【感想・ネタバレ】復讐の女神のレビュー

あらすじ

マープルは、かつてともに事件を解決した富豪の死を知る。その一週間後、「ある犯罪調査をしてほしい」と富豪が記した手紙が届く。だが、具体的な犯罪の内容については何も書かれていなかった。マープルは手紙の指示通り旅に出るが、そこには様々な思惑をもつ人々が待ちかまえていた。『カリブ海の秘密』の続篇。

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ミス・マープルシリーズの長編11作目。9作目「カリブ海の秘密」の続編にあたる。
クリスティが最後に執筆したマープルシリーズでもある。

【あらすじ】
 「カリブ海の秘密」で知り合った大富豪のラフィール氏が死去した。氏の遺言である事件の調査を引き受けることになったマープルだが、漠然とした情報のみが提示され困惑する。やがて、死去前の氏の計らいでイギリス各地の名所・庭園を回るバスツアーに招待されたマープルは、ある場所で悪の気配を感じ取る。

【感想】
 「カリブ海の秘密」の続編ではあるが、関係者の再登場は故・ラフィール氏と元秘書程度なので、この本を先に読んでも楽しめる。最初は事件の陰すら暗中模索状態だったマープルだが、持ち前の考察力と事件を感じる力によって徐々に真相に近づいていく点が面白い。怪しそうな人物を多数配置し、誰が敵か/味方かわからない状況を作って読者に色々を想像させる点も読み応えがあった。
 タイトルの由来は、マープルが持つ「悪を嗅ぎつけ断罪できる力」をラフィール氏が例えた言葉から。

1
2016年07月18日

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ネタバレ

ラフィール氏の死亡記事を読んだ数日後にラフィール氏からの依頼がミス・マープルの元へ。事件の内容も何も分からないままにラフィール氏に指定された観光バスツアーに参加するミス・マープル。同じツアーに参加するミス・ベンサムとミス・クックが本名ではないと気がつくミス・マープル。ツアーの参加者エリザベス・テンプルからラフィール氏の息子マイクルの恋人の話を聞かされる。「愛」で死んだ娘。ラフィール氏の依頼で館に招待してくれたグリン婦人。彼女の姉妹クロチルドとアリシア。マイクルの放蕩三昧の生活。少女を殺害し逮捕され収監されているマイクル。ツアー中落石で意識を失うエリザベス・テンプル。ラフィール氏に依頼され接触してきたワンステッド教授。マイクルの恋人の死。首を絞められ顔を潰された遺体。その他にも連続していた少女の殺害事件。ミス・マープルを呼ぶエリザベス・テンプルの口から語られたマイクルの恋人ヴェリティの名前。同じ村で行方不明になった素行の悪い少女ベラ。エリザベス・テンプルの死。ブラバゾン副司教が語るマイクルの本当の愛。アリシアが慈善団体に送った荷物。三姉妹の館に泊まったミス・マープルの仕掛けた罠。ミス・マープルのもうひとつの名前「ネメシス」

1
2015年05月27日

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ネタバレ

今回マープルにバスツアーの依頼が!依頼人は富豪(故人)ラフィール氏(カリブ海の秘密に出てきたおじいちゃん)。マープルに何をしてほしいのかが全く解らない。バスツアー中に出てくる、ワンステッド教授、テンプル(元校長)、3姉妹、怪しい2人。バスツアー中に色んなヒントが。。。ラフィールの息子が女殺しで逮捕されている。もう1人の女性が行方不明。さらに事件が!テンプルが登山中に落石で瀕死の状態。マープルに遺言(女殺しの理由は愛だ!)を残す。犯人は外れたが、今回もドキドキの展開でした。マープルシリーズあと1冊で制覇だ!

