【感想・ネタバレ】ポケットにライ麦をのレビュー

あらすじ

投資信託会社社長の毒殺事件を皮切りにフォテスキュー家で起こった三つの殺人事件。その中に、ミス・マープルが仕込んだ若いメイドが、洗濯バサミで鼻を挟まれた絞殺死体で発見された事件があった。義憤に駆られたマープルが、犯人に鉄槌を下す! マザー・グースに材を取った中期の傑作。

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ネタバレ

クリスティ作品に女たらしのイケメンが出てきたら犯人じゃないか?と疑う癖が付きつつあるが、正に犯人だった。パットのことは本気で好きになったんだろうなと思うと同時に、グラディスへの血も涙もない所業を思い出してやるせない。最後のマープルへの手紙のシーンが好き。ただの被害者で終わらなくて良かったと思う。

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2024年02月03日

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ネタバレ

 クリスティの長編ミステリー。マープルシリーズ。マープルが積極的に事件に乗り出す作品は珍しいが、今作では彼女が以前育てたメイドが鼻を洗濯バサミでつままれて殺害されるという事に義憤を持ち、事件が起きたフォレスキュー一族の住む屋敷に乗り込んでいく。初めに殺害された人物のポケットにはライ麦が入れられており、第二、第三の殺人と立て続けに事件が起きるが第三の事件までの異様性により、全く脈絡のない様な事件に見え、警察も手を焼いている所、マープルがマザーグースの見たてでである事を見抜き、捜査が進展していく。
 マープルは安楽椅子探偵のイメージなのだが、今回は自身の知り合いの若いお手伝いへの余りにも惨い殺人の為、彼女本人が現場に乗り出す。マープルに対していつも警察は協力的で、ニール警部もマープルと会話する中で彼女の鋭さや賢さに気がつき、ある意味で協力者となり事件の捜査に助太刀される格好だ(後からマープルの噂を聞いた様で(あれだけ事件を解いていれば当然)更に協力的になっていく)
マープルはいちいの毒がマーマレードジャムの壺に仕掛けられていた状況からとある道筋を推測し、ニールに告げる。それまで、殺されたレックスフォレスキューが過去に起こしたとある事柄について復讐心のある人物が事件の犯人と思われていたが、実は該当者は確かに存在するが殺人とは関係なく、真犯人は別に存在する事がわかる。
 マープルが出来た事は事件の推測であり、ニールはそれらに対しての事実確認と証拠集めを約束する。
 最後、この作品の最も優れている部分だが、マープル宛の手紙が間違えた住所に送られており、更に相手が不在だった為、転送に時間がかかった手紙が到着する。実は殺されたメイドがどうして良いか分からずにマープルへ手紙を書いており、メイドを唆した男と共に撮った写真も収められている。この手紙が正しく届いていればというやるせなさや、写真に写る幼い娘の表情など、なんとも言えない描写であり、当然、後味は良くないはずなのだが、マープルの推理が正しかったと証明されるものだ。
 今作は起承転結がはっきりしており、マープルが感情豊かに活躍する。登場のシーンは少なめだが、その裏で沢山の人とおしゃべりをし、彼女なりにパズルのピースを組み立て事件の真相を組み上げている。マープルシリーズのなかでも上位に入るほど好きな作品の一つだ。
 昔のイギリスの生活イメージがわかりやすく描写されている。木曜は〇〇の日の様な地域特定のお約束や行事は知らないが、ある意味で当時の生活の様子や約束事、家族の考え方についてもとても面白い描写だ。
 物悲しい作品であるが最後ぜひ華やかな気分になってほしい言われた。

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2023年08月23日

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155ページで主役のミス・マープルが登場したところで事件はほぼ解決です。新聞の報道から犯人がマザーグースの詩を引用していることを見抜くところがこの小説の一番おもしろい箇所であると思います。

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2023年02月26日

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ポアロよりもマープルの方が人間味が強い印象をこの作品で持った。愚かで悲しいお話。
最後までアイリーンに期待してたんだけど回収がなかったから少し残念。

