【感想・ネタバレ】愛の重さのレビュー

あらすじ

幼くして両親をなくしたローラとシャーリーの姉妹。ローラは妹を深く愛し、あらゆる害悪から守ろうとした。しかしかえってそのことが、妹の一生を台無しにしていたことを知り、愕然とする……。人間の与える愛の犯し得る過ちと、その途方もない強さを描きだしたクリスティーの 愛の小説。

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Posted by ブクログ

メアリ・ウェストマコット名義の作品で一番最後にかかれた作品らしいですね。
人にとっての幸せは
他人から見て幸せかどうかでは計り知れないものですよね。
ローラは頭のいい人でした、自分を戒めて愛を抑えていたと思うのです。
愛するあまり、人に気を使いすぎるあまり何を相手がほっしているのかわからなくなることありますよね。
自分が勝手に思い込むこともしかり。
そう考えると愛になれていたチャールズやヘンリーはある意味幸せだったのだと思います。

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2012年12月25日

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ネタバレ

愛を一手に独占する赤ん坊の妹に対して、死んじゃわないかと思った姉。
それでも、火事のときに、夢中で助け出そうとした人間性。

人間の性格はなかなか直せないが、
愛されることによって変わるかもしれないという望みは残った。

愛するときの重さと、愛されるときの重さの、性格が違うことが分った。
どちらか一方では、手抜かりなのだということを感じた。

ps.
解説において、ハンセン病に対する時代的な認識の限界について断りがある。

原作を書き換えると、時代的な認識の限界が分からなくなるので必ずしも書き換えは必要はないが、最低限、解説では言及がある。

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2011年08月14日

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私の好きなミス・マープルやポアロは登場しないが、クリスティー特有の軽快な進め方で、とても面白かった。

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2009年10月04日

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不幸だから、どうだっていうんだね?たいていの人間は不幸だよ、しょっちゅうとはいわないまでも、ちょいちょいね。何にでも辛抱が肝腎さ。人間、不幸にも耐えていかなくちゃいけない。この世の中を渡っていくには、勇気がいる。勇気と朗らかな心がね。

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2025年07月25日

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ネタバレ

主に三人の人物を中心として物語は進展していく。
①ローラ
両親の愛を一身に受ける兄。その兄が死ぬと、悲しみの中にありながらローラは密かに両親の愛が自分に向くのではと期待する。しかし今度は、生まれたばかりの妹シャーリーが愛を独占することに。ローラはシャーリーの死を願うようになるが、ある時火事からシャーリーを守ったことをきっかけに、ローラはそれまでとは打って変わってシャーリーを心から愛するようになる。それは独占欲とも執着ともとれるものだった。成長したシャーリーと恋仲になったヘンリーのことをよく思わないローラは、二人の結婚に反対する。
②シャーリー
ローラを説得してヘンリーと結婚するものの、定職につかず浮気までするヘンリーとの結婚生活に疲れ果てる。そのような中でたまたま出会った探検家のリチャードに惹かれるも、ヘンリーがポリオにかかり介護が必要になってしまう。病気を機に偏屈になってしまったヘンリーを介護しながら、シャーリーはますます疲弊していく。
③ルウェリン
恋人を捨てて伝道者となり訪れた熱帯の島で、物思いに耽るシャーリーと出会う。シャーリーはヘンリーに先立たれた後リチャードと結婚して島で暮らしていた。その島でシャーリーが不慮の事故で死ぬと、ルウェリンは傷心のリチャードに代わって訃報を姉であるローラに伝えに行く。
愛されることを諦め愛することを選んだローラ。シャーリーを愛するが故にローラが犯した過ち。ルウェリンが告げる残酷な事実を受け止めて、ローラは最後に愛される道を選ぶ。
暗く虚しい人生の中で、偏屈な老人ボールドックが唯一の心の友としてローラを支えている。
クリスティーとは別名義の「愛の小説シリーズ」の一冊だが、ミステリー要素もある(かなり予想はしやすい)

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2024年07月27日

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誰かを愛するということ、誰かに愛されるということ。二人の姉妹の人生の一部を覗き込みつつ、それぞれの愛の重みを描いたアガサ・クリスティーの名作。

アガサ・クリスティーがもともと違うペンネーム、メアリ・ウェストマコット名義で執筆した6篇のうちの一つ。
一番しっかり描かれたであろう愛はローラとシャーリーの姉妹愛なのだろうけれど、ローラと父母やシャーリーとヘンリーの愛についても描写があっていろんな形の愛があるよなと思いました。ただ、親子愛に関しては『春にして君を離れ』なんかでも触れた話だし、だいぶ軽めだった気もする。
愛以外の描写でいうと、ローラとボールドックの友情に心温まった。

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2022年12月09日

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アガサ・クリスティーがメアリ・ウェストマコット名義で書いた小説はどれも面白い。人間の本質を突いている。
どの小説にも存在するのが、物語の登場人物を冷静に見て、的確なアドバイスする人物。今回はポールドック氏がその立場のようだが、ボールドック氏の発言にアガサ・クリスティーが考えることが凝縮されているように思う。