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2024年11月17日

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 まず、なにより邦題も「ネメシス」でよかったのではと。日本語にしてしまうと名称としての力強さがなくなり、少し説明じみたイメージになってしまう。ネメシスの方が復讐の女神より力強さや恐ろしさを感じるのは僕だけだろうか。
 
 僕はクリスティがミステリにおける殆どの試行やトリックを編み出し使い尽くしたと考えており、彼女以降の作家は新たなジャンルや作風の工夫こそ出来うるかも知れないが、ミステリの観点でアイデアで彼女の創作を超えていく事は難しいと常々偉そうに語っている(笑)
 ミステリの形式としては、1.犯人は誰か2.何故事件は起きたのか3.事件の過程を解き明かす4.叙述トリックなどが考えられるのだが、今回は問題は何かというまさかのテーマであり、そもそもミステリの殆どは何かの事件やトラブルに対しての道筋であるはずなのだが、今作ではマープルと同じ様に読者も広大なフィールドに投げ出され、とにかく進んで何かを見つけろと言われている様な気分であり、新しいジャンルを経験している様な気分だ。中盤から終盤にかけて、徐々に今作の解明すべき問題が明らかにされていき、ラフィールが一体何をマープルに託したのか、が構築されていく。大枠としては漫画やゲームの構成と似ているなぁと感じた部分もあり、そういったものがまだ表現されていないなかで、文章で表現されているのは驚きだ。
 カリブ海の秘密で共闘した数年後、新聞の死亡記事にラフィールの名前が載る。マープルは彼の名前をようやく思い出し、カリブ海での事件に思いを馳せる。数日後、弁護士事務所を通じてマープルの元にラフィールからの不思議な依頼が届く。何について、誰について、全く何の依頼もなく、弁護士達も何も知らされていない。そんな中、マープルはラフィールが手配したバスツアーに参加する事となり、少しずつラフィールが意図した事件の輪郭が姿を現してゆく。
 物語の軸自体を読者が探し、考察しながらストーリーの真相に迫っていく。ある意味で謎解きの幅が広くなり、登場人物達を全て精査していく必要上、読みにくくなる事が考えられたが、全くそんな事はなく、反対に非常に整理された道筋を辿るため読みやすくさえあると言える。
 今作は連作のため、カリブ海の秘密から続けて読むと格別だ。(バートラムホテルの事件は次に読む予定)また、本来三部作を予定しており、英題を読み解くと、ウーマンズレルム(女性の領域?僕は今作かは勝手に想像し、女王の庭と略した!!)
が完成しなかった事は残念だ。僕は本当にこの二作が好きで、ふたつ合わせてクリスティの10指の一つに選びたい。

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2023年09月30日

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ネタバレ

今まで読んだマープルシリーズは、どちらかというとマープル以外の登場人物によって調査が進められていたものが多かったので、今回のようにマープルの場面がほとんどの作品は私には珍しく、いつもと違った雰囲気を味わうことができた。
前作『カリブ海の秘密』でも印象的だったピンクのフワフワ、あの作品の中でこの場面だけが、話の要点は忘れても記憶に刻まれていた。今作でラフィール氏があのフワフワに言及した瞬間に前作と繋がり、しかも「ネメシス」という暗い響きとギャップが大きいこともあり、強烈な印象を残した。
事件の真相を、人や家から漂う「暗さ」から嗅ぎとる独自の捜査方法が面白かった。

0
2022年02月23日

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マープル
「カリブ海の秘密」の続篇。ただし、未読でも充分楽しめると思う。私はラフィール老人のキャラクターは覚えていたけれど、ストーリーはぼんやりしか覚えてないのでこの後再読してみよう。
だいへん面白かった!自分の場合、クリスティー作品は半分ほどまでは途切れ途切れに読み進めていて、後半になると引き込まれて一気に読むパターンが多いが、今作はすぐにワクワク読み進めるのが楽しかった。
クリスティー作品では他でもあった若く、可愛い、素敵な女性が、誰からも賛成されない男と熱烈な恋をして結婚しようとする、しかし分別ある大人たちではそれを止めることはできないというエピソード。現在(2021年10月)の日本国民の多くに苦い共感を起こさせるではないかな。

巻末の解説に三部作の2作目となる予定だったが、残念ながら第三作は発表されなかったとあり、興奮した。それは読んでみたかったな〜という気持ちと、でもこの作品でうまく収まっているのでは?という気持ちもある。ところが「アガサクリスティー完全攻略」を読むとどうやら三部作説の根拠が薄弱らしい。真相が気になるが、いずれにしても読めないからな〜。