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2020年05月17日

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ミスマープルシリーズなのになかなかマープル登場せず心配しましたが、それまでに事件がたっぷり描かれています。最後まで真犯人が分かりづらく、久々にアガサの本格ミステリー読んだなと感動させてもらいました。ただテレビシリーズにて見た記憶が途中から出てきて、映像を想像しながら読み進み楽しめました。・・・が、犯人だけ忘れてた。

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2013年01月15日

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ネタバレ

ミス・マープル・シリーズ

自分の会社でコーヒーを飲んでいたレックス・フォテスキュー。突然倒れ死亡したレックス。死因は毒殺。事件当日屋敷を離れていた彼の後妻アディール。息子であるパーシヴァル。パーシヴァルに内緒で感動していた息子ランスを呼び戻そうとしていたレックス。警察が容疑者としてマークしたアディール。青酸性の毒物で殺害されたアディール。事件当夜から姿を消したメイド・グラディス。事件の翌日帰還したランス。何者かに絞殺され鼻に洗濯バサミをつけられたグラディス。事件を知り現場に駆け付けたミス・マープル。グラディスに行儀作法を教え込んだミス・マープルの義憤。グラディスの恋人の正体。かつてレックスと共に鉱脈の株を買い現地で病死したマッケンジー。マッケンジー家の復讐か?行方不明のマッケンジーの娘。

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2012年08月10日

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ネタバレ

映像作品を先に見たので、ポケットにライ麦をが、マザーグースだということが想像できました。
映像作品では、マープルがわりとはやめに登場していました。
文庫を読み進んで、どこで登場するかが楽しみでした。

ミス マープルものは、イギリス文化を知るために読んでいるので、マザーグースねたは、とてもうれしいです。

これまでは、マザーグースの歌だけを聞いても、いま一歩ピンとこないことが多かった。
サスペンスで利用してもらえると、すごく親しみがもてるようになります。

映像作品で、曲がついているので楽しく聴いてから、文字で読むと音楽がよみがえってきます。

とはいうものの、最初に見たときは、なんとなく不思議な世界だっでした。1週間の間に3回DVDを見て、ようやく意味が分かりました。

それから小説を読んだので、とても楽しく読めました。
小説で映像作品と異なるところがあるのも楽しみの1つです。

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2011年08月14日

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ネタバレ

この翻訳者さんはとても読みやすかったです。
古典作品なのにすらすら読めるのは、本当に翻訳者さんの工夫の賜だと思います。

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2011年04月05日

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マザー・グースの歌に似せて連続殺人が行われる。
被害者は大会社の社長、その妻、メイド=ポケットにライムギを詰めた王様、紅茶を飲んでいた女王、洗濯を干していた侍女。
容疑者は家族もしくは雇い人。

ミス・マープルが殺されたメイドの敵をとるため、犯人探しをする。
マープル物の中では話の盛り上がりがあって、読みやすい。

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2010年05月27日

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1953年発表、ミス・マープルシリーズ第6作。義憤に燃えたマープルが自ら名探偵を自覚しながら精力的に捜査に関わっている様が面白い。シリーズ屈指の愚かすぎる犯人象もまた印象に残る傑作長編。

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2024年08月15日

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社長さんが仕事中にお茶を飲んだら死んでしまった! という毒殺事件から始まる連続殺人。ミス・マープルが登場するのは半ば以降。色んな人から話を聞いて、解決していく手腕は実にお見事。 けど、この事件ラストのページの切なさったらありゃしない…。

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2022年12月01日

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最近読んだ本の感想を書き忘れている…。2週間前とかだと思うのだけど、それだけで思い出すのに力がいる。
アガサクリスティはミスマープルよりポアロの方が好きかも。見立て殺人もの。サクサク進んだ感がある。あっさりとしている。まったく自分のせいだと思うのだけど、推理と論理の記憶がいまいちすんなりつながらない。。ただその分か最後の一文は印象的。自分は映像的な認知が弱いのだけど、それでも浮かぶワンシーン。

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2020年08月26日

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ミス・マープル物の第6弾。ミス・マープルのベストに挙げる人も多いので気になっていた作品。いつもは俯瞰して事件の推理を組み立てるマープルが、今回は怒りに燃えている。マザーグースになぞらえて起きた3件の連続殺人で、マープルの仕込んだメイドが殺されるからだ。複雑に絡み合う登場人物の思惑が事件をかき回すが、マープルが現場に乗り込み、正義の鉄槌を下す。