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2021年10月10日

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ウェストマコット名義の作品はどれも名作
どれも現実の人間性が驚くほど内側まで書かれてて、クリスティはアドラーを知っていたのではと思うほどだ。
この作品ではパウロ・コエーリョのピエドラ川を思い出した。

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2016年10月26日

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両親に愛されなかった姉が、
新しくできた妹を疎んじてという話ではなく、
逆に愛しすぎることにより起こった悲劇。
家族であっても人の人生に干渉しすぎることは良くはない。

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2015年10月31日

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アガサ・クリスティのミステリ以外の作品。
つまり普通の小説ですが、これは読み応えがある方。女性には面白いのでは。
モンゴメリのエミリーブックスを思い出しました。
ただいま再読中なので、またあとで加筆するつもり。

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2014年11月15日

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両親からの愛情に飢え、盲目的に妹シャーリーを愛するようになるローラ。辛く息苦しい前半から、後半唐突に訪れるラスト。
作品としての出来は唐突なラストによって落ちているとは思いますが、わたしはとても救われました。

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2009年11月04日

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いつものミステリー小説かと思ったら違った。無知で恥ずかしいが、アガサ・クリスティーがこのような恋愛ものを書いていたことを初めて知った。キリスト教的な考えが興味深かった。

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2025年02月08日

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【ノンシリーズ】
「いっそ死んだのが兄でなくローラだったら…」と両親から思われているローラ。
今度こそ両親の愛情はローラに注がれると思ったら、妹シャーリーが生まれた。すると今度は妹ばかりが愛され…。
 
『第1章 姉ローラ目線』
読者が姉か兄だと、下の兄弟が生まれた時の姉ローラの気持ちがよくわかると思う。

『第2章 妹シャーリー目線』
私は3番目なので、まさに妹シャーリーと同じ。「うん、わかるわかる。」とシャーリーに共感しながら楽しかった。

と、ここまでは『春にして君を離れ』『娘は娘』と同様に面白かった。

第3章になったら、説明もなく新しい謎の伝道者の話に突然切り替わる。
1.2章との繋がりが全くないので意味がわからず混乱する。ローラとシャーリーの話はどこへ行った?
そして宗教色が急に強くなるので、頭に内容が入ってこない。今まで宗教感をこんなに出したことなかったのに、急にどうしたんだろう。

第4章で第3章との繋がりがわかるけど、最後の終わり方も今までのクリスティーとは違う違和感を感じた。
第2章まではいつも通り面白かったので、第3章から突然の方向転換に驚いた。

解説にその辺りのことが説明されてるかなと思ったら、なぜかクリスティーの容姿について終始書かれていた。

末尾の一文
「だから、本書を手にするときは、くれぐれもクリスティーの中年以後の容姿は思い浮かべないこと。これが肝要である。英国伝統の、やや面長の、しかしすこぶるつきの美人時代のアガサ・クリスティーを、思い浮かべていただきたい。」

クリスティーに失礼過ぎるし、上っ面じゃなくて作品の中身について解説できる人が解説を書いて欲しい。

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2024年07月31日

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愛の重さは、愛すること、愛されること、これが同じ重さになるのが理想なのか。親対子、兄弟姉妹、夫対妻、どちらかが一方的に愛するだけでは破たんし、愛されるだけでも、愛するだけでも幸せにはならない。

賢く愛くるしい兄、控え目でおとなしい妹ローラ、両親の愛は兄に傾きがち。妹はそこで葛藤する。だが兄は病気であっけなく死んでしまう。そこに兄に似た妹が生まれる。また両親の愛は妹に向かう。私は妹の死を願う。が家が火事になり、とっさに妹を助け出したことで、妹への愛に目覚める。

主人公ローラは誰かに愛される事を願いながら、ずっと愛することで人生を生きてきた。親に愛されなかったと思い込んでいるローラ、妹をひたすら愛したローラ、それは不均衡な愛で幸福な結果にはならなかった。最後に愛し愛される男を配し、均衡な愛を授けた。

妹シャーリーの結婚相手、押しが強く悪気はないが不誠実な男、の描写がクリスティの最初の夫アーチボルトを念頭においてるのか。妹に次に思いを寄せる思慮深い旅行家はクリスティの再婚相手の考古学者マローワンを思わせる。


1956発表
2004.9.15発行 2019.7.25第3刷

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2020年02月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一部なかなかサスペンスじみてドキッとしたり。
近所のボールドック氏が好きだわ~。
ある意味癒し系。
破滅型の妹はもうどうしようもないね。
こういうふうにしか生きられない人も、世の中にはいるのよね。

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2017年01月04日

Posted by ブクログ

途中、頭に入っていかない文章がところどころ・・・
宗教的な内容はどうも頭に入らなくて読み終わるのに時間かかりました。
娘は娘の女友達の言葉にもありましたが、愛されるというのは重いことなのですね。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

前半は秀逸。特に、洞察力にあふれる人生訓を垂れるボールドックがいい。

でも後半、観念的でうっとうしいルウェリンが出てきてからグダグダ。急にとってつけたような話になってしまった。特に最後は何だかなあ。

『春にして君を離れ』の主人公もそうだけど、他人に自分の幸福の価値観を押しつける女性って、コワッ!

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2009年10月04日

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