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2021年10月04日

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復讐の女神。アガサクリスティー先生の著書。アガサクリスティー先生の作品はどれも本当に楽しいです。時間を忘れて独特の世界観に引き込まれてしまう。

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2019年02月10日

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これはなかなか。
最初は読者もミスマープルと同じく、まったく事件の予備知識がないまま旅にだされるので、読んでいてちょっと退屈、というかモヤモヤするんだけど、事件がだんだん見えてくるとそれに連れて加速度が増していきます。

前作で知り合った金持ちの頑固じーちゃんの遺言に従って動いていくのだけど、あのいいキャラしたおじーちゃんの存在が所々に感じられるのも好ましかったです。

事件の動機も、その周りの人たちの不自然さも上手に配置されていてとても面白い作品でした。

0
2015年07月16日

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「カリブ海の秘密」の続編ともいうべき作品。
西インド諸島で共に事件を解決した大富豪の死を新聞で知ったミス・マープルは、しばし感慨にふけったいた。しかし、その大富豪から届いた手紙によって、詳細を知らされぬまま、とあるバス旅行へと誘われる。正義をなしてほしい、という願いを叶えるために。

登場人物表の半分近くをバスの乗客が占めているが、覚えなくても全然問題ないというところに苦笑い。バスツアーのくだりは、退屈なので正直脱落しそうになったが、三人姉妹と出会ってから「何をすべきなのか」がぼんやりと判明しだしてからは、ビックリするぐらい面白くなった。
実際使われたトリックそのものは、途中で気づいたけれど「誰が、なんのために」という部分で、ミスリードにまんまと引っかかってしまった。
最終章で卿や大臣といった名だたる男性陣に「今までに会った最高のこわい女」「たいへんやさしくて、たいへんに冷酷」と評されるミス・マープル。作者の価値観が見え隠れしてこれも面白い。

1
2020年03月09日

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私の持っているマープルシリーズ
最後の作品
そしてマープル最終巻
本来は続きもあったらしい
読みたかったなぁ…

ようやく面白い!と思えた今回の
「復讐の女神」
何から手をつければ?何を望まれているのか?
全く分からない状態でスタートする。
少しづつ見えてくる問題。
怪しく見える人々。
今回も 犯人は当てることが出来ず!
本当に上手いなぁ
アガサ・クリスティに翻弄された笑

この作品でも感じた
他人の見解が全てではない。ということ
三姉妹の1人に様子のおかしい女性が居たが
注意深く観察するマープルが
素晴らしいな、と思った

日本語訳がおかしいのか
少し意味の取りづらさが
たまにあったけれど
それを含めても 最後まで楽しめた
きっと次の本当の最終章でも
彼が…登場したのかもしれない
その後の姿を見たい気持ちがしたし
マープルが やろうとしていた事を
正確に知りたかった

夢中で読んだ1冊でした

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2025年09月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

マクワーイン版のドラマを先に見たので、内容が全然違って驚いた。小説はヒクソン版とも違ってヒントがないせいか導入が長くて読むのやめそうになった。
犯人の動機がなかなかだが、こちらは原作にある程度忠実なヒクソン版が良い。愛の種類が違うんだよなあ。
しかし、ネメシスの洞察力には感服。クリスティのお気に入りだけある。こちらもポアロとのある意味愛情の違いか。ヒクソン版は読後に見たが、ドラマはエンタメならマクワーインで原作よりならヒクソンか。どちらも好きだ。

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2025年07月19日

Posted by ブクログ

まさかのラフィール再登場。
まあ確かに、前回のミス・マープルとの程良いコンビ感は良かった。
ただ今作で故人のため、そうした掛け合いが見れなくて残念。
さて、そんな彼から犯罪調査の依頼として手紙を受け取ったミス・マープル。
が、その犯罪に関する詳細は一切不明。
あるのは「とある旅行に参加してくれ」という手紙での指示のみ。
いやさすがに高度過ぎない?えっそこから?
過去一の難易度だなと思いつつも、ちゃんと辿り着くんですよねえ。
話の持っていき方が上手いというか、練られているというか。
ホント読者を飽きさせないな。面白い。