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2018年04月28日

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ネタバレ

アガサ・クリスティーがすごいのは、読者の犯人探しの視点を完璧に捉えていることだと思う。

この事件の中心は複雑な家族関係を抱えた豪邸水松荘。けれど冒頭は被害者の職場にあるタイピング室から始まる。結論から言うとタイピング室は事件に無関係で、冒頭以降の物語はすべて水松荘で展開される。
だけど、だからこそ、ミステリ好きの読者はその導入部分が気になってしまうのでは。タイピング室の人間関係や描写が軽快でわかりやすいのもそれを助長する。あのタイピング室は一体? 美人秘書のミス・グローブナーは事件後なぜ辞めたのか? もしや犯人はタイピング室に… と考えてしまう。

ミステリのトリック・種明かし自体はちょっと弱い。でも解答への道のりはちゃんと小説内に書かれているし、結局はそれ以外に答えはない。それでも読者をさりげなく惑わせるのは、アガサ・クリスティーの一筋縄ではいかないミスリードの手腕。さすがはミステリの女王!

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2017年06月21日

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ミス・マープルシリーズの長編第6作目。
「ライ麦」は本編にもタイトル通り登場するが、もう少しトリックに絡んだ方が良かったかな。

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2016年02月14日

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ネタバレ

ミス・マープルが面倒を見ていたメイドが殺された事で、ミス・マープルが乗り出すので、半分弱読み進めないとミス・マープルが登場しません。
意外な犯人。見事にミスリードされました。
最後にミス・マープルの思いやりと情の深さを感じてしんみりします。

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2015年08月22日

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色褪せない作品だな、と思う。

ミスマープルが自分の育てたメイドが殺されたと知って事件解決に乗り出す。
出てくる刑事さんが優秀で、事件を整理しつつ進めてくれるから読むのも楽。ミスリードに導くのも彼だけどね。


事件の最後に殺されたメイドから手紙が届いていて、マープルでなくても涙がでるよな、って思う切ない終わりだったなぁ。

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2015年06月23日

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マープル第六作”A Pocket Full of Rye”
毒殺された実業家のポケットの中に入っていたライ麦。
続けて殺された夫人、そしてメイド。

ラストのマープルに宛てた手紙が切ない。

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2014年11月29日

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ネタバレ

ミス・マープルシリーズ第6弾。
今回はマープルの家で教育した若いメイドが事件の中で殺されていたことから怒りに燃えたマープルが登場する。そのせいかいつも以上に警察に協力しているし活動的な雰囲気。
被害者の死に方は歌に合わせたもの…というところからああいう風になるとは。
ラストのマープルには普段からは窺えないあんなに熱い人だったんだと感じた。後の「復讐の女神」はマープル自体のことかなと勝手に推測。

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2014年08月02日

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クリスティの真骨頂ですね。
彼女の犯人の動機はお金か愛情のため、の大体二択なんですが(まぁ一番多い動機だとは思いますが)犯人を判らせずにあっと驚かせる。
被害者がとてもかわいそうですが、犯罪の餌食になってしまった人は残らず可哀そうですね。

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2012年12月28日

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舞台が村ではないので、他のマープル作品のような牧歌的な雰囲気はなかった。それに被害者がミスマープルの知り合いということで、マープルも謎解きを楽しんでいるような明るさがなく、マープル物としては暗くシリアスな雰囲気。私はほのぼのした話の方が好きだけど、この作品のファンが多いのは納得。ラストは思い出すたび胸が詰まる。最初に読んだ時は、マザーグースは必要だったのか?と思ったけど、もう一度読み返してみると犯人の狡猾さを改めて感じた。

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2012年10月31日

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なんだか今回は、たちの悪い男に良いように操られる女性がたくさん登場した。
一筋縄ではいかない犯人。しかも、皆その人物を、不審に思うことさえしなかったのだから。それこそ、自分がその手にかかる、その瞬間まで。
ラストの二人の人物の台詞は、あまりに悲しい。そして、普段穏やかなミス・マープルでさえ、怒りに震え涙するのだ。

