しかし、その死を不審に思ったポアロは調査を開始する。
    巧みにミスリードさせる犯人の手腕に最後までやられっぱなしだった。
    よくよく考えるとなかなかシニカルな邦題だなと。

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    2023年09月19日
  • エッジウェア卿の死

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    ネタバレ

    ヘイスティングスとジャップ警部が出ている、ということで手に取ったのですが、ちょっとこの翻訳は私には合わなかったですね……。新訳版ばかり読んでいたからか、いわゆる「海外モノ」っぽい訳に翻弄されてしまいました。ヘイスティングスがポワロのことを「ゴキブリ同然」と評するなんて!

    それでも、やっとたどり着いた手記にはすっかり震え上がってしまいました。うーむ、なんとも恐ろしい。
    ジェーン・ウィルキンソン。彼女は、ポワロシリーズのみならず、これまでに読んだあらゆるミステリーの中で5本の指に入るほど、強烈な魅力を放つ犯人です。

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    2023年09月18日
  • 第三の女

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    自分は殺人を犯したかもしれない。という依頼人。結局依頼はせず、そこから物語が進んでいく。クリスティ晩年の名作。

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    2023年09月12日
  • 死の猟犬

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    クリスティの短編集。
    幻想、怪奇小説が集まった作品。クリスティはミステリ、恋愛のイメージが強かったが、今作では新しいクリスティ像が見られる様な気がする。今作は過去に読んだ事が無く初めて読む事になる。

    死の猟犬
    表題作。友人の話からイギリスの田舎に住む姉を訪れ、戦争時代に謎の爆発現象にてドイツ兵を吹き飛ばした修道女の行方を聞く。彼女を匿う医者と彼らの元に起きる事件。それぞれに現れる「猟犬」の痕。幻想怪奇にまつわる作品ではあるが、未来予知と死の猟犬については「不思議」と思うしかないのだろう。
    赤信号
    サスペンスミステリー。短い作品だが出来は良く面白い。テーマは予感、直感。主人公が親友の妻に恋してしまい、叔父から警告され、更には医師である叔父が彼等の家に招待を受けた理由が医師としての考えからで、殺人狂の症状が見える為監禁しなければという提案(この時点では女性の方がと思ったが)に、主人公は反発する。その後、主人公が帰宅すると家から身に覚えのないリボルバーがみつかり、同時に警察もやってきて、叔父が殺害されたと知る。主人公が感じていた危険な予感。結末もしっかりしており面白い。
    第四の男
     多重人格の女性の話。医者、弁護士、牧師が列車の中、過去にあった多重人格者の研究見解について議論している。その議論の中に多重人格者フェリシーを知る男性が参加し、アネットという女性を含めた彼ら3名の関係を語り出す。最後、少しミステリアスに閉じているのが印象的だ。
    ジプシー
    ジプシーについてのイメージは難しいが、クリスティ作品ではテーマにされる事も多くイギリスやヨーロッパでの彼らの歴史はとても興味をそそられる。婚約を破棄した友人と謎の女性。助言に従わず手術を受けた友人は死んでしまい、謎の女性も亡くなってしまう。事件の詳細を推察することは可能だが、「不思議」で捉えていた方が面白い作品だ。
    ランプ
    ホラーの印象が強い作品。中々買い手が見つからない屋敷。幽霊を信じない女。屋敷に住む様になり、旦那やお手伝いさんは子供のすすり泣く様な声を聞く。やがて、息子の具合が酷くなり女にも子供のすすり泣きぐ聞こえる様になり。短く完結。わかりやすいホラー作品だ。
    ラジオ
    因果応報とはこの事だろう。老婦人は決して真相を知らなかったと思うが、メイドへ渡した金額等実は何かを勘ぐっていた可能性はある。少なからず結末は日本の昔話の様に悪い事をすれば悪い事が起きるという教訓ににている。近く殺人の痕跡も発見される事だろう。
    検察側の証人
    この作品は戯曲化され、映画化され、ドラマ化されたクリスティの短編の中でも知られている作品。主人公は弁護士であり、絶体絶命な容疑者を救う為奔走するが、彼にとって不利になる様な証言ばかり、合わせて彼と同居している女性から証言を得ようとするが、彼女も彼を落とし入れる様な証言を持ちだし、弁護士を困らせる。そんな中で謎の夫人から手紙が届き、とある証拠を金で譲ると言われ、弁護士は彼女に会う為、彼女の家を訪れる。そして裁判が始まる。
     この作品が人気の理由として、後半の裏切りや怒涛の展開があり、更にはドンデン返しで閉めている事だろう。とても衝撃的な作品で、この一作だけでも抜き出す価値がある物語だ。
    青い壺の謎
    この作品も面白い。ゴルフ中、助けを求める声が聞こえ周りを探すが何もない。同じ時間、同じ場所で助けを聞くが近くの家の美しい女性はそんな声等聞こえないといい、不審な目で主人公を見る。彼は自身がおかしくなったのかと思いながら同じホテルに泊まる精神科医と知り合い、事の解明に乗り出す。その内、例の女性が現れ、謎の夢を見る様になり、精神科医と協力し、彼女の住む家を調べにいく。最後、こんなに親切な詐欺師がいるのかと思わず笑ってしまった。
    アーサー・カーマイクル卿の奇妙な事件
     怪奇小説。呪いによってと言っていいのだろうか。ミステリーにおいては魔法や呪いの様な類はタブーになる事が多いが(僕自身は言及があれば認めているが)今作はミステリーでは無い為、問題ないだろう。実際、アーサーを救う手立ては奇跡しか無いわけだが、見事に奇跡的な展開を用いて解決に導くのは流石の物語巧者だ。
    翼の呼ぶ声
    この男は何故この様な結末になってしまったのか。富や金に対する不安や不信は今も昔も変わらないが、この男の人生はなんとも寂しくて切なく感じてしまう。彼は富む事で満足を得ていたが一方で恐怖感や恐ろしさもあった。不思議な笛を吹く足の無い男。彼との出会いが全ての始まりであり、愉悦感と愚鈍な感覚が彼にのしかかる様になり、恐らく彼は壊れていったのだろう。恐怖感の強い作品だ。
    最後の降霊会
    ホラー作品。子供を亡くした母親の狂気なわけだが、実際に降霊者の体が半分無くなり、降霊した子供を持ち帰ってしまった母親の罪になる訳だが理論的に説明が出来ない現象がおきる。ラウールの立ち位置は不明で本当にシモーヌを愛していた様だが結末は反するものだ。
    S•O•S
    周り数キロ何もない所に立つ怪しげな家。そこで暮らしている怪しげな家族。何かが起きようとしている雰囲気。外は嵐。偶々自動車の故障により、助けを求め家を訪れた精神科医。急遽宿泊出来ることになり、感謝しながらも怪しげな雰囲気を持つ家族に興味を持ち始めるが、彼の用意された部屋にS•O•Sの文字がかかれている。
    結果として殺人未遂の様相だが、最後この様な判断ではまた何かしらの事件が起きそうだと予測してしまった。