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2025年06月09日

Posted by ブクログ

イギリスの作家アガサ・クリスティの長篇ミステリ作品『復讐の女神(原題:Nemesis)』を読みました。
『さあ、あなたの暮らしぶりを話して クリスティーのオリエント発掘旅行記』、『カリブ海の秘密』に続き、アガサ・クリスティの作品です。

-----story-------------
マープルは、かつてともに事件を解決した富豪の死を知る。
その一週間後、「ある犯罪調査をしてほしい」と富豪が記した手紙が届く。
だが、具体的な犯罪の内容については何も書かれていなかった。
マープルは手紙の指示通り旅に出るが、そこには様々な思惑をもつ人々が待ちかまえていた。
『カリブ海の秘密』の続篇。
(解説 南波雅)
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1971年(昭和46年)に刊行された、ミス・マープルシリーズの長篇11作目となる作品……長篇として出版されたミス・マープルシリーズは次作の『スリーピング・マーダー』が最後ですが、執筆された時期は本作がシリーズ最後となります。

 ■1. 序曲
 ■2. 合言葉はネメシス
 ■3. ミス・マープル活躍を始める
 ■4. エスター・ウォルターズ
 ■5. あの世からの指図
 ■6. 愛
 ■7. ある招待
 ■8. 三人姉妹
 ■9. ポリゴナム・バルドシュアニカム
 ■10. “なんと、やさしく! なんと、美しく! 過ぎし日よ”
 ■11. 事故
 ■12. 協議
 ■13. 黒と赤のチェック
 ■14. ブロードリブ氏の疑念
 ■15. ヴェリティ
 ■16. 検死審問
 ■17. ミス・マープルの訪問
 ■18. ブラバゾン副司教
 ■19. 別れの言葉を交す
 ■20. ミス・マープルに考えあり
 ■21. 大時計三時を打つ
 ■22. ミス・マープルその次第を語る
 ■23. 終曲
 ■解説 合い言葉はネメシス 南波雅

午後になると2つ目の新聞「タイムズ」をひらくのが、セント・メアリ・ミードに住むミス・マープルの習慣だった……ときどき知った名前に出会うことがあるので、死亡欄にはとくにていねいに目を通す、、、

その日もラフィールという名を見つけた……数年前 カリブ海に遊んだマープルが自ら〈復讐の女神〉と名乗って大活躍をしたとき、彼女に援助の手をさしのべてくれたあの大富豪のラフィール氏だった。

ところがそれから一週間ほどたって、故ラフィール氏の奇妙な伝言が弁護士を通じてミス・マープルに伝えられた……遺産の一部を譲りたいが、ついてはマープルを〈復讐の女神〉とみこんであることをやってほしいというが、マープルに何を期待しているのか、何をしてもらいたいのか全く判然としない、、、

カリブ海の事件のことからラフィール氏は何か犯罪を解決してもらいたいのだろうと解釈したマープルは、死者の依頼を引き受けることにした……だが、事件そのものが分らないという雲をつかむような事態の前にさっそく開始した活動も行き詰ってしまった。

そのとき死者から第2の指令がとどいた……身辺に十分気をつけて、英国の古い館と庭園をめぐる観光旅行に参加するようにと、、、

〈復讐の女神〉ミス・マープルのミステリ・ツアー……女史が意欲を燃やすミス・マープル3部作の第2弾!

『カリブ海の秘密』でマープルに出会い、ともに謎解きをした大富豪ジェースン・ラフィールが死去し、彼が遺言にミス・マープルが解決すべき別の謎を残す……という展開で、『カリブ海の秘密』の後日譚的な物語です、、、

死亡したラフィールからの何らかの犯罪を調べてほしいという遺言状が届き、解決に成功すれば2万ポンドをマープルに相続させるというが、何をしらべるかすらわからない状況からのスタート……五里霧中のままラフィールが生前に手配したイギリスの有名な邸宅や庭園を巡るバスツアーに出かけたマープルは遂に悪の匂いを嗅ぎつける という興味深いプロローグが物語に惹き込まれました、、、