ところでこの作品、ミス・マープルが探偵であるのはお馴染みだが、ニール警部もなかなか良い動きをしている。頭の回転が良くて誠実で正義感も強い。事前情報なしで、ミス・マープルを小馬鹿にしない警察官には、なかなかお目にかかれないと思うので。

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2012年08月29日

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ネタバレ

いちいから作られた毒薬タキシン。これがタキサンであり、ここからタキソールやタキソテールの抗がん剤が出来て自分が使うことになるとは、昔最初に読んだ時は思いもしなかった

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2012年04月29日

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この犯人はほんとにひどい奴。
ミス・マープルが怒って、きっちり復讐を果たしたのもむべなるかな。
ラストはじわっとくる。

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2010年07月11日

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イギリスの作家アガサ・クリスティの長篇ミステリ作品『ポケットにライ麦を(原題:A Pocket Full of Rye)』を読みました。
アガサ・クリスティの作品は、4年半くらい前に読んだ『予告殺人』以来なので、久し振りですね。

-----story-------------
投資信託会社社長の毒殺事件を皮切りにフォテスキュー家で起こった三つの殺人事件。
その中に、ミス・マープルが仕込んだ若いメイドが、洗濯バサミで鼻を挟まれた絞殺死体として発見された事件があった。
義憤に駆られたマープルは、犯人に鉄槌を下すべく屋敷に乗りこんだ。
マザー・グースに材を取った中期の傑作。 
解説:大津波悦子
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1953年(昭和28年)に刊行されたミス・マープルシリーズの長篇6作目となる作品……マザー・グースの童謡の歌詞どおりに殺人が起きるいわゆる「見立て殺人」をテーマにした作品です。

ロンドンの実業家レックス・フォテスキューが何者かに毒殺された……ロンドン警視庁のニール警部が捜査の指揮を執ることになり、解剖の結果、死因はイチイの木から取れる毒性アルカロイドであるタキシンの中毒であり、レックスは朝食とともにこれを摂取していたことが判明する、、、

また、衣服を調べた結果、彼の上着のポケットから大量のライ麦が見つかる……それは、恐るべき連続見立て殺人の端緒だった。

レックスの妻アディールが第一容疑者となるがアディールも自宅で毒殺され、さらにフォテスキュー家の小間使いのグラディス・マーティンが洗濯ばさみで鼻をつままれた絞殺死体で発見される……グラディスを知るミス・マープルは義憤に駆られ、犯人探しに乗り出す! マザー・グースに材を取った多くの作品中で燦然と輝く中期傑作長編。

レックスの子どもたちや、その妻、家政婦 等々、身近に怪しい人物が複数人いて、徐々にそれぞれの性格や過去が明らかになりますが、そこに東アフリカの「ブラックバード(クロツグミ)鉱山」での採掘において、レックスのビジネスパートナーだったマッケンジーが死亡した事件が絡んできて、さらに容疑者の幅が広がるという展開……ここまでが長かったですね、、、

終盤、ミス・マープルが推理を披露し始めてからの展開は一気読み……意外な人間関係や、予想外の真相が明らかになります。

印象的だったのはエンディングでセント・メアリ・ミードの自宅に帰ったミス・パープルに届いた手紙が披露されるシーンですね……差出人はグラディスで、彼女は自分がしたことを全て説明し、マープルの助けを求める内容、、、

そして手紙には彼女とある人物の写真が同封されていました……思わずホロリとなったし、犯人を特定できる唯一の物的証拠でしたからねー 全体的にはまずまずの面白さ というところだったかな。


以下、主な登場人物です。

ジェーン・マープル
 探偵好きな独身の老婦人。

レックス・フォテスキュー
 投資信託会社社長。

アディール・フォテスキュー
 レックスの後妻。

パーシヴァル(ヴァル)・フォテスキュー
 レックスの長男。

ジェニファ・フォテスキュー
 パーシヴァルの妻。

ランスロット(ランス)・フォテスキュー
 レックスの次男。

パトリシア(パット)・フォテスキュー
 ランスロットの妻。 

エレイヌ・フォテスキュー
 レックスの娘。

エフィ・ラムズボトム
 レックスの義姉。

アイリーン・グローブナー
 レックスの秘書。

ヴィヴィアン・デュボア
 アディールの男友達。

メアリー・ダブ
 フォテスキュー家の家政婦。

クランプ
 フォテスキュー家の執事

クランプ夫人
 クランプの妻。フォテスキュー家の料理人。

グラディス・マーティン
 フォテスキュー家の小間使い。

ニール
 警部

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2024年10月12日

Posted by ブクログ

これぞ「ザ・クリスティー!」といわんばかりの事件(笑)