     幻想怪奇小説は乱歩以来で期間も空いており読み慣れていない為、充分に理解できていないと思う。幾つか素晴らしい短編作品もあり、気分転換になった作品集だ。

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    2023年09月08日
  • もの言えぬ証人

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    クリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。相棒はヘイスティングス。依頼人からの手紙がポアロの元に届くが、何故か書かれた時期と投函された時期がずれており、既に依頼人が亡くなっているという状況。手紙の内容はとてもわかりにくくヘイスティングスは気にも止めないがポアロは依頼人を調査する事を決め、彼女が住んでいた屋敷を訪れる。
     ポアロの探偵としての行動や考え方、時には嘘をも活用した調査方法とヘイスティングスのイギリス人然とした馬鹿正直な人間性が対比になっており、序盤の二人のやりとりはとても面白い。また、被害者の愛犬、テリアのボブが重要な役割を果たしており(タイトルで匂わされているが)かれが登場する擬人化した描写になる為、ヘイスティングスとのやり取りなどは微笑ましい。
     設定として、大金持ちの老人が自身の一族に不信感を持ち、とある事故をきっかけに自身の身に起きている事を不審に感じ、全く家族とは関係ない手伝いさんを相続人にする。やがて、金持ちの老人は急に亡くなり、全ての遺産をお手伝いさんが相続する。老人が生きている際に認めたのがポアロへの依頼であり、これによりポアロは興味を持ち依頼をスタートさせる。
     彼女の一族は見るからに怪しい描写がされている人達ばかりで、相続人でさえ何処となく影のある人物だ。少なくとも犯人は誰か。と目星をつけるのは難しくヘイスティングス並みに読者も混乱するだろう。ラスト、いつもの如くポアロは関係者達を集めて推理を披露するが、直前で明かされるとある出来事により、僕自身犯人を推定して文字を追っていったが、結末はまさかのものだった。
     クリスティの作品は、タイトルにて作品をある程度表しているものが多い。今回もテリアが実は暗にご主人を殺害した人物なり証拠なりを咥えていたり掘り出したりした方が伏線になっており面白い様に思った。犬が活躍するというのは言い過ぎだが、アクセントとしてあっても良いのではないだろうか。また感慨深いのは、後書きにあるのだが、今作後テリアはヘイスティングスに飼われ、一緒にアルゼンチンに連れて行ったのであろうと推測され、そしてこの後「カーテン」に至る十数年間(説によってバラバラ)ポアロと再会しなかった様だ。ポアロとヘイスティングスは名コンビなのだが共演が意外に少ないと知った。