バスツアーで、登場人物が一気に増え、それぞれに怪しい部分があるなぁ……と感じていたところ、旅の途中で旧領主邸の怪しげな三姉妹が登場、さらにはツアー客の中のひとりがハイキング中に岩崩れにより重症を負い と中盤からは一気に物語が動きます。

本作も意外な人物が犯人でしたねー 愛が憎しみに変わる恐ろしさを感じる作品でした……それにしても、ツアー客の怪しげな2人組がマープルの危機を救うとは、、、

終盤は予想外の展開が愉しめました……本作品は3部作の第2作となる予定でしたが、アガサ・クリスティの死去により第3作は発表されないままになったようです。

以下、主な登場人物です。

ジェーン・マープル
 探偵好きな独身の老婦人

ジェースン・B・ラフィール
 マープルの知人。故人

マイクル・ラフィール
 ラフィールの息子

エスター・ウォルターズ
 未亡人。ラフィールの秘書

アーサー・ジャクスン
 ラフィールのマッサージ師

ジェームス・R・ブロードリブ
 上位弁護士。ジェースン・ラフィールの遺言執行人

シュスター
 弁護士。ブロードリブの共同経営者

クロチルド・ブラッドベリースコット
 ジョスリン・セント・メアリの旧領主邸在住

アンシア・ブラッドベリースコット
 ブラッドベリースコット家の三女

ラヴィニア・グリン
 ブラッドベリースコット家次女。未亡人

ヴェリティ・ハント
 殺された娘

ノラ・ブロード
 行方不明の娘

ブラバゾン
 副司教。フィルミンスター在住

ライズリー(ゼラルディン)・ポーター夫人
 観光バスの乗客

ジョアナ・クロフォード
 観光バス乗客。ポーター夫人の姪

ウォーカー大佐
 観光バス乗客。退役軍人

ウォーカー夫人
 観光バスの乗客。メリーピットの知人

ヘンリー・バトラー
 観光バスの乗客

メイミー・バトラー
 観光バスの乗客。ヘンリーの妻

ミス・エリザベス・マーガレット・テンプル
 観光バスの乗客。ファローフィールド校の元校長

ワンステッド教授
 観光バス乗客。病理・心理学者

リチャード・ジェームスン
 観光バスの乗客。建築家

ミス・ラムリー
 観光バスの乗客

ミス・ベンサム
 観光バスの乗客

ミス・クック
 観光バスの乗客。ミス・バローの連れ

エムリン・プライス
 観光バスの乗客

ミス・バロー
 観光バスの乗客。ミス・クックの連れ

0
2025年03月22日

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【マープル】
クリスティーが最後に書いたマープル作品。
1971年81歳の時に出版した。

37歳の時に執筆した最終話『スリーピング・マーダー』よりも、この作品の方がマープルの集大成のように感じた。
最後に読んで良かった。

『カリブ海の秘密』の続編。
大富豪のラフィールがお膳立てした英国庭園バスツアーに参加したマープルが事件の謎を解いていく。

ミステリーとしては犯人もわかりやすいし、事件の全容も見えにくいのでキレは感じない。同じようなことを繰り返すシーンや説明が冗長に感じられることもあった。

でもこれは歳をとったクリスティーの味わいでもあるのかなと思った。
こんなにすごい長編を書けるくらい、亡くなる直前までずっとお元気だったことも嬉しかった。
「守護天使さま」に、クリスティーは本当に守られていたのかもしれない。⁠◕⁠‿⁠◕⁠。
★3.5

マープル長編作品12作品を全て読み終わったけど、マープルはハズレが一つもなかった。
全部それぞれ面白い。

驚くのが晩年でもすごく面白いということ。
クリスティーとマープルの年齢が同じになってからは、クリスティーがマープルに乗り移っているような感じさえした。
40歳代で描いたマープルよりも、70歳過ぎてからの方がマープルが生き生きしているように感じた。
晩年までのたくさんの素晴らしい作品を読むことができて幸せな読書時間でした!