毒殺された金持ちの亭主、事件の捜査が進むごとに浮かび上がるドロドロの人間関係。金目当て、遺産目当ての殺人か、はたまた痴情のもつれか。と思っている間に、第二・第三の殺人が起こり……

そして、殺されたメイドがかつてミス・マープルのお屋敷でも働いていたことから、マープルも自ら事件のあったお屋敷に乗り込み、推理に挑むます。

推理としては、もうちょっとカチッと嵌めてほしかった感や、もっと展開を転がせたのではと思ったところ、
また、証言と登場人物の行動を追っていくミステリなので、全体的に地味といったところもあったのだけど、クリスティーらしい人物描写の妙は、今回も見事でした。

怪しい人物は徹底的に怪しいし胡散臭い。それがほぼ全編にわたって描かれます。その胡散臭さにまかれて、いつの間にか植え付けられていた先入観。

ミス・マープルが犯人を指摘したとき、「おお、そうきたか」と思ったのですが、
動機であったり、いかにもな行動を取っていたりと、よくよく考えるとまったく意外な人物ではないのが、自分で自分のことを不思議に感じてしまいます。
どこで、そういう思考回路になってしまったのか……

いつの間にか物語の雰囲気に流され、犯人候補から無意識的に遠ざけていたのだと思います。
そのように、物語の雰囲気と人物描写で、読者の思考を騎手のごとく操り、そして生まれた隙を確実に突くのが、クリスティーの真骨頂なのだろうなあ。

ポアロにしろ、ミス・マープルにしろ、あまり義憤に駆られるタイプの探偵というイメージはなかったのだけど、この『ポケットにライ麦を』はそれが良い意味で裏切られました。

マープルの元に最後に届いた手紙。それは愚かといってしまえばそれまでなのだけれど、その愚かさが哀しく、そして憐憫の情を感じてしまいます。

マープルも被害者への憐憫や、犯人への憤りを感じるあたり、やっぱり人間だったのだなあ。でも、最終的に勝利の歓びを感じて終わってるから、結局のところ探偵の血は争えないのかもしれないけれど。

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2020年08月04日

Posted by ブクログ

アガサ・クリスティーの作品は初めて手に取った。非常に読みやすい印象。訳が素晴らしいからなのかな…。

ストーリーや犯罪動機、トリックは特段目を見張るものではないが、読んでいるだけでなんだか優雅な気持ちにさせてくれる心地のよい作品。

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2017年04月25日

Posted by ブクログ

中盤まで主役を務めるマープルの登場はないが、故に警察官の活躍が際立つ。

ここ最近放送されていた、深夜のミステリチャンネルでのTV版では二時間で解決されるという仕様だったので、所々不明が残ったものだが、こうして文字を追ってみると、犯人が判明した際に、成る程。と思うところが多々あった。
要するに、TV版よりも文字の方が、時系列がはっきりと覚えていられる。

覚え書き。
投資信託会社を経営する男が、自社の社長室で毒殺される。その男の上着のポケットには、ライ麦が一杯に詰められていた。
その後、男の若い後妻、屋敷に勤めていたメイドが連続で殺害され、このメイドの行儀見習い先の主であったミス・マープルが新聞による事件を知り、屋敷を訪れる。
マザーグースの歌になぞらえて起こる殺人。

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2015年01月23日

Posted by ブクログ

読む前から、マザーグースの一節のタイトルが気になっていた一冊。
最後の締めくくりがとても切なくて印象に残る。

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2014年12月28日

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推理小説らしい推理小説だった。
日本人にはこのライ麦の歌がなじみのないものかもしれないけど、それに沿って、入念に考えられた殺人が起こる。
やっぱり犯人は意外な人物。
今回のお話では頭のいいおばーちゃんがどんどん謎を解いていってくれた。

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2012年05月02日

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