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最後の最後まで気づかなかった。
謎解きをされるとそれほど複雑な話ではないはずなのに
何故かその可能性だけ抜け落ちていた。
やはりクリスティはすごいなと思った。
Posted by ブクログ
親族全員を庇護していた大富豪ゴードン・クロードが若い娘と結婚した直後、遺言状を更新しないまま死亡した。残された遺族たちは、ゴードンの援助なしには生活できなくなり……。
ポワロシリーズ23作目→
戦時中という環境下、頼り甲斐がある独身貴族の突然の結婚、そして死。残された若き未亡人には厚かましい兄がついていて……とまぁ、揉めそうな要素盛り沢山な設定。それをキャラごとに上手く盛り上げるクリスティの手腕たるや。上手い……ほんとにこの女王は人間ドラマを描くのが上手い。→
そして、しっかりとトリックもある。上手い……二重三重と驚きがあり、ドラマが盛り上がり、きちんと締める。ポアロが今回もチャーミング。ニヤニヤしちゃうんだよねぇ、ほんと。
読みやすいし面白いし驚けるし、いやもう、海外ミステリのお手本でしょ。マイナー作品のこれでこのレベル……すごいわ
Posted by ブクログ
「満潮に乗って」
なんてミステリー小説には、似合わないタイトルだこと……。
全てが顔見知りのような田舎
一代で富を築いた男の死と、遺産をめぐる親族と若い妻。
ポアロは単に人の話を聞いてまわるが、読んでいる読者は「たぶんこうだ」と思うもののなかなか辿り着けない。
だって満ち潮に乗って(勢いにまかせて?)事件を起こすミステリー小説があるはずが無いって先入観があるから。
これが成立するのは、作者の巧みなわざと登場するひとりひとりの魅力が、読んでいる者をずっと惹きつけているから、と、ラストシーンを読み終わって感じた。
終わってみたら、結構面白いお話でした。
Posted by ブクログ
推理小説においてワクワク出来る舞台装置は色々有るけれど、その一つとして挙げられるのは本作が扱う「大富豪の遺産を巡る殺人」だろうね
大富豪ゴードン・クロードの後ろ盾を頼りに生活してきた一族が彼の死と戦後の空気に拠って困窮していく様子はどう捉えても殺人事件の土台が整えられているとしか受け止められないもの
その一方で舞台が整えられ過ぎているとも言えるのが本作の面白いところ
ゴードン・クロードの遺産を横から掠め取るようにして手にしてしまった哀れなロザリーン。誰も彼もが彼女の死や不義を願うのは理解できる流れとして、その感情を後押しするように様々な噂が錯綜するのだから奇妙な話になってくる
事件が起きる2年も前にロザリーンの前夫が現れるとポアロの前で予言する少佐、事件直前にもクロード一族の女性が霊のお告げでロザリーンの前夫が死んでいないとポアロに教える
そして実際にロザリーンの前夫、ロバート・アンダーヘイを思わせる男性が現れるのだから本当に奇妙で面白い
舞台は非情に整っている。だからこそ、整っていない部分が引っ掛かりとなって事件をより意味不明なものとしていくわけだ
本作の特徴をもう一つ上げるなら、事件を起こす動機を持つ者が多すぎる点が挙げられるのだろうね
遺産を巡る心理的動揺がクロード一族やロザリーンの兄、デイヴィッドに巻き起こっているから誰が殺人を犯しても可怪しくないように思える
実際に私も読んでいる最中は「あの人が犯人だろうか?」と思った数分後には「いや、あっちの人が犯人なのでは…?」と迷ってしまうほど
誰も彼もが戦後の苦しさから遺産を自分の手元に呼び寄せたいとロザリーンの不幸を願ってしまう。それが誰が犯人になっても可怪しくない空気感を醸成し、ミステリドラマとして読み応えある内容となっていたよ
どのような事件だろうと、名探偵ポアロが関わるなら犯人は明らかになる。本作も例に漏れず混迷を極めた事件推移だろうと犯人は最終的に明示される
個人的には「そう来るか!」と様々な意味で思えるラストでしたよ
最高に面白いというわけではないけど、人間ドラマに絡めたミステリとしてはかなりの一品として仕上がっているね
Posted by ブクログ
クリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。
何よりもまず。戦争とは悲劇であり、世界中不幸であり。過去の小説などを読むと恐ろしさや怖さがとても感じられる。今作は戦争が少し落ち着いた時代のイギリスが舞台なわけだが、一体罪とは何なのだろうか、と疑問に思う。当時、今回の様な事が時と場合で許容されるのはナンセンスだと思うし、一方の事件(ネタバレにならない様に注意するが)は現代ではでは当然積みに当たるしまあ、仕方がないには絶対ならないだろう。
ある意味でポアロはよくこういう事をする訳だが、「オリエント急行」や「ナイルに死す」等は受け入れられるが、今作は違う(笑)。真実を知るのはポアロと事件の真相を打ち明けられた数名のみなので当然、彼らが打ち明けなければおもてに出ることは無いのだが。ポアロ自身、リンに対してはポアロの好きなタイプでは無いと言っており、そういった人物には今まで「ポアロおじさん」は発動しなかったのだが。少し不満の部分だ。
金持ちが空襲で亡くなり、若い未亡人とその兄が生き残る。金持ちは一族に大きな影響力を持っており、財政的な援助なども踏まえ、彼なしでは破綻してしまう様な一族だ。遺書等もなく、巨額の財産は未亡人が受け継ぎ、一族は困窮してしまう。そんなおり、とある謎の人物が一族の住む村に現れじけんに繋がっていく。
フーダニットがベースではあるが、そもそも序盤から練り込まれたトリックがあり、最後に衝撃を喰らう。再読だが、初めて読んだ時はインパクトがあり記憶に残っていたが、大人になってから読むと昔ほど印象深い作品ではなかった。
登場人物達が綿密であり、クロード一族は今後衰退していくだろう。当たり前のものが当たり前ではなくなる、自分が手に入るはずだったものが他人のものになる。そんな時に生まれる人間の嫌な部分が詰まっている作品であり、少しだけセンチメンタルになった気分だ。
トリックの面白さ、登場人物達の灰汁の強さはシリーズにおいても面白い方で、ポアロのメロドラマ的な部分も充分楽しめた作品だ。最初の数冊には勧めないが幾つか読んでからの方が味が出る作品だ。
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