自分のマープル作品ベスト3はブックリストに載せました(⁠*⁠˘⁠︶⁠˘⁠*⁠)⁠.⁠。⁠*⁠♡

ポアロはまだ未読が12作品もある。
(攻略本で高評価の作品はほぼ読んでしまったけど)

クリスティー作品を結構読んできたように思ったけど、他のシリーズもあるので100作品中まだ47冊しか読んでなかった(^_^;)
まだまだ楽しみは残ってる♪

全部読み終わった頃には最初の方は完全に忘れているので、エンドレスクリスティーを楽しめるかもしれない笑

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2024年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自宅で新聞を読んでいたマープルは、死亡欄にかつてカリブ海の島でともに事件を解決した「ラフィール」の名を見つける。
そこからマープルは、生前に残されたラフィールの指示に従い行動をしていくが、その目的は不明のまま。指示通りバス旅行に参加し、指示通りその道中にある三姉妹が住む邸宅に滞在することになる。どうやらラフィールの目的が、ラフィールの息子マイクルがかつて犯した殺人事件に関係しているということが分かってくる。
そのような中で、バス旅行の参加者の一人ミス・テンプルが落石事故により死亡する。
マイクルが殺したと思われていた少女を殺したのは誰なのか、ミス・テンプルは本当に事故死なのか。
悪を憎み、自らを「復讐者」と位置付けて詰めに詰めまくるマープルがいつになくアグレッシブでかっこいい。愛とは本当に恐ろしいもの。
登場人物がかなり多いのが難点。
クリスティ作品の中でも珍しい連作なので、『カリブ海の秘密』を先に読むことを推奨。

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2024年04月25日

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70代ミス•マープルの冒険活劇。
なにが謎なのかもわからない五里霧中の中、足で歩き、人と話し、観察し、危険な橋も渡る。

「カリブ海の殺人」の続編。
この次の作品は未発表で読めないのが残念。

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2024年03月23日

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ネタバレ

なんとな〜く犯人は分かり、動機も薄々勘づいた。「事件そのもの」が見えるまでが長く、そこまではほぼマープルの旅行記になっている。だがそこも好き。
ネメシスの合言葉や、2万ポンドの行方など、三部作の完結編も是非読みたいところだったが、残念ながら次作は書かれなかった。ほんとに残念。
残すはスリーピング・マーダーのみ。

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2024年02月03日

Posted by ブクログ

思えば、マープルシリーズを読み始めたのは、たまたま読んだ「カリブ海の殺人」からだった。「復讐の女神」はその続編で、3部作の2冊目になるはずが、著者の命が尽きるまでに三部作が完成することはなく、ミスマープルシリーズとしては最後に執筆された作品になってしまったという曰く付きの作品。マープルと言えば控えめに登場することが多く、作品によっては物語の後半に初めて登場して、ちょこっと顔を出すだけという作品もあるのだが、「カリブ海」とこれはミスマープルが大活躍。謎解き要素は凡庸だが、多彩な人間模様と謎に包まれたスタートで読ませる。

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2024年02月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

クリスティ作品の登場人物で格別に印象深いラフィール氏、死後もなお大勢の人を振り回すのが彼らしく、懐かしくさえ感じる。前作の颯爽とした別れの挨拶の場面で既に計画が浮かんでいたのかな。終盤の守護天使は痛快だったが、ミス・テンプルも守ってあげて欲しかった…
何が謎なのか探ることから始まる冒頭から、庭園ツアー参加者のアイデンティティ偽装も昔の作品よりひねりがあって面白い(怪しく見えて実は皆味方)。
ただ核心となる事件が不自然で残念。自分勝手な偏執を愛と言ってしまう少女漫画的混同はいただけないし、女性犯人の動機として無理がある(女性ならライバルを襲っても当人に危害を加える事は無いのでは)。「書斎の死体」、火曜クラブの「舗道の血痕」「毒草」のモチーフが再登場で、その点毒草の犯人は自然。ポリゴナムの描写とノラの失踪で何が起きたかはピンときた。
Nemesis は、かなわない、手強い人=ミス・マープルであって彼女の正義の嗅覚が主題だけどタイトルには「復讐の女神」が劇的で収まりが良いかな。
冤罪が晴れる話についてはアガサは感慨薄めにするのが好きみたい?2万ポンドを当座口座に入れてパッと使うと言う思い切りよさがまさにミス・マープル。このさっぱりしたラストがシリーズの幕引きにふさわしい。その意味でも、アガサ・クリスティ解説本の巻末で、三部作説は海外文献に見当たらず、3冊目のタイトルとされているWoman’s Realmが、本作が掲載された雑誌名と一致しているらしい(どこかで混乱が生じた?)という話がミステリ的。