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    2023年09月04日
  • 愛国殺人

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    ネタバレ

    解決編での構図の逆転が鮮やかでそれなりに面白いが、引きが弱い上に故意に読みにくくしたような不自然さがある作品。歯科医のモーリイとライリイ、アリステアとアムバライオティス、ジェインとジュリアなど登場人物の名前が紛らわしく、またフランク・カーターとハワード・レイクスもキャラクター設定も被っている感じで区別しにくかった。すきま時間に少しずつ読み進める読書習慣もあり、忘れたり混同したりでなかなか読み進められなかった。わざとにしか見えないので意図が知りたい。
    中盤で「歯医者が一人が死んでも大した事じゃない」という人物に対しポワロが「あなたにはそうでも私にはそうでは無い」というのがびしっと決まってかっこいいな、と思ったら、解決編でもう少し丁寧な言い方ながら同じことをいう犯人に対し、ポワロが決然と見解の不一致を告げる。この至極真っ当な主張の繰り返しが本来軽い読み物の推理小説を引き締めていて良かった。
    ただ、市井の若者ならそのような乱暴な言い方も仕方ないかもしれないが、真犯人のキャラクターからするとあまりにとってつけたような…地味で控えめだけど中身がサイコパス?という違和感。

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    2023年10月01日
  • ホロー荘の殺人

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    最初からジョンがクソすぎて、いやな気分になった。
    女性たちはみんな、なんか個性的?というか変わり者。
    ルーシーは今でいうところの空気読めない人のパワーアップバージョンって感じで、好きになれず。
    ミッジが唯一まともな感じがしたが、エドワードとくっついたりで、なんだかな~って感じ。
    最後、ジョンの医者としての素晴らしさみたいな描写があって、ジョンのクソ加減が薄らいだ。多分、途中の登場人物たちのやり取りやら性格の強烈さで、ちょっとよくわからなくなってたのかも。
    なんだか読んでいてとても疲れた。

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    2023年08月24日
  • 殺人は容易だ

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    クリスティの作品として、私の中ではほどほどの面白さでした。
    素人探偵ルーク氏がちょっと鈍臭くてイライラしてしまいました。

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    2023年08月13日
  • 黄色いアイリス

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    短編集。
    ポアロもの5編、パーカー・パインもの2編、マープルもの1編、ノンシリーズの幻想小説1編が収録されております。

    まさに“クリスティー・バラエティーパック”といった感じで、様々な毛色の話を楽しめる本書。
    個人的に好きだったのは、パーカー・パインもの「ポリェンサ海岸の事件」。
    タイトルに“事件”とありますが、実際は事件はなくて、パイン氏お得意のドッキリばりの仕込みによる“お悩み解決”のお話です。
    “パーカー・パイン劇団”所属女優(?)のマドレーヌ・ド・サラの登場も嬉しいですね。
    そして、異色の幻想譚「仄暗い鏡の中に」も、鏡に映った“ある光景”をきっかけにした、“世にも奇妙な物語”っぽい展開で、何となく『死の猟犬』あたりに収録されていそうなテイストの話で印象的でした。
    因みに、本書に収録されているポアロものには、既視感のある作品もちらほら見受けられて、特に「バグダッドの大櫃の謎」は、“あれ?この話読んだ事あるけど?”と思った程で、こちらは『クリスマス・プディングの冒険』に収録されている「スペイン櫃の秘密」の元ネタらしいです。
    同じく「二度目のゴング」は『死人の鏡』の元ネタみたいですし、そして味アリキャラ、ミス・レモンも出てくる「あなたの庭はどんな庭? 」は、どうやら『もの言えぬ証人』の元ネタみたいです(これはちょっと曖昧)。
    とはいえ、これらはこれらで独自の話としてちゃんと楽しめるので問題なしです。
    あと、短いですが「ミス・マープルの思い出話」では、マープルさんの安定の安楽椅子探偵っぷりと、控えめな自慢(ポアロのようなあからさまな自慢ではないww)がナイスでした。

    どの話もアッサリしてお茶漬けのように、サラサラっと読めちゃうので、暑くて体力のない時の読書にピッタリかも?と思った次第です。

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    2023年08月12日