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2021年09月18日

Posted by ブクログ

ドラマ版との比較の為に読んだ。

ある点ではドラマよりもあっさりしている感はあったのだけれど
原作だと、映像とせりふ、所作だけではわかりにくい描写も為されるので
なるほどと思ったり。

にしても、原作でもそう描写されていたけど
ドラマ版のマイケルもイケメンだった……。

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2017年03月18日

Posted by ブクログ

ミス・マープル第十一作。
ラストで犯人に対して毅然と立ち向かう彼女は、
堂々としており、まさに復讐の女神なのかもしれない。

その後ドラマ版も鑑賞。
本書が未読だと動機が分かりにくい気もする。

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2015年05月30日

Posted by ブクログ

カリブ海の続編とは!順番通りに読んでいて良かった☆初めてミスマープルの映像を見たのが、どうやらこの作品だったようで、1回目に見たときはあまりよく意味がわからなかった。でも今回本を読んでみて、映像では読み取れていなかった詳しい内容がわかった。この後にもう一度映像みたらますますおもしろく感じられそう^ ^

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2015年02月15日

Posted by ブクログ

正直、これを読むため『カリブ海』を読んだ。
単品でも楽しめるし、実はつながりはない。
でも、あの旅でマープルが感じた
死生観のようなものが
この作品にも漂っている気は少しする。

この時代にイギリスではもう
国内のパッケージツアーがあったのも驚き。
亡き富豪の要望で参加したマープルさん。
どうしても編み物セットは持ってくんですね(笑)
そして、殺人の動機はおそらく…。
さまざまな愛の形…クリスティーに垣根なし。

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2021年06月30日

Posted by ブクログ

ミス・マープルもの。

『カリブ海の秘密』の続篇といえる本作。
西インド諸島に滞在した時に知り合った、大金持ちのラフィール老人が死去し、彼の遺言にてミス・マープルに“ある犯罪調査をしてほしい”といった意味の依頼がされますが、具体的な内容は何も書かれていませんでした。何を調査するか不明なまま、ラフィール翁の手紙の指示に従ってバスツアーに参加するミス・マープル。
途中までは暗中模索状態のマープルさんですが、ツアー中に起きた“事故”をきっかけに、徐々に物事が動き出します。
そこで浮かび上がってきたのが、以前に起きた少女殺人事件と、ラフィール翁の息子との関わりについてで・・。
今回は秀逸なミステリであることは勿論なのですが、それ以上に“愛憎劇”といえる内容です。まさに“愛が過ぎた”故の悲劇でした。
犯人については、割と予想しやすかったと思いますが、“守護天使”は完全にやられました。ドッキリ(?)に引っかかったような気持ちです。
と、いう訳で今回もクリスティーにあんぐりさせられました。流石ですねー。

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2020年10月05日

Posted by ブクログ

本作品では、マープルと犯人が直接対決する危機一髪の場面があり、興味深い(しかし、あの場面で登場する二人も真相に気づいていたのではないだろうか)。
マープルの推理は、ロジックではなく、人間観察と直観に基づくものであり、本格的な妙味は薄い。
人間の持つ複雑な感情に根差した犯行動機や、殺人偽装とそれを行った理由は面白い。
しかし、なぜ、依頼者のラフィール氏は、マープルに依頼目的を具体的に示さなかったのだろうか。バス旅行に参加し、旧領主邸に宿泊するように指示したのはなぜか。ラフィール氏は真相がどこまでわかっていたのだろうか。最後まで読んでもわからなかった。

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2016年03月28日

Posted by ブクログ

以前カリブ海の旅行先で知り合った大富豪からの依頼で、イギリスの邸宅や庭園を巡るバス旅行に参加することになったマープルさん。
謎めいた依頼で、主人公も読者も五里霧中の中、旅行が進んでいきます。
なんせ登場人物が多いし、少し記述に冗長な箇所が多いかなあという気もしましたが、最後まで犯人もわからなかったし、ミステリーとして楽しめました。

ビクトリア朝のお作法では~、とか出てくるのに、実は70年代学生運動サイケデリックの時代の話でイギリスの文化的、歴史的な変遷なども背景に感じられたのも面白かったです。

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2025年10月02日

Posted by ブクログ

あなたにお勧め、次の本にどうぞと薦められた一冊なんだけれども、けれども……続編やないかーいっっ
この話は『カリブ海の秘密』の続編で、この話でミス・マープルが出会った人物が亡くなったことから始まる。お話の時々にその前作に登場していた人物の人となりやらなんやらが出てくるので、『うっわーっ読みにくい』という気持ちになってしまった。とはいえ話の進行の妨げになるようなものではない。そのあたりはきちっとフォローされていて、その人となりがちゃんと描写されているので、前作が未読だったからといってなんの障碍もない。充分に面白い。
トリック的なものはすごくシンプルで、そこまで複雑ではない。途中から、なんとなく読める感じがある。しかし、主題というかテーマはそこにないのだろうと思う。ミス・マープルの信念と、作者であるアガサ・クリスティのそれがおそらくは重なるところを感じる。
発行の順番でいえば『スリーピングマーダー』がアガサ・クリスティの死後に刊行されているが、執筆時期を考慮すると本作が最後の作品にあたる。予定では、『カリブ海の秘密』とあわせて三部作になる予定で、三作目は構想だけで執筆されなかったらしい。とても残念だ。
もう少し、このちょっと性格の悪い、人当たりだけは良いおばあさんの物語を読みたかった。

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2025年09月30日

Posted by ブクログ

大好きなミス・マープルシリーズ。全13作の中の最後の作品。
カリブ海の秘密、からの続編となっている。
とはいえ、カリブ海の秘密を未読でも楽しめます。

前作、「カリブ海の秘密」で、旅行先で出会った老富豪ラフィール氏とミスマープルは協力して旅先で起こった殺人事件を解決した。
あれからさらに時が経ち、ミスマープルは新聞の死亡記事でラフィール氏が亡くなったことを知る。
ところが、死んだラフィール氏からミスマープルにある事件を調べてほしいという依頼があった。なんのヒントも手がかりもないまま、ラフィール氏の手配で、イギリス国内の邸宅と庭のツアーに参加することになったミスマープルに待ち受ける事件とは…

81歳のアガサクリスティーが描いた、ミスマープルの気迫に満ちた凛とした姿のかっこよさったら!
こんなおばあちゃんになりたい!
ピンクのふわふわの毛糸のショールをつけているのに!
そもそもの事件自体が何かわからない。
いつものようにミスマープルが出会った殺人事件を調べるのではなく、ラフィール氏が何をミスマープルに調べてほしいのかを推理するのがこの小説の新しいところ。
怪しいと思う人物が何人か出てくるんですが、どれもダミーなんですよね笑。

まだ未読の作品もあるので、コンプリートしたいと思います^_^

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2025年01月02日

Posted by ブクログ

殺人の動機、いわゆるホワイダニットが特殊というか異常でそこに物語のキモがあった。バスツアーというグランド・ホテル形式も作品に面白さを追加するいい要素だった。

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2024年02月12日

Posted by ブクログ

ミス・マープルシリーズを、全て読破したわけではないが、しかしながらその中でも、この復讐の女神は意外なものだったと思われる。
というのも、マープルシリーズのこれまで読破したもと比べて、最初から最後までミス・マープルが主体で物語が進むものが初めてだったからだ。
大抵は他の誰か――事件に主要に関わっている人物がまず動き、マープルはサポート的に活躍するのが主だったから。
非常に珍しい。かつ……何となく矛盾に溢れていた物語だと思った。

因みに、ここまでのマープルシリーズを見るのに、現代的なわけのわからない殺人動機については語られず、その主な原因としては、『愛』と『金』である、と語られている。

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2014年11月09日

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